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ジェラルド・R・フォード (空母)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジェラルド・R・フォード
Gerald R. Ford CVN-78
2017年4月8日撮影
基本情報
建造所 ニューポート・ニューズ造船所
運用者  アメリカ海軍
艦種 航空母艦原子力空母
級名 ジェラルド・R・フォード級航空母艦
前級 ニミッツ級航空母艦
モットー Integrity at the helm
建造費 129億米ドル[1]
母港 ノーフォーク海軍基地
艦歴
発注 2008年9月10日
起工 2009年11月13日[2]
進水 2013年10月11日[3]
就役 2017年7月22日[4]
要目
満載排水量 100,000トン以上
全長 332.84m
最大幅 78m
主機 蒸気タービン 4基
原子炉 A1B加圧水型原子炉 2基
推進 スクリュープロペラ 4軸
最大速力 30kt
乗員 個艦要員2,180名
航空要員2,480名
兵装ファランクス CIWS 3基
ESSM短SAM 8連装発射機 2基
RAM 近SAM21連装発射機 2基
搭載機 75機以上[5]
レーダー AN/SPY-3 多機能型 1基 AN/SPY-4広域探索型 1基
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ジェラルド・R・フォードUSS Gerald R. Ford, CVN-78)は、アメリカ海軍航空母艦ジェラルド・R・フォード級ネームシップ(第1番艦)。2009年に起工され、2016年に就役を予定して建造が進められていたが、2017年に就役した[4]

艦の名称は第38代アメリカ合衆国大統領ジェラルド・R・フォードにちなむ[6]

艦名

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2006年10月17日、ジョージ・W・ブッシュ米大統領(当時)は、ジョン・ウォーナー2007年会計年度国防権限法(John Warner National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2007[7])署名を行い、同法案を承認した[8]。同法の1,012節において、

[it] is the sense of Congress that the nuclear-powered aircraft carrier of the Navy designated as CVN-78 should be named the U.S.S. Gerald R. Ford.

(海軍のCVN-78と呼称されている (新型) 原子力空母の艦名をUSSジェラルド・フォードと名付けるべきである、というのが連邦議会の意見である…)

という意見が示された[9]

艦歴

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2005年8月から船側外板となる鋼板の切断を開始[10]

2009年11月13日、ニューポート・ニューズ造船所で起工[2]

2013年11月9日、ジェラルド・フォードの娘スーザン・フォードによって命名される[11][12]

2015年6月4日、電磁式カタパルトでテストウエイトの射出実験に成功する[13]

2017年1月、2017年3月に造船所による海上試験、2017年4月に受け入れ試験、2017年4月の出荷試験を実施すると発表された。その時点で試験プログラムの93%(船体、機械系統が93%、電気系統、推進システムが92%、電子機器の試験が93%)で、全体では99%完了しているとされた。3月から4月にかけて実施される試験では、レーダーや航空管制やC4I機能の確認を重点的に実施し次に航空機の発着艦試験を実施し、電磁カタパルト (EMALS:Electromagnetic Aircraft Launch System ) と先進着艦拘束具 (AAG:Advanced Arresting Gear ) の確認が行われる予定。EMALSの試験は内99.5%を完了しているが、AAGの方は70%しか完了しておらず、困難が伴うと予想されている[14]

2017年4月8日、海上公試運転に向けて造船所を出航[15]。4月14日にノーフォーク海軍基地に帰港[16] 。5月31日、米海軍に正式に引き渡された[17][5]

就役後

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2017年7月22日にバージニア州ノーフォーク基地で就役した[4]。この就役式典にはドナルド・トランプ米大統領、ジェームズ・マティス国防長官などの臨席下で行われた。トランプ大統領は「この艦はアメリカの力と威信の象徴だ。同盟諸国は安眠でき、敵は恐怖に震え上がるだろう。アメリカは必ず勝たなければならない」と演説した[18]

7月28日、第23航空試験評価飛行隊英語版のジェイミー・ストラック中佐が操縦するF/A-18E戦闘攻撃機が本艦初のアレスティング・ワイヤーによる着艦、及び電磁カタパルトによる発艦を成功させた[19][20][21]

本艦は基本的な慣熟訓練及び本艦の機能能力検証作業を行い、対潜戦術・航海・砲術の訓練を経て本格的な空母機能を発揮するための発着艦訓練などの広範な訓練を行い2020年頃に本格配備・展開される予定である[22]。2020年1月16日から31日の16日間、米国東海岸バージニア州ノーフォーク基地沖の大西洋で、実際の航空機を使用した航空機適合性試験(ACT)をアメリカ海軍第23試験評価飛行隊(VX-23)のT-45F/A-18E/FEA-18G、VX-20のE-2DC-2Aが電磁式カタパルト(EMALS)や着艦拘束装置(AAG)の運用テストを実施。T-45では燃料補給員が燃料補給ラインの訓練。格納庫内でも、航空機の取り扱いに関する試験や訓練も実施。より本格的な「空母」としての能力が確認され2月5日に試験完了が公表された[23][24]

2021年6月18日に耐衝撃性能試験「フル・シップ・ショック・トライアル」を実施。艦の至近距離で約18トンの爆薬を爆発させた[25]

2022年10月4日、初の配備に向けてノーフォーク海軍基地を出航した[26]

2023年5月に初長期航海任務のため母港ノーフォークを出港し、バルト海経由で6月に地中海入りし、9月までアドリア海周辺でNATOと共同で対ロシア警戒任務についていたが[27]、同年10月8日、ロイド・オースティン国防長官は、ハマスによるイスラエルへの攻撃を受け、ジェラルド・R・フォードを中核とする空母打撃群を東地中海に派遣するよう指示した[28]。11月1日から3日までの間、同様の命令を受け東地中海に派遣されたドワイト・D・アイゼンハワー空母打撃群やイタリア海軍の艦船と共に合同演習を実施し、戦闘拡大を牽制した[29][30]。2024年1月6日、米海軍はフォードを含む第12空母打撃群を帰還させると発表した。

問題点

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能力

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F-35の海軍向けのC型が初期作戦能力獲得を宣言したのは2019年2月で、2021年頃、ニミッツ級空母の「カール・ヴィンソン」に初めて搭載される予定だが、現時点で最新鋭のフォード級空母にF-35Cを搭載する目処は全く立っていない。これは電磁式カタパルトの検証が進んでいないためである。

高コスト

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ニミッツ級空母の最終艦「ジョージ・H・W・ブッシュ」の建造費は62億ドル(約6800億円)だった。これに対して、「電磁式航空機発射システム(EMALS)」や、「新型着艦制動装置“Advanced Arresting Gear”(AAG)」、「先進型兵器エレベーター“Advanced Weapons Elevators”(AWE)」の開発遅延のおかげで、実戦任務への投入が2年遅れ、2019年1月時点での建造費用は130億ドル(約1兆4,000億円)を越え、ニミッツ級2隻分の費用となっている。

第8空母航空団

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第8空母航空団英語版: Carrier Air Wing Eight、略称:CVW-8)は、ジェラルド・フォード(CVN-78)に艦載される航空団であり、2022年10月現在、下記の飛行隊で構成される。

モデックス 飛行隊名 通称名 使用機種
AJ100~ 第37戦闘攻撃飛行隊(VFA-37) レイジン・ブルズ Ragin' Bulls F/A-18E BlockI/II
AJ200~ 第213戦闘攻撃飛行隊(VFA-213) ブラック・ライオンズ Black Lions F/A-18F BlockII
AJ300~ 第31戦闘攻撃飛行隊(VFA-31) トムキャッターズ Tomcatters F/A-18E BlockII
AJ400~ 第87戦闘攻撃飛行隊 (VFA-87) ゴールデン・ウォリアーズ Golden Worriors F/A-18E BlockII
AJ500~ 第142電子攻撃飛行隊(VAQ-142) グレイ・ウルブズ Gray Wolves EA-18G
AJ600~ 第124艦上空中早期警戒飛行隊(VAW-124) ベア・エイセス Bear Aces E-2D AR
AJ610~ 第9ヘリコプター海上戦闘飛行隊(HSC-9) トライデンツ Tridents MH-60S
AJ700~ 第70ヘリコプター海洋打撃飛行隊(HSM-70) スパルタンズ Spartans MH-60R
AJ~ 第40艦隊兵站支援飛行隊第2分遣隊(VRC-40 Det.2) ローハイズ Rawhides C-2A NP

脚注

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  1. ^ Ronald O'Rourke (22 October 2013). “Navy Ford (CVN-78) Class Aircraft Carrier Program: Background and Issues for Congress” (PDF). Congressional Research Service. p. 4. 8 February 2014閲覧。 FY14 cost of CVN-79 (procured in FY13) in then-year dollars; the same budget puts the cost of CVN-78 (procured in FY08) at $12,829.3 million but that includes ~$3.3bn of development costs. CVN-80 is estimated at $13,874.2m, making the total cost of the first three Fords $38,041.9m, or $12.68bn each.
  2. ^ a b “Ford Keel Laid for Future Carrier, Class”. Navy Times. (16 November 2009). http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=49657 
  3. ^ "Newport News Shipbuilding to Flood Dry Dock and Float Gerald R. Ford (CVN 78)" (Press release). Huntingdon Ingalls Industries. 9 October 2013. 2013年10月9日閲覧
  4. ^ a b c "President Trump Commissions USS Gerald R. Ford (CVN 78)" (Press release). United States Navy. 22 July 2017. NNS170722-01. 2017年7月22日閲覧
  5. ^ a b Aircraft Carriers - CVN”. U.S. Navy - Fact file. 25 April 2017閲覧。
  6. ^ Navy Names New Aircraft Carrier USS Gerald R. Ford - Official Announcement from Secretary of the Navy.
  7. ^ 当時、上院軍事委員会委員長として、上院における国防予算のとりまとめの中心的役割を担っていたジョン・ウォーナー上院議員にちなむ。(当時)
  8. ^ “President Signs 2007 Defense Authorization Act” (英語) ブッシュ大統領が2007会計年度の国防権限法に署名したことを報じるアメリカ軍系列の報道機関、AFPSの記事。
  9. ^ PDFドキュメント (PDF)
  10. ^ USS Gerald R. Ford CVN 78”. U.S. Carriers (8 March 2015). 4 March 2016閲覧。
  11. ^ Murray, Dave (13 November 2009). “Gerald R. Ford ship ceremony brings Susan Ford Bales, Family to Newport News, Virginia”. The Grand Rapids Press. オリジナルの15 November 2009時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091115195539/http://www.mlive.com/news/grand-rapids/index.ssf/2009/11/gerald_r_ford_ship_ceremony_br.html 
  12. ^ PCU Gerald R. Ford (CVN 78) Christening Ceremony”. Navy Live (8 November 2013). 15 September 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。1 June 2017閲覧。
  13. ^ “電磁式カタパルト射出テスト 空母ジェラルド・R・フォード - EMALS dead load testing Gerald R. Ford (CVN 78)”. USA ミリタリー チャンネル. (2015年6月5日). https://www.youtube.com/watch?v=KaBvXURLhiw 2016年1月1日閲覧。 
  14. ^ Navy Sets April Delivery Date for Carrier Ford
  15. ^ 40年ぶりの米新型空母「ジェラルド・R・フォード」、海上公試へ, AFP通信
  16. ^ Vergakis, Brock (14 April 2017). “Aircraft carrier Gerald R. Ford completes builder's sea trials”. The Virginian Pilot. 2 June 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。17 April 2017閲覧。
  17. ^ "Huntington Ingalls Industries Delivers Gerald R. Ford (CVN 78) To U.S. Navy" (Press release). Huntingdon Ingalls Industries. 1 June 2017. 2017年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月1日閲覧
  18. ^ “米新型空母「ジェラルド・R・フォード」就役 中国にらみ増強急務 米海軍「2023年以降、空母12隻体制」”. 産経新聞ニュース. (2017年7月22日). https://www.sankei.com/article/20170722-B4SMVY4PSVJLBAE3CRS5R5UBLU/ 
  19. ^ Woody, Christopher (31 July 2017). “Watch the Navy's newest, most sophisticated aircraft carrier land and launch her first aircraft” (Military and Defense). Business Insider. http://www.businessinsider.com/navys-gerald-r-ford-aircraft-carrier-land-launch-its-first-aircraft-2017-7 10 August 2017閲覧。 
  20. ^ Local man pilots first plane to land on U.S.S. Gerald Ford”. Fox 8 Cleveland (29 July 2017). 2 August 2017閲覧。
  21. ^ VIDEO: USS Gerald R. Ford Conducts First Arrested Landing, Catapult Launch”. USNI News. U.S. Naval Institute. 28 July 2017閲覧。
  22. ^ LaGrone, Sam (18 January 2017). “Delay in Aircraft Carrier Ford Testing Could Compress Workups for First Deployment”. USNI News. 18 February 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。8 June 2017閲覧。
  23. ^ 空母「ジェラルド R.フォード」、航空機適合性試験を完了
  24. ^ アメリカ最新鋭空母ジェラルド・R・フォード 航空機運用試験に合格
  25. ^ 爆薬18トンで水柱、新型空母の耐衝撃性能試験 米海軍
  26. ^ 米海軍新型空母「ジェラルド・フォード」、初展開へ出航”. AFP (2023年10月5日). 2023年4月21日閲覧。
  27. ^ []
  28. ^ “米、東地中海に空母打撃群派遣へ イスラエルに追加武器供与”. 産経新聞. (2023年10月9日). https://www.sankei.com/article/20231009-I3LHZYPQEFIUFEZDS36C7Z3FNY/ 2023年10月9日閲覧。 
  29. ^ “米空母2隻が東地中海で演習 イスラエル・ハマスの戦闘拡大を牽制”. 産経新聞. (2023年11月4日). https://www.sankei.com/article/20231104-UIYIS2I3OZP23FLGGOZKCCTWKE/ 2023年11月6日閲覧。 
  30. ^ “米軍、空母2隻の合同演習でヒズボラ威圧 東地中海で”. 毎日新聞. (2023年11月4日). https://mainichi.jp/articles/20231105/k00/00m/030/029000c 2023年11月6日閲覧。 

外部リンク

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