サラセミア
サラセミア(thalassemia)は、ヘモグロビンを構成するグロビン遺伝子の異常による貧血である。(溶血性貧血をきたす遺伝性疾患である)地中海沿岸に多いので地中海貧血、地中海性貧血とも言う。
病態
[編集]グロビン蛋白の異常によって正常な赤血球が作られず貧血になる。異常なヘモグロビンを持つ赤血球は脾臓で次々と破壊される。赤血球が脾臓で破壊されることを血管外溶血と言う。標的赤血球と呼ばれる特徴的な赤血球が見られる。
分類
[編集]ヘモグロビンは、ポリペプチド鎖であるα鎖グロビン2分子とβ鎖グロビン2分子が結合した四量体(tetramer)にヘム(鉄錯体)が加わったものである。サラセミアは、主に次の2種類に分類される[1]。
- αサラセミアとβサラセミア
- サラセミアマイナーとサラセミアメジャー:欠陥遺伝子のコピーの個数で分類。
原因
[編集]ヘモグロビン蛋白を構成しているα鎖あるいはβ鎖をコードする遺伝子の異常により、蛋白がうまく生成できないため[1]。
統計
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症状
[編集]サラセミアの種類によってもことなるが、以下のようなものが代表的なものである[1]。
合併症
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検査
[編集]- 血液検査
- 血清生化学検査
- 血清鉄とフェリチンの増加。
- ヘモグロビンA2増加
- 末梢血塗沫染色標本検査
- 小球性低色素性貧血が認められる。赤血球の真ん中の窪みに膨らみが出来て、濃淡濃の縞模様が見られる。この同心円状の縞模様が標的に見える事から標的赤血球(target cell)と言う。
- 血清生化学検査
- thalassemia index
- MCV / RBC x 106 ≦13 であればサラセミアが強く疑われる。[2]
治療
[編集]対症療法として輸血を行い、鉄の臓器過剰沈着に対し鉄キレート剤を投与する。重症例には骨髄移植を行う場合がある[1]。
予後
[編集]重症型は予後不良で30歳までに心不全などにより死亡する。
診療科
[編集]歴史
[編集]1925年、クーリー(Cooley)とリー(Lee)によって病態の診断が確定される。当初はクーリー貧血と呼ばれたが、地中海沿岸地域に多発しているため、ギリシア語の海を表すΘαλασσα(Thalassa)から、サラセミア(Thalassemia)と名づけられた。ただし、地中海特有というわけではなく、世界中、特にマラリア多発地域において散見される。
各国において
[編集]地中海沿岸
[編集]発症頻度が高い。遺伝子異常の種類によって軽症から重症まで様々あり、地域性も異なる。
日本
[編集]スクリーニングを含めた研究プロジェクトで、サラセミアは日本人にも決して少なくないことが明らかとなった。日本人のβサラセミア(日本人の700~1000人に1人の頻度)の8割は8種類の変異のどれかであり、しかも変異によってかなり地域的に偏ることがわかった。[要出典] [3]
脚注
[編集]関連項目
[編集]- 突然変異
- 鎌状赤血球症 - 同じく異常ヘモグロビンによる遺伝性の貧血症
- グルコース6リン酸脱水素酵素欠損症 - 同じくマラリアに抵抗性をもつ疾患