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オル・チキ文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オル・チキ文字 (Unicodeのブロック)
Ol Chiki
範囲 U+1C50..U+1C7F
(48 個の符号位置)
基本多言語面
用字 オル・チキ文字
主な言語・文字体系
割当済 48 個の符号位置
未使用 0 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
5.1 48 (+48)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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オル・チキ文字(オル・チキもじ、英語: Ol Chiki)は、Unicodeの63個目のブロック

解説

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インドビハール州オリッサ州西ベンガル州などの東インド地域やバングラデシュなどに居住するサンタル人が話すオーストロアジア語族サンタル語を表記するためのオル・チキ文字を収録している。1925年ラグナート・ムルムにより発明された比較的新たな文字体系である。

オル・チキ文字はインドの文字体系としては珍しく、音素文字のうち母音と子音にそれぞれ独立した文字が割り当てられたアルファベットに分類される。書字方向ラテン文字などと同様に左から右へと横書き(左横書き)し、下に行を送る。単語毎に分かち書きをする。

なお、子音字のうち有声子音を表す文字は語末及び別の子音字の前では喉頭化英語版した無声子音として読まれる。例えばU+1C5C ᱜ OL CHIKI LETTER AGは母音の前では音素[ɡ]を表すが、語末・子音の前では[kˀ]を表す。なお、語頭については原則喉頭化子音として読み、有声子音として読む場合にはU+1C7D ᱽ OL CHIKI AHADという記号を付加する。

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(オル・チキ数字)を有している。

符号位置の順序はおおむね伝統的なオル・チキ文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン5.1において初めて追加された。

収録文字

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コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
数字
U+1C50 OL CHIKI DIGIT ZERO オル・チキ文字における数字の0 0
U+1C51 OL CHIKI DIGIT ONE オル・チキ文字における数字の1 1
U+1C52 OL CHIKI DIGIT TWO オル・チキ文字における数字の2 2
U+1C53 OL CHIKI DIGIT THREE オル・チキ文字における数字の3 3
U+1C54 OL CHIKI DIGIT FOUR オル・チキ文字における数字の4 4
U+1C55 OL CHIKI DIGIT FIVE オル・チキ文字における数字の5 5
U+1C56 OL CHIKI DIGIT SIX オル・チキ文字における数字の6 6
U+1C57 OL CHIKI DIGIT SEVEN オル・チキ文字における数字の7 7
U+1C58 OL CHIKI DIGIT EIGHT オル・チキ文字における数字の8 8
U+1C59 OL CHIKI DIGIT NINE オル・チキ文字における数字の9 9
字母
U+1C5A OL CHIKI LETTER LA 音素[ɔ]を表す。 a
U+1C5B OL CHIKI LETTER AT 音素[t]を表す。 t
U+1C5C OL CHIKI LETTER AG 音素[ɡ]を表す。 g/k'
U+1C5D OL CHIKI LETTER ANG 音素[ŋ]を表す。
U+1C5E OL CHIKI LETTER AL 音素[l]を表す。 l
U+1C5F OL CHIKI LETTER LAA 音素[a]を表す。 ā
U+1C60 OL CHIKI LETTER AAK 音素[k]を表す。 k
U+1C61 OL CHIKI LETTER AAJ 音素[d͡ʒ]を表す。 j/c'
U+1C62 OL CHIKI LETTER AAM 音素[m]を表す。 m
U+1C63 OL CHIKI LETTER AAW 音素[ʋ]を表す。 w
U+1C64 OL CHIKI LETTER LI 音素[i]を表す。 i
U+1C65 OL CHIKI LETTER IS 音素[s]を表す。 s
U+1C66 OL CHIKI LETTER IH 音素[h]を表す。

有声子音字ではないが、有声子音字と同様の規則を持ち、語末・子音の前では[ʔ]と発音される。

h/ẖ[1]
U+1C67 OL CHIKI LETTER INY 音素[ɲ]を表す。 ñ
U+1C68 OL CHIKI LETTER IR 音素[r]を表す。 r
U+1C69 OL CHIKI LETTER LU 音素[u]を表す。 u
U+1C6A OL CHIKI LETTER UC 音素[c]を表す。 c
U+1C6B OL CHIKI LETTER UD 音素[d]を表す。 d/t'
U+1C6C OL CHIKI LETTER UNN 音素[ɳ]を表す。
U+1C6D OL CHIKI LETTER UY 音素[j]を表す。 y
U+1C6E OL CHIKI LETTER LE 音素[e]を表す。 e
U+1C6F OL CHIKI LETTER EP 音素[p]を表す。 p
U+1C70 OL CHIKI LETTER EDD 音素[ɖ]を表す。 ḍ/ṭ'
U+1C71 OL CHIKI LETTER EN 音素[n]を表す。 n
U+1C72 OL CHIKI LETTER ERR 音素[ɽ]を表す。
U+1C73 OL CHIKI LETTER LO 音素[o]を表す。 o
U+1C74 OL CHIKI LETTER OTT 音素[ʈ]を表す。
U+1C75 OL CHIKI LETTER OB 音素[b]を表す。 b/p'
U+1C76 OL CHIKI LETTER OV 音素[w̃]を表す。
U+1C77 OL CHIKI LETTER OH 直前の音を有気音(IPA:[ʰ])として発音することを表す。 h
修飾文字
U+1C78 OL CHIKI MU TTUDDAG 直前の母音が鼻母音であること表す[2] ̃
U+1C79 OL CHIKI GAAHLAA TTUDDAAG サンタル語の南方方言以外の方言において区別される母音を表すために用いられる。例えばᱚᱹは[ə]を、ᱮᱹは[ɛ]を表す。 ̆
U+1C7A OL CHIKI MU-GAAHLAA TTUDDAAG U+1C78 ᱸ OL CHIKI MU TTUDDAGU+1C79 ᱹ OL CHIKI GAAHLAA TTUDDAAGが同時に付く場合の形状。 ̃̀
U+1C7B OL CHIKI RELAA 直前の母音が長母音であることを表す[2] ̄
U+1C7C OL CHIKI PHAARKAA 喉頭化保護子[2]

この位置で形態素が切れていることを表す。また、語中の有声子音の文字と母音の文字との間に描かれ、有声子音字を有声子音ではなく喉頭化した無声子音として読むことを表す。

U+1C7D OL CHIKI AHAD オホット。語頭に有声子音字がある場合に、その文字を喉頭化した無声子音ではなく有声子音のまま発音することを表す[2]
約物
U+1C7E OL CHIKI PUNCTUATION MUCAAD オル・チキ文字における句点。欧文におけるピリオド(.)に相当する。 .
U+1C7F ᱿ OL CHIKI PUNCTUATION DOUBLE MUCAAD 主に韻文において節(スタンザ)の終わりを表す。

小分類

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このブロックの小分類は「数字」(Digits)、「字母」(Letters)、「修飾文字」(Modifier letters)、「約物」(Punctuation)の4つとなっている[2]

数字(Digits

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この小分類にはオル・チキ文字で用いられる固有の数字が収録されている。

字母(Letters

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この小分類にはオル・チキ文字のうち、子音母音を表す基本的な字母が収録されている。

修飾文字(Modifier letters

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この小分類にはオル・チキ文字のうち、発音の変化などを表すための文字幅を持った修飾文字が収録されている。基本的に修飾する文字の右側に書かれる。

約物(Punctuation

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この小分類にはオル・チキ文字のうち、句読点などの約物類が収録されている。

文字コード

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オル・チキ文字(Ol Chiki)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+1C5x
U+1C6x
U+1C7x ᱿
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

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以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
5.1 U+1C50..1C7F 48 L2/05-243 Michael Everson (8 September 2005), Final proposal to encode the Ol Chiki script (WG2 N2984) (英語)
L2/06-017 WG2 (25 January 2006), ISO/IEC 10646 - Amd 3: Lepcha, Ol Chiki, Saurashtra, Vai, and other characters (see also Am3Names file) (英語)
L2/06-131 Deborah Anderson (12 April 2006), Support for Ol Chiki (英語)
L2/06-315 SC2 Secty (26 September 2006), Summary of Voting on ISO/IEC JTC 1/SC 2 N 3875 : ISO/IEC 10646:2003/PDAM 3.2, Information technology -- Universal Multiple-Octet Coded Character Set (UCS) -- AMENDMENT 3: Lepcha, Ol Chiki, Saurashtra, Vai, and other characters (WG2 N3145) (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

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  1. ^ Michael Everson (2005年9月8日). “Final proposal to encode the Ol Chiki script (WG2 N2984)” (英語). Unicode. 2024年11月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e "The Unicode Standard, Version 15.1 - U1C50.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2024年11月2日閲覧

関連項目

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