エア・カナダ624便着陸失敗事故
事故機 (C-FTJP)、2008年4月撮影 | |
事故の概要 | |
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日付 | 2015年3月29日 |
概要 | 滑走路の手前で接地、機体を損傷 |
現場 | カナダ・ハリファックスハリファックス国際空港 |
乗客数 | 133 |
乗員数 | 5 |
負傷者数 | 23 |
死者数 | 0 |
生存者数 | 138(全員) |
機種 | エアバスA320-211 |
運用者 | エア・カナダ |
機体記号 | C-FTJP |
出発地 |
カナダ・トロント トロント・ピアソン国際空港 |
目的地 |
カナダ・ハリファックス ハリファックス・スタンフィールド国際空港 |
エア・カナダ624便着陸失敗事故(エア・カナダ624びんちゃくりくしっぱいじこ)は、 2015年3月29日0時30分(大西洋夏時間)にトロント発ハリファックス行きのエア・カナダの定期便がハリファックス国際空港での着陸に失敗し、大破した航空事故である。
事故
[編集]エア・カナダ624便はトロント・ピアソン国際空港からハリファックス・ロバート・L・スタンフィールド国際空港(ハリファックス国際空港)へ向かう同社の定期便である。事故当日はエアバスA320(機体記号:C-FTJP)で運航され、133名の乗客と5名の乗務員が搭乗していた。
大雪と視界不良の中をハリファックス国際空港へ着陸する際に、滑走路05の335メートル (1,099 ft)手前で地面に衝突した[1]。その際に機体の降着装置(車輪)が地上のアンテナに衝突したことで機体から分離し、更に機体は空港へ電力を供給する送電線にも接触した。その後、機体は盛土となっている滑走路の高さまで再度上昇し、滑走路05に胴体着陸した。
アンテナへの衝突で降着装置を失い、胴体着陸をしたため機体は大きな損傷を受けた。胴体着陸時の衝撃で左側のエンジンが外れ、右側のエンジンや主翼、水平尾翼も破損した。また、23名の乗客とパイロットの2名も病院に搬送されたが、いずれも命に別条はなかった[1]。そのうち1名を除いて全員が当日に退院した。[2]。
624便が送電線に接触したことにより、空港は約90分にわたって停電した[3][4]が、電力は2時12分(大西洋夏時間)に復旧した[3]。
2015年4月2日、エア・カナダは搭乗していた乗客全員に5,000カナダドルを支払った[5]。また、この事故に関するクラスアクション(複雑訴訟形態)の訴状が提出された[6]。
機体
[編集]事故当該機はエアバスA320-211(機体記号:C-FTJP、製造番号:214、エンジン:CFM56-5A1)で1991年7月に初飛行を実施し、同年10月にGEキャピタル・アビエーション・サービスからエア・カナダにリース機として引き渡されたものである。この事故による破損が大きく、修復不能とされたため、退役となった[7]。
調査
[編集]事故を受け、カナダ運輸安全委員会(TSB)が調査を開始した[8]。
事故機の製造国がフランスであるため、フランス航空事故調査局 (BEA)も調査に参加し、BEAの調査官2名とエアバス社の技術アドバイザー2名がカナダに派遣された[9]。
類似の事故
[編集]この事故のわずか3週間後にアシアナ航空162便着陸失敗事故が発生した。162便も使用機材はA320で、事故原因として視界不良が疑われ、さらに、不時着時に広島空港の機材(ILSアンテナ)を破損させ、空港の運営に影響を与える事態になった。事故機は624便と同様に大破したため、事故から3ヵ月後に解体処分となった。ただし、162便でも幸運なことに死者を出さずに済んでいる。
脚注・出典
[編集]- ^ a b Simon, Hradecky (2015年3月29日). “Accident: Air Canada A320 at Halifax on Mar 29th 2015, touched down short of runway”. The Aviaton Herald. 2015年3月29日閲覧。
- ^ “Air Canada Flight 624 crashes into power line upon landing in Halifax”. Shaw Media. (2015年3月29日) 2015年3月29日閲覧。
- ^ a b “Air Canada AC624 slides off runway in Halifax, 23 sent to hospital”. CBC. (2015年3月29日) 2015年3月29日閲覧。
- ^ “Airbus A320 Air Canada plane crashes on runway at Halifax airport”. The Independent. (2015年3月29日) 2015年3月29日閲覧。
- ^ Air Canada Flight 624 passengers receiving $5K cheques from airline; Lawyer Ray Wagner calls it 'a gratuity' and says $5K payments don't change airline's liability, CBC News, April 2, 2015.
- ^ AC 624 crash: MacGillivray Law to file class action lawsuit; A second lawyer, Ray Wagner, says his firm is considering a class action lawsuit as well, CBC News, March 30, 2015.
- ^ “C-FTJP Air Canada Airbus A320-211 – cn 233”. Planespotters.net. 2015年4月12日閲覧。[リンク切れ]
- ^ Doucette, Keith. “23 treated in hospital after Air Canada plane slides off Halifax runway”. Citynews. 2015年3月29日閲覧。[リンク切れ]
- ^ "Flight AC 624, Airbus A320, registered C-FTJP - Halifax Stanfield International Airport (Canada), 29 March 2015[リンク切れ]" (Archive). Bureau d'Enquêtes et d'Analyses pour la Sécurité de l'Aviation Civile. Retrieved on April 2, 2015.
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- en:Transportation Safety Board of Canada (2017年). “Aviation Investigation A15H0002: Ground contact prior to runway threshold of Air Canada Flight 624 during approach to Halifax Stanfield International Airport” (PDF) (英語). http://www.tsb.gc.ca. en:Transportation Safety Board of Canada. 2019年2月閲覧。
- Transportation Safety Board of Canada/Bureau de la sécurité des transports
- エア・カナダ
- フランス航空事故調査局
- Post-accident photos – TSBCanada on Flickr - 事故現場の写真
- Aviation Safety Networkによる事故の記録