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クリストファー・スティーブンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
John Christopher Stevens

クリストファー・スティーブンス
スティーブンスの肖像写真
生誕 1960年4月1日
アメリカ合衆国の旗 カリフォルニア州グラスバレー
死没 (2012-09-11) 2012年9月11日(52歳没)
リビアの旗 ベンガジ県ベンガジ
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身校 カリフォルニア大学
バークレー校
卒業 (B.A.)
カリフォルニア大学
ヘースティング法科大学院修了 (J.D.)
国防大学大学院修了 (M.S.)
職業 外交官
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クリストファー・スティーブンスJohn Christopher Stevens1960年4月1日 - 2012年9月11日)は、アメリカ合衆国弁護士外交官学位Juris Doctorカリフォルニア大学1989年)、Master of Science国防大学2010年)。

リビア駐箚アメリカ合衆国特命全権大使などを歴任した。

来歴

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生い立ちと学歴

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アメリカ合衆国のカリフォルニア州グラスバレーにて生まれた。カリフォルニア大学バークレー校卒業後、モロッコにてボランティア英語教師を務めた。その後、カリフォルニア大学ヘースティング法科大学院にてJuris Doctor(おおむね法務博士(専門職)に相当)を取得。その後は、コロンビア特別区にて国際貿易の弁護士として活動する。なお、後年には国防大学にてMaster of Science(おおむね理学修士に相当)を取得。英語アラビア語、およびフランス語を操る。

外交官として

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1991年より外交官としてのキャリアをスタートさせ、イスラエルモロッコエジプト、など中東各国などを担当した。リビア駐箚アメリカ合衆国特命全権大使としてリビアに赴任。普段はリビアの首都であるトリポリ県トリポリにある在リビア大使館にて執務していた。しかし、2012年9月11日、ベンガジ県ベンガジにある在ベンガジ領事館をたまたま訪れたところ、手に武器を取ったリビアの民衆らによって在ベンガジ領事館が襲撃され大爆発、大炎上し[1]、この際に死亡した。

当初、スティーブンスは在ベンガジ領事館から自動車で脱出しようとしたところを、ロケット砲を撃ち込まれ殺害されたと報じられていた[2]。 しかし、意識不明の状態で本館内からスティーブンスが救出された瞬間が写真に撮られており、それをフランス通信社が配信したことから実際にはスティーブンスだけがたった1名で本館内に取り残されており、火事の煙に巻かれて亡くなっていたことが明らかになった[3]。同様に、リビア内務省次官のシェレフも、スティーブンスの死因は煙を吸い込んだことによる窒息死だと説明している[4]

死を巡る動き

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アメリカ政府の混乱
当初、アメリカ合衆国国務長官ヒラリー・クリントンは、在リビア米領事館の職員が1名死亡したと発表していた[5]。2012年9月11日(アメリカ現地時間)の深夜、クリントンは声明を発表し、そのなかで国務省に所属する領事館の職員が1名死亡したと述べていた[5]。ところが、実際には領事館の職員が3名が死亡するとともに、特命全権大使であるスティーブンスまでが死亡していた。しかし、4名死亡との情報を得たトムソン・ロイターが在リビア大使館に取材したところ、大使館は「その件に関する情報は得ていない」[6] と述べたうえで、1名の死亡のみ確認できたと回答するなど[6]、国務省や在リビア大使館の対応に遅れや混乱がみられた。一方、バラク・オバマは沈黙を守ったものの、2012年9月12日(アメリカ現地時間)の昼になってから声明を発表し、「このような無分別な暴力は正当化されない」[7] と主張した。さらに、実行犯らに対して「裁きを下す」[7] と主張するなど処罰する考えを明らかにしたが、その具体策や詳細については何も明らかにすることはなかった[8]

人物

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本名は「John Christopher Stevens」であるが、日本語では「クリストファー・スティーブンス」と表記するのが一般的である。これはスティーブンスが英語表記において「John」の部分を略して名乗ることが多いからである。たとえば、国務省の公式ウェブサイトにおいても、スティーブンスを紹介するページの冒頭にて「J. Christopher Stevens」[9] と記載されており、「John」の部分が省略して書かれている。

脚注

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  1. ^ “在リビア米領事館 暴動で炎上 武装群集が乱入”. テレビ朝日. (2012年9月11日). http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220912037.html 
  2. ^ “米領事館襲撃で大使ら4人死亡=預言者冒涜の映画に反発-リビア”. 時事. (2012年9月12日). https://web.archive.org/web/20150426160750/http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012091200814 
  3. ^ “炎上する領事館内に取り残された駐リビア米国大使、死の真相は”. AFP. (2012年9月13日). https://www.afpbb.com/articles/-/2900513 
  4. ^ 北川学・望月洋嗣「米大使ら4人死亡――リビア襲撃米大統領が非難」『朝日新聞』45389号、14版、朝日新聞東京本社、2012年9月13日、1面。
  5. ^ a b “リビアでも米領事館襲撃、職員1人死亡 「預言者冒とく」の映画に抗議”. CNN (ターナー・インターナショナル・ジャパン). (2012年9月12日). https://www.cnn.co.jp/world/35021671.html 
  6. ^ a b “駐リビア米国大使と職員3人、ベンガジのロケット弾攻撃で死亡=リビア当局者”. ロイター. (2012年9月12日). https://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK823152120120912/ 
  7. ^ a b 犬塚陽介 (2012年9月13日). “駐リビア米大使殺害で「裁き下す」 オバマ大統領が宣言”. 産経デジタル. オリジナルの2012年9月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120913011527/http://sankei.jp.msn.com/world/news/120913/mds12091301080000-n1.htm 
  8. ^ Margaret Coker、Adam Entous、Julian Barnes (2012年9月13日). “駐リビア米国大使ら殺害、中東全域に緊張高まる”. ウォール・ストリート・ジャーナル・ジャパン. http://jp.wsj.com/World/Europe/node_511214 
  9. ^ Biography - ウェイバックマシン(2012年7月12日アーカイブ分)