フォアシティ・プラス
フォアシティ・プラス Forcity Plus | |
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基本情報 | |
製造所 | シュコダ・トランスポーテーション |
製造年 | 2014年 - |
製造数 |
29T 50両(予定) 30T 30両 |
運用開始 | 2015年4月28日(29T・30T) |
投入先 |
ブラチスラヴァ市電 フランクフルト(オーダー)市電、コトブス市電、ブランデンブルク市電、プラハ市電(予定) |
主要諸元 | |
編成 | 3車体・5車体連接車 |
軸配置 | Bo'2BoBo' |
軌間 |
29T、30T 1,000 mm |
電気方式 |
29T、30T 直流600V (架空電車線方式) |
設計最高速度 |
29T、30T 65 km/h |
車両定員 |
29T 345人(着席69人) 30T 356人(着席52人) (乗客密度8人/m2時) |
全長 |
29T、30T 32,495 mm |
全幅 |
29T、30T 2,480 mm |
全高 |
29T、30T 3,560 mm |
床面高さ |
29T、30T 515 mm(高床部分) 380 mm(低床部分) 350 mm(乗降扉付近) |
軸重 |
29T、30T 10 t(車端台車) 11 t(中間台車) |
主電動機 | 誘導電動機 |
出力 | 29T、30T 600 kw |
制御方式 | 29T、30T VVVFインバータ制御(IGBT素子) |
制動装置 | 29T、30T 回生ブレーキ |
備考 | 主要数値はカタログの表記に基づく[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13]。 |
フォアシティ・プラス(Forcity Plus)は、チェコのシュコダ・トランスポーテーションが展開する路面電車車両ブランドの1つ。車内の大部分が低床構造となっている超低床電車(部分超低床電車)である[2][3][4][5][6]。
概要
[編集]シュコダ・トランスポーテーションが展開する超低床電車であるフォアシティ(Forcity)のうち、両端の台車に回転軸を持つボギー台車(動力台車)を配した車種。これに伴い、一部の車種は車端部分が高床式となり移動の際にはステップを通る必要が生じている一方、狭軌の路面電車路線にも対応可能となる他、曲線走行時の車輪やレールの摩耗が減少する効果がもたらされる。中間車体に設置されている台車は回転軸を持たない構造になっており、路線条件に応じて主電動機や制御装置が設置されていた動力台車、これらが設置されていない付随台車を選択する事が出来る[2][14][3][4][6][7][15]。
一部車種に存在する高床部分(515 mm)を除いた車内の床上高さは350 mmで、両開き式の乗降扉は全て低床部分に設置されている。車内には車椅子やベビーカーが設置可能なフリースペースが存在する他、車内案内表示装置や監視カメラも搭載されており、運転室を含めて冷暖房が完備されている。車体・車内双方を含めたデザインはチェコのインダストリアル企業であるAufeer Designが手掛けている[4][6][2][16]。
2024年の時点で、フォアシティ・プラスは以下の車種が展開されている。集電装置(シングルアーム式パンタグラフ)が設置されている車体の台車は主電動機や制御装置が設置されていない付随台車である[1][2][4][17][15]。
- 29T - 5車体連接車、片運転台、乗降扉は右側面にのみ設置。低床率は88 %[5]。
- 30T - 5車体連接車、両運転台、乗降扉は両側面に設置。低床率は92 %[注釈 1][6]。
- 52T - 5車体連接車、片運転台、乗降扉は右側面にのみ設置。低床率は100 %[13]。
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車内(30T)
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車内(30T)(運転台付近)
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車内(30T)(中間車体)
運用
[編集]ブラチスラヴァ
[編集]スロバキアの首都・ブラチスラヴァで路面電車(ブラチスラヴァ市電)を始めとする公共交通機関を運営するブラチスラヴァ交通企業会社[18]は、2013年にシュコダ・トランスポーテーションとの間にフォアシティ・プラス導入に関する契約を結んだ。契約金額のうち半分は欧州連合(80.75 %)、ブラチスラヴァ県(14.25 %)、ブラチスラヴァ市(5 %)からの補助金によって賄われた。最初の車両は2014年11月に一般公開が実施された後、試運転を経て翌2015年4月28日から営業運転を開始しており、追加発注分も含めた60両(29T:30両、30T:30両)は2016年までに導入が完了している。更に2020年に実施された入札に基づき、塗装変更や内装の改良が施された29Tの増備車20両の追加発注が行われており、2023年中に全車導入されることになっている[注釈 2]。2019年12月に実施されたダイヤ改正以降、29Tは各系統で使用されている一方、両運転台の30Tは終端にループ線が存在しないペトルジャルカ方面の系統へ集中的に導入されている[1][8][7][19]。
ブランデンブルク州
[編集]2021年、シュコダ・トランスポーテーションはドイツのブランデンブルク州の路面電車のうち、フランクフルト(オーダー)市電(フランクフルト・アン・デ・オーダー)、コトブス市電(コトブス)、ブランデンブルク市電(ブランデンブルク・アン・デア・ハーフェル)の運営事業者が共同で実施した新型電車に関する入札権を獲得し、これらの路線に向けて3車体連接式・片運転台のフォアシティ・プラスを製造する事を発表した。これは老朽化が進んでいた既存の車両の置き換えを目的としたもので、以下の両数が導入される事になっている[11][20][21]。
- フランクフルト(オーダー)市電 - 13両。形式名は「シュコダ46T」[22]。
- コトブス市電 - 22両。形式名は「シュコダ47T」[23]。
- ブランデンブルク市電 - 4両+オプション分8両。形式名は「シュコダ48T」。
プラハ
[編集]2023年、チェコの首都・プラハで路面電車(プラハ市電)を運営するプラハ公共交通会社は、シュコダとの間に最大200両の新型路面電車車両の製造に関する契約を結んだ。これに基づき、シュコダは曲線や勾配区間が多いプラハ市電の路線に適したフォアシティ・プラスの1車種である52Tを開発し、2025年以降納入する事になっている。これらの車両は5車体連接式・片運転台で、全車体の床上高さを350 mmに抑えた100 %低床構造となっているのが特徴である[13][24]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d 服部重敬「欧州のLRV 最新事情」『路面電車EX vol.13』、イカロス出版、2019年6月20日、91頁、ISBN 9784802206778。
- ^ a b c d e “TRAMVAJE”. Škoda Transportation. 2017年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月31日閲覧。
- ^ a b c “TRAMCAR FORCITY PLUS BRATISLAVA”. Škoda Transportation. 2020年1月31日閲覧。
- ^ a b c d e “TRAMVAJ FORCITY PLUS BRATISLAVA”. Škoda Transportation. 2020年1月31日閲覧。
- ^ a b c “FORCITY PLUS BRATISLAVA 29 T”. Škoda Transportation. 2014年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月31日閲覧。
- ^ a b c d e “FORCITY PLUS BRATISLAVA 30 T”. Škoda Transportation. 2015年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月31日閲覧。
- ^ a b c “Verejná doprava v hlavnom meste”. Dopravný podnik Bratislava. 2020年1月31日閲覧。
- ^ a b “Prvá jednosmerná električka vyráža do ulíc”. Dopravný podnik Bratislava (2015年4月27日). 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月31日閲覧。
- ^ Jiří Vokoun 2014, p. 25.
- ^ Jiří Vokoun 2014, p. 27.
- ^ a b “MORE TRAMS FROM PLZEŇ-BASED ŠKODA WILL BE OPERATING IN BRANDENBURG”. ŠKODA TRANSPORTATION a.s. (2021年2月17日). 2021年2月18日閲覧。
- ^ Libor Hinčica (2023年8月18日). “Bratislava představila tramvaj Škoda 29T3 a svůj první parciální trolejbus”. Československý Dopravák. 2020年1月31日閲覧。
- ^ a b c “A new tramway for Prague: Skoda ForCity Plus Praha 52T”. Urban Transport Magazine (2024年1月10日). 2024年1月11日閲覧。
- ^ “FORCITY PLUS”. Škoda Transportation. 2020年1月31日閲覧。
- ^ a b Jiří Vokoun 2014, p. 26.
- ^ “Rail Transport”. Aufeer Design. 2020年1月31日閲覧。
- ^ Jiří Vokoun 2014, p. 14.
- ^ 在スロバキア日本国大使館『政治・経済月報(2018年2月)』(レポート)2018年2月、5頁 。2020年1月31日閲覧。
- ^ “Električky v Bratislave čakajú pozitívne zmeny”. Dopravný podnik Bratislava (2019年12月19日). 2020年1月31日閲覧。
- ^ “Another 15 Škoda trams for Cottbus”. Urban Transport Magazine (2022年12月7日). 2022年12月9日閲覧。
- ^ Jan Sůra (2024年3月13日). “Obrazem: Škoda vyrobila první tramvaj pro FCB, do Braniborska dorazí v dubnu”. Zdopravy.cz. 2024年11月3日閲覧。
- ^ “Die neue Straßenbahn für Frankfurt (Oder)”. SVF-FFO. 2024年11月3日閲覧。
- ^ Škoda Group [@skoda.group] (2024年6月8日). "Hop on for a greener, comfy journey in Cottbus! 🚋💚🇩🇪". Instagramより2024年6月9日閲覧。
- ^ Libor Hinčica (2023年11月9日). “Škoda ovládla výběrové řízení na 200 tramvají pro Prahu”. Československý Dopravák. 2024年1月11日閲覧。
- ^ “TRAMCARS” (英語). Škoda Transportation as.. 2019年10月13日閲覧。
参考資料
[編集]- Jiří Vokoun (2014年11月11日). New Generation of SKODA Trams in European Cities (PDF) (Report). Škoda Transportation. 2020年1月31日閲覧。