ギンレイカ
ギンレイカ | |||||||||||||||||||||||||||
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福島県浜通り地方 2021年6月中旬
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Lysimachia acroadenia Maxim.[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ギンレイカ(銀鈴花)[2][3][4] |
ギンレイカ(銀鈴花、学名:Lysimachia acroadenia)は、サクラソウ科オカトラノオ属の多年草。別名、ミヤマタゴボウ(深山田牛蒡)[2][3][4]。
特徴
[編集]茎は四角形で稜があり、直立し、上部で分枝して高さは30-70cmになる。茎や葉の裏面には一面に紫褐色の細点がある。葉は互生し、質は軟らかく、葉身は広披針形または狭卵形で、長さ5-10cm、幅1-3cm、先端は鋭くとがり、基部はしだいに狭まり、翼のある葉柄につづく。葉柄は長さ1-2cmになる[2][3][4]。
花期は6-7月。枝先に総状花序をつけ、10-30個の小さな花をまばらにつける。花序軸から出る花柄の基部に糸状線形の苞があり、長さは花時の花柄の半分となる。花柄は広く開出し、花期に長さ3-6mmでやや下向きであるが、果期には長さ10-15mmに伸長して斜め上に向く。花冠は赤みをおびた白色で5裂し、開花時にもあまり開かず、花冠裂片は狭長楕円形で長さ5-6mm、先端は円く基部は狭くなる。萼は深く5裂し、裂片は狭披針形になり先端は鋭くとがり、長さは花冠より短い。雄蕊は5個あり、花冠と同じ長さかやや長い。花柱は1個あり、直立して雄蕊よりわずかに短い。果実は蒴果で径5mmの球形となり、熟すと先が5裂し、小さな種子を出す[2][3][4]。
茎の上部や花序軸、花柄には粒状の腺毛が散生し[4]、学名(種小名)acroadenia 「先端に腺のある」の由来となる。
分布と生育環境
[編集]日本では、本州、四国、九州に分布し、山地の湿り気の多い日陰に生育する[2][3][4]。国外では、韓国の済州島に分布する[2][4]。
名前の由来
[編集]和名ギンレイカは「銀鈴花」の意、また別名のミヤマタゴボウは「深山田牛蒡」の意[2]。ミヤマタゴボウの名前は、1856年(安政3年)に出版された飯沼慾斎の『草木図説』に出てくる[5]。牧野富太郎 (1940) は、『牧野日本植物圖鑑』(初版)において、「和名ハ銀鈴花乎、又深山田牛蒡乎、而シテ此名共ニ能ク其眞ヲ顕ハサザルニハ非ザル乎ヲ想フ」と述べ[6]、両方の名前ともこの植物の名前を表すにはふさわしいとは思わない、としている[2]。
種小名(種形容語)acroadenia は、「先端に腺のある」の意味[7]。
ギャラリー
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枝先に総状花序をつけ、小さな花をまばらにつける。花柄の基部に糸状線形の苞がある。花柄は広く開出し、花期にやや下向きになる。
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花冠は赤みをおびた白色で5裂し、開花時にもあまり開かない。雄蕊は花冠と同じ長さかやや長い。
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葉の表面。葉身は広披針形または狭卵形で、先端は鋭くとがり、基部はしだいに狭まり、翼のある葉柄につづく。
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葉の裏面。一面に紫褐色の細点がある。
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果実は蒴果で径5mmの球形となり、果柄は斜め上に向く。
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水が集まるやや湿った場所に群生しているようす。
類似種
[編集]シマギンレイカ(島銀鈴花)[8]Lysimachia decurrens G.Forst.[9] - 本種ギンレイカに似るが、ギンレイカより花がやや小さく、雄蕊は花冠より長く花冠の外に長く突き出てる点で異なる。また、花柄はほとんど無毛。果時の花柄、つまり果柄はやや下向きになる。屋久島・種子島から琉球諸島、中国大陸(南部)、台湾、東南アジアに広く分布する[4]。
脚注
[編集]- ^ ギンレイカ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f g h i 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.922
- ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.370
- ^ a b c d e f g h 高橋英樹 (2017)「サクラソウ科」『改訂新版 日本の野生植物 4』p.194
- ^ 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(3)、コマ番号72/76、国立国会図書館デジタルコレクション-2021年8月12日閲覧
- ^ ぎんれいくわ、牧野富太郎著 (1940)『牧野日本植物圖鑑』p.231、牧野日本植物図鑑インターネット版、高知県立牧野植物園
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1482
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.923
- ^ シマギンレイカ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
参考文献
[編集]- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』、2017年、平凡社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ぎんれいくわ、牧野富太郎著 (1940)『牧野日本植物圖鑑』p.231、牧野日本植物図鑑インターネット版、高知県立牧野植物園
- 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(3)、コマ番号72/76、国立国会図書館デジタルコレクション-2021年8月13日閲覧