サヴィッチの定理
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サヴィッチの定理(英: Savitch's theorem)とは、1970年にウォルター・サヴィッチが証明した計算量理論における定理である。f(n) ≥ log(n) であるような任意の関数 f について、次が成り立つとするものである。
言い換えれば、非決定性チューリング機械が f(n) の領域を使ってある問題を解けるとき、通常の決定性チューリング機械は同じ問題をその平方の領域を使って解ける。時間は非決定性によって指数関数的に短縮されると考えられるが、この定理によれば、領域の効率化は明らかにそれよりも限定的である。
証明
[編集]この証明は構築的に行われる。まず、STCON問題(有向グラフの2点間の経路の有無を問う問題)のアルゴリズムとして、n 個のノードからなるグラフについて log2(n) の領域を要する方式を示す。次にこれを用いて、開始ノードから受容ノードまでの経路があるかどうかを決定する非決定性機械の計算機(非決定性チューリング機械の計算経路からなる木構造)に対応したアルゴリズムを実行する決定性機械を構築する。STCON問題はNL完全なので、以上から NL に属する全問題が L2 に属することが示される。
系
[編集]この定理の重要な系として、以下のものがある。
参考文献
[編集]- Michael Sipser (1997年). Introduction to the Theory of Computation. PWS Publishing. ISBN 0-534-94728-X Section 8.1: Savitch's Theorem, pp.279–281.
- Christos Papadimitriou (1993年). Computational Complexity (1st edition ed.). Addison Wesley. ISBN 0-201-53082-1 Pages 149–150 of section 7.3: The Reachability Method.
- W.J.Savitch, "Relationship between nondeterministic and deterministic tape classes", J.CSS, 4, pp 177-192, 1970