ジョフロワ4世 (アンジュー伯)
ジョフロワ4世 Geoffroy IV | |
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アンジュー伯 | |
在位 | 1103年 - 1106年 |
出生 |
1070/5年 |
死去 |
1106年5月19日![]() |
埋葬 |
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家名 | ガティネ家 |
父親 | アンジュー伯フルク4世 |
母親 | エルマンガルド・ド・ブルボン |
ジョフロワ4世(Geoffroy IV, comte d'Anjou, 1070/5年 - 1106年5月19日)は、アンジュー伯(在位:1103年 - 1106年)。父フルク4世と共治、あるいは対立伯である。聖界において人気があり、暴政を抑制し、暴力的な父親に反対したことで評判を高めた。オルデリック・ヴィタリスによると、父フルク4世は略奪と臣民へ恐怖を与えることを好んだという[1]。「マルテル」(鉄槌伯)と呼ばれる[注釈 1]。
生涯
[編集]ジョフロワは、父フルク4世とその2番目の妻エルマンガルド・ド・ブルボンの息子として生まれた。父フルク4世は、4番目の妻ベルトラード・ド・モンフォールとの間に生まれた息子フルクを愛し、ジョフロワを相続人から外そうとした。フルク4世は当時すでに老齢で、その権限の多くをジョフロワに委譲していた[注釈 2]。父の対立者からの支援を得て、ジョフロワは父から認められ、1103年から「コメス(comes)」(ラテン語で伯)を名乗り、政権を握った[注釈 3]。ジョフロワはアンジェ司教ルノー・ド・マルティニエと同盟を組み、モーリス・ド・クラオン男爵に対抗した。ある学者または聖職者が、ベルトラードとフランス王フィリップ1世の間の息子フィリップ・ド・ムランに宛てた作者不明の詩は、「マルテル伯」(Martellus consul)、おそらくジョフロワ4世への賛辞である[注釈 4]。この詩は教訓的で、マルテルという名の伯爵を、優れた統治の模範として称えている。最後の行は、伯爵が「長く繁栄する」ことを願うものであり、アンジューでのジョフロワの短い統治期間に書かれたものとみられる。
1106年5月19日、ジョフロワはカンデ城で反乱を起こした男爵を包囲していたが、交渉に向かう途中で矢に当たって亡くなった。『アンジュー伯年代記(Chronica de gestis consulum Andegavorum)』は、この暗殺を父フルクとベルトラードの仕業としており、亡くなったジョフロワを「立派な人物で、正義に優れ、善のすべてを培い、すべての敵にとって恐怖の存在であった」[注釈 5]と称賛している。『ヴァンドーム年代記(Annales Vindocinenses)』は、ジョフロワのことを「暴君(おそらく父)を従わせ征服し、教会を守り擁護した人物」[注釈 6]と呼んでいる。
注釈
[編集]- ^ ジョフロワ4世は、同じあだ名「マルテル」を持つより有名な大叔父アンジュー伯ジョフロワ2世と区別するために、ジョフロワ・「小」マルテルまたは「若伯(le Jeune)」、あるいはジョフロワ・マルテル2世と呼ばれることもある[1][2]。
- ^ Bachrach, 125–26は、サン=ロー=ダンジェ教会のために編纂されたカルトゥラリー内の文書に拠っている。
- ^ Ziolkowski et al., 78–79はジョフロワ4世が父親に自分を認めるよう強要したと述べているが、Bachrach, 114はケイト・ノーゲートの説を引用して、フルク4世が事実上3年間退位していたとしている。
- ^ この詩の冒頭部分は「Omnibus in rebus quas, mi Philippe, uidemus」(我が愛しきフィリップよ、我らが見るすべてのものの中に)であり、12世紀後半のラテン語詩の写本集である『Carmina Houghtoniensia』(詩90)にのみ見られる。この詩は50の哀歌二部作からなる[3]。
- ^ "admirabilem virum, justitie insignem, totius boni cultorem, qui terror omnium inimicorum suorum fuit" (Ziolkowski et al., 78–79) より引用。
- ^ "debellator et expugnator tyrranorum, protector et defensor ecclesiarum" (Ziolkowski et al., 78–79) より引用。
脚注
[編集]- ^ a b Ziolkowski & Balint 2007, p. 78.
- ^ Bachrach 1984, p. 114.
- ^ Ziolkowski & Balint 2007, pp. 77–93.
参考文献
[編集]- Bachrach, Bernard S. "Henry II and the Angevin Tradition of Family Hostility". Albion: A Quarterly Journal Concerned with British Studies 16/2 (1984): 111–30.
- Halphen, Louis. Le comté d'Anjou au XIe siècle. Paris: A. Picard, 1906.
- Jaeger, C. Stephen. The Origins of Courtliness: Civilizing Trends and the Formation of Courtly Ideals, 939–1210. Philadelphia: University of Pennsylvania Press, 1985.
- Ziolkowski, Jan M.; Balint, Bridget K.; et al. A Garland of Satire, Wisdom, and History: Latin Verse from Twelfth-Century France (Carmina Houghtoniensia). Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press, 2007.
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