ウィルファ原子力発電所
ウィルファ原子力発電所 | |
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国 | イギリス、ウェールズ |
所在地 | アングルシー島 |
座標 | 北緯53度25分00秒 西経4度29分00秒 / 北緯53.416667度 西経4.483333度座標: 北緯53度25分00秒 西経4度29分00秒 / 北緯53.416667度 西経4.483333度 |
現況 | 廃止措置中 |
着工 | 1963 |
運転開始 | 1971 |
運転終了 | 2015 |
事業主体 | 原子力廃止措置機関 |
運営者 | マグノックス |
開発者 |
英国原子力設計建設 (British Nuclear Design & Construction) |
原子炉 | |
種類 | マグノックス炉 |
原子炉製造元 |
原子力グループ (The Nuclear Power Group) |
発電量 | |
定格出力 | 980 MW |
平均発電量 | 8,395 GW·h |
2015年12月30日現在 |
ウィルファ原子力発電所(英語: Wylfa Nuclear Power Station、ウェールズ語: Atomfa'r Wylfa)は北ウェールズアングルシー島クマイス海岸にある原子力発電所。アイリッシュ海に面したクマイス湾から冷却水を取水していた。
2基の490MW級マグノックス炉が存在し、それぞれ1号機、2号機とされており、建設は1963年に開始され、1971年に運転を開始した。2号機は2012年に運転を終了しており、1号機も2015年12月に運転を終了した。
歴史
[編集]発電所の建設は、イングリッシュ・エレクトリック、バブコック・アンド・ウィルコックス、テイラー・ウッドロウのコンソーシアムである英国原子力設計建設(British Nuclear Design & Construction、BNDC)[2]によって1963年にはじめられた。原子炉の製造は原子力グループ(The Nuclear Power Group)が行い、タービンはイングリッシュ・エレクトリックが製造した[3]。
ウィルファ原子力発電所はトロースフィニッド原子力発電所に次いでウェールズで2箇所目の原子力発電所であった。1991年にトロースフィニッド原発が運用終了してからはウェールズ唯一の原子力発電所となっている。
建屋には1号炉と2号炉の2基の490MW級マグノックス炉が納められており、これらは1963年から建設が始まり1971年に完成した[3]。両炉が稼動している間は一般的に毎日23GWhの電力を供給していた。これらはイギリス国内で建設された最大かつ最後のマグノックス型原子炉であった。ウィルファの原子炉はオールドベリーに次いで、安全性向上と建設の容易さから鋼鉄の代わりにプレストレスト・コンクリートの圧力容器を持つ英国で2番目の原子力発電所であった。
現設計では合計1190MWの予定であったが、最初の原子炉稼動の前に二酸化炭素によるガス回路の低炭素鋼材の予想外の腐食の加速が検出された。これによって二酸化炭素が炉心の燃料チャンネルを離れるときの温度を低減する必要があり、最初は840MWに出力を落とされ、その後より多くの知見を得てから980MWに向上した。
黒鉛の炉心は各3,800トンで、49248本の天然ウランマグノックス被覆燃料体を入れることが可能な6156本の垂直燃料チャンネルがあった。さらにホウ素制御棒の炉心への挿入が200チャンネル可能で、原子炉の制御が可能であった。一次冷却材は二酸化炭素となっていた。
当初は中央発電局が運営していたが、ナショナル・パワー、ニュークリア・エレクトリック、マグノックス・エレクトリック、英国原子力グループ、マグノックス・ノースを経て、現在はマグノックス社が運転を行っている。発電所の所有は英国の民生用原子力施設の廃止と解体処理の監督・管理を行う原子力廃止措置機関が行っている。
運転期間中、2000年の4月の安全審査で発見された溶接部の悪化に対する原子炉の強化に対する重要な補修が必要とされた。公共論争の中で、グリーンピースは原子力工学顧問の共同研究者団による独立した安全評価を出した[4]が、2001年8月に再稼動が許可された。 溶接の弱点に加え、黒鉛減速材ブロックの放射線による減損はいまだに懸念されており、反核団体のPAWBは発電所の早期停止といかなる新炉への置換も許さないとする運動戦線を継続している。
2006年7月20日、NDAは2010年以降の運転はセラフィールドのマグノックス炉用燃料の再処理施設を停止する計画に非経済的な影響を与えるため、発電所を2010年に停止させると発表した[5]。しかし、2010年にNDAはウィルファ発電所40周年にあたる2011年の1月を超えた2012年までの運転延長を発表した[6]。
原子力規制局 (ONR) の2011年第三四半期の報告で[7]、1号炉の寿命は2014年の9月まで延ばされたことが明示された。燃料は2014年よりも数ヶ月間持つとされるが、そういった延長を行う場合はONRの承認を必要とする[8]。2号炉は英国標準時の2012年4月25日19時2分に発電を終了した[9]。1号炉は2015年12月30日に運転を終了し、これですべてのマグノックス炉が運転を終了したことになった。[10]
将来計画
[編集]新規の建設計画は当初ウィルファBと呼ばれていたが、現在はウィルファ・ネーウィズ(ウェールズ語: Wylfa Newydd)と呼ばれている[11][12]。この計画の理由の一端はHolyheadにあるアングルシー・アルミニウム社の電力需要をまかなうこととされる。アングルシーアルミニウム工場は2009年9月30日に操業を停止した[13]が、この企業は施設内でのバイオプラントの計画許可が承認され2016年までに計画していると発表している。2006年3月、地元議会は発電所と発電所が生み出す雇用を鑑みてウィルファAの稼動延長とウィルファBの建設支持のための投票を行った[14]。一方、計画には地元の反対も存在し、反対派はPobal Atal Wylfa-B(ウィルファBを阻止する集団、PAWB[15])などの団体が存在する。
2009年、E.ON UKとRWE npowerの合弁子会社ホライズン・ニュークリア・パワーは[16]ウィルファに3000MWe程度の原子炉を導入する意向を表明した。同社は既存の発電所敷地の南部に改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を建設することを計画している[17][18]。
2010年10月18日、英国政府はウィルファは将来の原子力発電所適地と考えられる8箇所の1箇所と発表した[19]。
2012年1月、ウィルファの新原発建設計画に対して、300人の反原子力派の抗議者がスランゲヴニの街頭でデモ行進を行った。デモはPAWB、グリーンピース、ホライズンに異議を唱えるリチャード・ジョーンズを支援するCymdeithas yr Iaithなどの団体によって組織された。
2012年3月29日、E.ONとRWE npowerは建設計画を棚上げすると発表した[20]。
2012年10月30日、日立製作所がE.ONとRWE npowerから原子力発電所計画および子会社のホライズンを購入したことが発表された[21]。PAWBのスポークスマン[15]はインタビューの中で「我々はアングルシー島にウィルファシマはいらない[22]」と述べている[23]。
ホライズンは発電所の建設準備を2015年、建設開始を2018年、発電開始を2020年半ばと見込んでいた[24]。
2020年9月、日立製作所は新設計画からの撤退を表明した[25][26]。
関連項目
[編集]註
[編集]- ^ “[イギリス・日本] 英政府と日立、ウィルヴァ計画の最終投資判断に向け協議を継続”. 電気事業連合会 (2018年6月26日). 2019年1月12日閲覧。
- ^ “Nuclear Development in the United Kingdom” (英語). 世界原子力協会. 2014年5月11日閲覧。
- ^ a b “Nuclear Power Plants in the UK - Scotland and Wales” (英語). Power Plants Around the World. 2014年5月11日閲覧。
- ^ Review of ageing processes and their influence on safety and performance of Wylfa nuclear power station, Greenpeace
- ^ “Wylfa definitely closing in 2010” (英語). BBCニュース. (2006年7月20日) 2007年12月10日閲覧。
- ^ “Wylfa to continue generating until 2012” (英語). Nuclear Engineering International. (2010年10月13日) 2010年11月11日閲覧。
- ^ “Quarterly News Q3” (英語). 原子力規制局. 2014年5月11日閲覧。
- ^ Harry Steven (19 June 2013). “The Magnox life extension story”. Nuclear Engineering International 2 July 2013閲覧。
- ^ “Nuclear workers offered retraining as Wylfa reactor shuts early”. BBCニュース. (2012年4月26日) 2012年4月26日閲覧。
- ^ “World's last operating Magnox reactor closes”. World Nuclear News. (2015年12月31日) 2016年1月6日閲覧。
- ^ “Wylfa B is re-named Wylfa Newydd by nuclear developer”. Daily Post. (2013年11月15日) 2014年2月11日閲覧。
- ^ “ホライズン・ニュークリア・パワー社が新たな原子力発電所プロジェクトの名称を「Wylfa Newydd」に決定”. 日立GEニュークリア・エナジー (2013年11月15日). 2014年5月11日閲覧。
- ^ “BBC News - Anglesey Aluminium in redundancy talks with Unite union”. BBCオンライン 2013年2月19日閲覧。
- ^ “Council votes in favour of new power plant”. アングルシー島議会 (2006年3月3日). 2007年12月10日閲覧。
- ^ a b “Pobal Atal Wylfa-B”. Pobal Atal Wylfa-B. 2014年5月10日閲覧。
- ^ “Hitachi buys UK nuclear project from E.On and RWE”. BBC. (2009年4月30日)
- ^ James Murray (2009年4月30日). “RWE/E.ON and EDF win nuclear auction”. BusinessGreen 2010年11月11日閲覧。
- ^ “FAQs: WYLFA”. ホライズン・ニュークリア・パワー. 2010年11月11日閲覧。
- ^ “Nuclear power: Eight sites identified for future plants”. BBCニュース (BBC). (2010年10月18日) 2010年10月18日閲覧。
- ^ “RWE and E.On halt UK nuclear plans at Wylfa and Oldbury”. BBC. (2012年3月29日) 2012年3月29日閲覧。
- ^ “Hitachi buys UK nuclear project from E.On and RWE”. BBC. (2012年10月30日) 2012年10月30日閲覧。
- ^ We don't want a 'Wylfashima' on Ynys Mon
- ^ “Hitachi Wylfa deal: "We don't want a Wylfashima on Ynys Mon', say campaigners”. BBC. (2012年10月30日) 2012年10月30日閲覧。
- ^ Chris Dearden (21 October 2013). “Wylfa B nuclear power station: Housing concerns for workers”. BBC 22 October 2013閲覧。
- ^ “日立、英ウェールズの原発建設から「撤退」 当局に通告”. BBCニュース (2020年9月16日). 2020年11月2日閲覧。
- ^ “日立、英国の原子力発電所建設プロジェクトから撤退を決定”. 原子力産業新聞 (2020年9月17日). 2020年11月2日閲覧。
外部リンク
[編集]- Magnox North
- Wylfa Power Station
- NDA (UK Nuclear Decommissioning Authority)
- Wylfa, Nuclear Engineering International wall chart, 1965
- Information on PAWB
- PAWB Website
- Inside Wylfa. Feb 2009 (2m:21s video)