カリフォルニア湾の島々と自然保護区群
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サン・ルカス岬 | |||
英名 | Islands and Protected Areas of the Gulf of California | ||
仏名 | Îles et aires protégées du Golfe de Californie | ||
面積 |
688,558 ha (緩衝地帯 1,210,477 ha) | ||
登録区分 | 自然遺産 | ||
IUCN分類 | IIおよびVI | ||
登録基準 | (7), (9), (10) | ||
登録年 | 2005年 | ||
危機遺産 | 2019年 - | ||
備考 | 2007年と2011年に軽微な変更 | ||
公式サイト | 世界遺産センター | ||
地図 | |||
使用方法・表示 |
カリフォルニア湾の島々と自然保護区群(カリフォルニアわんのしまじまとしぜんほごくぐん)は、国際連合教育科学文化機関 (UNESCO) の世界遺産リスト登録物件で、その名が示すように、メキシコのコロラド川のデルタ地帯から南東方向のバハ・カリフォルニア半島の先端まで広がる長さ270 kmのカリフォルニア湾にある244の島々や海域に設定された保護区群を対象とする自然遺産である[1]。美しい自然環境の中で、独特の生態系が育まれていることなどが評価された。登録されている面積の7割以上が海域である[2]。
登録経緯
[編集]この物件が推薦されたのは2004年のことである[3]。世界遺産委員会の自然遺産部門の諮問機関である国際自然保護連合 (IUCN) は、2005年に「登録」を勧告し[4]、その年の第29回世界遺産委員会で正式登録が決議され、メキシコの25件目の世界遺産(自然遺産としては3件目)となった。
その後、第31回世界遺産委員会(2007年)と第35回世界遺産委員会(2011年)には「軽微な変更」(monor modification) が行われ、世界遺産の登録範囲は順次拡大した。
登録名
[編集]世界遺産としての正式登録名は、英語: Islands and Protected Areas of the Gulf of California および フランス語: Îles et aires protégées du Golfe de Californieである。その日本語訳は資料によって以下のような違いがある。
- カリフォルニア湾の島々と自然保護区群 - 世界遺産アカデミー[5]
- カリフォルニア湾の島々と自然保護区 – 世界遺産なるほど地図帳[6]
- カリフォルニア湾の島々と保護地域群 - 日本ユネスコ協会連盟[7]
- カリフォルニア湾の島々と保護地域 – 日高健一郎[8]ほか[9]
- カリフォルニア湾の島々と保護区域群 - 谷治正孝[10]
- カリフォルニア湾の諸島と保護地域 - 古田陽久・古田真美[11]
構成資産
[編集]この世界遺産を構成するのは、以下の12件である[12]。
ID | 名称 | 所在地 | 面積(単位 : ha) (下段は緩衝地帯) |
IUCN カテゴリー |
備考 | 登録年 |
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1182-001 | カリフォルニア湾の島々 | バハ・カリフォルニア州、バハ・カリフォルニア・スル州、ソノラ州、シナロア州 | 358,000 | VI | 1995年にユネスコの生物圏保護区に指定されたが[13]、2020年に登録が撤回された[14]。ラサ島は2006年より[15]、インフィエルニージョ海峡は2009年よりラムサール条約登録地[16]。 | 2005年 |
Islands of the Gulf of California | ―― | |||||
1182-002 | カリフォルニア湾奥 - コロラド川三角州(海域) | バハ・カリフォルニア州、ソノラ州 | 86,638 | VI | コロラド川の三角州を含む。1993年にアダイル湾一帯はエル・ピナカテ・イ・グラン・デシエルト・デ・アルタル生物圏保護区と共にユネスコの生物圏保護区に指定された[17]。アダイル湾は2009年[18]、サン・ホルヘ湾は2010年よりラムサール条約登録地[19]。 | |
Upper Gulf of California - Colorado River Delta (marine portion) | 454,591 | |||||
1182-003 | サン・ペドロ・マルティル島 | ソノラ州 | 1,111 | VI | 2004年よりラムサール条約登録地[20]。 | |
Isla San Pedro Martir | 29,054 | |||||
1182-004 | エル・ビスカイノ(カリフォルニア湾の海洋・沿岸地帯)[注釈 1] | バハ・カリフォルニア・スル州 | 49,451[注釈 2] | VI | 1993年にユネスコの生物圏保護区に指定された[21]。オホ・デ・リエブレ湖とサン・イグナシオ湖の2つの潟湖は2004年にラムサール条約登録地となった[22]。 | |
El Vizcaíno (marine and coastal belt in the Gulf of California) | ―― [注釈 2] | |||||
1182-005 | ロレト湾 | 206,581 | II | 2004年よりラムサール条約登録地[23]。 | ||
Bahía de Loreto | ―― | |||||
1182-006 | プルモ岬 | 7,111 | II | 2008年よりラムサール条約登録地[24]。一帯のサンゴ礁はカリフォルニア湾と東太平洋で最も重要なサンゴ礁の1つである[1]。 | ||
Cabo Pulmo | ―― | |||||
1182-007 | サン・ルカス岬 | 3,996 | VI | |||
Cabo San Lucas | ―― | |||||
1182-008 | マリアス諸島 | ナヤリット州 | 14,854 | VI | 2010年にユネスコの生物圏保護区に指定された[25]。 | |
Islas Marias | 626,440 | |||||
1182-009 | イサベル島 | 194 | II | 2003年よりラムサール条約登録地[26]。 | ||
Isla Isabel | ―― | |||||
1182-010bis | サン・ロレンソ群島 | バハ・カリフォルニア州 | 8,806 | II | ラサ島は2006年よりラムサール条約登録地[15]。 | 2007年 |
Archipelago of San Lorenzo | 49,637 | |||||
1182-011bis | マリエタス諸島 | ナヤリット州 | 79 | II | 2004年よりラムサール条約登録地[27]。2008年にユネスコの生物圏保護区に指定された[28]。 | |
Islas Marietas | 1,304 | |||||
1182-012ter | バランドラ生態系保全・入会地 | バハ・カリフォルニア・スル州 | 1,197 | 2008年よりラムサール条約登録地[29]。 | 2011年 | |
Balandra Zone of Ecological Conservation and Community Interest | ―― |
登録基準
[編集]この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。
- (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
- この基準の適用理由は、「この連続性のある資産は、表面上は荒涼とした起伏のある島々、海岸砂漠、そしてそれらを囲む紺碧の水域からの輝ける反射の、劇的なコントラストのある瞠目すべき景観美に属している」[30]等とされている。
- (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
- (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
危機遺産
[編集]この資産は、カリフォルニア湾の固有種であるコガシラネズミイルカ絶滅の恐れを理由として、第43回世界遺産委員会で危機遺産リストに記載された[33]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ エル・ビスカイノ生物圏保護区は、保護区内の2つの潟湖が「エル・ビスカイノのクジラ保護区」という別の世界遺産になっている。
- ^ a b 世界遺産センターでは資産面積が空欄で、緩衝地帯が49,451(2019年7月14日閲覧)。UNEP-WCMC 2011では、資産範囲が49,451で緩衝地帯がなし。
出典
[編集]- ^ a b c d “Islands and Protected Areas of the Gulf of California” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年5月6日閲覧。
- ^ UNEP-WCMC 2011, p. 5
- ^ IUCN 2005, p. 55
- ^ IUCN 2005, p. 62
- ^ a b c 世界遺産検定事務局 2016, p. 411
- ^ 『新訂版 世界遺産なるほど地図帳』講談社、2012年、p.140
- ^ a b 日本ユネスコ協会連盟 2006, p. 29
- ^ 日高 2014, p. 733
- ^ 正井泰夫監修『今がわかる時代がわかる世界地図・2006年版』成美堂出版、2006年、p.147
- ^ 谷治正孝監修『なるほど知図帳・世界2013』昭文社、2013年、p.160
- ^ 古田 & 古田 2013, p. 174
- ^ 世界遺産ID、英語名、面積はIslands and Protected Areas of the Gulf of California - Multiple Locations(世界遺産センター、2019年7月14日閲覧)に、IUCNカテゴリーと所在地はUNEP-WCMC 2011(バランドラの所在地のみIUCN 2011)による。
- ^ “Islas del Golfo de California Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年10月). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Baja's Gulf of California is No Longer a UNESCO Biosphere Reserve – Here's Why” (英語) (2023年3月1日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ a b “Isla Rasa | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2006年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Canal del Infiernillo y esteros del territorio Comcaac | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2009年11月27日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Alto Golfo de California & El Pinacate Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年10月). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Humedales de Bahía Adair | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2009年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Humedales de Bahía San Jorge | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2011年1月1日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Isla San Pedro Mártir | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2004年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “El Vizcaino Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年10月). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Laguna Ojo de Liebre | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2004年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Parque Nacional Bahía de Loreto | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2004年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Parque Nacional Cabo Pulmo | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Islas Marías Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年12月18日). 2023年3月28日閲覧。
- ^ “Parque Nacional Isla Isabel | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2003年11月27日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Islas Marietas | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2004年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ “Islas Marietas Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年12月18日). 2023年3月28日閲覧。
- ^ “Balandra | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年2月2日). 2023年3月25日閲覧。
- ^ World Heritage Centre 2013, p. 49から一部を翻訳の上、引用。
- ^ “SDNHM - Pachycereus pringlei (Cardon)” (スペイン語). www.sdnhm.org. 2023年5月5日閲覧。
- ^ World Heritage Centre 2013, p. 49
- ^ The Islands and Protected Areas of the Gulf of California (Mexico) inscribed on the List of World Heritage in Danger(世界遺産センター、2019年7月14日)
参考文献
[編集]- IUCN (2005), IUCN Evaluations of nominations of natural and mixed properties to the World Heritage List (WHC-02/CONF.202/INF.5)
- IUCN (2011), IUCN Evaluations of nominations of natural and mixed properties to the World Heritage List (WHC-11/35.COM/INF.8B2)
- UNEP-WCMC (2011), Mexico - Islands and Protected Areas of the Gulf of California (World Heritage Information Sheet), UNEP-WCMC(Download site)
- World Heritage Centre (2013), Adoption of retrospective Statements of Outstanding Universal Value (WHC-13/37.COM/8E)
- 世界遺産検定事務局『すべてがわかる世界遺産大事典〈下〉』マイナビ出版、2016年。ISBN 978-4-8399-5812-1。(世界遺産アカデミー監修)
- 日本ユネスコ協会連盟 編『世界遺産年報2006』平凡社、2006年。ISBN 4-582-71408-0。
- 日高健一郎(監訳)『世界遺産百科』柊風舎、2014年。ISBN 978-4-86498-015-9。
- 古田陽久; 古田真美『世界遺産事典 - 2014改訂版』シンクタンクせとうち総合研究機構、2013年。