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シティ・サークル線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シティ・サークル線
メルボルン市電35号線
シティ・サークル線で使用されるW形電車(2019年撮影)
シティ・サークル線で使用されるW形電車2019年撮影)
基本情報
オーストラリアの旗 オーストラリア
ビクトリア州の旗ビクトリア州
所在地 メルボルン
種類 路面電車[1][2][3][4][5]
開業 1994年4月27日[4]
最終延伸 2009年[6]
使用車両 W形[4][5][7][8]
路線諸元
軌間 1,435 mm
電化区間 全区間
電化方式 直流600 V
架空電車線方式
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シティ・サークル線英語: City Circle Tram)は、オーストラリアの都市・メルボルン市内の路面電車であるメルボルン市電の系統の愛称。メルボルン各地の名所を巡る環状線で、全区間無料で利用可能である。「35号線」という系統番号で呼ばれる事もある[1][2][3][4]

概要

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1994年4月27日から営業運転を開始した、メルボルン旧市街を走る環状系統シーライフ・メルボルン水族館英語版旧メルボルン監獄英語版ドックランズ・スタジアムフェデレーション・スクエア英語版といったメルボルン各地の名所や施設を巡る観光路線で、車内では音声解説も実施される。運賃は開業当時から無料である[1][2][9][3][4]

開通に合わせて一部路線の新規建設が実施された他、2003年2009年には延伸が行われており、2020年現在は「p」の字に似たラケット式の環状系統となっている。同年時点で、日曜日から水曜日までは午前10時から午後6時まで、木曜日から土曜日までは午前10時 - 午後9時間に20分間隔で運行しているが、クリスマス聖金曜日は運休する。シティ・サークル線は観光地への輸送手段のみならずメルボルンにおける観光施設(アトラクション)としても位置づけられており、2014年にはトリップアドバイザーが選ぶ世界で最も話題になっているアトラクションの1つに選ばれている[1][2][6][10][9][4][11]

電停一覧

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2020年時点における、シティ・サークル線が経由する電停は以下の通り。時計回りと反時計回りで経路が異なる他、環状線である事から同じ区間を走行する区間が存在するため、一部電停を重複して記載する。ただし2023年10月30日ダイヤ改正以降、運転士不足や運用の適正化が要因となり、シティ・サークル線は時計回り(Clockwise)系統のみの運用となる。なお、下記の表は時計回りを基準としたものである[10][12][13][14]

電停番号 電停名 地区 停車系統 備考・参考
時計回り
(Clockwise)
反時計回り
(Anti-clockwise)
D11 Waterfront City, Docklands ドックランズ英語版
D10 NewQuay & Docklands Dr
D2 Central Pier & Harbour Esp
D1 Etihad Stadium & La Trobe St
119 Spencer St & La Trobe St メルボルン 双方の電停は交差点を挟む形で斜め向かいに立地[15]
1 Spencer St & La Trobe St
2 King St & La Trobe St
3 Flagstaff Station
4 Queen St & La Trobe St
5 Melbourne Central Station, Elizabeth Street
6 Melbourne Central Station, Swanston Street
7 Russell St & La Trobe St
8 Exhibition St & La Trobe St
9 Victoria St & La Trobe St
10 Nicholson St & Victoria Pde イーストメルボルン英語版
10 Parliament Station メルボルン
CCSS2 Spring St & Bourke St
8 Spring St & Flinders St
6 Russell St & Flinders St
5 Flinders Street Station, Swanston Street
4 Flinders Street Station, Elizabeth Street
3 Market St & Flinders St
2 Melbourne Aquarium & Flinders St
1 Spencer St & Flinders St
D6 Flinders St West & Flinders St ドックランズ
D5 The Goods Shed & McCrae St
D4 Docklands Park & Harbour Esp
D3 Etihad Stadium - Bourke St
D2 Central Pier & Harbour Esp
D10 NewQuay & Docklands Dr
D11 Waterfront City, Docklands

車両

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1994年の営業開始以降シティ・サークル線で使用されている車両は、1920年代から1950年代まで長期に渡って製造され、メルボルン市電を代表する車両として知られるW形電車である。2000年代初頭には制動装置の不具合により運行が一時停止する事態も起きたが、その後は制動装置に加えて制御装置、集電装置[注釈 1]などの交換が行われた。更に2012年以降は車内外の改装やwi-fi通信への対応機器の設置等の近代化工事が行われている他、塗装も従来のシティ・サークル線専用塗装から上半分がクリーム色、下半分が緑色という製造当時のものが復元されている。2020年現在は8両が使用されており、今後も複数の車両の更新が予定されている[7][8][5][11][16][17]

脚注

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注釈

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  1. ^ 従来のポールからシングルアーム式パンタグラフへの交換が実施された。

出典

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  1. ^ a b c d City Circle Tram”. YarraTrams. 2020年11月18日閲覧。
  2. ^ a b c d City Circle one of the world's most talked about tourist attractions”. YarraTrams (2012年4月27日). 2020年11月18日閲覧。
  3. ^ a b c Melbourne's Free Tram ZOne”. Public Transport Victoria. 2020年11月18日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 服部重敬 1998, p. 83.
  5. ^ a b c 服部重敬 1998, p. 84.
  6. ^ a b Popular City Circle tram extended to Docklands Drive”. YarraTrams (2009年5月1日). 2009年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月18日閲覧。
  7. ^ a b Oliver Probert (2018年10月9日). “Final W-Class trams to be restored”. RailExpress. 2020年11月18日閲覧。
  8. ^ a b Andrew Heasley (2012年7月23日). “Special: W-class icon T946 on track to full restoration”. The Age. 2020年11月18日閲覧。
  9. ^ a b 35 City Circle”. YarraTrams. 2020年11月18日閲覧。
  10. ^ a b 35 City Circle (Free Tourist Tram)”. Public Transport Victoria. 2020年11月18日閲覧。
  11. ^ a b 服部重敬 1998, p. 85.
  12. ^ 35 35City Circle”. Yarra Trams. 2020年11月18日閲覧。
  13. ^ Tram timetable changes”. Public Transport Victoria. 2023年10月15日閲覧。
  14. ^ Patrick Hatch. “St Kilda, City Circle heritage trams cut in timetable overhaul”. The Age. 2023年10月15日閲覧。
  15. ^ Spencer St/La Trobe St #119”. Public Transport Victoria. 2020年11月18日閲覧。
  16. ^ W8 Class”. VICSIG. 2020年11月18日閲覧。
  17. ^ Tram timetable improvements”. Public Transport Victoria. 2020年11月18日閲覧。

参考資料

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  • 服部重敬「シドニーで路面電車復活! オーストラリア路面電車最新事情」『鉄道ファン』第38巻第8号、交友社、1998年8月1日、79-86頁。 

外部リンク

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