ケシ科
ケシ科 | |||||||||||||||
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Meconopsis simplicifolia
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分類(APG III) | |||||||||||||||
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属 | |||||||||||||||
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ケシ科(ケシか、Papaveraceae)は、一年草または多年草で、双子葉植物に属する科。また、一部は小型の低木。葉は羽状裂(羽のような形に、切れ込み)のある葉の裂片周囲に鋸歯がある葉を持つまた、果実は蒴果または痩果となる。双子葉植物に属する科。北半球の暖帯から亜寒帯に多く、約40属800種ある[1]。医薬品で強力なオピオイド鎮痛剤の麻薬(モルヒネ)原料のアヘンを含むケシをはじめとして、プロトピンやサンギナリンなどの麻薬、麻酔薬である成分の各種アヘンアルカロイドを含み、重要な薬効成分であるのだが、そのままの使用では有毒になる物質を含む種が多い。
分類の経過
[編集]近縁な群としてケマンソウ亜科があり、これはケマンソウ亜科として含める(新エングラー体系)。クロンキスト体系ではこの広義ケシ科をケシ目としている。現在のAGPIIIではケシ科に含めている。花の形態が、キンポウゲ科に類似する種と、フウチョウソウ科やアブラナ科に類似する種があるため、ケシ科はこれら2つの群を進化的に結ぶものと考えられてきた。しかし近年の分子系統学的研究から、アブラナ目とは直接は関係ないことが明らかになり、APG植物分類体系ではケシ科をキンポウゲ目に入れている。
下位分類
[編集]分類方法の参考元は英語版のWikipedhiaを翻訳したものになる。各属の分類根拠については、各亜科のページを参照していただきたい。
ケマンソウ亜科(Fumarioideae)
[編集]かつてはケマンソウ科という独立した科だったがAPG体系ではケシ科の亜科としている。薬草のエンゴサクや、観賞されるケマンソウ、ヒマラヤエンゴサクなどを含む。
ヒペコウム連(Hypecoeae)
[編集]- オサバグサ属(Pteridophyllum)
- オサバグサ(Pteridophyllum racemosum)
- ヒペコウム属(Hypecoum)
フマリア連(Fumarieae)
[編集]- コリダリス亜連(Corydalinae)
- アドルミア属(Adlumia)
- イクティオセルミス属(Ichtyoselmis)
- エーレンドルフェリア属(Ehrendorferia)
- カプノイデス属(Capnoides)
- キケマン属(Corydalis)
- エゾエンゴサク(Corydalis fumariifolia)
- エゾオオケマン(Corydalis curvicalcarata)
- エゾキケケマン(Corydalis speciosa)
- オトメエンゴサク(Corydalis fukuharae)
- キンキエンゴサク(Corydalis papilligera)
- コリダリス・ソリダ(Corydalis solida)
- シマキケマン(Corydalis balansae)
- ジロボウエンゴサク(Corydalis decumbens)
- チドリキケマン(Corydalis kushiroensis)
- ツクシキケマン(Corydalis heterocarpa)
- ツルケマン(Corydalis ochotensis)
- ナガミノツルケマン(Corydalis raddeana)
- ヒマラヤエンゴサク(Corydalis flexuosa)
- フウロキケマン(Corydalis pallida)
- ミヤマキケマン(orydalis pallida var. tenuis)
- ホザキキケマン(Corydalis racemosa)
- ミチノクエンゴサク(Corydalis orthoceras)
- ムラサキケマン(Corydalis incisa)
- ヤマエンゴサク(Corydalis lineariloba)
- ヤマキケマン(Corydalis ophiocarpa)
- ケマンソウ属(Lamprocapnos)
- ケマンソウ(Lamprocapnos spectabilis)
- コマクサ属(Dicentra)
- ダクティリカノプス属(Dactylicapnos)
- フマリア亜連(Fumariinae)
ケシ亜科(Papaveroideae)
[編集]かつてアヘンに使用されたケシや、あへん法で栽培が原則禁止のアツミゲシ、ケシ、神秘的な青色の花を咲かせるメコノプシス、外来種として猛威を振るうナガミヒナゲシ、切り花などで利用されるアイスランドポピー、ハナビシソウ、ハンネマニアなどを含む。クサノオウなどもこの亜科に含む。
エッシュショルチア連(Eschscholzieae)
[編集]ケシ連(Papavereae)
[編集]- アザミゲシ属(Argemone)
- アルクトメコン属(Arctomecon)
- オレオメコン属(Oreomecon)※近年ケシ属から分離。
- カンビヤ属(Canbya)
- ケシ属(Papaver)
- アツミゲシ(Papaver setigerum)
- ウェルリッシュポピー(Papaver cambrica)※かつてはメコノプシス属のタイプ種だった。
- オニゲシ(Papaver orientale)
- ケシ(Papaver somniferum)※狭義のケシ。
- スヴァールバルポピー(Papaver dahlianum)
- タカネヒナゲシ(Papaver alpinum)
- チシマヒナゲシ(Papaver miyabeanum)
- トゲミゲシ(Papaver hybridum)
- ナガミヒナゲシ(Papaver dubium)
- ハカマオニゲシ(Papaver bracteatum)
- ヒナゲシ(Papaver rhoeas)
- モンツキヒナゲシ(Papaver commutatum)
- リシリヒナゲシ(Papaver fauriei)
- メコノプシス属(Meconopsis)
- ロムネヤ属(Romneya)
- ロメリア属(Roemeria)
ケリドニウム連(Chelidonieae)
[編集]- クサノオウ属(Chelidonium)
- サンギナリア属(Sanguinaria)
- シラユキゲシ属(Eomecon)
- スティロフォルム属(Stylophorum)
- タケニグサ属(Macleaya)
- ツノゲシ属(Glaucium)
- ディクラノスティグマ属(Dicranostigma)
- ボッコニア属(Bocconia)
- ヤマブキソウ属(Hylomecon)※クサノオウ属に分類される場合もある。
プラティステモン連(Platystemoneae)
[編集]- プラティステモン属(Platystemon)
- ヘスペロメコン属(Hesperomecon)
- メコネラ属(Meconella)
ギャラリー
[編集]ケマンソウ亜科
[編集]-
オサバグサ
-
エゾエンゴサク
-
オトメエンゴサク
-
シマキケマン
-
ジロボウエンゴサク
-
キケマン
-
ツルキケマン
-
ナガミノツルケマン
-
ヒマラヤエンゴサク
-
ミヤマキケマン
-
ミチノクエンゴサク
-
ムラサキケマン
-
ヤマエンゴサク
-
コマクサ
-
ケマンソウ
ケシ亜科
[編集]-
ハナビシソウ
-
ヒメハナビシソウ
-
ハンネマニア
-
アザミゲシ
-
アイスランドポピー
-
アツミゲシ
-
オニゲシ
-
ウェルリッシュポピー
-
スヴァールバルポピー
-
トゲミゲシ
-
ナガミヒナゲシ
-
ハカマオニゲシ
-
ヒナゲシ
-
モンツキヒナゲシ
-
メコノプシス・ベトニキフォリア
-
メコノプシス・グランディス
-
メコノプシス・シンプシフォリア
-
メコノプシス・ガキーディアナ
-
メコノプシス・ホリドゥラ
-
メコノプシス・マナスルエンシス
-
クサノオウ
-
カナダケシ
-
タケニグサ
-
ヤマブキソウ
脚注
[編集]- ^ 福原達人 (2016)「ケシ科」『改訂新版 日本の野生植物 2』103頁。
参考文献
[編集]- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 2』、2016年、平凡社