キッチン友
キッチン友 | |
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2021年8月28日撮影 | |
店舗概要 | |
所在地 |
〒221-0802 神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-7-21 |
座標 | 北緯35度29分20.4秒 東経139度37分36.5秒 / 北緯35.489000度 東経139.626806度座標: 北緯35度29分20.4秒 東経139度37分36.5秒 / 北緯35.489000度 東経139.626806度 |
開業日 | 1965年1月4日[3][4] |
店舗数 | 1 |
営業時間 |
12:00 - 14:30 17:30 - 20:00 |
商圏人口 | 2人[1][2] |
最寄駅 | 東急電鉄東横線 白楽駅[5] |
キッチン友(キッチンとも)は、日本の大衆食堂。神奈川県横浜市神奈川区六角橋に所在する[5]。夫妻2人で営む老舗の洋食店であり[1][3]、ソース類まで手作りにこだわる味で[2][3]、地元住民の客をはじめ、遠方からの客にも人気を博している[6]。
沿革
[編集]店主の大友良祐は、16歳で生地の秋田から上京して[7]、パン屋に就職したが、その店が半年で閉店した[3]。惣菜パンを作っていたことから、当時の知人の伝手やそれにまつわる流れによって、東京都の洋食店「キッチンカロリー」で働いて腕を磨いた[3][7]。
4年後に独立[3][8]、学生街を標的として、神奈川大学近隣である六角橋への出店を決意し[8][9]、前の店主から引き継ぐ形で[10]、1965年(昭和40年)1月4日にこの「キッチン友」を開店させた[3]。以来、半世紀以上にわたって、夫妻で店を営業している[11]。店のアルバイトも神奈川大学の学生が多く、卒業時に後輩を紹介することで、神奈川大生のアルバイトが途切れることはなかった[9]。店内の広告も、神奈川大生がメニューを一つ一つ、手作りしたものである[9]。
神奈川大学の学生食堂が改装された後は、学生客の数が減り[10]、独身層や家族層が中心となったものの[12]、手作りに拘り続ける味を求めて、学生や近隣の六角橋商店街の人々が店を訪れている[10]。店主の妻の人柄に惹かれて訪れる客[2]、休日に遠方から訪れる客も多い[6]。キッチンカロリーが明治大学の近隣である神田駿河台や御茶ノ水駅前、神田小川町などで学生を中心に人気を得ていたことから、若年時にその界隈でカロリーの味を覚え、成人後に本店を訪れて「神田の味がする」との客の声も聞かれる[9]。
2012年(平成24年)にはテレビドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京)で登場したことで、日本全国的な知名度が上昇した[13]。2020年(令和2年)の新型コロナウイルスの影響拡大以降は、テイクアウトにも対応している[14]。
2022年(令和4年)8月には、アイティメディアのネットニュース「ねとらぼ」で、Googleクチコミのユーザー評価とクチコミ件数に基づいて作成された「神奈川県の洋食の名店」ランキングにおいて、第8位に選ばれた[15]。
特徴
[編集]牛肉、豚肉、魚料理、カレーライス、チキンライス、スパゲティなど、数十種類以上の洋食メニューが提供されている[10]。エッセイストの今柊二は、過去に神奈川区の白楽に住んでいた頃よりこの店を愛用しており、白楽を訪れて「洋食を食べたい」と思ったときにはこの店に来ると語っている[5]。オーソドックスな洋食からオリジナルメニューまで、味付けは日本人向けに施されている[3][16]。出来合いの食材は一切使用せず[3]、マヨネーズ[3][10]、ドレッシング、出汁もすべて手作りであり、ドミグラスソースは創業時から継ぎ足して使用されている[2]。
鉄板焼きのメニューを売りとしている[4]。中でも一番人気は、店の名を冠した「スペシャル友風焼き」である[17]。これは、店主の修行先「キッチンカロリー」で提供されていた、牛肉やタマネギの鉄板焼き「カロリー焼き」をもとにしたもので[9]、この店のオリジナルの鉄板焼き料理である[10]。醤油と白ワインを合わせた特製のタレで豚肉を焼き、その上に炒めたタマネギを、肉が見えなくなるほどの山盛りに盛りつけている[11]。カラフルな付け合わせ野菜と、タレが豊富に染み込んだパスタと[9][11]、空腹の学生客も満足させるボリューム感で人気がある[4][11]。「変わらないこの味に会いに来ました」という常連客や学生客も多い[11]。2020年(令和2年)にはテレビ番組『たけしのニッポンのミカタ!』(テレビ東京)により、六角橋商店街の「激うまグルメベスト3」の一つとして紹介された[18]。
ジャンボジェット機(ボーイング747)が初飛行した年に誕生した「ジャンボランチ」は[6][12]、ハンバーグ、エビフライ、鶏のから揚げ、ポークカツ、目玉焼きが豪華に盛られており[16]、客の心を驚かせるとして「大人のお子様ランチ」とも表現され[1][12]、「童心に帰れるメニュー」との声もある[1]。名称は「ランチ」だが、昼食に限らず1日中注文することが可能である[1]。
カゴメによる「おすすめ! ナポリタンが美味しいお店」の一つにも選ばれている[19]。この店のナポリタンは、特製のドミグラスソースとカゴメトマトケチャップを1対1とした特製ソース仕立てであり[8][9]、ドミグラスソースの茶色の強い、洋食屋らしい一工夫が施されている[8]。2017年(平成29年)10月には、ナポリタンを横浜名物として定着させようと活動を続ける市民団体「日本ナポリタン学会」により、神奈川区で初めて学会認定店舗として認定された[13][20]。
店内は、昭和時代を彷彿させる懐古的な内装であり[10]、それでいて調理器具、調理台、換気扇に至るまで、清潔さが保たれている[3][6]。これは「飲食店なので、店は古くても、料理を出すところは清潔でなくてはいけない」との、店主夫妻の拘りによる[3]。落ち着きのある、家庭的な店内の雰囲気も評価されている[4]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e 山本 & 笹木 2014, pp. 39–40
- ^ a b c d “「スーパーJチャンネル」2015年12月11日(金)放送内容”. 価格.com. カカクコム (2015年12月11日). 2021年9月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l クドー・シュンサク (2015年5月11日). “洋食の街、横浜の料理人に密着「横浜コック宝」白楽「キッチン友」編”. はまれぽ.com. アイ・ティ・エー. 2021年9月6日閲覧。
- ^ a b c d 詳細地図で歩きたい町 横浜 2014, p. 88
- ^ a b c 今 2012, pp. 95–97
- ^ a b c d “【なつかしグルメ】地元の懐かし洋食についてシェフとお話! イチオシ3選”. ウォーカープラス. KADOKAWA (2017年12月15日). 2021年9月6日閲覧。
- ^ a b 田中 2018, pp. 44–45
- ^ a b c d 田中健介 (2019年12月10日). “『はま太郎』の『ナポリタンボウ』後編”. ヨコハマNOW. 2021年9月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g 田中 2018, pp. 46–47
- ^ a b c d e f g 『孤独のグルメ』巡礼ガイド 2015, pp. 61–63
- ^ a b c d e 斉藤大起「かながわ定食紀行 特別座談会 ラジオと、あの日の横浜」『神奈川新聞』神奈川新聞社、2020年12月20日、4面。
- ^ a b c 田中 2018, pp. 48–49
- ^ a b “【イベント告知】神奈川区初の認定店!「キッチン友」認定式10/21(土)六角橋商店街連合会「ドッキリヤミ市場」ステージで行います!”. 日本ナポリタン学会 (2017年12月20日). 2021年9月6日閲覧。
- ^ 田中健介 (2020年5月10日). “コロナ、ばかやろう”. ヨコハマNOW. 2021年9月6日閲覧。
- ^ “「神奈川県の洋食の名店」ランキングTOP10! 1位は「サンロード」【2022年8月版】”. ねとらぼ. アイティメディア. p. 2 (2022年8月9日). 2022年8月13日閲覧。
- ^ a b クドー・シュンサク (2014年4月13日). “横浜市内のアットホームで美味しい洋食屋さんはどこ?「東急東横線沿線」編 第2弾”. はまれぽ.com. 2021年9月6日閲覧。
- ^ “13位 キッチン 友”. 出没!アド街ック天国. テレビ東京 (2012年6月9日). 2021年9月6日閲覧。
- ^ “元気すぎるレトロ商店街〈激うまグルメベスト3?を紹介! ビールもついてこの値段?”. たけしのニッポンのミカタ!. テレビ東京 (2020年8月14日). 2021年9月6日閲覧。
- ^ “おすすめ! ナポリタンが美味しいお店”. カゴメ. 2021年9月6日閲覧。
- ^ “キッチン友”. 六角橋商店街. 2021年9月6日閲覧。
参考文献
[編集]- 今柊二『かながわ定食紀行 もう一杯!』神奈川新聞社〈かもめ文庫〉、2012年10月1日。ISBN 978-4-87645-496-9。
- 週刊SPA!『孤独のグルメ』取材班『『孤独のグルメ』巡礼ガイド』 2巻、扶桑社、2015年9月29日。ISBN 978-4-594-61017-3。
- 田中健介「キッチン友」『はま太郎』第15号、星羊社、2018年8月30日、全国書誌番号:01043406。
- 山本あり、笹木理恵『まんぷく横浜』KADOKAWA〈メディアファクトリーのコミックエッセイ〉、2014年6月20日。ISBN 978-4-04-066771-3。
- 『詳細地図で歩きたい町 横浜』JTBパブリッシング〈JTBのMOOK〉、2014年11月1日。ISBN 978-4-533-10034-5。