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ジョン・D・クラウス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
John D. Kraus
ジョン・D・クラウス
生誕 (1910-06-28) 1910年6月28日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ミシガン州アナーバー
死没 2004年7月18日(2004-07-18)(94歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 オハイオ州デラウェア郡リバティ英語版[1]
居住 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
研究分野 物理学
研究機関 オハイオ州立大学
ハーバード大学
ミシガン大学
出身校 ミシガン大学
主な受賞歴 IEEEエジソンメダル (1985)
プロジェクト:人物伝
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ジョン・ダニエル・クラウス(John Daniel Kraus、1910年6月28日 - 2004年7月18日)は、アメリカ合衆国物理学者・電気工学者である。電磁気学電波天文学アンテナ理論に関する研究をし、8JKビーム・アンテナなど各種のアンテナを発明した。また、オハイオ州立大学オハイオ・スカイ・サーベイ英語版に使用された電波望遠鏡「ビッグイヤー」の設計を行った[2]

若年期と教育

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クラウスは、1910年6月28日ミシガン州アナーバーで生まれた。父は鉱物学者のエドワード・ヘンリー・クラウス英語版である。1933年にミシガン大学で物理学のPh.D.を取得した。

キャリア

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大学卒業後もミシガン大学に残り、同大学の当時世界最大の粒子加速器となる100トンサイクロトロンの建設と運用に関わった[3]第二次世界大戦前には、コーナー・リフレクタ・アンテナ英語版やW8JKクローズスペース・アレイ・アンテナなどを開発した。

第二次世界大戦中はアメリカ海軍の艦船の消磁の作業に従事し、また、ハーバード大学レーダーへの対抗策の研究を行った[4]

戦後はオハイオ州立大学に移り、後に電波観測所所長や電気工学・天文学のマクドゥーガル名誉教授に就任した[5]。また、宇宙の電波源をカタログ化するオハイオ・スカイ・サーベイ英語版のプロジェクトを監督し、それに使用する電波望遠鏡「ビッグイヤー」の設計を行った。このプロジェクトでは1万9千以上の電波源がカタログ化され、その半分以上が新たに発見されたものだった。クラウスはボブ・ディクソンの地球外知的生命体探査(SETI)にも参加した[6]

スプートニク1号

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オハイオ州立大学在籍中の1958年、クラウスは標準電波局WWVの信号を使って、ソ連の人工衛星スプートニク1号が崩壊する様子を追跡した。流星が大気圏に突入すると、その航跡の大気が数秒間電離し、地表からの電波が反射される。この現象は流星散乱(メテオスキャッター)と呼ばれている。クラウスは、スプートニクの残骸が大気圏に突入するときにも同じ現象が起こると予測し、WWVの電波を観測した。流星散乱により、WWVの信号が1分以上にわたって強く観測され、しかもその方向は、スプートニクの軌道に一致していた。この観測データを元に、クラウスはスプートニクが完全に崩壊するまでのタイムラインを作成した[7][8]

私生活

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クラウスが、自身のアマチュア無線の通信の受信報告書に対して返送したQSLカード(1933年)

クラウスはW8JKのコールサインを持つアマチュア無線家であり、8JKビーム・アンテナやW8JKクローズスペース・アレイ・アンテナの名称はクラウスのコールサインに因むものである。

著書

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クラウスの代表作『アンテナ』
  • Antennas, McGraw-Hill 1950
  • Antennas for all Applications, Kraus, Ronald J. Marhefka, McGraw-Hill 2002 (ISBN 007123201X).
  • Big Ear 1976, Big Ear Two: Listening for Other-Worlds 1994.
  • Electromagnetics, published by Mc-Graw Hill (ISBN 0071164294) 1953.
  • Our Cosmic Universe 1980.
  • Radio Astronomy, published by Cygnus-Quasar (ISBN 0070353921) 1966.

賞と栄誉

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脚注

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  1. ^ Passage of John D. Kraus: Obituary”. 2022年9月27日閲覧。
  2. ^ Kawa, Barry: 'Big Ear' designer a pioneer in field, The Plain Dealer, September 18, 1994.
  3. ^ John D. Kraus - Engineering and Technology History Wiki” (英語). ethw.org (February 2016). 2018年10月5日閲覧。
  4. ^ John D. Kraus”. IEEE Global History Network. IEEE. 25 July 2011閲覧。
  5. ^ John D. Kraus, W8JK, SK Archived 2007-08-12 at the Wayback Machine., American Radio Relay League, 21 July 2004.
  6. ^ David W. Swift, SETI Pioneers: Scientists Talk About Their Search for Extraterrestrial Intelligence 1990, University of Arizona Press. 434 pages. ISBN 0816511195.
  7. ^ “Science Notes: Death of a Sputnik Traced by New Radio System”. The New York Times: pp. E11. (January 19, 1958). https://www.nytimes.com/1958/01/19/archives/science-notes-death-of-a-sputnik-traced-by-new-radio-system.html 2009年11月3日閲覧。 
  8. ^ “Science: Slow Death”. Time. (January 27, 1958). オリジナルのNovember 15, 2009時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091115094301/http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,864206,00.html 2009年11月3日閲覧。. 
  9. ^ NAE Members Directory - Dr. John D. Kraus”. NAE. June 5, 2011閲覧。
  10. ^ IEEE Edison Medal Recipients”. IEEE. June 5, 2011閲覧。
  11. ^ IEEE Heinrich Hertz Medal Recipients”. IEEE. June 5, 2011閲覧。
  12. ^ Past Awards”. IEEE Antennas and Propagation Society. July 27, 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。June 5, 2011閲覧。

関連項目

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外部リンク

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