コンテンツにスキップ

サウル・アルバレス 対 ビリー・ジョー・ソーンダース戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Face The Fearless
サウル・アルバレス 対 ビリー・ジョー・ソーンダース戦
開催日 2021年5月8日
認定王座 WBAWBCWBO世界スーパーミドル級王座統一戦
リングマガジン世界スーパーミドル級タイトルマッチ
開催地 アメリカ合衆国テキサス州サンアントニオ
会場 AT&Tスタジアム
観衆 73126人[1][2]
リングアナ デビット・ディアマンテ
放送局 DAZN
実況・解説 トッド・グリシャム(実況)
セルヒオ・モラ(解説)
クリス・マニックス(アナリスト及びインタビュアー)
主催 エディー・ハーンマッチルーム・スポーツ・USA
サウル・アルバレス(カネロ・プロモーションズ)
フェルナンド・ベルトラン(サンフェル・プロモーションズ)

サウル・アルバレス 対 ビリー・ジョー・ソーンダース
Canelo(カネロ) Superb(一流)
比較データ
30歳 年齢 31歳
ハリスコ州グアダラハラ 出身地 イングランドウェリン・ガーデン・シティ
58戦 55勝 (37KO) 1敗 2分 戦績 30戦 30勝 (14KO) 無敗
173cm 身長 180cm
167.4 lb (75.9 kg) 体重 167.8 lb (76.1 kg)
179cm リーチ 180cm
オーソドックス 特徴 サウスポー
エディ・レイノソ 指導者 ベン・デイヴィソン
WBA世界スーパーミドル級スーパー王者WBC世界スーパーミドル級王者・リングマガジン世界スーパーミドル級王者・世界4階級制覇王者 評価 WBO世界スーパーミドル級王者・世界2階級制覇王者

結果 アルバレス8回終了TKO勝ち
主審 マーク・カローイ(3団体)
副審 グレン・フェルドマン(3団体)
ティム・チーザム(3団体)
マックス・デルーカ(3団体)

サウル・アルバレス 対 ビリー・ジョー・ソーンダース戦(サウル・アルバレス たい ビリー・ジョー・ソーンダースせん、別名Face The Fearless)は、2021年5月8日、アメリカ合衆国テキサス州サンアントニオAT&Tスタジアムで開催されたプロボクシングの試合。WBAWBC世界スーパーミドル級統一王者のアルバレスと、WBO世界スーパーミドル級王者のソーンダースが行うスーパーミドル級王座統一戦。興行はマッチルーム・スポーツ・USAとカネロ・プロモーションズの合同興行として行われ73126人の観客動員は屋内会場における最多入場記録となった。

試合までの経緯[編集]

両者の王座獲得から防衛まで[編集]

2018年12月15日、ニューヨークマディソン・スクエア・ガーデンで、当時ミドル級王者だったアルバレスが階級を上げてWBA世界スーパーミドル級正規王者ロッキー・フィールディングと対戦し、3回2分38秒TKO勝ちを収め、王座を獲得し3階級制覇に成功した[3]

2019年5月18日、ヒルベルト・ラミレスの王座返上に伴いスティーブニッジラメックス・スタジアムでソーンダースがシェファト・イスフィーとWBO世界スーパーミドル級王座決定戦を行い、12回3-0(120-108、117-111、118-110)の判定勝ちを収め、2階級制覇に成功した[4][5]

2019年11月9日、アメリカ・ロサンゼルスステイプルズ・センターでKSIvsローガン・ポールの前座でソーンダースがWBO世界スーパーミドル級10位のマルセロ・エステバン・コセレスと対戦し、11回1分59秒KO勝ちを収め初防衛に成功した[6]。この試合で、ソーンダースは75万ドル(約8100万円)、コセレスは8万ドル(約870万円)のファイトマネーを稼いだ[7]

2020年5月2日、T-モバイル・アリーナでアルバレスとソーンダースが王座統一戦で対戦する交渉が締結寸前だったが新型コロナウイルスの影響で試合延期になった[8][9]

2020年12月4日、ウェンブリーでソーンダースがWBO世界スーパーミドル級12位のマーティン・マレーと対戦し、12回3-0(118-110、120-109×2)の判定勝ちを収め2度目の防衛に成功した[10]

2020年12月19日、テキサス州サンアントニオアラモドームで、アルバレスがWBA世界スーパーミドル級スーパー王者カラム・スミスとWBA王座団体内統一戦並びにWBC世界スーパーミドル級王座決定戦で対戦し、12回3-0(117-111、119-109×2)の判定勝ちを収め、WBAは王座統一による初防衛、空位だったWBC王座の獲得、スミスが保持していたリングマガジン認定王座の獲得にも成功した[11]

2021年1月28日、ESPNなどがアルバレスとソーンダースが2021年5月に統一戦を行う計画であると報じた[12]。その後、2021年2月9日にボクシングシーン・ドットコムなどが2024年5月8日にネバダ州ラスベガスアレジアント・スタジアムで統一戦が挙行される可能性が強くなったと伝えた[13]

対戦決定後の概要から試合まで[編集]

2021年2月28日、フロリダ州マイアミハードロック・スタジアムで、アルバレスがWBC世界スーパーミドル級1位で指名挑戦者アブニ・イルディリムと対戦し、3回終了TKO勝ちを収めWBA王座は2度目、WBC王座の初防衛に成功した。試合後に5月8日にソーンダースとの3団体王座統一戦が発表された[14]。ボクシングシーンのインタビューにおいて、ソーンダースは「カネロを攻略するためにフットワーク、技術、考え方、頭脳を持っている選手は私だけしかいない」と自身の能力をアピールし、「彼はスポーツの主人公であり、ボクシング界の顔だ。みんな彼に敬意を払わなくてはいけなし、彼はいい選手を打ち負かしてきた。しかしだれも無敵ではない。私にはそれを適切に使えば彼に勝てるだけのツールを持っている」と自らをアルバレスに勝てる唯一の選手だと強調した[15]

2021年3月19日、アメリカの各メディアが、世界スーパーミドル級3団体王座統一戦の試合会場がテキサス州のAT&Tスタジアムで開催されることを発表した[16]

2021年4月17日、マッチルーム・スポーツはアンダーカードでWBO世界ライトフライ級王者エルウィン・ソトが元世界ミニマム級王者高山勝成と防衛戦を行うことを発表した[17]

2021年4月21日、ラスベガスでトレーニングを行っているソーンダースが統一戦に向けて意欲を見せ、「これまでカネロと対戦した相手はランニングしてアウトボクシングを試みたり、打ち合いに持ち込もうとしたりしたけど唯一成功したのはフロイド・メイウェザーだけ。肉体の上に頭がある。筋肉の勝負よりも頭脳戦に持ち込みたい、脚を使って戦うというより自分の距離をキープしてパンチを打ち込むたい。ワナを仕掛けてカネロを封じる」と発言[18]。一方のアルバレスはオンライン会見上で、「ビリー・ジョー・サンダースが持っているものを全部、把握している。彼はスピードがあってよく動き回る。それにサウスポーで難しい相手だ。でも私はどんなスタイルの選手にも対応できるレベルに到達している。全盛期にいると感じている」と自信をのぞかせ、「疑いなく私は勝つ。歴史をつくることに邁進している。私の頭にあるのはそれだけだ」と語った[19]

2021年5月4日、試合リングのサイズを巡って騒動があった。ソーンダースは24フィート(約7.3メートル)のリングを想定していたが、18フィート(約5.5メートル)のリングを使用する予定であることがわかり、足を使うタイプであるソーンダースにとって不利でファイタータイプのアルバレスにとって有利な狭いリングを使おうとしているとして、「ボクシングのリングが電話ボックスのサイズで私の動きを止めようとしている。18フィートのリングなんて受け入れられない」と不満を示し、リングサイズの問題が解決しなければ試合を拒否することを示唆したが、交渉の末、最終的に22フィート(6.7メートル)のリングを使用することで決着した[20] [21]。こうした騒動にアルバレスは怒り心頭だったようだが、取材では冷静に「私は何も苛立っていない。ソーンダースはたくさん言い訳を用意しているようだが、私はリングで仕事をするだけだ」と一蹴し、「彼がボクシングのレッスンをするって? 私は5、6年前の私ではない。経験を積んでより成熟したファイターになった。彼は土曜日の夜、まったく違ったレベルの戦いを経験することになる。ジャッジがいらない試合になることを望んでいる」とレベルの違いを強調した[22]

2021年5月5日、両選手がフェイスオフを行った。ソーンダースは「この戦いは頭脳がすべてを支配する。パワーでも筋肉でも技術でもない。頭脳と戦略であり、いかにゲームプランを実行できるかにっかっている。アンダードッグがたまに勝利することはボクシングにとってもいいことだ」とコメントした[23]

2021年5月7日、前日計量が行われ、アルバレスが167.4ポンド、ソーンダースが167.8ポンドを計測し一発で計量をパスした[24]

2021年5月8日、テキサス州のAT&Tスタジアムで行われたWBA・WBC・WBO世界スーパーミドル級王座統一戦に於いて、アルバレスが8回終了TKO勝ちを収めWBA王座は3度目、WBC王座の2度目の防衛と、WBO王座の獲得に成功し3団体王座統一を果たした[25]。この試合のゲート収入が900万2920ドル(約9億7000万円)であることがテキサス州ライセンス規制局に提出されたレポートに基づいてボクシングシーンが報じた[26]

対戦カード[編集]

階級 契約 vs. 結果 ラウンド 時間 Notes
スーパーミドル級 168 lbs. メキシコの旗 サウル・アルバレス (c) vs. イギリスの旗 ビリー・ジョー・ソーンダース (c) TKO 8R 3:00 Note 1
ライトフライ級 108 lbs. メキシコの旗 エルウィン・ソト (c) vs. 日本の旗 高山勝成 TKO 9R 2:44[27] Note 2

^Note 1 WBAWBCWBO世界スーパーミドル級王座統一戦、リングマガジン世界スーパーミドル級タイトルマッチ
^Note 2 WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ

採点表[編集]

テキサス・コンバイティブ・スポーツ・プログラム
公式採点表
王座:WBAWBCWBO世界スーパーミドル級王座統一戦
リングマガジン世界スーパーミドル級タイトルマッチ
  主審:マーク・カローイ(3団体)   立会人:ヒルベルト・メンドーサ・ジュニア(WBA:ベネズエラ,WBA会長)
マウリシオ・スレイマン(WBC:メキシコ,WBC会長)
フランシスコ・バルカルセル(WBO:プエルトリコ,WBO会長)
開催日:2021年5月8日 会場:テキサス州サンアントニオAT&Tスタジアム 主催:マッチルーム・スポーツ・USA
カネロ・プロモーションズ
サウル・アルバレス ビリー・ジョー・ソーンダース サウル・アルバレス ビリー・ジョー・ソーンダース サウル・アルバレス ビリー・ジョー・ソーンダース
RS TS TS RS RS TS TS RS RS TS TS RS
9 1 10   9 1 10   9 1 10
10 19 2 19 9 10 19 2 19 9 10 19 2 19 9
10 29 3 28 9 10 29 3 28 9 10 29 3 28 9
10 39 4 37 9 10 39 4 37 9 10 39 4 37 9
9 48 5 47 10 9 48 5 47 10 9 48 5 47 10
10 58 6 56 9 10 58 6 56 9 10 58 6 56 9
10 68 7 65 9 10 68 7 65 9 10 68 7 65 9
10 78 8 74 9 10 78 8 74 9 10 78 8 74 9
               
副審:グレン・フェルドマン(3団体) 副審:ティム・チーザム(3団体) 副審:マックス・デルーカ(3団体)
処分:無し 減点:無し 結果:アルバレスの8回終了TKO勝利

脚注[編集]

  1. ^ Canelo Alvarez stops Billy Joe Saunders in front of record 73,126 fans in Texas”. CNN (2021年5月9日). 2021年6月8日閲覧。
  2. ^ アルバレス戦&高山戦が7万人超え アリ-スピンクス戦破る米屋内新記録へ”. 日刊スポーツ (2021年5月7日). 2021年6月8日閲覧。
  3. ^ カネロ3回TKOで3階級制覇 次戦は5月4日と明言 Boxing News(ボクシングニュース) 2018年12月16日
  4. ^ Saunders tops Isufi, wins super middleweight title ESPN.com 2019年5月18日
  5. ^ サンダース2階級制覇 WBO・S・ミドル級王座獲得 Boxing News(ボクシングニュース) 2019年5月19日
  6. ^ Billy Joe Saunders Drops Coceres Three Times For TKO in Eleventh Boxing Scene.com 2019年11月9日
  7. ^ KSI vs. Logan Paul fight purses, salaries: Prize money each fighter on main card will take home CBS Sports 2019年11月10日
  8. ^ Sources: Canelo Alvarez, Gennadiy Golovkin agree to third fight in fall after interim bouts”. ESPN.com (2020年3月18日). 2020年3月18日閲覧。
  9. ^ Canelo-Saunders Was Close - But Never Finalized, No Contract”. Boxing Scene.com (2020年4月17日). 2020年5月12日閲覧。
  10. ^ サンダースV2 WBO・S・ミドル級戦 マーレイに大差勝利でビッグマッチに希望 Boxing News(ボクシングニュース) 2020年12月5日
  11. ^ カネロがスミスを圧倒 S・ミドル級2冠を手中 キャリアのベストファイトをアピール Boxing News(ボクシングニュース) 2020年12月20日
  12. ^ S・ミドル級王者カネロ WBO王者サンダースと5月統一戦計画 Boxing News(ボクシングニュース) 2021年1月29日
  13. ^ ナンバーワン王者カネロ 早くもサンダース戦準備 5.8ラスベガスの新スタジアムで開催か Boxing News(ボクシングニュース) 2021年2月10日
  14. ^ カネロが楽々3回TKO勝ち 5.8サンダースと3団体統一戦発表 Boxing News(ボクシングニュース) 2021年2月28日
  15. ^ WBO王者サンダース「カネロに勝てるのは私しかいない」 Boxing News(ボクシングニュース) 2021年3月1日
  16. ^ S・ミドル級3冠戦 カネロvs .サンダースは5.8ダラス開催 Boxing News(ボクシングニュース) 2021年3月20日
  17. ^ WBO・L・フライ級戦 王者ソトに高山勝成が挑戦 5.8カネロ3冠戦の前座 Boxing News(ボクシングニュース) 2021年4月18日
  18. ^ ラスベガスで調整のサンダース「カネロにはメイウェザー流で勝つ」 Boxing News(ボクシングニュース) 2021年4月22日
  19. ^ 「私は全盛期にいる」カネロがサンダースに反論 チケットは6万枚販売済み Boxing News(ボクシングニュース) 2021年4月22日
  20. ^ サンダース「電話ボックスだろ」3団体統一戦リングの大きさに不満”. 日刊スポーツ (2021年5月5日). 2021年6月10日閲覧。
  21. ^ Billy Joe Saunders’ dad claims Canelo Alvarez fight is off over ring size being too small”. Bad Left Hook (2021年5月4日). 2021年6月10日閲覧。
  22. ^ S・ミドル級3冠戦 サンダースが先制攻撃!? カネロは余裕を見せる Boxing News(ボクシングニュース) 2021年5月5日
  23. ^ S・ミドル級3団体統一戦あと3日 サンダース不敵 番狂わせカネロ攻略に自信 Boxing News(ボクシングニュース) 2021年5月6日
  24. ^ カネロが4団体統一へ前進か、サンダースの番狂わせか あすS・ミドル級3冠戦 Boxing News(ボクシングニュース) 2021年5月7日
  25. ^ カネロは8回終了TKO勝ち S・ミドル級3団体統一 秋に4団体制覇目指す Boxing News(ボクシングニュース) 2021年5月9日
  26. ^ カネロvs.サンダース有料観客6万7054人 ゲート収入は約10億円 Boxing News(ボクシングニュース) 2021年6月9日
  27. ^ 高山勝成 9回TKO負け WBO・L・フライ級戦 突然のストップに抗議のシャドー Boxing News(ボクシングニュース) 2021年5月9日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]


先代
アブニ・イルディリム戦
サウル・アルバレスの試合
2021年5月8日
次代
カレブ・プラント戦