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シャイニー・ビースト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『シャイニー・ビースト(バット・チェイン・プラー)』
キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドスタジオ・アルバム
リリース
録音 1978年6月6日-8月27日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンフランシスコ オートマット
ジャンル ブルース・ロック
時間
レーベル アメリカ合衆国の旗ワーナー・レコード
イギリスの旗ヴァージン・レコード
プロデュース ドン・ヴァン・ヴリート
ピート・ジョンソン
キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド アルバム 年表
ブルージーンズ・アンド・ムーンビームズ
(1974年)
シャイニー・ビースト(バット・チェイン・プラー)
(1978年)
美は乱調にあり
(1980年)
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シャイニー・ビースト(バット・チェイン・プラー)』(Shiny Beast (Bat Chain Puller))は、ドン・ヴァン・ヴリートが率いるキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドが1978年に発表した通算10作目に相当するアルバムである[注釈 1]

解説

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経緯

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1976年の春、ヴァン・ヴリートは、元メンバーのジョン・フレンチ(ドラムス、ギター)、デニー・ウォーリー(ギター)、ジェフ・モリス・テッパー(ギター)、ジョン・トーマス(キーボード)と新しいキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドを結成して、アルバム『バット・チェイン・プラー』を製作した[1]。この作品はヴァン・ヴリートの旧友フランク・ザッパ[注釈 2]がエグゼクティブ・プロデューサーを務めて、ザッパと彼のマネージャーであるハーブ・コーヘンが共同で設立して経営していたディスクリート・レコードから発表されることになっていた。しかしザッパとコーヘンが経営を巡って対立して互いを告訴するという状況に陥り、ディスクリート・レコードの先行きは全く不透明になっていた[2]。そのような状況下で『バット・チェイン・プラー』はお蔵入りになり、オリジナル・テープはザッパに保管されたままになってしまった[注釈 3]

『バット・チェイン・プラー』が製作されてまもなく、トーマスと再度フレンチが離脱し、テッパーの親しい友人で彼にキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドの音楽を聴くきっかけを与えたキーボーディストのエリック・ドリュー・フェルドマンと、フェルドマンの友人だったドラマーのゲイリー・ジェイが加入した[3]。彼等はさらにヴァン・ヴリートの従兄弟で以前客演者として参加したヴィクター・ヘイデン(アルト・サクソフォーン、バスクラリネット)を再び客演者に迎えて、1976年末から1977年初めにかけてリハーサルを繰り返し、幾つかのライブ活動を行なった。そしてジェイが離脱してフレンチが仮メンバーとして一時復帰した後、テッパーやフェルドマンと同じように長年に渡ってキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドの音楽を愛聴してきたドラマーのロバート・ウィリアムスが加入した[4]

ヴァン・ヴリート、ウォーリー、テッパー、フェルドマン、ウィリアムスのキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドは1977年10月31日に初舞台を踏み、11月にはフランス社会党がパリで開いた慈善コンサートに出演した[5]。彼等は1978年2月にツアーを終えると、新曲のデモ・テープを録音してワーナー・ブラザーズと交渉して、新作アルバムを制作することになった[6]。そして離脱したウォーリーの後任に選ばれたフェルドマンの旧友のリチャード・レダス(ギター)と、1975年のライブ活動でメンバーだったブルース・ファウラー(トロンボーン)を迎えて、6月6日から8月27日までサンフランシスコのオートマットで本作を製作した。ヴァン・ヴリートは、ワーナー・ブラザーズのA&Rでジャズ・ミュージシャンでもあるピート・ジョンソンと共同でプロデューサーを務め、元メンバーのアート・トリップ(マリンバ、パーカッション)が客演した[7]

内容

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収録曲のうち、'The Floppy Boot Stomp'、'Harry Irene'、'Bat Chain Puller'、'Owed T'Alex'の4曲は当時未発表だった『バット・チェイン・プラー』の収録曲の再録音版、'Apes-Ma'は『バット・チェイン・プラー』の収録曲と同様のホーム・レコーディングである[8]。'Owed T'Alex'は1966年に書かれ、ヴァン・ヴリートと共にキャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドの結成の中心人物だったギタリストのアレックス・セント・クレアについての曲である[9]

収録曲

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LP
Side One
全作詞・作曲: Don Van Vliet。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「The Floppy Boot Stomp」Don Van VlietDon Van Vliet
2.「Tropical Hot Dog Night」Don Van VlietDon Van Vliet
3.「Ice Rose」Don Van VlietDon Van Vliet
4.「Harry Irene」Don Van VlietDon Van Vliet
5.「You Know You're a Man」Don Van VlietDon Van Vliet
6.「Bat Chain Puller」Don Van VlietDon Van Vliet
合計時間:
Side Two
全作詞・作曲: Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「When I See Mommy I Feel Like a Mummy」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
2.「Owed T'Alex」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
3.「Candle Mambo」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
4.「Love Lies」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
5.「Suction Prints」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
6.「Apes-Ma」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
合計時間:
CD
全作詞・作曲: Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「The Floppy Boot Stomp」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
2.「Tropical Hot Dog Night」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
3.「Ice Rose」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
4.「Harry Irene」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
5.「You Know You're a Man」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
6.「Bat Chain Puller」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
7.「When I See Mommy I Feel Like a Mummy」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
8.「Owed t' Alex」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
9.「Candle Mambo」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
10.「Love Lies」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
11.「Suction Prints」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
12.「Apes-Ma」Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)Don Van Vliet (Owed t' Alex by Don Van Vliet and Herb Bermann)
合計時間:

参加ミュージシャン

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Captain Beefheart and The Magic Band
  • Captain Beefheart (Don Van Vliet) – ヴォーカル、ハーモニカ、ソプラノ・サクソフォーン、口笛
  • Bruce Fowler – トロンボーン、エアー・ベース
  • Jeff Moris Tepper – スライド・ギター、ギター、スペル・ギター
  • Eric Drew Feldman – シンセサイザー、ローズ・ピアノ、グランド・ピアノ、ベース・ギター
  • Robert Williams – ドラムス、パーカッション
  • Richard Redus – スライド・ギター、ボトルネック・ギター、ギター、アコーディオン、フレットレス・ベース
客演
  • Art Tripp – マリンバ、パーカッション

脚注

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注釈

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  1. ^ 1960年代に発表した3作のアルバムと『ミラー・マン』(1971年)はキャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンド名義だった。『ミラー・マン』はヒズ・マジック・バンド時代の1967年の未発表音源集。『ザ・スポットライト・キッド』(1972年)はキャプテン・ビーフハート名義だった。
  2. ^ ヴァン・ヴリートとザッパはカリフォルニア州ランカスターアンテロープ・バレー・ハイ・スクールの同級生。R&Bのレコード鑑賞を通じて親交を深め、やがてザッパがギター、ヴァン・ヴリートがボーカルを担当して録音するようになった。1964年、ヴァン・ヴリートはザッパと共同制作していたSF映画の主人公の名前であったキャプテン・ビーフハートを自分のステージ名にした。1968年、ザッパはキャプテン・ビーフハート・アンド・ヒズ・マジック・バンドを自分が同年に設立したストレイト・レコードに招き、『トラウト・マスク・レプリカ』(1969年)のプロデューサーを務めた。この作品の制作を巡って2人の関係は険悪化して、1970年代前半にはすっかり疎遠になっていた。しかし、1974年にキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドが消滅して一人になったヴァン・ヴリートは、1975年のザ・マザーズ・オブ・インヴェンションの国内ツアーに参加し、同年2人はザッパ/ビーフハート/マザーズの名義でライブ・アルバム『ボンゴ・フューリー』を発表した。
  3. ^ 1993年にザッパ、2010年にヴァン・ヴリートが病没した後、2012年にザッパの遺族によってキャプテン・ビーフハート名義の『バット・チェイン・プラー』として発表された。

出典

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  1. ^ Barnes (2011), pp. 224–229.
  2. ^ Barnes (2011), p. 237.
  3. ^ Barnes (2011), pp. 235–236.
  4. ^ Barnes (2011), pp. 237, 239–240.
  5. ^ Barnes (2011), pp. 240–241.
  6. ^ Barnes (2011), p. 244.
  7. ^ Barnes (2011), pp. 244–248.
  8. ^ Barnes (2011), p. 248.
  9. ^ Barnes (2011), pp. 232–233.

引用文献

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  • Barnes, Mike (2011). Captain Beefheart: The Biography. London: Omnibus Press. ISBN 978-1-78038-076-6 

関連項目

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