ジュネーヴ市電Be4/6形電車
ジュネーヴ市電Be4/6形電車 ジュネーヴ市電Be4/8形電車 | |
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基本情報 | |
製造所 | デュワグ、ACMV、ABB |
製造年 |
1984年、1987年 - 1988年(Be4/6形) 1989年(Be4/8形、新造車) |
製造数 |
30編成(801-830)(Be4/6形) 16編成(831-846)(Be4/8形、新造車) |
改造年 | 1995年 - 1996年、2001年(Be4/8形、改造車) |
改造数 | 6編成(847-852)(Be4/8形、改造車) |
投入先 | ジュネーヴ市電 |
主要諸元 | |
編成 |
2車体連接車、片運転台(Be4/6形) 3車体連接車、片運転台(Be4/8形) |
軸配置 |
B'2'B'(Be4/6形) B'2'2'B'(Be4/8形) |
軌間 | 1,000 mm |
電気方式 |
直流600 V (架空電車線方式) |
設計最高速度 | 60 km/h |
編成定員 |
183人(着席41人)(Be4/6形) 265人(着席65人)(Be4/8形) |
自重 |
27.9t(Be4/6形) 33.7 t(Be4/8形) |
積車重量 |
39.0t(Be4/6形) 52.6 t(Be4/8形) |
編成長 |
21,000 mm(Be4/6形) 30,910 mm(Be4/8形) |
全幅 | 2,300 mm |
全高 | 3,320 mm |
床面高さ |
870 mm(高床部分) 480 mm(低床部分) |
車輪径 |
660 mm(動力台車) 375 mm(付随台車、Be4/6形) 410 mm(付随台車、Be4/8形) |
主電動機 | BBC 4 ELO 2052 A |
主電動機出力 | 150 kw |
編成出力 | 300 kw |
備考 | 主要数値は[1][2][3][4]に基づく。 |
Be4/6形は、スイス・ジュネーヴの路面電車であるジュネーヴ市電で運行されている電車。第二次世界大戦後に製造された路面電車車両で初めて床面高さを下げた低床構造を本格的に採用し、以降世界中で開発・製造が行われる事となる超低床電車の先駆けとなった車両である[1][5]。
この項目では、3車体連接車のBe4/8形についても解説する[3]。
概要・運行
[編集]1862年に馬車鉄道として開通し、1894年以降電化が行われたジュネーヴ市電は最盛期となる1922年に総延長169.8km・15系統を持つ大規模な路面電車網になっていたが、モータリーゼーションの進行により廃止が進み、1969年には僅か1つの系統を残すのみとなっていた[6]。だが、1970年代以降の環境問題への意識の高まりと共に路面電車の見直しが始まり、路線延長を含めた大規模な近代化プロジェクトが行われる事となった。その一環として導入された新型車両がBe4/6形である[7]。
片運転台式の2車体連接車で、運転台は集電装置(シングルアーム式パンタグラフ)が設置されている車体(前方車体)にのみ存在し、乗降扉も片側にのみ設置されている。車軸付きの付随台車は後方車体の連結面付近にあるが、車輪の直径を375 mmと小さくした事で床面高さが480 mmまで低くなっており、車内の60.4%が段差なく乗降が可能な低床構造となっている。一方で車体両端の動力台車は従来の車軸を有した構造を持つモノモーター式ボギー台車となっており、床面高さも660mmと後述の通り往来の際にステップを介する必要がある高床式である[3][8][9][10]。
乗降扉は低床部分にのみ設置されており、乗降時の利便性が図られている他、両端の乗降扉には車椅子使用客用の収納式のステップが搭載されている。一方で低床部分と高床部分は2段ステップで繋がっており、高床部分にも座席が設置されている[8]。
1984年に試作車である801[注釈 1]が製造され、試験の後1987年から1989年にかけて量産車(802-830)が29編成製造された。後述の通り一部編成は3車体連接車のBe4/8形に改造されており、2019年現在は24編成が在籍する[3][4][9]。
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新塗装
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ステップを展開した乗降扉の様子
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後方車体に運転台はない
Be4/8形
[編集]1989年に製造された車両は、中間車体が追加された3車体連接車のBe4/8形として導入されている。新規に追加された中間車体は集電装置がある先頭車体側にのみ小径車輪を用いたボギー台車が設置されており、車輪の直径は曲線や分岐器走行時の安定性を確保するためBe4/6形から拡大した410 mmに変更されている。編成全体の低床率は72%である[3][11]。
Be4/8形として製造された16編成(831-846)に加え、1995年(829、830→847、848)、1996年(828、827→849、850)、2001年(824、823→851、852)にはBe4/6形に中間車体を挿入した編成が導入され、2019年現在は22編成が運行に就く[3][4]。
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新塗装
後方車体には運転台がない
今後の予定
[編集]2025年以降ジュネーヴ市電にはシュタッドラー・レールが展開する超低床電車のトラムリンクが導入される予定となっており、Be4/4形およびBe4/8形は全車とも置き換えられる[12]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b 柚原誠 2017, p. 60-63.
- ^ Michael I. Darter 1995, p. 104.106.
- ^ a b c d e f “Tramways DUEWAG-VEVEY Be 4/6 et Be 4/8”. TPG. 2019年10月8日閲覧。
- ^ a b c “Genève, tramway Roster”. Ueban Electric Transit. 2019年10月8日閲覧。
- ^ Michael I. Darter 1995, p. 2.
- ^ “AMTUIR : Le tramway de Genève”. http://www.amtuir.org. 2019年10月8日閲覧。
- ^ “Geneva Tram Network, Switzerland”. Railway Technology. 2019年10月8日閲覧。
- ^ a b 柚原誠 2017, p. 60-61.
- ^ a b Michael I. Darter 1995, p. 22.
- ^ Michael I. Darter 1995, p. 24.
- ^ 柚原誠 2017, p. 62-63.
- ^ Libor Hinčica (2022年7月9日). “Stadler ovládl soutěž na až 63 tramvají pro Ženevu”. Československý Dopravák. 2022年7月10日閲覧。
参考資料
[編集]- Michael I. Darter (1995) (英語) (PDF). Report 2: Applicability of Low-Floor Light Rail Vehicles in North America 2019年10月8日閲覧。
- 柚原誠 (2017). 路面電車 -運賃収受が成功のカギとなる!?-. 交通ブックス. 成山堂書店. ISBN 978-4-425-76261-3