ジェイムス (イギリスのバンド)
ジェイムス James | |
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ジェイムス(2013年) | |
基本情報 | |
出身地 | イングランド マンチェスター |
ジャンル | インディー・ポップ、マッドチェスター、オルタナティヴ・ロック |
活動期間 | 1982年 - 2001年、2007年 - |
レーベル | ファクトリー、サイアー、ラフ・トレード、フォンタナ、マーキュリー、サンクチュアリ、デッカ、クッキング・ヴァイナル、BMG |
公式サイト |
wearejames |
メンバー |
ティム・ブース ジム・グレニー デヴィッド・ベイントン=パワー ソール・デイヴィス マーク・ハンター アンディ・ダイアグラム エイドリアン・オクサール |
旧メンバー |
ポール・ギルバートソン ギャバン・ウェラン マイケル・クラス ラリー・ゴット |
ジェイムス (James) は、イギリスのロックバンド。1981年にマンチェスターで結成された。ジャンルとしてはニュー・ウェイヴからオルタナティヴ・ロックにあたり、代表曲に「シット・ダウン」 (Sit Down) や「レイド」 (Laid) がある。
略歴
[編集]1982年にマンチェスターで、幼馴染みのポール・ギルバートソンとジム・グレニーで結成。ジムの名前がバンド名の由来とされている。ハシエンダでのライブにて、ファクトリー・レコードの創設者であるトニー・ウィルソンの注目を引き、レコード契約を得る。2枚のシングルをファクトリー・レコードからリリースし、ザ・スミスの前座などをして活動する。『NME』などの音楽雑誌からの注目を浴び、1986年にはメジャー・レーベルのサイアーからデビュー・アルバム『スタッター』を発表するもヒットには恵まれず、不遇の時代を送ることになる。
1988年には同じくサイアーからセカンド・アルバム『ストリップ・マイン』をリリースするも、こちらも鳴かず飛ばずの結果となる。翌年、バンドは借金をしてライブ・アルバム『ワン・マン・クラッピング』を自主制作でリリースする。インディー・レーベルとして名の馳せたラフ・トレード・レコードの支援もあり、このアルバムは英国インディー・アルバム・チャートの1位を獲得する。これにより、バンドは再び脚光を浴びることになる。
バンドにとって追い風となるかのように、1990年代になるとマンチェスターではマッドチェスター・ムーブメントが起きていた。そしてキーボード、ヴァイオリン、トランペットを加えて7人編成となったバンドが、1990年の6月にサード・アルバム『ゴールド・マザー』を発売すると、アルバムからのシングルがすべてチャートのトップ40に入る。特に1989年に発表したものを再録音した「シット・ダウン」 (Sit Down、1991年発表)は、全英シングルチャート2位になる大ヒット曲になった。彼らの人気度は一躍高まり、ライブで3万人規模の開場を完売させるまでになる。
続くアルバム『セヴン』(1992年)もアルバム・チャートの2位を獲得し、本国イギリスでの人気を確固たるものとした。その後、トランペッターのアンディ・ダイアグラムが脱退したバンドは、新たなるサウンドの追求を目指し、ブライアン・イーノと共に音楽の創作をする。そして1993年、代表曲のひとつである「Laid」を収録した5枚目のスタジオ・アルバム『レイド』を発表する。イーノをプロデューサーに起用したこの作品は、イギリスで3位を獲得する。本国での成功とともに、バンドはこの頃から本格的にアメリカでの活動を始め、このアルバムはビルボード200で最高位68位まで到達し、RIAAからゴールド・ディスクに認定されている。
その後、ギタリストのラリー・ゴットの脱退などもあり、アメリカで目立った記録を残すことはなくなったが、イギリスでは安定した人気を維持し、新ギタリストのエイドリアン・オクサールとマルチ・プレイヤーのマイケル・クラスを加えてからも、1997年の『ウィップラッシュ』 、1999年の『ミリオネアーズ』と連続でトップ10入り、ゴールド・ディスク (BPIによる認定、10万枚以上のセールス) 認定を果たす。ちなみに、この間にリリースした彼らの初のベスト・アルバム『ベスト・オブ』は、彼らにとって初の全英アルバムチャート1位になった。
2001年には『プリーズド・トゥ・ミート・ユー』をリリース。全英11位。このアルバムのリリースによって、バンドはレコード会社との契約が終了した。ボーカルのティム・ブースは彼自身の活動に専念するための脱退を宣言し、バンドは2002年から長い休止期間に入る。2001年末に行われたサヨナラ・ツアーには、脱退していたラリーとアンディもゲストとして姿を見せた。ティムは2004年にソロ・アルバムをリリースしたほか、俳優として2005年の映画『バットマン・ビギンズ』などに出演する。
2007年にティムとラリーとアンディのバンドへの復帰により1990年代初期の陣容で活動を再開。当初5日間のツアーを予定していたが、7日間に変更され、すべての公演が売り切れになった。夏には T in the Park や V Festival といったフェスにも参加する。そして2008年に7年ぶりとなるスタジオ・アルバム『ヘイ・マ』をリリース。全英10位にランクインし、久々のトップ10入りを果たすとともに、根強い人気を証明する。
2016年のアルバム『Girl at the End of the World』は、全英チャートで2位にランクインした。これはベスト・アルバムを除けば、ジェイムスのアルバムのチャート最高位にあたる。ライブツアーも定期的に続けているが、2015年からはラリー・ゴットはツアーに帯同せず、ギタリストに再びエイドリアン・オクサールを迎えている。
備考
[編集]- 1992年に唯一の来日公演を行っている。
- 前座をしていたザ・スミスの「I Started Something I Couldn't Finish」(1987年)のカセット・シングルに、ジェイムスの「What's The World」のカヴァー(ライブ)が収録されている。
- ボーカリストのティム・ブースはジェイムス在籍中の1995年に、映画音楽作曲家のアンジェロ・バダラメンティとともに『ブース&バッド・エンジェル』なるアルバムを発表。さらに、ジェイムス脱退後の2004年からソロ活動を開始、ファースト・アルバム『ボーン』を発表した。ジェイムス復活後の2011年に、セカンド・アルバム『Love Life』をリリースした。
- メンバーのソウル・デイヴィスによれば、創立メンバーのジムは、幼馴染みであるポールを追い出したティムとしばしば意見が対立していて、一時は目も合わせない仲だったそうである。
メンバー
[編集]- 現在のラインナップ
- ティム・ブース (Tim Booth) - ボーカル(1982年-2001年、2007年- )
- ジム・グレニー (Jim Glennie) - ベース(1982年- )
- デヴィッド・ベイントン=パワー (David Baynton-Power) - ドラム(1988年- )
- ソール・デイヴィス (Saul Davies) - ギター、ヴァイオリン(1989年- )
- マーク・ハンター (Mark Hunter) - キーボード(1989年- )
- アンディ・ダイアグラム(Andy Diagram) - トランペット(1989年-1992年、2007年- )
- エイドリアン・オクサール (Adrian Oxaal) - ギター(1996年-2002年、2015年- )
- 旧メンバー
- ポール・ギルバートソン(Paul Gilbertson) - ギター(1982年-1984年)
- ギャバン・ウェラン(Gavan Whelan) - ドラマー(1982年-1988年)
- マイケル・クラス (Michael Kulas) - ギター、キーボード(1997年-2002年)
- ラリー・ゴット (Larry Gott) - ギター、キーボード(1984年-1996年、2007年-2015年)
ディスコグラフィ
[編集]*「全英」とは 「全英アルバムチャート」におけるチャート最高位を示す。「ゴールド等認定」については「BPI (British Phonographic Industry)」の記録からである。
スタジオ・アルバム
[編集]年 | タイトル | 全英 | ゴールド等認定 | 補足 |
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1986 | スタッター Stutter
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68 | - | デビュー・アルバム |
1988 | ストリップ・マイン Strip-mine
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90 | - | |
1990 | ゴールド・マザー Gold Mother
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2 | ゴールド (10万枚) | アメリカでは1991年に「ジェイムス」のタイトルでリリース。 |
1992 | セヴン Seven
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2 | ゴールド | |
1993 | レイド Laid
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3 | シルバー (6万枚) | ブライアン・イーノとの初の共同作業。 |
1994 | ワー・ワー Wah Wah
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11 | - | 「ジェイムス&ブライアン・イーノ」としてリリース。 |
1997 | ウィップラッシュ Whiplash
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9 | ゴールド | |
1999 | ミリオネアーズ Millionaires
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2 | ゴールド | |
2001 | プリーズド・トゥ・ミート・ユー Pleased to Meet You
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11 | - | |
2008 | ヘイ・マ Hey Ma
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10 | - | |
2010 | The Night Before | - | ||
2010 | The Morning After | - | ||
2014 | La Petite Mort | - | ||
2016 | Girl at the End of the World | 2 | - | |
2018 | Living in Extraordinary Times | - | ||
2021 | All The Colours Of You | - |
ライブ・アルバム
[編集]年 | タイトル | 全英 | ゴールド等認定 | 補足 |
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1989 | ワン・マン・クラッピング One Man Clapping
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- | - | |
2002 | ゲッティング・アウェイ・ウィズ・イット…ライブ Getting Away With It... Live
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102 | - |
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2020 | Live in Extraordinary Times
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- | - |
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コンピレーション・アルバム
[編集]年 | タイトル | 全英 | ゴールド等認定 | 補足 |
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1998 | ベスト・オブ The Best Of
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1 | プラチナ (30万枚) |
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2001 | Bサイズ・ウルトラ B-Sides Ultra
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- | - |
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2004 | コレクション The Collection
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43 | - |
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2007 | フレッシュ・アズ・ア・デイジー Fresh as a Daisy - The Singles
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12 | - |
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シングル
[編集]- "Jimone" 1983年
- "James Ⅱ" 1985年
- "Village Fire" 1985年
- "Chain Mail" 1986年
- "So Many Ways" 1986年
- "What For" 1988年
- "Ya Ho" 1988年
- "Sit Down" 1989年
- "Come Home" 1989年
- "How Was It for You?" 1990年
- "Come Home (re-release)" 1990年
- "Lose Control" 1990年
- "Sit Down (re-release)" 1991年
- "Sound" 1991年
- "Born of Frustration" 1992年
- "Ring the Bells" 1992年
- "Seven" 1992年
- "Sometimes (Lester Piggott)" 1993年
- "Laid" 1993年
- "Jam J/Say Something" 1994年
- "She's a Star" 1997年
- "Tomorrow" 1997年
- "Waitzing Along" 1997年
- "Destiny Calling" 1998年
- "Runaground" 1998年
- "Sit Down (Apollo 440 mix)" 1998年
- "I Know What I'm Here For" 1999年
- "Just Like Fred Astaire" 1999年
- "We're Going to Miss You" 1999年
- "Getting Away With It (All Messed Up)" 2001年
参考文献
[編集]- スチュアート・マッコニー著 『Folklore』 (Virgin Books、2000年11月、ISBN 0-7535-0494-4)
外部リンク
[編集]- the official JAMES website - 公式ウェブサイト
- ジェイムス - Myspace
- UNIVERSAL INTERNATIONAL - ユニバーサルミュージック による紹介ページ
- Tim Booth - ティム・ブース公式ウェブサイト