コンテンツにスキップ

サーカスティックフリンジヘッド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サーカスティックフリンジヘッド
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: イソギンポ目 Blenniformes
: コケギンポ科 Chaenopsidae
: コケギンポ属 Neoclinus
: サーカスティックフリンジヘッド
N.blanchardi
学名
Neoclinus blanchardi
Girard, 1858
英名
Sarcastic fringehead

サーカスティックフリンジヘッド (学名:Neoclinus blanchardi) は、イソギンポ目に属する海水魚の一種[2]

分類と名称

[編集]

1858年にシャルル・フレデリック・ジラールによって記載され、種小名は本種の標本を収集したDr. S. B. Blanchardへの献名[3]。エイリアンフィッシュとも呼ばれる。サーカスティックとは「皮肉な」という意味で、攻撃的な気性に由来する。フリンジヘッドは頭についたアンテナのような皮弁に由来する[4]

分布

[編集]

アメリカカリフォルニア州からメキシコバハ・カリフォルニア州中部まで、北東太平洋温帯海域に分布する[5]

形態

[編集]

体長25 - 30 cm[5]。 体は細長く、頭が大きい[4]。眼の上の皮弁にはうなじがない。周りの様子を探る器官があると考える。オスの口は非常に大きく、頬の膜が広がることにより、閉じた状態の4倍まで口を開くことができる[6]は紫色では2列あり、口の周りに蛍光の黄色い縁取りがある。体色は赤みがかった茶色から灰色のまだら模様で、顔には薄い白色の斑点が入る。背鰭は長く尾鰭付近まで達し、金色に縁取られた暗色の眼状紋をもつ[4]

生態

[編集]

沿岸部の水深3 - 73mの砂泥底、岩場に生息。岩穴や貝殻空き缶などのゴミなどをとしている[5]縄張り意識が強く、縄張りに入った生き物を手当たり次第攻撃する。同種のオス同士の縄張り争いの時は、大きな口を押し合い大きさ比べをし、それでも勝負がつかないと噛みつき合う[7][8]。待ち伏せ型の捕食者で、小魚エビなどを食す。短く直線的な泳ぎをする[9]。イカの卵を捕食することも知られている[6]。メスは岩陰などに約3000個の粘着性のある卵を産み、オスが守る[5]。寿命は6年ほどとされる[4]

人との関わり

[編集]

食用にはされない[6]日本では、葛西臨海水族園でのみ唯一飼育されている[10]。過去にはサンシャイン水族館でも飼育されていた。

脚注

[編集]
  1. ^ Williams, J.T.; Craig, M.T. (2014). Neoclinus blanchardi. IUCN Red List of Threatened Species 2014: e.T185133A1770082. doi:10.2305/IUCN.UK.2014-3.RLTS.T185133A1770082.en. https://www.iucnredlist.org/species/185133/1770082 21 May 2024閲覧。. 
  2. ^ WoRMS - World Register of Marine Species - Neoclinus blanchardi Girard, 1858”. www.marinespecies.org. 2023年6月6日閲覧。
  3. ^ Order BLENNIIFORMES: Families CLINIDAE, LABRISOMIDAE and CHAENOPSIDAE”. ETYFish Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (10 November 2018). 21 May 2024閲覧。
  4. ^ a b c d Sarcastic Fringehead: Neoclinus blanchardi”. Aquarium of the Pacific. 2024年5月21日閲覧。
  5. ^ a b c d Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Neoclinus blanchardi" in FishBase. May 2024 version.
  6. ^ a b c Sarcastic Fringehead”. Oceana. Oceana. 21 May 2024閲覧。
  7. ^ Hongjamrassilp, Watcharapong; Skelton, Zachary; Hastings, Philip (2023-05-09). “Function of an extraordinary display in sarcastic fringeheads (Neoclinus blanchardi) with comments on its evolution”. Ecology: Ecological Society of America 104 (1). https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ecy.3878. 
  8. ^ Denny, Mark; Steven Gaines (2002). Chance in Biology. Princeton: Princeton University Press. p. 13. ISBN 0691094942. https://books.google.com/books?id=rHYuA7VQn4EC&pg=PA13 
  9. ^ Hongjamrassilp, W. (2018). Heterochrony in fringeheads (neoclinus) and amplification of an extraordinary aggressive display in the sarcastic fringehead (teleostei: Blenniiformes). Journal of Morphology (1931), 279(5) Retrieved from https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jmor.20798
  10. ^ まるでエイリアン!? サーカスティックフリンジヘッド”. 東京ズーネット TOKYO ZOO NET. 2023年6月6日閲覧。

参考文献

[編集]
  • 『ぬまがさワタリのゆかいないきもの図鑑』、西東社、2018年、183頁。2023年6月4日利用。

関連項目

[編集]