カプシクム・キネンセ
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カプシクム・キネンセ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ハバネロの果実
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分類(APG IV, PhyloCode) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Capsicum chinense Jacq. | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
カプシクム・キネンセ[1][2] Capsicum chinense は小型の低木となるトウガラシ属の1種である[3]。ハバネロなどの唐辛子の品種はこの種に属する。
概要
[編集]アマゾン流域西部の起源であると考えられており、中央アメリカ、西インド諸島からブラジルにかけての低地で栽培される[3]。普通トウガラシと呼ばれるのは同属の Capsicum annuum で、本種はこれに近縁である[3]。また C. annuum は本種から分化した栽培型と考えられることもある[3]。
染色体数は 2n = 24[3]。江川・田中 (1984) は、本種とキダチトウガラシ C. frutescens との種間雑種は12"の対合と高い花粉稔性を示し、形態的も類似していることから、両種は別種ではなく同種と考えるべきであるとしている[4]。
品種
[編集]本種または本種を含む交雑種には以下のような栽培品種が知られている。
- 7-Pot chili(トリニダード島)
- 7-Pot Primo (ルイジアナ州)
- キャロライナ・リーパー Carolina Reaper(サウスカロライナ州)
- Adjuma(スリナム)
- Ají chombo(パナマ)
- Ají dulce (プエルトリコ、ベネズエラ)
- Arriba Saia(ブラジル)
- Datil (フロリダ州)
- Fatalii(アフリカ南部)
- ハバネロ Habanero chile(カリブ海、中央アメリカ、メキシコ)
- レッド・サビナ 'Red Savina'
- Cabai gendol(インドネシア)
- 海南黄灯笼椒 Hainan yellow lantern chili(海南島)
- Madame Jeanette(スリナム)
- ブート・ジョロキア Bhut jolokia(アッサム州、キダチトウガラシとの交雑種)
- ドーセット・ナーガ 'Dorset' Naga pepper(イギリス)
- Scotch bonnet(ジャマイカ、トリニダード)
- トリニダード・スコーピオン Trinidad scorpion (トリニダード島)
- SBカプマックス
- ドラゴンズ・ブレス Dragon's Breath(イギリス)
- ペッパーX Pepper X(サウスカロライナ州)
学名
[編集]学名の Capsicum chinense(「中国のトウガラシ」の意味)はオーストリア人の植物学者ニコラウス・フォン・ジャカン(Nikolaus Joseph von Jacquin, 1727–1817)が、この種を中国から入手した為に中国原産であると信じて1776年に誤って命名したとされる[5]。しかし、植物の学名についてのルールを決める国際藻類・菌類・植物命名規約において、学名の安定性のため、産地などが誤っていたとしても学名は変更できない[6]。
脚注
[編集]- ^ “カプシクム・キネンセ”. 熊本大学薬学部 薬草園 植物データベース. 2021年6月23日閲覧。
- ^ “種苗法施行規則”. 農林水産省. 2021年6月23日閲覧。
- ^ a b c d e 堀田ほか 2002, p. 215.
- ^ 江川・田中 1984, pp. 50–56.
- ^ Bosland, P.W. (1996), Capsicums: Innovative uses of an ancient crop, pp. 479-487 In: J. Janick, ed. Progress in new crops. Arlington, VA.: ASHS Press
- ^ 合法名は、その学名や形容語がふさわしくないとか気に入らないから、それよりも別の学名の方が好ましいとかよく知られているから、あるいはその学名が本来の意味を失ってしまったから、というだけの理由によって破棄してはならない (ICN 2018, Art. 51.1)。ICN (2018) における実例でも、実際に同様の例が取り上げられている:学名 Scilla peruviana L. (Sp. Pl.: 309. 1753) は、この種がペルーに自生していないというだけの理由で廃棄してはならない (ICN 2018, Art. 51.1 Ex. 3)。
参考文献
[編集]- Turland, N. J., Wiersema, J. H., Barrie, F. R., Greuter, W., Hawksworth, D. L., Herendeen, P. S., Knapp, S., Kusber, W.-H., Li, D.-Z., Marhold, K., May, T. W., McNeill, J., Monro, A. M., Prado, J., Price, M. J. & Smith, G. F., ed (2018). International Code of Nomenclature for algae, fungi, and plants (Shenzhen Code) adopted by the Nineteenth International Botanical Congress Shenzhen, China, July 2017. Regnum Vegetabile 159. Glashütten: Koeltz Botanical Books. doi:10.12705/Code.2018. ISBN 978-3-946583-16-5
- 江川宜伸、田中正武「トウガラシの3種, Capsicum chinense, C.frutescens 及び C.baccatum 間の細胞遺伝学的類縁関係に就いて」『育種学雑誌』第34巻第1号、日本育種学会、1984年、50-56頁、doi:10.1270/jsbbs1951.34.50、ISSN 0536-3683、NAID 130003478542。
- 堀田満ほか『世界有用植物事典』(オンデマンド版)平凡社、2002年8月1日(原著1989年8月25日)、215頁。ISBN 4582910599。