コンテンツにスキップ

ウゴトウヒレン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウゴトウヒレン
秋田県秋田駒ヶ岳 2015年8月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : アザミ亜科 Carduoideae
: トウヒレン属 Saussurea
: ウゴトウヒレン S. ugoensis
学名
Saussurea ugoensis Kadota[1][2]
和名
ウゴトウヒレン(羽後塔飛廉)[2][3]

ウゴトウヒレン(羽後塔飛廉、学名:Saussurea ugoensis)は、キク科トウヒレン属多年草[1][2][3]

特徴

[編集]

は直立またはやや斜上する。茎の高さは35-110cmになり、上部で1-3回分枝し、褐色の毛状突起がまばらにあり、幅1-2mmになる翼がある。花時には根出葉はふつう存在しない。は互生し、茎の下部につく葉はやや革質で、葉身は卵形から狭卵形または三角状卵形になり、長さ10-17cm、幅7-14cm、先は鋭尖頭で先端は尾状にとがり、基部は心形から深い心形、縁に粗い鋸歯があり、葉の表面と裏面の葉脈上に毛状突起がある。長さ10-25cmになる長い葉柄があり、ふつう葉柄の上半部に翼がある。茎の上部につく葉は小型になり、葉柄は短く、翼がある[2]

花期は8-9月。頭状花序は散形状に3-6個が密集してつき、花柄は4-7mmと短く、鋭角的に伸びる。総苞は緑色で、長さ10-17mm、径8-15mmになる筒形から鐘形、総苞片は6列あり、片先は斜上・開出し、外片は長さ13mmの狭卵形になり、先は短く反曲する。総苞にまばらにくも毛があり、基部に苞葉が2-3個あり、長さ10-25mmの狭卵状披針形で葉状になる。頭花は筒状花のみからなり、花冠の長さは11-12mm、色は淡紅紫色から白色になる。果実痩果で、未熟な痩果は長さ5mmになり紫色をおびる。冠毛は2輪生で、落ちやすい外輪は長さ3mm、花後にも残る内輪は長さ8mmになる[2]

分布と生育環境

[編集]

日本固有種。本州の東北地方北部(焼石岳秋田駒ヶ岳真昼山地鳥海山丁山地)に分布し、高山帯の草原や灌木林の林縁に生育する[2]

名前の由来

[編集]

ウゴトウヒレンは、「羽後塔飛廉」のことで、基準産地が秋田駒ヶ岳であり、旧国名の羽後国のトウヒレン(塔飛廉)であることから[2][3]

種小名 ugoensis は、和名と同じく、「羽後の」の意味[4]

分類

[編集]

本種は、従来、東北地方南部に分布し、高山帯の草地に生育するミヤマキタアザミ Saussurea franchetii Koidz.[4][5] - 絶滅危惧II類(VN)(2015年、環境省)と混同されてきた。神室山を基準産地とするカムロトウヒレン Saussurea sawae Kadota[1][2]とともに、2015年に門田裕一:アジア産トウヒレン属(キク科)の分類学的研究 VII.北海道産の 1 新種と本州産の 4 新種, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』Vol.90, No.3, pp.158-178, (2015)(国立科学博物館)によって独立種として命名記載された[1][2]

同誌では、カムイトウヒレン-Saussurea kenji-horieanaフカウラトウヒレン-Saussurea andoanaショウナイトウヒレン-Saussurea shonaiensisも新種として記載された[1]

ギャラリー

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e 門田裕一「アジア産トウヒレン属(キク科)の分類学的研究 VII.北海道産の1新種と本州産の4新種」『植物学雑誌 (The Journal of Japanese Botany)』第90巻第3号、ツムラ、2015年、158-178頁、doi:10.51033/jjapbot.90_3_10580 
  2. ^ a b c d e f g h i 『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.266-267
  3. ^ a b c 『改訂新版 日本の野生植物 5』p.255
  4. ^ a b 『新牧野日本植物圖鑑』p.809, p.1352
  5. ^ ミヤマキタアザミ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献

[編集]