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ジュバイル (サウジアラビア)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジュバイル

الجبيل
City
Jubail - Fanateer Mall
Jubail - Fanateer Mall
ジュバイルの旗
ジュバイルの紋章
紋章
ジュバイルの位置(サウジアラビア内)
ジュバイル
ジュバイル
北緯27度0分 東経49度40分 / 北緯27.000度 東経49.667度 / 27.000; 49.667
サウジアラビアの旗 サウジアラビア
東部州
政府
 • 種別 君主制
 • 州知事 Saud bin Nayef
人口
(2011)
 • 合計 378,949人
等時帯 UTC+3 (AST)
Nationality 
(2011)
33% サウジ人
27% インド人
14% フィリピン人
11% パキスタン人
11% バングラデシュ人
2% アメリカ人
1% ヨーロッパ人
2.5% その他の国々
ウェブサイト www.jubailcity.com
キング・アブドゥルアジーズ海軍基地
ジュバイルの空撮(1996年6月)
ジュバイルの工場

ジュバイル (アラビア語: الجبيل‎、アル・ジュバイルジュベイルジュベールとも)は、サウジアラビア東部州に位置し、ペルシャ湾に面した都市。サウジアラビア最大の[1]、そして中東最大の工業都市であり、また世界でも有数の工業都市である[2]。また、中東最大、世界でも第4位の石油化学企業であるサウジアラビア基礎産業公社の重要拠点のひとつがジュバイルである。この町では、石油精製を筆頭に、鉄鋼やポリエチレン・ポリエステルなどの石油化学製品、化学肥料などの巨大工場が林立している[3][4]。この町にあるIWPP(独立水・発電プロジェクト)は、2743.6メガワットの発電能力と100万m3の淡水を製造でき、特に海水淡水化プラントとしては世界最大の規模を誇る工場である[5]。ジュバイルは1975年までは小さな漁村であり、現在でも市街は旧市街と新しい工業都市とに分かれている。ジュバイル工業都市は世界でも最大級の技術プロジェクトである。また、この工業地帯は拡大を続けており、製油所の新設[6]や淡水化プラントのリハビリ工事[7]などが相次いで行われている。

1975年、サウジアラビア政府はジュバイルを新工業都市の建設地に指定し、以後急速な開発と工業化が進められた。新しい工業・住宅地区はジュバイル工業都市と命名され、2005年には224430人の人々がその新工業都市に居住していた。

ジュバイルは古くからの歴史を持ち、人類の居住は少なくとも7000年前までにはさかのぼることができるが、現在のジュバイルの街は18世紀から19世紀にかけて Albuainain家、Alkhaldi家、Aalkhater家などのいくつかの家によって建設された。1933年9月には、地質学者のチームがサウジアラビアで初の油田探査をジュバイルで開始した[8]ベクテルは30年以上前にジュバイル・プロジェクトを開始し、それは現代でも継続されている。1970年代の計画開始、そして1977年の着工以来ベクテルは計画を管理しており[9]、2004年にはジュバイルとヤンブー王立委員会がジュバイルの工業・住宅地区の拡張を盛り込んだ3.8億ドルのジュバイルⅡ計画を会社に諮問した。

ジュバイルはダーラン・ジュバイル高速道路とAbu Hadriyah高速道路という二つの主要な高速道路によって他の都市に接続されている。また、ジュバイルからカスィーム州ブライダまでの距離を現在の831㎞から500kmにまで短縮するジュバイル・カスィーム高速道路が建設中である。また、サウジアラビア・ランドブリッジ計画においてはダンマンとジュバイルを結ぶ鉄道が計画されている。

ジュバイルにはジュバイル商業港とキングファハド工業港の2つの港が存在する。2011年の時点で、ジュバイルの総貨物取扱量は44700トンで、世界92位にランクされている[10]。また、ジュバイル市から西に25㎞、工業地帯の近くにジュバイル空港がある。もともとこの空港はジュバイルとヤンブー王立委員会によって商業用の民間空港として建設されたものだが、商業空港としては近隣のダンマンにキング・ファハド国際空港が存在するため、この空港は国防省へと引き渡され、サウジアラビア海軍の航空基地として使用されている。

脚注

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  1. ^ 「サウジアラビア現代史」p25 岡倉徹志 文春新書 平成12年6月20日第1刷
  2. ^ http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20060412/101242/?rt=nocnt 「ジャパンマネー、サウジに流入中」田中 保春 日経ビジネスオンライン 2006年4月13日 2015年11月28日閲覧
  3. ^ 『アジア・オセアニア 1』p341(桜井由躬雄他監修, 世界地理大百科事典, 朝倉書店, 2002年1月)
  4. ^ 「サウジアラビアを知るための65章」p298-299 中村覚編著 明石書店 2007年7月30日初版第1刷
  5. ^ http://www.jaif.or.jp/ja/news/2006/desalination_report.pdf 「海水淡水化の現状と原子力利用の課題-世界的水不足の解消をめざして-」平成18年7月(社)日本原子力産業協会 海水の淡水化に関する検討会 2015年11月28日閲覧
  6. ^ http://nexi.go.jp/topics/newsrelease/001515.html 「サウジアラビア王国/ジュベール製油所プロジェクト向け貿易代金貸付保険の引受について」独立行政法人 日本貿易保険(NEXI)2010年6月25日 2015年11月28日閲覧
  7. ^ http://www.itochu.co.jp/ja/news/2014/1409051.html 「サウジアラビア アルジュベール海水淡水化プラント リハビリ工事を受注」伊藤忠商事 2014年9月5日 2015年11月28日閲覧
  8. ^ 「サウジアラビア現代史」p117 岡倉徹志 文春新書 平成12年6月20日第1刷
  9. ^ 『アジア・オセアニア 1』p344(桜井由躬雄他監修, 世界地理大百科事典, 朝倉書店, 2002年1月)
  10. ^ http://www.aapa-ports.org/Industry/content.cfm?ItemNumber=900#

外部リンク

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