コワモンゴキブリ
コワモンゴキブリ | |||||||||||||||||||||
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コワモンゴキブリ
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Periplaneta australasiae Fabricius, 1775[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
Blatta aurantiaca Stoll, 1813[2] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
コワモンゴキブリ[11][注釈 1] | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Australian cockroach |
コワモンゴキブリ(小輪紋蜚蠊、学名:Periplaneta australasiae)とは、ゴキブリ目ゴキブリ科に属する昆虫の一種である。和名の通りワモンゴキブリに似ているが、やや小型である[13]。
形態
[編集]卵鞘は黒褐色で、長さ10ミリメートル[13]。 幼虫の体色は茶褐色で、体節の各側面に黄色斑斑が見られるのが特徴[14]。
成虫の体色は赤褐色で前胸背板にハッキリとした暗黄色環状紋が見え、翅の縁には黄色筋紋がある[14]。体長は雄が25 - 30ミリメートル、雌が25 - 27ミリメートル[14]。翅は濃茶褐色で、ワモンゴキブリより黒っぽく見える[13]。雄は尾部に2対の突起物があり、1対しかない雌とはこれで区別できる[15]。
生態
[編集]植物温室など、ワモンゴキブリよりも高温多湿な場所を好み、植物への嗜好性が高いと考えられている[16]。
特に5月から10月に発生する[13]。卵期間は40日、幼虫期間は5 - 12か月、成虫の寿命は4 - 6か月とされ[13]、雌は羽化後24日ほどして初めて産卵し[15]、10日間隔で20 - 30回にわたり平均24個の卵を含む卵鞘を湿った物陰に産む[13]。幼虫は1齢幼虫から5齢幼虫を経て成虫に育ち、また単独よりも集団の方がより早く生育する[15]。
分布
[編集]アフリカ原産で[1]、熱帯・亜熱帯性の種類ながら、温室に生息分布することが報告されている[17]。アジア、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニアで生息が確認されている[18]。
日本では小笠原諸島、伊豆諸島、トカラ列島、奄美諸島、与論島、沖縄諸島、八重山諸島に分布するほか、北海道や東京都で採集例があるが[19][20]、九州以北では局所的なものに留まる[16]。貨物の運搬に紛れて侵入することがある[16]。
害虫としての本種
[編集]欧米では重要害虫種として知られる[21]。沖縄県では屋内害虫とされ、市街地よりも農村地域の木造住宅で多く発生している[21]。具体的には文化財を食害するほか、糞による汚染害が知られる[22]。
前述の通り熱帯原産であり、耐寒性は低い。その為、主に南西諸島や小笠原諸島で多く生息するが、北海道から九州にかけての地域でも、厨房内等での発生が知られる。
人間との関わり
[編集]害虫である為、駆除されることが多い。駆除の研究の為に研究室で飼育されることもある。少数ではあるが、ゴキブリの愛好家の中には趣味で本種を飼育する者も存在する。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b species Periplaneta australasiae (Fabricius, 1775)Beccaloni, G. W., Cockroach Species File Online(Version 5.0/5.0). 2023年3月6日閲覧。
- ^ synonym Blatta aurantiaca (Stoll, 1813)Beccaloni, G. W., Cockroach Species File Online(Version 5.0/5.0). 2023年3月6日閲覧。
- ^ Australian CockroachEncyclopedia of Life. 2023年3月9日閲覧。
- ^ synonym Blatta aurantiaca (Palisot de Beauvois, 1818)Beccaloni, G. W., Cockroach Species File Online(Version 5.0/5.0). 2023年3月6日閲覧。
- ^ synonym Periplaneta emittens Walker, 1871Beccaloni, G. W., Cockroach Species File Online(Version 5.0/5.0). 2023年3月6日閲覧。
- ^ synonym Periplaneta inclusa Walker, 1868Beccaloni, G. W., Cockroach Species File Online(Version 5.0/5.0). 2023年3月6日閲覧。
- ^ synonym Periplaneta repanda Walker, 1868Beccaloni, G. W., Cockroach Species File Online(Version 5.0/5.0). 2023年3月6日閲覧。
- ^ synonym Periplaneta subcincta Walker, 1868Beccaloni, G. W., Cockroach Species File Online(Version 5.0/5.0). 2023年3月6日閲覧。
- ^ synonym Polyzostesteria subornata Walker, 1871Beccaloni, G. W., Cockroach Species File Online(Version 5.0/5.0). 2023年3月6日閲覧。
- ^ synonym Periplaneta zonata Haan, 1842Beccaloni, G. W., Cockroach Species File Online(Version 5.0/5.0). 2023年3月6日閲覧。
- ^ 緒方一喜「日本産衛生害虫の学名・普通名表」『衛生動物』第13巻第2号、日本衛生動物学会、1962年、134-152頁、doi:10.7601/mez.13.134。
- ^ 朝比奈正二郎「日本におけるゴキブリ類の研究の記録補遺」『衛生動物』第15巻第3号、日本衛生動物学会、1964年、205-207頁、doi:10.7601/mez.15.205。
- ^ a b c d e f コワモンゴキブリ株式会社環境コントロールセンター、2023年3月7日閲覧。
- ^ a b c 小林益子『ゴキブリにおける線虫感染に関する研究』 麻布大学〈博士(学術) 甲第77号〉、2021年、14頁。NDLJP:11711185 。
- ^ a b c Australian cockroach - Periplaneta australasiaeInstitute of Food and Agricultural Sciences, University of Florida. 2023年3月8日閲覧。
- ^ a b c 小松謙之、須田章浩「湧水槽内で発生したコワモンゴキブリの防除と国内事例」『ペストロジー』第36巻第2号、日本ペストロジー学会、2021年、67-69頁、doi:10.24486/pestology.36.2_67。
- ^ 中野敬一「1.都市屋外におけるキョウトゴキブリとコワモンゴキブリの捕獲事例(一般講演,日本家屋害虫学会第33回年次大会講演要旨)」『都市有害生物管理』第2巻第1号、日本家屋害虫学会、2012年、55-56頁。NDLJP:10508204
- ^ Periplaneta australasiaeCABI Digital Library、2019年11月20日。2023年3月8日閲覧。
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- ^ 緒方一喜、田中生男 author3=小川智儀「ゴキブリのすみつき要因に関する研究 第1報 家住性ゴキブリのすみわけ実態調査成績」『衛生動物』第26巻第4号、日本衛生動物学会、1975年、241-245頁、doi:10.7601/mez.26.241。
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- ^ 山野勝次「昆虫学講座 第5回 ゴキブリ目」 (PDF) 『文化財の虫菌害』62号、2011年12月、p.35