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ジフェニルメタンジイソシアネート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
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識別情報
CAS登録番号 101-68-8
特性
化学式 C15H10N2O2
モル質量 250.25 g/mol
外観 白色または淡黄色固体
密度 1.230 g/cm3, 固体
融点

40℃

沸点

300℃以上

への溶解度 水と反応する
危険性
引火点 212℃〜214℃ (クリーブランド開放式)
関連する物質
関連するイソシアネート トルエンジイソシアネート
ナフタレンジイソシアネート
ヘキサメチレンジイソシアネート
イソホロンジイソシアネート
関連物質 ポリウレタン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
ポリメリックMDI
識別情報
CAS登録番号 9016-87-9
特性
外観 暗褐色液体
密度 1.22 g/cm3 (43℃), 液体
融点

0℃以下

沸点

300℃以上

への溶解度 水と反応する
危険性
引火点 208℃
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
MDIの鉄道輸送用にJR貨物より承認登録された、日本陸運産業所有、日本ポリウレタン工業借受の鉄道私有コンテナUT8C-5026岡山県/旧、西岡山駅にて、2003年4月17日撮影。

ジフェニルメタンジイソシアネートは、通常MDIと略され、芳香族ジイソシアネートのひとつである。MDIには、2,2'-MDI, 2,4'-MDI及び4,4'-MDIの3種類の異性体が存在している。4,4'-MDIは、モノメリックMDIとして知られている。ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)は、モノメリックMDIと高分子量のポリイソシアネートの混合物である。

製造

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MDIの製造方法は、以下の工程からなりたっている[1]

  • ポリメリックメチレンジアニリン(ポリメリックMDA)を製造する為の、アニリンホルマリン縮合反応工程
  • ポリメリックMDI混合物を製造する為の、ポリメリックMDAのホスゲン化反応工程
  • ポリメリックMDI混合物から蒸留乃至は晶析により、モノメリックMDIを分離する工程

用途

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MDIは、主に、硬質及び軟質ポリウレタンフォームや、塗料・接着剤・エラストマーの製造に使用される[1]

安全性

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MDIへの過剰暴露は、喘息を引起こすおそれのある呼吸器系への悪影響を及ぼす可能性があるので、作業環境上の許容濃度を厳守する必要性がある。一度喘息を引起こすと、ジイソシアネートに対して感作作用が発生し、ジイソシアネートが許容濃度以下であっても、再び喘息が引起こされる可能性がある。MDIの蒸気・エアゾール及びミストは、眼への刺激を引起こす。MDIは、中程度の皮膚刺激性を有しており、極めて稀ではあるが、皮膚感作作用や皮膚炎を引起こす事もある。MDIを飲み込んだ場合の毒性は低い。MDIに暴露される労働者の健康に関する長期的な調査では、呼吸器系症候以外の暴露による臨床学的な影響は、報告されていない[2]

MDIを加温したりスプレーしたりする場合は、十分な換気装置の設置や個人用保護具の着用が不可欠である[3]

MDIが陸上や水生の動植物に及ぼす毒性は低い。又、MDIは水と反応し、固体で不活性なポリ尿素化合物を生成する[4]。従って、MDIが環境中に漏れ出しても、環境へ与える影響は極めて僅かである。

主だったMDIの製造会社の全てが、「国際イソシアネート協会(International Isocyanate Institute、略称III)」に属している。「III」は、作業場所・関連部門・環境中でのMDI 及び TDIの安全取扱いを推進している。日本国内では、MDI 及び TDIの製造会社が、「ウレタン原料工業会(JURA)」に属しており、MDI 及び TDIの安全取扱いを推進している。

MDI の取扱い・個人用保護具・暴露のモニタリング方法・輸送・保管・分析方法・事故時の対処方法・健康及び環境面での対処方法に関する情報は、多数発行されている[5]

欧州におけるMDI の危険性分類やラベル表示は、ISOPAのウェブサイトから入手出来る[6]。MDI に関する詳細な情報を含んだREACHのデータベースは、2011年にEuropean Chemicals Agencyから入手可能になる。 日本におけるMDI のGHS分類や製品安全データシート(MSDS)は、「日本ウレタン工業協会」のウェブサイトから入手出来る[7]

日本の主な適用法令

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参考文献

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  1. ^ a b Randall D; Lee S (2002) The Polyurethanes Book. Wiley. ISBN 0-470-85041-8
  2. ^ European Chemicals Bureau (2005). European Union Risk Assessment Report, vol 59. Methylenediphenyl diisocyanate. http://ecb.jrc.ec.europa.eu/documents/Existing-Chemicals/RISK_ASSESSMENT/REPORT/mdireport304.pdf
  3. ^ DHHS NIOSH (2006). Preventing asthma and death from MDI exposure during spray-on truck bed liner and related applications. Publication no. 2006-149 http://www.cdc.gov/niosh/docs/2006-149
  4. ^ MDI and the environment http://www.polyurethane.org/s_api/sec.asp?CID=815&DID=3428#
  5. ^ Allport DC, Gilbert DS and Outterside SM (eds) (2003). MDI and TDI: safety, health and the environment: a source book and practical guide. Chichester, Wiley http://eu.wiley.com/WileyCDA/WileyTitle/productCd-0471958123.html
  6. ^ MDI Classification and Labelling requirements http://www.isopa.org/isopa/uploads/docs/New_MDI_C&L_requirements10.pdf
  7. ^ ポリウレタン原料資料 http://www.urethane-jp.org/manual/polyurethane_materials

外部リンク

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