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インテリビレッジの座敷童

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
インテリビレッジの座敷童
ジャンル オカルトコメディ
小説
著者 鎌池和馬
イラスト 真早
出版社 日本の旗アスキー・メディアワークス
KADOKAWA
レーベル 電撃文庫
刊行期間 2012年5月10日 - 2015年12月10日
巻数 全9巻
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル

インテリビレッジの座敷童』(インテリビレッジのざしきわらし)は、電撃文庫アスキー・メディアワークス)より刊行された鎌池和馬ライトノベルイラスト真早。担当編集者は三木、小野寺(第3巻以降)、阿南(第3巻以降)。全9巻。

概要

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電撃イラスト大賞受賞者と電撃文庫作家のコラボレーション企画『illust×story』第3回として発表され電撃文庫MAGAZINEVol.22に掲載された短編作品『テクノビレッジの座敷童』の長編文庫化作品。略称は「インテリ」など。
オカルトコメディとして紹介されているものの、視点主がバトルや謎解きなどで困難を打開する展開が多く少年漫画やミステリー的な作風が見受けられる。
基本的には『陣内忍パート』、『内幕隼パート』、『菱神舞パート』といった形式でストーリーが構成されている。地の文は視点キャラクターの一人称だが、所々で三人称の視点で描写される場面もある。

登場人物

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納骨村関係者

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陣内酒造

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陣内 忍(じんない しのぶ)
本作の主人公。妖怪に遭遇しやすく、また妖怪に好かれる体質[注 1]を持つ高校一年生。陣内家の一人息子。
性格は基本的に見栄っ張り。金髪と鋭い目付きから頭の悪い不良のように見えるが、学業の成績は悪くなく、インテリヤクザというあだ名をつけられている。クラスでは学級委員を務め、夏休みには『サナトリウム』に通うなど生真面目なところもある。
10年前はどんな妖怪とでも平等に仲良くなれると信じ、致命誘発体や負の側面の強い妖怪であれ分け隔てなく接し仲良く遊んでいた。特に縁とは生まれた以来の付き合いで、いつも彼女に抱き着かれて眠っていた影響から誰かが一緒に布団の中にいないと眠れなくなっており、現在も寝ている間に周りの人物や枕などに抱きつく癖が残っている。
思春期に入ってからは縁に対し素っ気なく、あるいは下心を持って接するようになったものの、自分の人生の半分であるとまで考え非常に大切に思っている。
「最初からヒーローになるべく生まれてきた訳ではなく、新たな道に自ら進まなければ(いくつかの諦観と共に)変化のない人生に留まり、道を踏み外せばどこまでも転がり落ちていく『人間』である」と作者は述べている[1]
座敷童・縁(ざしきわらし・ゆかり)
本作のメインヒロイン。東北地方発祥の妖怪。間引きや口減らしによって親に殺された赤子の集合体。個体名は忍が生まれる際女の子だった場合にと忍の母が考えていたもの。
B98・W54・H85というグラマラスな体型のどう見ても「童」に見えない着物を着た黒髪美女。面倒臭がりで家事は一切できないなどガサツで、また人見知りな性格でもあり、家人やその近しい人間や妖怪以外には顔を出さない。趣味は盆栽いじりや散策。しばしばネット通販を利用し娯楽用品などを忍名義のクレジットカードで購入し、忍や忍の父に怒られる。
家を守るという座敷童としての仕事は全く果たしておらず、唯一行う座敷童的な行いは忍の布団に忍び込んで悪戯をすることだが、思春期に入ってからは忍に布団から追い出されるようになったため、今では夜中にこっそり潜り込んでいる。自分を素直に慕っていた幼少期の忍を強く懐かしんでおり、現状の関係を思い悩んでいる。
その正体は一般的な座敷童とは異なり、赤色を好み不吉を呼び込み、家を去る際に破滅を予言するとされる「チゾメノザシキワラシ」である。また、150年程前に陣内家に来る前は百鬼夜行に身を置いており、その際「百鬼夜行試製三九式座敷童」と呼ばれる存在へと調整を施され、運命を操るという座敷童が元来持つ能力に加え、新たな運命を作り出す力を得ている。この力によって破滅をもたらす性質は著しく強化され、無自覚に世界を滅ぼしてしまう程のものとなっている。
忍の父
家長。通称「筋肉ダルマ」。妖怪に怖がられる体質。彼自身は妖怪が嫌いなわけではなく、長く家に住む縁を可愛がっており自らが経営する陣内酒造で作った純米吟醸酒に『赤浴衣』や『黒髪美人』といった名前を付けている。シャイで寡黙であり、女性の扱いに困ると仏頂面になる。
忍の母
酒造りより帳簿計算が好きで経理を担当。妖怪好きで頻繁に妖怪を拾っては家のどこかに隠しているが、夫にばれては叱られている。ネット通販でオフィシャルグッズをノリと勢いで購入しては、一回しか使わず押し入れ行きすることが多い。
京都の老舗高級料亭の家に生まれその技を一通り吸収したが、その反動で洋食偏重になった。家を飛び出し駆け落ち同然で陣内酒造に嫁いでからは、忍の祖母の料理の技まで吸収している。作る料理は洋食派。
忍の祖父
庭いじりが趣味であり、盆栽いじりが趣味の縁を可愛がっている。高齢だが健康体で、いまだにゲンコツの威力は息子以上。風呂の温度をやたらと上げたがる。隠居済みだが、未だに新米の収穫時期だけは最前線に立つ。
忍の祖母
全体的にこぢんまりとした印象。夫同様庭いじりが趣味。縁を着物の着せ替え人形にして楽しんでいる。作る料理は和食派。陣内家へ嫁ぐ前の実家は瀬戸内にあり、昔は「内海の暴れカグヤ」と呼ばれる程ヤンチャしていた。
雪女・雹(ゆきおんな・ひょう)
本作のヒロインの一人。求婚を受け入れた男性を凍死させるとされる美女の妖怪。夏が苦手。雪女としては異質であり、正確な雪が作れなかったり、夏に季節外れの氷の塊を降らせる変わり種な個体。
致命誘発体。雪女のイメージに似つかわしくない見た目13歳前後の少女で、白い着物を着て薄い蒼の髪を持つ。忍に好意を抱き頻繁に求婚する。性格は少々ヤンデレ気味。雪女の白装束は処女性を意味しており、力を増せば増す程に幼くなる。
遺産相続エージェントの「パッケージ」に組み込まれていたところを忍に解放される。その後、温度管理の難しい酒蔵に近づかないことを条件に陣内家に住んでおり、漬物用の氷室に入り浸っている。「夏場の雪女」として一部で有名とのこと。
茹だったり熱を出すと体が溶けて体長が縮む。
猫又(ねこまた)
先端が二股に分かれたの形をとり、化ける能力を持つとされる妖怪。
致命誘発体。性別は雌。直接的な戦闘力はドーベルマン程度だが、噛み殺した相手に化ける能力を持つ。
かつて因果応報にエースとして所属していたが、幹部だった主人を内部抗争によって殺されたため、舞と共に組織を壊滅させた。現在は過去のしがらみを忘れ、夏休みに訪れて以来陣内家に住み着くようになり、ペットの身分に甘んじている。
古椿(ふるつばき)
女性に化ける能力を持つ椿の妖怪。
大小2体(2mmしか差はない)が陣内家に住み着いている。大きい方は忍の母がどこからか連れてきたもので、小さい方はマルグリットの手で悪魔化させられてところを陣内家で引き取ったもの。大小共に忍が椿よりを優遇することに不満を抱いている。
サキュバス・ヘンリエッタ
夢と生殖を司るとされる悪魔。典型的な悪魔の姿をしたマイクロビキニ姿のグラマラスな美女。丸まった山羊の角に蝙蝠のような翼と矢印状の尻尾を持つ。男性に任意の淫夢を見せる能力を持つ。夜行性。気分で髪型を変える。
欧州にてユーロセキュアフォースを形成し、加盟国の高官達を操りEUの超国家機関を乗っ取ろうとするも失敗。インテリビレッジ風化村の一件の後、百鬼夜行の追跡を逃れるため事件関係者の中で最もガードの甘かった忍の家に押しかけ、屋根裏部屋に住み着いている。その後、百鬼夜行に居所を掴まれたがマルグリット=スタインホルス撃退に協力した事で手配書を取り下げられ和解した。悪魔故に名は隠していたがツェリカによって忍に知られてしまう。
古いご主人様
生物や魂を取り扱う魔術師であり、表向きには王侯貴族向けの高級馬を生み出す宮廷学者。交配の専門家であることから、1403年に王から不妊治療について相談を受け、サキュバスとインキュバスの性質を利用して解決しようとした。しかしその2週間後に悪魔の力を借りた咎で火炙りの刑に処せられ、その魂はヘンリエッタによって劣化防止策を施され彼女の子宮に格納されている。サキュバスは彼が火炙りに処せられる前に告げた言葉に従って行動している。
マルグリット=スタインホルス
オーストラリア魔女。つばの広い帽子を被り、簡素なシャツにミニスカート、その上にレインコートを羽織り絵本の中の魔女のシルエットを形作る金髪碧眼の女。日本製の妖怪を悪魔化させ、強引に黒魔術を行使できる。
オーストラリア政府の命を受けて百鬼夜行の100人の将の中の数人を殺して仲間を潜伏させ、インテリビレッジ納骨村の壊滅計画を提出したが、計画自体は菱神舞の機転によって失敗に終わる。しかし、魔女達の真の狙いはそれではなく、サキュバスと直接契約を交わし、オーストラリア現地の古い神を悪魔化する程度しかできない零落した状況から復帰しようと企んでいた。事件の渦中にて、マルグリットは一般人である陣内忍と契約していたサキュバスに目をつけ、契約の更新を持ちかけた。しかし、座敷童により大悪魔ツェリカへと契約先をすり替えられた事で、魂を取り込まれて体を乗っ取られている。その後、忍の手によって再び魂を呼び戻されて自身の肉体へ定着した。現在では亡命に近い形で陣内酒造に居候している。
青行灯(あおあんどん)
百物語の最後に現れるとされる青白い肌の鬼女の妖怪。致命誘発体。心霊や妖怪、怪奇現象を軽視し愚弄する者の前に現れる禁忌的行為に対する罰の象徴。白い着物を羽織り、青みがかかった長い黒髪で青白い肌を持ち、を手にしている。額からはナイフのような一本角が伸び、その先端には青白い燐光が灯っている。一人称は「ボク」で、「ラスボスちゃん」を自称。四ツ山集落の有力二家の内、当廟を輸入しなかったもう一方の勢力で研究が行われていた。川端愛により、忍たちを出題者、当廟を回答者と設定された擬似的な百物語によってアセンブルされた。そのため、青行灯という種の中でもかなり特殊にチューンアップを施された異質な個体である。
100個の怪談の質によって形や能力が変化し、百の怪異に匹敵する能力を単独で有している。そのため、本来は持っていない超常であっても、無数の怪談を組み合わせる事で類話を創造し新たな超常を獲得できる。停滞や現状維持を嫌い、変化しなければどんな相手でも容赦なく葬る一方で、気に入った相手ならたとえ人間であっても手を貸すことがある。
日本内外からメンバーを集め、標準型日本人DNA原基を簒奪して自身へ接続させることで国家そのものの崩壊を目論んだ。しかし、忍を捕食したことで100個という怪談のバランスが変質、その上、人間の感性を取り込んだことで戦意を喪失し『意識のストッパー』が発生し無力化させられた。その後は陣内酒造に居候している。
油取り(あぶらとり)
ひっそり紛れ込んでひっそい攫い、子供を殺して魚焼の串で人間の油を採る(臓物を取る)とされる妖怪。明治時代に東北地方で確認され、実際に新聞記事へ掲載された稀な妖怪。
致命誘発体。しわがれた老人の声で典型的な農夫の恰好をしており、老人というよりもミイラに近い手足を持つ。深く被って顔を隠したには大きな一つ目の模様が印されている。ただ現れ、ただ攫い、ただ殺すだけの「暗くなる前に家に帰ろう」などの教訓話が存在しない「恐怖の伝統」から外れた変種といえる存在。どこにいるのか誰にも分からないため対処法も存在しない。誕生してからせいぜい100年程度しか経過してないにも拘わらず、メジャーの妖怪と方を並べるレベルへと変貌した経歴を持つ。
10年前、安楽会系の「大きな犯罪組織」に攫われた忍を助けるため、百鬼夜行の支援を受けていた『カエシガミ』による自身の性質の抑制を諦める。それが発端となって忍の前で座敷童を殺しかけてしまい、座敷童の運命改変によって殺戮を快楽として享受する人格へと変質した。その時系列において、自身の性質を切り取ったタイムトラベル『パッケージ』を乗っ取り、縁の過去に干渉して過去に彼女が有していた運命を操る術を手に入れようとした。改変の度に縁に敗北していたが、一万五千回程の過去干渉によって修復不可能なレベルまで歴史情報が摩耗した際、勝敗そのものを書き換えることで彼女を取り込むことに成功する。しかし、惑歌の協力を取り付けた忍によって、現在へ跳躍していた分身が消滅させられ縁とも分離した。また、本来油取りがあるべき分身が消滅した2日後においても、青行灯の手により殺害された。
の性質を利用した百鬼夜行製のタイムトラベル『パッケージ』により座敷童の改変前の過去に干渉した忍により、現在の時系列へ連れ帰られた。その際、『パッケージ』の保護を受けなかったために10年間の経年劣化を受け、奇しくも『カエシガミ』により自身の性質を抑制することに成功した。その後は陣内酒造へ居候している。
その他にも小豆洗い、忍の母が拾ってきたケセランパサランなどが暮らしている。

その他

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小手蜜 惑歌(こてみつ まどか)
本作のヒロインの一人。忍の同級生。『小手蜜』本家正統のトラブルシューター4番機だが、一族の思想を離れて個人の財を追求するようになり、現在では日本円だけで300億円近く所持している。大手投資ファンドと共に自前の自立投資プログラムを共同運用している。「小手蜜」のランク付けでの評価はジョーカー。中学までは東京在住であった。
学校では友人が少なく「遊離」している問題児だが、本人は特に気にしていない。極度の健康マニアで健康優良児だが身体能力は高くない。スポーツブラとボクサーパンツを愛用。武装警備員を雇うなど全部一人解決できる財力を有しているため、基本的には誰にも頼らない。
担任から惑歌対策係に任命されている忍とは交友が深く、忍と座敷童が付き合い始めてから彼に初恋を抱いていた事を自覚した。
渚(なぎさ)
本作のヒロインの一人。忍の幼馴染であり同級生。栗色のゆるふわな髪、鉛色の重苦しい色をした瞳、線の細い肩に色白の肌で、胸はそこまで大きくない。家は村の外周である山の麓の方にあり、極めて小規模ながら高ブランドを確立したマイクロ牧場。ストレスゼロの鶏が産んだ卵が1個1万円で取引される。
家事が得意で勉強もできる。世界三大ヤンデレの一人と称され、ハサミ女、カッター女、ハンマー女、ワイヤー女、そして現在は彫刻刀ガールというブラックなあだ名や、3万4000通りの殺害方法を持つという噂が陰で流通している。忍曰く人間関係を『敵』『味方』『興味なし』『超絶ラブ』の4つでしか区別できない。
忍が初恋の相手であり中学2年生の時に付き合っていたが、彼の気持ちが当人には無自覚に座敷童へ向いていたために破局。「満月の夜に巨大な鉈をぶら提げて忍を探して徘徊する」「忍の脇腹を果物ナイフで、胸板をハサミで刺す」「真剣白羽取りにまで発展する」など数々の恋愛談を持つ。その後は様々な男子と付き合ったようだが、1月間も関係が続く相手は珍しかった模様。
幼少期に飼っていた、生まれた頃からの付き合いのセントバーナードが加齢に伴い痴呆を起こした際に自らの手で殺害してから現在の性格に至り、「永遠の愛」や「不滅の絆」といったものを追い駆けるようになった。また、幼少期に食肉加工場で親の仕事を目撃した事も要因の一つであるとのこと。
10年前はおどおどとした気質であり、親が過保護でなのか服装は全て家族の手作りで、軍用犬の養成プログラムが仕込まれたセントバーナードを常に伴っていた。
タロー
忍の同級生。村外の出身で、下宿しながら高校に通う。名前だけで漢字7文字を使用してタローと読ませる。サッカー部に所属する健全な部活少年で普段着は地味め。バイトとして朝に鶏の餌やりをやっている。
恋王(こいおう)
忍の同級生。本名不明。「始まる前」「終わった後」ではなくカップル成立中限定の恋愛相談のスペシャリストで、他人の恋愛に関しては世界一偉そうなことを言う。誰も本人の恋人を見たことがない。
明智(あけち)
忍の同級生。スポーツマン。渚とは夏休み以前から付き合っていたが11月に別れた。渚の扱いが分からず度々元彼の忍に助けを求めていた。なお、作者曰く、生存はしている。
谷岡(たにおか)
忍のクラス担任の女性教師。座右の銘は事なかれ主義で、惑歌の面倒を忍に押し付けている。地味なスーツと眼鏡を着用し、人と話す時には出席簿代わりのタブレット端末で顔を隠す。ティーン向けのファッション雑誌「オートフォーカス」を愛読するなど恋愛経験は乏しい様子である。大学時代は東京で一人暮らしをしていたが、地方公務員枠でインテリビレッジ納骨村の住民票を手に入れた。
米咲 尋(よねさき ひろ)
インテリビレッジ納骨村に住む10歳の少年。古道具店の一人息子。身長は130cm前後。やや人見知り。声変わり前で、甲高いソプラノの声。唐傘お化けや提灯お化けを道具代わりにしている。
妖怪になりたいという想いへ付け込まれ悪鬼羅刹の七人ミサキの「パッケージ」に巻き込まれるも忍により救出された。その後、文化交流として東京からやってきた蘭園に恋心を抱き、彼女の暴走を止めるべく忍と行動を共にし、百鬼夜行と青行灯グループとの抗争の際には巫蠱の透視者に見込まれ、数々の付喪神を従えて蘭園を救出した。
唐傘お化け
付喪神の一種。コミカルな一つ目と大きく伸びた舌を持ち、忍の父並みの渋い声を出す。150年ほど生きており、提灯と共に10年以上前から米咲家と関わりがある模様。米咲尋に対して過保護気味で、彼に雨よけとして使われている。
提灯お化け
付喪神の一種。地面からふわふわと浮かんでおり、コミカルな大きな一つ目と長い舌を持ち、甲高い女性の声をしている。中身はLED電灯。米咲尋に対して過保護気味で、彼に照明として使われている。
マヨイガ
古道具店を営む米咲家の屋敷。座卓や行灯箪笥ヤカン文車妖妃など、様々な付喪神を内包している。
蛇帯
の妖怪。
小袖の手
小袖の袖から、幽霊らしき女性の手が伸びた姿の妖怪。

警察関係者

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内幕 隼(うちまく はやぶさ)
本作の主人公その2。警視庁刑事部捜査一課に所属する刑事。階級は巡査部長。ノンキャリア組。忍の父方の叔父で忍より10歳ほど年長(25 - 27歳)。妖怪に嫌われる体質であらゆる妖怪に問答無用で襲われる[注 2]
型にハマり気味な常識人だが少々熱血漢で、忍には正義感の権化などと思われている。死人に興味が持てず、生きている人間のためでないと働く意欲が湧かない。艶美との関わりや妖怪絡みの事件で勝手な行動をとったことが原因で庁内で若干浮いている。防犯を目的とした契約でお茶の水の学生マンションに住んでいる。
高校時代は短い髪を茶色に染め、ギラギラ光る銀のアクセサリを愛用。電動ビッグスクーターを乗り回し、そこら中で喧嘩を吹っ掛けるような不良少年だった。今と変わらず正義感が強かったが当時はそれが空回りしていたようで、助けた女性に逆におびえられるなどして全くモテなかった。田舎や妖怪が苦手であるため、未婚ながら分家制度を利用して戸籍を変えて上京して慶城意塾大学へ進学する。第一志望であるキャリア組を目指して国家公務員試験を受けるも失敗したため一課に勤務することになった。
チゾメノザシキワラシの災厄後は、捜査一課の中に新設された対『パッケージ』専門の零外係に係長として異動された。後に、『菱神の女』の社会復帰を志すようになる。
馬頭 厳(めず げん)
警視庁捜査一課長。顔に深い皺が目立つ初老の男。昔気質でエリート嫌い。髪は黒染めされて必要以上にテカテカしている。父の日にプレゼントされたネクタイを常時着用するなどの特徴から、若い女性警察官から可愛いという評価を受けている。
基本的には隼に厳しいが、時折、彼の熱血漢な姿勢に寛容な態度を示す。
美島 純(みしま じゅん)
警視長。30代後半という通常ありえない若さでこの階級へ至っている。昔懐かしい独身貴族といった雰囲気がある。「終わり良ければ全て良し」が基本方針。艶美の手綱を握り、彼女の行動に振り落とされない隼を高評価している。
若くまだ彼が青かった当時は、妖怪を法律で縛る事で妖怪を警察の手で守ろうとしていた。当時百鬼夜行のリーダーであった呪の誘いに乗り、機動隊方面を焚き付け妖怪絡みの犯罪を直接裁く量産術者舞台の設立を目指した経歴がある。チゾメノザシキワラシの災厄後、悲願であった対「パッケージ」専門の捜査機関『零外係』を新設した。
外堀 岳(そとぼり がく)
警視庁組織犯罪対策部所属の刑事。柔道5段無差別級で、その外見から「重戦車」とあだ名される。幼少期、近所に住んでいた昔気質な刑事が栽木和に殺害されたことがきっかけで警察官を志したという過去を持つ。
東条 雅(とうじょう みやび)
生活安全部の刑事。市ヶ谷に住んでいた。
几帳面な性格で、様々な理由で黙殺され、封印されてしまう証言を掬い上げるのが信条。仕事にかまけていたためか妻に離婚され、娘である巴と共に家から出て行かれる。娘の巴に頼まれてSNS殺人の件を調査していたが、悪鬼羅刹の東条に殺され身分を成り代わられる。生前に妹・緑(みどり)の住む巣鴨に自分の墓を用意しており、死後はそこに眠っている。
形谷 譲司(ぎょうたに じょうじ)
二課のキャリア組。眼鏡をかけた男。金持ち。隼と入社時期は同じだが、既に警視にまで上り詰めている。
中田(なかた)
中年の巡査。本庁の正面玄関の警備を担当している。職務を放棄した隼に自分のスクーターを貸し出すなど、協力的な姿勢をみせる。

「菱神」の関係者

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菱神 舞(ひしがみ まい)
本作の主人公その3。艶美の姉。年齢は20代。主にセクシーな服装を好み、常にタンクトップホットパンツを愛用し、サイハイブーツを履いている。妖怪絡みの巨大犯罪を専門に扱うフリーランスのエージェント。最近では百鬼夜行の依頼を中心に受けている。
自身の式神である「死出の竜姫」を仮想敵として身一つで妖怪を圧倒できるよう体を作り変えており、至近距離でマシンガンの連射を避けるほどの優れた身体能力を誇る他、体の一部を切断されても修復キットを用いて繋ぎ合わせ、パーツの交換によって外見の年齢を維持するなどが可能。生身における戦闘力の高さから、銃に頼った時点で8割負けで、自分より弱い超常である死出の竜姫に頼った場合には10割負けと考えている。
真実を破壊する『菱神の女』と称され、『そうであるように』と振る舞う専門家。ブラフやハッタリなどの詐術に秀でる。痕跡が残ってしまうようなあからさまな武器・暗器を嫌い、自殺や事故に偽装して敵を排除する手段を好む。どれほど情報を制限・遮断しても、「私ならそうする」という本人にしか分からない理解不能なロジックで正解を引き当て真相に喰らい付く「狂人のインスピレーション」を有している。また、ポーカーフェイスの達人。
「菱神の女」として破壊しか生み出せない自身の境遇を受け入れているが、一方でその特性を抑えようと無意識の内に百鬼夜行などの組織などのしがらみに囚われたがっている。
死出の竜姫(しでのたつひめ)
丈の短い着物と羽衣を纏う女性の姿をした式神。
浦島の木札を媒体に召喚される。好物はイカ。一時的に隼と行動を共にした際、好物を与えられたためか超常の存在としては珍しく彼に懐いている。
竜宮の乙姫の伝承を歪め、「心地よく海底に沈める者」の特性を利用し主に溺死の形で襲わせる。水を操る事も可能。
菱神 艶美(ひしがみ えんび)
本作のヒロインの一人。東京都内のお嬢様学校(聡慧女子)に通うツインテールの中学2年生。舞の妹。姉に似ず貧乳。隼を誘惑するために普段からセパレートの水着を愛用している。雰囲気作りのために、水着のボトムにミントのパイプや手帳風のカバーをかけたスマホや虫眼鏡を引っ掛けている。惑歌の数少ない友人。
殺人事件に強い興味を持っており、隼が捜査に赴く先々に出没するため彼からは「推理マニア」のあだ名で呼ばれている。卓越した推理力を持っているが、それは人の死に関わることでないと発揮されず、学校の期末テストの点数もそれほど高くない。都内に幾つも拠点を有している。街のビラ配りやタクシーの運転手やレストランのウェイトレスや自販機の作業員や清掃員など、不特定多数の世間話を耳にしている人間達をネットのコミュニティで繋ぎ、そうしたいくつものグループを統合・管理する事で巨大な傍受システムを作り上げており、その協力者を艶美は「情報屋」と呼んでいる。
かつては姉の舞のように事件を解決するためなら手段を択ばず、真犯人を追い詰めるためなら何でもやった。容姿も異なり、ザラリと流れるロングヘアに、体全体と口元まで覆う漆黒のロングコートを着て、あちこち飾りのファスナーがついた同色のズボンを穿いていた。言動も所謂中二病的なものが目立ち、後に本人にも黒歴史だと認めている。透輝館での密室殺人事件にて初めて隼と出会い、彼女を庇った隼のために事件を解決する事を決意する。これがきっかけとなり、現在の艶美へと性格・容姿が変わっていった。
人間を破壊すると謂われる「対人」戦闘の専門家である「菱神」。本人は事件に対して推理する側へ回る事で、その性質を自覚しないようにしており、また、恋に恋することで無意識の内に「菱神の女」の特性である「離別する力」を「繋がる力」で抑え込もうとしている。その才能が開花すると地球人類の四分の一が死滅するとまで言われている。
チゾメノザシキワラシの災厄後は、捜査一課の中に新設された対『パッケージ』専門の零外係への民間人の協力者として採用された。
菱神 恭(ひしがみ きょう)
舞と艶美の兄。菱神グループの主要経営陣の内の一人。藍色の着流しを身に着けた30代くらいの青年。「おじさん」ではなく「青年」に感じられる雰囲気を纏っている。ここ数年で「本家」継承順位の第三位まで上り詰めたが、本人は継承順位に興味はなく、むしろ不自然な躍進に疑問符を抱き凋落を望んでいる。組織票、政策シンクタンク、選挙活動用のビッグデータ提供などで選挙にも深く関わっている。
剛土 昌(ごうど あきら)
菱神恭の顧問弁護士。高そうなオーダーメイドでタイトスカートを着た女性。胸は豊か。道を踏み外す事のできない恭の代わりに、彼の泥を被る形で繁栄を後押してきた。
贅(ぜい)、蒐(あかね)、爛(らん)
菱神生化学工業製『夜桜』を装備した女性。「菱神の女」の性質の一度を切り取って植え付け、オリジナルには劣るが人から離れない程度に留めている。『妖怪の薬』の影響で、髪と瞳の色が贅は赤に、蒐は青に、爛は黄に染まっている。
鏖(おう)
対人専門である艶美の「菱神の女」の性質の一度を切り取って植え付けられた少女。保存槽の中で休眠状態のまま保管されている。
菱神 樒(ひしがみ しきみ)
1000年以上を生きる菱神筋の始祖。帯の代わりに太い注連縄で着物の腰を巻き、長い髪を真っ白に色抜きした不気味な少女。靴は履かずに裸足。百鬼夜行の家紋は左肩に付けている。
「菱神」としては「戦」を専門とする戦闘狂。不老の術法が効き過ぎており、年齢の割に可憐な容姿が年々若返り続けている。
扱う術法は、いわゆる「地形エフェクト」。弘法大師の『飛行の三鈷杵』の伝承を利用し、三鈷杵が接触した点を基準にして『聖地』を設定して、その領地・領空内部の物体・現象・生命に干渉する。作中では、衝撃波による圧搾、万有引力の操作、物体の石化・氷結、原因不明の熱病の発症、など多岐に渡る攻撃を披露した。
『菱神の女』としての性質に抗い呪の野望に加担する事で他人の役に立とうとした。一度は舞を退けるものの、『菱神の女』としての性質に忠実に生きる舞に敗北を喫する。チゾメノザシキワラシの災厄後は、捜査一課の中に新設された対『パッケージ』専門の零外係への民間人の協力者として採用された。
月輪の妖花(がちりんのようか)
かぐや姫ベースで作られた樒の式神。彼女と同様に不老長寿な性質を持つ。の葉で包んだ握り飯やおはぎが好物。
菱神 天(ひしがみ あま)
18歳の少女で、ざらりとした長い白髪に足首まであるワンピースを簡略化したような衣服。手首や足首には革のベルトが巻いてあり、短い鎖やソフトボール大の鉄球が括り付けられている。重い鉄球を引きずっているものの身のこなしは軽い。という複合式の妖怪を利用し、いくつもの超常を集中管理している。
『菱神の男』達に「何も壊さない『菱神の女』」として力の増幅を期待され、元々『菱神の女』でありながらさらに人工的にその性質を上乗せされた個体。実際には『菱神の男』達の望みは果たされなかったため、希望を破壊する『菱神の女』と称された。
菱神 顕(ひしがみ あらわ)
生産を破壊すると謂われる。全身を髪でぐるぐる巻きにした少女。サイバー戦争のエキスパート。ぬりかべの力を踏み台サーバーに組み込んで信号の流れを止め、相手方のセキュリティやファイアウォールを遮断して固め、無効化させるスペシャリスト。軍需企業の生産ラインにさえ割り込み不良品を乱発させる程の腕を持つ。
逃走する菱神天の足止め役を引き受け、宿泊施設を虱潰しに捜索した。
菱神 由(ひしがみ ゆう)
制度を破壊すると謂われる。ビキニのトップスと細いズボンを穿き、軍用コートを羽織った女性。旧ソ連のゲテモノ兵器のマニアであり、ガチムチロシア語版の武闘派。特に対戦車ライフルに関しては、狙撃ユニットにのっぺらぼうを組み込み「相手を化かす力」を利用する事で、標的を2秒間ほど確実に棒立ちさせられる。
菱神天を追う刺客の一人であり、菱神失と連携してデグチャレフPTRD1941 による狙撃を行った。
菱神 失(ひしがみ しつ)
教育を破壊すると謂われる。グラマラスで眼鏡をかけた長身の女教師。生徒たちへの愛の教育はどこか歪んでおり、武装化に校舎籠城、挙句には集団自殺などを起こさせる等、勤め先の学校を次々と潰して回っている。服装は、手袋と一体型になり胸も大きく開いたジャケットと、タイトスカートに見えるキャミソールの裾と網タイツ。菱神箍とは水と油の関係。牛若丸の伝承をベースに利用し、天狗の扇などの伝承を組み込んで人工的に竜巻を引き起こす。
菱神天を追う刺客の一人であり、菱神由と連携して警察隊と自衛隊を無力化させた。
菱神 浪(ひしがみ ろう)
金融を破壊すると謂われる。関西弁で喋る黒いドレスを纏った女性。逃走する菱神天の足止め役を引き受け、タヌキやキツネが好む『木の葉の小判』の伝承を利用して市ヶ谷のスクランブル交差点にオリンピック記念金貨をばら撒き交通網を麻痺させた。
菱神 夢(ひしがみ ゆめ)
倫理を破壊すると謂われる最年少の『菱神の女』。外見は10歳程度。特殊警棒の先端に金属塊をジョイントさせた自作の自撮り棒を武器に扱う。餓鬼もしくはヒダル神を利用し、光を起点にして異常な食欲を誘発させて嘔吐などの症状を引き起こす。死には清算の意味が含まれるため、よほどでない限り標的を殺しはしない。
菱神 落(ひしがみ らく)
健康を破壊すると謂われる。ドーピング愛好家のショートヘアで病的に青ざめた肌の少女。不健康なインドア派で体脂肪率が3%未満であり、服の中に詰め物をするだけでどんな体型にも化けられる変装と撹乱のスペシャリスト。「長命」「死の前触れ」という2つの象徴を持つ椿の使用を得意とする。
逃走する菱神天の足止め役を引き受け、ZR市ヶ谷駅にパニックを起こして鉄道網を麻痺させた。
菱神 籤(ひしがみ くじ)
元は『菱神の男』だったが、人魚の伝承の変遷を利用した性転換手術を施して無理矢理に『菱神の女』としての特性を得た変わり種。信頼を破壊すると謂われ、絆や繋がりがあるほどに生き生きと裏切る性格。明治時代の女学生や大学の卒業式のような袴を穿いたグラマラスな長髪の女性。目元に舞や艶美と似た面影があるが、おっとりとした雰囲気を纏う。袖の内に仕込んだ鈍器を利用して怪力を発揮できる。菱神夢の一派に抵抗する菱神天の味方の一人。
菱神 箍(ひしがみ たが)
信仰を破壊すると謂われる。へそが出るように布を切った修道服を纏う少女。菱神失とは水と油の関係。不純異性交遊に勤しむコスプレシスター。
菱神 新(ひしがみ あらた)
伝統を破壊すると謂われる『菱神の女』。ショートカットに丈の短い改造着物を纏う少女。菱神天を追う刺客の一人であり、山彦を利用して威力を増幅させたお手製の指向性のショックウェーブキャノンを用意して強襲した。

裏稼業の人間・組織

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百鬼夜行

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祝(はふり)
本作のヒロインの一人。百鬼夜行のリーダーを務める10歳前後の少女。人間と座敷童の間に生まれた混血だが、不死の肉体を持つ訳ではない。呪の残した百鬼夜行の108の秘儀を受け継いだ後は、微力ながら座敷童の運命を操る術性質を発揮できるようになった。
杓子定規な受け答えをする規律正しい性格。暗殺されたとされる両親に代わり、組織の血統主義からトップに据えられていた。政府専用機密番号を使用できる。舞からからかわれることが多く、不意打ちに弱い。学校に通っていないため世間一般の事情に疎く、外来語のカタカナに弱いなど和風(古風)な方面へ知識が偏っている。
すねこすり
旅人の脛をこするだけで特に人に害を為さないとされる妖怪。体長30cmほどの豆芝に似た小型犬の姿をとる。
脛に体を擦り付けるだけしか特性がなく、身体能力は見た目通り。ただし、脛に移動するときだけは目にもとまらぬ速さで移動することが可能で、人ごみで脛から脛へと移ることで高速移動ができる。
見た目によらず子持ちの父親であり、10年前にある日突然行方不明になった妻・お初を探すため、平穏な日常を捨てて裏社会に入ったというハードボイルドな過去を持つ。子供は体長5cmほどで、名前は儀助(ぎすけ)。舞と仕事をすることが多く、常識人的な性格もあって基本的に彼女に振り回されている。妻・お初を連れ戻した後も百鬼夜行には恩義を感じており、メンバーの一員として活動している。
豆狸(まめだぬき)
変身能力を駆使して祝の影武者を務める妖怪。年中煙管を吸っている。主を「嬢ちゃん」と呼ぶなどくだけた調子で接するため、やや堅物なすねこすりとは仲が悪い。豆狸界の女王とのことだが、種族的な特徴として玉袋を持つ。情報分析に強い。
病魔の使役者(びょうまのしえきしゃ)
百鬼夜行の「五本指」の一角。巫蠱の透視者の兄。組織内では「堅実」を象徴する。家紋は腕章に付けている。短髪で2m近い筋肉質な体に陰気な顔つきで、SWATのような黒系の戦闘服を纏っており、無数のマガジンの代わりに呪符の束を突っ込んでいる。忠義深い性格。
自らの憎悪の想念を呪符で制御しそれに指向性を与え『病魔』の形に整えて使役する。術を構成する過程で一番面倒なのが被害を拡大させすぎない事と評されるほど戦闘能力が高く、舞曰くその力は「平安時代あたりに京の都を騒がせた貴族怨霊クラス」であることのことで、「歩く戦略兵器」と称される。独力で呪いを完成させ、その工程を悪魔や妖怪に頼っていないが故に、寿命を削るようなストレスで内臓を痛めており、百鬼夜行が支給するでそれを軽減していた。病魔によって細菌菌類を自在に操り、それを標的に取り憑かせるだけではなく、時速400kmで駆ける程の肉体強化、菌糸類の増殖による構造体の形成、自らの天敵である菅原道真へ疫病を転化させ、光の刀『御刀・天神』の使用などが可能。また、火急の用で世継ぎが必要となった際に備え、推定年齢20歳を想定した祝の人工代理母を菌糸で制作している。
鎖国派に加担し風化村を襲撃したが、失敗に際して撤退、ユーロセキュアフォースを壊滅させた。その後はフリーランスとして活動を続けていたが、青行灯と百鬼夜行の衝突を目前に控え、戦力増強を図る祝の命により再び百鬼夜行へ加わった。
巫蠱の透視者(ふこのとうししゃ)
百鬼夜行の「五本指」の一角。病魔の使役者の妹。長い黒髪に色白の肌をした、巫女装束の上から弟切草の飾り留め具で固定した薄い千早を纏う美女。目線を覆うように赤い布を頭へきつく縛っており、三尸を体内で飼う事で超常のインスピレーションを獲得している。鈴と飾り紐に彩られたモーゼル・シュネルフォイヤー2丁を得物とする。この鈴に家紋を付けている。「究極の観測機器」と称される。
三尸の「寿命を抜き取る」性質を利用して、破壊力を自在に調節できる対妖怪用の弾丸としても三尸を使用している。
伝家の超越者(でんかのちょうえつしゃ)
百鬼夜行の「五本指」の一角。ボロボロの車椅子に腰掛け、大きなで顔を隠す、和装の枯れた老人。幌の正面に家紋を付けている。100年経った器物や動物には超常が宿るという伝承を利用し、に放り込んでよく熱し、丹念に金槌で叩いた存在を怪異へ変貌させる事ができる。「超常の兵器設計、開発者」と称される。
神業の鞭撻者(かみわざのべんたつしゃ)
百鬼夜行の「五本指」の一角。黒い執事服に乗馬の鞭を手にした、眼鏡の優男。家紋はネクタイピンに付けている。牛若丸を育てた天狗金太郎を育てた山姥安倍晴明を育てたなど、妖怪が人に神業を教える人智を超えた武術を、一瞬にして(自身を含めて)対象全体に教授する事ができる。「特別軍事顧問」と称される。
情念の捕食者(じょうねんのほしょくしゃ)
百鬼夜行の「五本指」の一角。うぐいす色を基調にした思春期の少女。家紋は扇に付けている。清姫などの伝承に見られる、女性の持つ悪感情を極度に拡大解釈して捻じ曲げた存在。仕事の度に標的との想像妊娠を経る事で偽りの繋がりを持って莫大な嫉妬や憎悪を生み出し、それを呪いの炎へ変える事で確実な暗殺を成功させる。「精密誘導兵器」と称される。
呪(まじな)
先代百鬼夜行のリーダーであり、祝の実父。腰まである艶やかな黒髪を先端で縛り礼服を着こなす、古風な片眼鏡をかけた端正な顔立ちの男。妻の迷を溺愛しており、永遠の繋がりを欲し片目を彼女と交換している。
妖怪を原初の現象・怪異へと一瞬で分解し使役する事ができ、本来は数十・数百人でアセンブルを行う『パッケージ』をたった一人で瞬時に創造できる。どんな相手でも決して侮らず、合理と効率によって最大出力で敵を撃滅する性分。
妻である迷を座敷童の特性から解放する事が叶わず、自らとは違う道を行き座敷童と共に歩く忍に憧れていた。
のタイムトラベル『パッケージ』により過去へ干渉した忍によって暗殺計画を察知し、死を回避した。その後は、未来から来た忍の存在を消してしまわないよう、歴史が「百鬼夜行と青行灯グループの抗争」へと収束するまで暗殺された振りをして墓前市墓石山の山中に10年間潜伏していた。
娘の祝がチゾメノザシキワラシのように変貌しないか懸念しており、座敷童を徹底的に解析し安定化させるため、チゾメノザシキワラシとの戦いさえ情報源として視野に入れて自身が百鬼夜行のリーダーになる事を宣誓。チゾメノザシキワラシの災厄に備えるため日本国民総員の強靭化を狙い、墓前市墓石山の『御口様』に火車を閉じ込めゾンビパニック『パッケージ』をアセンブルした。騒動の中で彼の前に現れた忍達が火車を逃がした事で計画は破綻。迷の力を借りる事でゾンビパニック騒動を記憶を保持したまま無かった事に運命を修正し、自身は正しい因果の通り現在の時系列から消え去った。
座敷童・迷(めい)
東北地方発祥の妖怪。間引きや口減らしによって親に殺された赤子の集合体。白い装束を好む一般的な座敷童であり、居ついた家に繁栄を齎す(もたらす)。縁に似たグラマラスな体型の着物を着た黒髪美女。髪は肩のところでバッサリ切ったおかっぱ風で、顔の左半分は薄いベールで覆っており、首回りにはマウントディスプレイを下げている。片目を夫の呪と交換している。
呪の妻で祝の実母。暗殺を回避した呪が、遠隔地から密かに収集した縁のデータを元に研究して改造が施された「百鬼夜行極製四〇式座敷童」。ピーキーで不安定な代わりに高い出力を発揮し得る試製三九式の縁とは異なり、極性四〇式の迷は一律安定の力を発揮する。呪の消失後、百鬼夜行へと身を寄せる。
すねこすり・お初(はつ)
旅人の脛をこするだけで特に人に害を為さないとされる妖怪。体長30cmほどの豆芝に似た小型犬の姿をとり、首には家紋を付けたスカーフを、右耳にはリボンのような飾りを付けている。
脛に体を擦り付けるだけしか特性がなく、身体能力は見た目通り。ただし、脛に移動するときだけは目にもとまらぬ速さで移動することが可能で、人ごみで脛から脛へと移ることで高速移動ができる。
すねこすりの妻。夫や息子のような、致命誘発体のような力を持たない無害で温厚な妖怪が人間に狩られるのを防ぐ仕組みを作るため、百鬼夜行の長である呪に近づき行動を共にしていた。呪の消失後、百鬼夜行へ身を寄せ、すねこすりと息子の儀助と共に過ごす。

悪鬼羅刹

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北条 統次(ほうじょう とうじ)
古い首脳陣から悪鬼羅刹を奪い取った若手幹部の内の一人。20代前半くらいの妖怪画家。不吉なたたりを生み出す妖怪画ばかり量産することで有名。心霊写真を粗末に扱った人間に対して呪いをかけることもできる。インテリビレッジ納骨村などで悪鬼羅刹主流派のプロジェクトに沿う素振りを見せていたが、京都で暗躍する悪鬼羅刹の首脳陣を皆殺しにした。200体近い致命誘発体の呪いをボウズサマに受けきられ、舞の手にかかり敗北。その後木に吊るされて死亡した。
東条(とうじょう)
古い首脳陣から悪鬼羅刹を奪い取った若手幹部の内の一人。犬神の血族から特殊な骨髄を買い取り、移植血液型を変える要領で犬神と融合している。警視庁の生活安全部にいた同じ名字の東条雅という警官を殺し、顔を作り変えて彼に成り代わって事件に介入した。北条や西条の静止を気にせず、『人面瘡』のパッケージを作っていた悪鬼羅刹のメンバーを皆殺しにした。事件の真相に近づき過ぎた隼を殺害しようとするが失敗、彼が細工を施した銃の暴発で両手を失い、失血により犬神をコントロールできなくなって敗北。その後護送車ごと爆破され死亡した。
西条 藍(さいじょう あい)
古い首脳陣から悪鬼羅刹を奪い取った若手幹部の内の一人。髪を二つに束ね、ピンクのキャミソールにホットパンツ、ジャケットを羽織っている女。不気味な作品ばかり残す書道家として一部のマニアには有名。『小袖の手』などの呪符を使う。ヒットマンタキシードと呼ばれる60年代の名車をハイブリッドカーにカスタムメイドしている。
「派手な騒ぎを起こした上で、その影に隠れて道を進む」といった手法が専門。そのため、絡新婦のパッケージでインテリビレッジ納骨村に騒ぎを起こし、その隙に唐傘お化けや提灯お化けを拉致しようと企てたが、菱神舞に敗北し死亡した。
南条 翔(なんじょう かける)
古い首脳陣から悪鬼羅刹を奪い取った若手幹部の内の一人。金髪をリーゼントにし、タンクトップに作業用ズボン、上着を腰に巻いている筋肉質の男。生き残った幹部二人で勢力が分かれることを危惧した西条に殺され死亡した。

企業監獄

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伊藤 武(いとう たける)
青行灯の百物語に組み込まれた。56歳、男性、監房ブロック実務責任者『看守長』であり、企業監獄の全権を任されている。外見に似合わず神経質。一度目をつけたら男も女も関係ない『趣味』を持っていて、看守に付き合わせていた。
山田 堅(やまだ けん)
青行灯の百物語に組み込まれた。25歳、男性、資材搬入ゲート警備要員。伊藤の『趣味』に付き合わされたことがあったらしいが、詳細は不明。神隠しの犯人を見つけるため、ガラを悪く見せることで相手の戦意を削ぐことに必死だった。
酒井 遥(さかい はるか)
青行灯の百物語に組み込まれた。33歳、女性、正門ゲート警備要員。化粧が濃い。
車屋 希(くるまや のぞみ)
青行灯の百物語に組み込まれた。24歳、女性、敷地屋外警備兼労役管理業務担当。終始オドオドしている。
羽山 丈二(はやま じょうじ)
青行灯の百物語に組み込まれた。「谷下一(たにした はじめ)、41歳、男性、モニター室勤務、ロイヤルセキュリティ社から出向」という身分を詐称していた。その正体は、パラックス精機の産業スパイ。半導体のプリント機材の図面を盗もうとしたが、企業監獄に左遷されて内心では戦々恐々としていた。眼鏡をかけている。
護岸 桜(ごがん さくら)
青行灯の百物語に組み込まれた。50歳、女性、囚人1807番、禁錮180年。公安の非公式囮捜査官として、企業監獄に潜入していた。50歳になるまで、囮捜査一本で飯を食べてきたらしい。
川端 愛(かわばた めぐみ)
100以上前から今の姿のまま生きる老婆。四ツ山集落の在り方の『間違いを正す』ため、四ツ山で忍たちを巻き込み当廟を利用して青行灯のアセンブルを行った。
かつては四ツ山集落に送り込まれた間者で、大蛇(おろち)を祀る神社におり、作為的に集団を分断して有力二家を作り内部抗争を継続させて外界への憎悪を内向きに変換し、隔離されていた人々が外の世界に対し危険行動をとらないよう集落を制御していた。内部抗争による死者や間引きを望んでおらず、それらに歯止めをかけようとするも失敗、更に当廟を買い取ろうとする動きの加速を止めるため無理な介入を行った結果、間者であることが村人に露見し裏切り者の烙印を押され、住んでいた神社も打ち壊された。
後に間引きによって殺された子供達の正確なデータを求め黒山電子グループの半導体工場に潜入し、囚人を使って青行灯のアセンブルや『草薙』のメンテナンスを行った。定期的に死んだ振りをして別人の顔に乗り換えており、3巻時点では「鈴川泉(すずかわ いずみ)、17歳、女性、囚人0899番、禁錮202年」という姿に化けていた。3巻にて、全滅村に残された当廟のパッケージを利用し、八岐大蛇の討伐の図式を逆に辿ることで三種の神器の一つ『草薙』に不正アクセスして強引に力を引き出すことで菱神舞を襲ったが、返り討ちに遭い死亡した。

料亭の主様

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雨洞 斎(うどう いつき)
料亭の主様の西の一角の正規メンバーの一人。全国津々浦々に薄く広く影響を及ぼす、強大な力を有している。
雨洞斎の影武者
G20首脳サミットにて、諸外国の各閣僚に商談を行うために箱根の分割インテリビレッジの一つに滞在した。『料亭』の権限の一部が与えられている。
『緋桃の猛将』の少女
雨洞斎の影武者のブレインとなり、彼を操っていた。フリーランス。黄色をベースにした派手なセーラー服を纏った高校生くらいの少女。骨格を補強するように体内に桃の香木を仕込むことで、桃太郎の有する退魔の効果をブーストさせていた退魔サイボーグ。すねこすりが起こしたガス爆発によって深手を負い、その後菱神舞によって殺害された。
緋桃の猛将(ひとうのもうしょう)
妖怪の虐殺に特化した桃太郎の伝承を元にアセンブルされた式神。式神本体と護摩壇を両方併せたシステムであり、陰陽道密教の合わせ技。で固められた革の鎧兜であり、使役者が装着することで効果を発揮する。式神自体は数十倍に膨れ上がることで怪力を発揮する攻撃の用途のみで、防具としては機能しない。護摩壇はの香りを辺りに放つことで『妖怪を普通の方法で殺すフィールド』を形成できる。
片桐 羊(かたぎり ひつじ)
戦略文化財として指定されている人間国宝。以前は精密機械工業分野を仕切っていたが、日本が『致命的な敗北』を喫するや否やインテリビレッジを中心とする最先端農業に強い権限を有するようになった。工業から農業への転換を後押しするため、特許庁にあった各種の設計データを情報流出を装ってわざと海外へ流して日本の工業分野にトドメを刺した。
青行灯の野望を食い止めるために『金輪奈落』を雇い、永田町駅のサーバーに直結する検索プログラムを内包するUSBを奪取する。しかし、濡れ衣を着せた隼に出し抜かれ、警察の介入を受けて身柄を拘束された。

遺産相続エージェント

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花園(はなぞの)
遺産相続エージェントの内の一人。人を撃つのが怖く、組織の計画には参加したくはなかった。サナトリウムから山道を降りて来た忍を襲撃しようと待ち伏せしていたが、陣内忍に雪女のパッケージを乗っ取られ、同僚である室川や林田や城中と同じように重度の凍傷に遭い無力化された。
城中(しろなか)
遺産相続エージェントのリーダー格。安田銃砲店から調達した32式の二連式猟銃に散弾を用い、メンバーに配った。
陣内家に忍び込んだ泥棒
陣内忍の乗っ取った雪女のパッケージから逃げ延びた遺産相続エージェントの内の一人。泥棒に扮して陣内家に雪女のパッケージを仕込み、雪女を差し向けた。
シド=クラウズ
品のいい白髪に、年不相応の筋肉質な体型で、オーダーメイドのシックなスーツを纏ったオカルト博士。潜伏先の怪異を取り込んで兵器化するスペシャリストであり、徹底した攻撃型の怪異を扱う傾向がある。徹頭徹尾、自分の抱いた些細な違和感を潰すことに全力で挑むため、行動にブレがなく付け入る隙がない。常に自分より優れた部下を侍らせている。
舞とは因縁があり、過去に2、3の貸しがあるらしく、彼女曰く「ベッドでないと眠れず、箸を使えず、生の魚が食べられず、一食250g以上の赤身の肉が出てこないものは料理と認めず、他人に肌を見せる露天風呂には馴染めない」らしい。
けち火の生霊暗殺『パッケージ』や産女の赤子の伝承を利用した「オボウ力」の再現などを駆使し、インテリビレッジ金鉱島にて臼引き童のハードウェア極小破壊パッケージの乗っ取りに挑んだが、舞の妨害を受ける。辛くも均衡状態を維持していたが、望みが薄いと判断した蓮河によって射撃され、肉塊へと成り果てた。それでも生存していたらしく、その後の様子が確認できる。
蓮河 弓(はすかわ ゆみ)
シドが自身より優秀な存在として侍らせていた部下。スカートの短いメイド服に、エナメルシューズを穿いた、茶色のショートヘアの女性。ガーターにサブマシンガンを突っ込み、スカートの裏に替えのマガジンを多数忍ばせている。
シドを無力化した後、天邪鬼の『パッケージ』の核となる忍の拉致を目論む。舞の妨害をも払い除ける力量を発揮したが、忍によって『パッケージ』を無力化されたことで百鬼夜行に取り押さえられた。殺さず釈放されたことには恩義を感じており、彼個人に対しては仕事を抜きにして協力的な姿勢を示す。
小桜 誘(こざくら そびき)
艶美と同程度、もしくはもっと幼い外見のショートカットの少女。半袖のセーラー服とショートパンツを穿いている。ハードウェアクラックを専門にしている。
CIAから依頼を受けて、インテリビレッジ金鉱島と本土を繋ぐ海底ケーブルに細工をした。その直後に隼を見かけ、警察を装った刺客だと勘違いしてレーザーポインターを搭載したM字の奇妙な形をした投石用ボウガンで艶美共々襲った。が、少女の細腕では巨大なボウガンの弦を引くことにも苦労し、驚かせてきた隼の声に慌てて手元からボウガンがすっぽ抜けて額を強打してしまい気絶した。最終的に警察に引き渡された。

青行灯メンバー

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栽木 和(さいき かず)
ダークスーツを着こなす線の細い青年。幼少期に安楽会系の筋の人間に殺し屋へと改造された。10歳になった時、自身を本気で助けようとしたとある昔気質の刑事の殺害を強要され、安楽会への報復を決意する。数年後、占い師として組織に近づき、安楽会を含む四大ネットの一つを丸ごと壊滅させた。復讐を遂げ奥多摩の山中で自殺を図るも、「脆弱な善を駆逐し、強大な正義に束ね直す」ことを指針にした青行灯の提案を受け入れ、彼女の『メンバー』に人間側の代表として参加することを決意した。
妖怪『さi木カズ』として自身の肉体を完全新規の妖怪へと組み上げており、妖怪としての性質を自由に設定して存在を上書きできる創造性を有する。
の予言を利用した百鬼夜行製のタイムトラベル『パッケージ』で、病魔の使役者が作製した栽木和を模倣した体を未来に飛ばして即時破壊。これにより外部ストレージ化した栽木和の情報のアクセスを妨害することで妖怪『さi木カズ』としての存在情報が変質し、その隙を突いた舞によって殺害された。だがその後、10歳の頃の姿で外堀の目の前に現れ、復活の可能性を口にして消えた。
松海 博(まつかい ひろし)
青行灯が日本内外から集めた『メンバー』の内の一人。業界でフリーに使用される偽名(松海博)を名乗って、慶城意塾大学の超心理人間情報工学の教授を務めていた初老の男。超能力研究の第一人者。青行灯と永田町駅のサーバーを直結させる検索プログラムを作り上げ、青行灯に手渡した。
彼の息のかかった検事、卯月 湊(うづき みなと)に超能力研究の論文の審査を強引に通させたが、舞によって殺された。片桐が雇った『金輪奈落』に自身も殺され、検索プログラムのバックアップデータを入れたバックル型USBを奪われた。
山女 胸花(やまめ きょうか)
青行灯が日本内外から集めた『メンバー』の内の一人。椀貸不動産に所属していた姥捨て団地の管理人だったが、警察に逮捕された後に青行灯に拉致されて『メンバー』に加わった。
蘭園 幸(らんぞの さち)
10歳の天才少女。ティーン向けのファッション誌『オートフォーカス』の読者モデル兼ライター。栗色の長い巻き髪、白い薔薇のコサージュ。白いタートルネックのセーター、前の開いた赤っぽいパーカーに黒系のミニスカート、さらにその下にジーンズとチョコレート色のブーツを履いている。
『Kasane_12』というトリックアートの化粧、そしてトラウマ断線法を用いる進学塾『メディカルキャンプ』の影響から、極度のストレスを被り自分を見失っていたが、外見を気にせず相談に乗ってくれた大百足や土蜘蛛などの妖怪に心を開く。しかし、世間は妖怪達との繋がりを芳しく思わず、彼らの除霊を試みた。人間の身勝手さに憤り、同じ想いを共有する子ども達を集めて大百足との同一化『パッケージ』を自力でアセンブルした。日本全国民を全て大百足との同一化『パッケージ』に巻き込み外見の美醜に拘泥しない世界を実現しようと企んだが、文化交流として立ち寄ったインテリビレッジ納骨村で計画を露見。目撃者である忍と米咲にパッケージを解体され、警察に逮捕される。隣町の墓前市へ身柄の搬送中に、猫鬼の使役者によって暴走させられ護送車を脱出。大百足の神経毒により意識を失ったものの、青行灯の凝視法による催眠によって『メンバー』に加わる事を決意してしまう。百鬼夜行との抗争が終息した後は刑務所に護送された。出所してからは忍曰く、米咲とバカップルになったらしい。
「子供と妖怪の相性の良さ」が常人よりも突出しており、この性質の指向性を自覚的に制御することで動物型の妖怪の口寄せを行うことが可能。口寄せされた妖怪は正気を失い、彼女の意志に従って行動する。
大百足(おおむかで)
致命誘発体。自身のサイズを自由に拡縮できる。「どんな攻撃も弾く」「雷光を纏う」「嵐を起こす」「100本の足を松明のように光らせる」「体内の毒が呪いの材料になる」など、時と場合により様々な伝承が伝えられている。
文化交流でインテリビレッジ納骨村へ向かった蘭園を追い、そこで出会った陣内忍や米先尋と協力して彼女の計画を阻止した。逮捕後、墓前市へ護送中の彼女の暗殺を企む『信賞必罰』の思惑に気付き、彼らと敵対していた病魔の使役者を影から追跡した。病魔の使役者に助力し、神経毒により暴走した蘭園を無力化。彼女の影に潜む『猫鬼』との毒虫同士の殺し合いを経て、存在が上書きされ蠱毒を獲得するに至った。が、青行灯の介入によって蘭園が拉致されてしまう。彼女に寄り添う事を決意し、意に反しながらも『メンバー』に加わり最後まで彼女を守り抜いた。百鬼夜行との抗争が終息した後も彼女の元に寄り添っている。
加田(かだ)
青行灯が日本内外から集めた『メンバー』の内の一人。寺社や仏像についた穢れを嵐のように振るう事ができる。
迫川(さこがわ)
青行灯が日本内外から集めた『メンバー』の内の一人。枕返しを利用して、標的の肉体から魂を抜く事ができる。
囲湖(いこ)
青行灯が日本内外から集めた『メンバー』の内の一人。他人の喜怒哀楽を一律で憎悪にコンバートして呪いを撒く事ができる。詳細は明らかになっていないが、栽木が「砕いて取り込んだ」らしく生死不明。

信賞必罰

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万丈 明(ばんじょう あきら)
今年で45歳になる男。六本木に数ある高層ビルの1つ、50階建ての最上階を丸ごと陣取りセカンドハウスとして使っている。自分が周囲からどう評価されているか徹底的に気にする神経質な一面がある。
『表の顔』としては、テレビの中で慈善家として紹介される事が多く、種々の社会問題を憂い、その解決に尽力した個人や団体へ宝くじのような額を寄付している。『裏の顔』としても、妖怪絡みの事件へ解決する組織への協力を惜しまず、『信賞必罰』のスポンサーとして私財をつぎ込んでいた。百鬼夜行の目に留まり、派遣された舞によって睡眠薬を盛られて死亡した。
猫鬼の使役者(びょうきのしえきしゃ)
13、14歳ぐらいの少女。肩にかかる程度の黒髪に、健康的に上気した白い肌。片目を包帯で雑に覆っている。丈の短い黄色を主体にしたへそが見える程肉抜きされたチャイナドレスと、猫の耳のような飾りをつけた青いパーカーを羽織っている。片足だけ長い靴下を、もう片方にコミカルな絆創膏をいくつも貼っている。自分を卑下する言動が多い。
『猫鬼』を利用する疫病と呪いのエキスパート。壺の中で毒虫を殺し合わせる蠱毒の変種を扱い、取り憑いた標的に様々な病気を付与する。また、敵を走査し、それを撃滅するために必要な質と量の猫鬼が自動で生産される。さらに、通り魔を利用して人の心を狂わせ、標的を凶暴化し無差別犯罪を誘発させる事も可能。
『信賞必罰』の主戦力だったが、病魔の使役者に敗北して昏倒。その後、栽木によって拉致され『メンバー』に加えられたが、百鬼夜行との抗争が終息した後は百鬼夜行へ身を寄せた。同じ病魔を扱いながらも彼女とは違う道を示した病魔の使役者に好意を寄せてベッタリ付き添っている。
火付盗賊
必要な材料を奪い、現場に火を放ち証拠を隠滅する『信賞必罰』の調達屋。20代に入るかどうかの若い女性。腰まで伸びたストレートの長い金髪に、目元には知的な印象を強める薄いレンズのメガネ。ルージュのように真っ赤なタイトスカートのドレスに黒いガーターベルト付きストッキングを身に纏う。
ピンク色の外装をした電動の丸鋸を得物とし、この刃を人間の歯に差し替える事で『狐火』の伝承を利用した火を操る。凝視法を利用した催眠的な誘導も行える。丸鋸のグリップにハート型のカラビナを取り付け、合成繊維のリードと繋げる事でモーニングスターのように扱う事もできる。
歯のストックと隠れ家を用意するために坂下 蒼(さかした そう)の一家を拘束したが、病魔の使役者に襲われて200ヶ月ほど意識を失う事になる。
盛道 鏨(せいどう たがね)
『信賞必罰』の運び屋。派手なスーツにサングラス、髪も真っ白に色を抜いた若い男。天狗神隠しの性質を併用し、空を飛んでいる限りは身を隠す事ができる。
病魔の使役者に呪的ステルスを破られ、搭乗していたヘリコプターを墜落させられる。猫鬼の使役者との情報を引き換えに命は見逃してもらい、裏稼業から足を洗った。

金輪奈落

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加藤(かとう)
制服警官に扮し、雨恋遥の身柄を引き受けにやって来たが、隼に正体を感づかれた事で銃撃を試みる。しかし、警棒ではたき落され、顎を横殴りにされ昏倒。有坂に頭を撃ち抜かれて死亡した。
有坂(ありさか)
制服警官に扮し、雨恋遥の身柄を引き受けにやって来たが、隼に正体を感づかれた事で傍にいた菱神艶美を人質に取る。昏倒した加藤を射殺し殺人の責任を隼に押し付けようとしたが、逆に額を打ち抜かれて死亡した。

小手蜜

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小手蜜 聖歌(こてみつ せいか)
『小手蜜』本家正統のトラブルシューター1番機。『小手蜜』のランク付けでの評価はエース。投資の際は、自分からは仕掛けずに相手にボロを出させるやり方を好む。惑歌の姉。
メガネをかけており融通が利かず、惑歌とはかなり仲が悪い。大学1年生。

その他人間・組織

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黒川 櫂(くろかわ かい)
インテリビレッジ座礁島に住む、漁協の会長。外見は気の良い初老のおっさん。腰はやや曲がりつつあるが、大荷物を軽々と持ち運びしそうな雰囲気がある。
座礁島の秩序を乱す部外者を島民達と一緒に襲い、未完成の舟幽霊のパッケージを利用して都合の悪い死体を完全に隠匿していた。田崎や井上などのいくつもの犯行グループに指示して隼と艶美を襲ったが、パッケージの穴を突かれて脱出されてしまう。その後、百鬼夜行の命を受けた菱神舞によって皆殺しにされた島民達と共に死亡した。
飴村 流(あめむら りゅう)
京都在住の11歳の少女。地元の小学校に通っており、成績は中の上。習い事は、水曜にバイオリン、月・金曜にダンス。軽度のアトピー系アレルギー持ちでダニが苦手。右の奥歯に虫歯治療用の詰め物あり。性格は内気で人見知りだけど好奇心旺盛。父が専業主夫で、母が中小企業集合体(ユナイテッドハイブ)『天球』の会長秘書、祖父と親戚の叔父がフェリーの船長。菱神舞に『ボウズサマ』と飴村家の繋がりを聴き出された。
八河 巴(はちかわ ともえ)
艶美の同級生。髪を三つ編みにしたメガネの少女。しなやかな筋肉に包まれておりスタイルがいい。御茶ノ水のファミリー向けのマンションに住んでいる。寝る前に自宅から少し離れたコンビニまでジョギングし、立ち読みするのが日課。刑事であった以前の父、東条雅が家庭を顧みず事件に没頭していたせいで母と離婚し、離れ離れになる。現在、母は再婚済み。
隣人である妻田澪がパッケージに巻き込まれて行方不明になった事件を独自に調査していた。刑事である父親の捜査状況の進捗具合が芳しくなく、警察官全体に不信感を抱いている。父親が『人面瘡』パッケージに深入りしたために殺害され、別人が成り代わっていたことを知らず偽物の父に殺されかけたが、隼の機転により命を救われる。
チゾメノザシキワラシの災厄後は、捜査一課の中に新設された対『パッケージ』専門の零外係への民間人の協力者として採用された。
妻田 澪(つまだ みお)
八河巴の隣人。腰まである長い黒髪に、白系の地味な長袖のセーラー、足全体を覆う黒系のストッキングを履いている。得意科目はダンスで、『タロットガールズ22』などミーハーな話題に詳しい。
悪鬼羅刹の人面瘡パッケージに組み込まれて学校内での人間関係を気にして失踪。個人所有でいくつも山を持つ程の地主である祖父母へ助けを乞い、奥多摩の小屋に隠れ住んでいた。悪鬼羅刹の東条に「人と妖怪の融合」のサンプルとして拉致されそうになったが、隼が東条を逮捕し、さらに人面瘡の嘘の核を見抜いたことで被害が消失したことで日常生活に復帰した。後遺症は残り、本人を含めて3人以上が集まると存在が希釈されてしまう。
チゾメノザシキワラシの災厄後は、捜査一課の中に新設された対『パッケージ』専門の零外係への民間人の協力者として採用された。
調達屋
裏稼業の仕事を紹介する仲介人。半袖にTシャツにハーフパンツという部屋着姿の小心者な小男。大型の観光バスの内装を全て取り払って、生活に必要な機材を丸ごと詰め込み3000万円ほどかけてキャンピングカーへ改造している。仏具や神器、銃火器などの売買も携わっており、全国各地の倉庫に商品を小分けして隠してある。
長谷部 道夫(はせべ みちお)
蛍光オレンジの囚人服を着た50歳前後の男。冤罪の可能性が濃厚で議論が白熱したせい執行のサインが延々と引き伸ばされている死刑囚で、『殺せない死刑囚』と呼ばれている。長谷部の逮捕にゴーサインを出した当時の捜査関係者は、現在では異例の栄転に成功しており、ブランドイメージ的に無実判決が出てしまうと困る人間が多い。
かつて黒山電子グループの取引先であり事実上完全傘下におかれた大阪の町工場に勤務しており、黒山電子グループの一存で下町全体が餓死するような貧困システムに囚われ汚れ仕事を押し付けられる環境にいた。黒山電子グループの命を受け、地下水の利用に反対していた全滅村の村民を集団で皆殺しにした。25年前の11月9日、黒山電子グループ内の内紛で会長が殺害された際に真犯人によって犯人に仕立て上げられ、翌年1月に押し込み強盗による殺人事件の容疑者として地方警察に逮捕された。取り調べでは沈黙を貫いたが、裁判では一転して無実を主張。結局は認められず、死刑判決を受けた。現在は再審請求が通るか通らないかの瀬戸際で、詳しい調査のため警視庁へ護送される最中に通過した四ツ山ジャンクションで青行灯のアセンブルに組み込まれた。
横枝 正(よこえだ ただし)
顔全体がヒゲに覆われ、小汚いボロ布のような服を纏った40 - 50歳くらいの中年男。長い間風呂に入っていないため、肌の色が黒ずんだ汚れによって変色し、黙っていても鼻につく匂いがする。
全滅村の住人の生き残り。「イカれた殺人鬼」という濡れ衣が着せられる。黒山電子グループに揺さぶりをかけるため、当廟のパッケージを利用し生活物資を調達しながら彼らが全滅村に敷設したカメラ網の隙間を縫って逃亡生活を続け、肝試しなどで村に訪れたガラの悪い人間を追い払ったりしていた。
竹光の殺し屋
スーツを着ており、中年から初老に差し掛かる年齢の屈強な男。竹光を武器とし、その身軽さから一息で五太刀は浴びせられるという、『狭い業界』においては伝説の男。竹光の欠点である「相手の攻撃を受けとめられない」のが気にならない程の達人。
ガンを患い、医者から余命3ヶ月と宣告されてから2年が過ぎていた。病死する自分に納得がいかず、戦いの中で死ぬために、宅地開発にやってきた人間を片っ端から殺しながら生活していた。百鬼夜行の命を受けた菱神舞に殺されたが、彼女の殺しの手際に感服し、満足しながら安らかに死亡した。
臼田 学(うすた まなぶ)
24歳の小太りな青年。ネットラジオの音響スタッフの一人で、フリーの下っ端。安楽会系列の消費者金融のブラックリストに載っている多重債務者である。
阿刀 美濃里(あとう みのり)
20代中盤くらいの巨乳の女性。既婚。かんざしを使って頭の後ろで黒髪をまとめており、首にはチョーカーをつけている。お台場のハチテレビにアシスタントプロデューサーとして勤めている。艶美からは(恋敵としても性格的にも)天敵だと警戒されている。
インテリビレッジ納骨村の出身であり、高校時代は生徒会長を務めていた隼の先輩であった。当時コワモテだった隼に関わる数少ない女子であり、彼を『猟犬』と呼んでいる。忍を溺愛してアプローチを試みるものの空振りが多く、忍本人も記憶に残っていない模様。大学も隼と同じであり、同じ飲みサークルに所属する仲であった。
チゾメノザシキワラシの災厄後は、捜査一課の中に新設された対『パッケージ』専門の零外係への民間人の協力者として採用された。
明石 蜜(あかし みつ)
お台場のハチテレビに勤める女性スタッフ。肩書きはADだが、実質的にはアルバイト。親指の爪を噛む癖がある。安楽会系列の消費者金融のブラックリストに載っている多重債務者である。
姉村 楓(あねむら かえで)
アイドルグループ『タロットガールズ22』の大アルカナ女帝』。14歳。歌も踊りも人に注目されるのも好きではなかった。人よりも発育のよかった身体のせいで男子からの目線が怖くなり、結果として引っ込み思案な性格になった。そういった苦手なことを克服するためにアイドルを目指し、それが運よく功を奏してアイドルとして成功した。
チゾメノザシキワラシの災厄後は、捜査一課の中に新設された対『パッケージ』専門の零外係への民間人の協力者として採用された。
板野 涼(いたの りょう)
『タロットガールズ22』一本で芸能事務所を担う社長であり、姉村のマネージャーでもある。20代後半の敏腕経営者。愛想が悪いことを除けば、本人がアイドルとして前線に出ても違和感がないほどの美人。

その他にも、焼身自殺で目を回していた軍オタの『戦車』と小麦色の『太陽』、野次馬根性を発揮して携帯電話で事件現場を撮影していた『永遠』、胸の谷間に幽霊が映り込んだ『隠者』の靡(なびき)、ポニーテールの『女教皇』やゴスロリの『死別』、細見で片眼鏡をかけた『魔術師』や密かに男の娘疑惑のある『術法』、スマホアプリで遊んでいるくるくる縦ロールの『運命』とお姉さん系の『欲望』とオドオド小動物系の『』、メガネと帽子で変装している『教皇』(胸は大きい)と『』(胸は小さい)、メモ魔の『悪魔』、掴み合いを起こした『』の前園と『均等』の魚沢、『恋人』、『皇帝』、『吊るされた男』、『愚者』や『宇宙』などがいる。

トマス=アルバート=ジュニア
国連事務次長。米国出身。恰幅のいい白人の老人。
3年前、中央アフリカへ人道支援物資としてコンテナ型の野菜工場を大量に送り付けた。当初の予定では、太陽光発電と組み合わせて年に20回以上を行える野菜工場によって、中央アフリカの慢性的な食糧難を解決できたはずだった。しかし、地元の犯罪グループに横取りされ、麻薬栽培プラントに利用されてしまった。完全密閉型だった野菜工場は地下にも屋内も自由に隠せるため衛星写真もあてにならない状況下、早急に犯罪グループの居場所を掴まねば地域の発展が30年は遅れる。この事態を解決するために人の域を超えたインスピレーションを欲し、才能を与える代わりに精気を奪うリャナンシーの使役式を使用した。その代償として身体が壊れてしまっているため、鎮痛剤を常に服用している。
マイケル=ルーカス
トマスの護衛業についている筋骨隆々の黒人。2mを超える巨躯で腕周りは49cm。運動は得意ではなく、ホラー映画肝試しも苦手な小心者。日本語を流暢に話すことができる。
江村 良一(えむら りょういち)
インテリビレッジ金鉱島の島民。カジノ誘致を主導する遊興企業側との生活インフラの格差に憤り、過去に恫喝外交に用いられた臼引き童のハードウェア破壊『パッケージ』を再びアセンブルしてカジノのサーバーの破壊計画を企てていた組織の一人。各界に顔が利く古珠を協力者に迎えていた。組織は20人以上の島民で構成されており、彼の他に佐藤、鈴木、といった人物が明かされている。
フリーライターの羽柴 透(はしば とおる)、オカルトサイト運営者の石田 萌(いしだ めぐみ)、職業不詳で自称脚本家の毛利 鏃(もうり やじり)といった3名の不審死を受け、CIAの介入に築き、USBハードキーを安全管理してパッケージの暴走を食い止める方針へと変えた。忍達一行からの協力に応じ、無事に臼引き童のハードウェア極小破壊『パッケージ』の阻止に成功した。
古珠 亮(こだま りょう)
全国で2000人ほどを騙している悪徳詐欺師。高級スーツ、ベルト、靴まで、全身を蛇革で統一している。スリルを楽しむため、一度に億単位の額で株を売買している。趣味は美術品の競売だが、獲得までのスリルを欲しているだけで、入手した絵画や彫刻はその日の内に適当な美術館へ寄贈してしまう。そのためか各国政府は借りを感じているらしく、呑気な役人達は必要悪と考えてまともな捜査は行っていない。
インテリビレッジ金鉱島のカジノにて、ポーカーで忍に敗北した挙句、冤罪を糾弾したペナルティによって総資産の10倍もの財産を忍に奪い取られた。
雨恋 遥(あまごい はるか)
14歳の現役女子中学生のネットアイドル『サイバーレイン (PSI_ver_RAIN)』。モバイルグラスを着用し、ピンク色の帽子を被り、腰まで伸びた黒髪は毛先の方だけ赤く染め、白地に赤いラインのセーラー服、膝上まであるブーツはプラスチックじみた素材に関節を足した未来デザインのものを穿いている。話題作りのために超能力を自称し、慶城意塾大学の松海博教授と共同で超能力に関する論文を投稿している。
松海教授の殺害現場に偶然居合わせ、濡れ衣を着せられそうになったため失踪。隼の任意同行へ応じ、『金輪奈落』や片桐の妨害を受けながらも警視庁本庁に辿り着き、誤解を晴らした。
チゾメノザシキワラシの災厄後は、捜査一課の中に新設された対『パッケージ』専門の零外係への民間人の協力者として採用された。
田山 直(たやま すなお)
ジャージ姿の老人。庭いじりが趣味。地元の小学校との学外交流授業にて、竹トンボの作り方を教えるために学内へ小刀を持ち込んだが、生徒の1人が指を怪我してしまい、以来廃止されてしまう。椀貸不動産に拉致された子ども達を救うため隼の捜査に協力した。
根津 雪(ねづ ゆき)
割烹着の老婆。意識障害を起こした現場に隼が駆け付け、心肺蘇生によって一命を取り留めた。
東条 匠(とうじょう たくみ)
巣鴨の小学校に通う少女。東条緑の娘。学外交流で出会った姥捨て団地の老人を助けるため、同級生の井神 進(いがみ すすむ)、長巻 萠(ながまき めぐむ)、梅坂 鋭(うめざか さとし)、加山 颯(かやま はやて)と一緒に行動していた所、偶然に姥捨て団地の真相を掴んでしまった事から椀貸不動産に拉致される。冷凍庫に2日間近く監禁されていた所を、隼によって救出された。
津川 蚕(つがわ さん)
ウェーブがかかった栗色のロングヘアにメガネの理系女子。ゆるふわなセーターやスカートの上から白衣を羽織っている。垂れ目で、全体的におっとりとしている。慶城意塾大学に教授として勤務している。敬称で呼ばれる事を嫌う。隼と学部は違うが、インテリビレッジ出身者が集う飲みサークルに所属する先輩であった。
チゾメノザシキワラシの災厄後は、捜査一課の中に新設された対『パッケージ』専門の零外係への民間人の協力者として採用された。
乱堂 夕子(らんどう ゆうこ)
真っ白で清潔な印象を与えるタイトスカートを纏う、ゆるふわ系の栗色の髪をした女性。美人過ぎる気象予報士として有名であり、異常なほどの視聴率を誇る。
鳴砂 送(なきしま おくり)
オレンジの派手なダウンジャケットやジーンズを穿き、ニット帽とサングラスをしたヒゲ面の男。クレームを盾にケータイショップ店員の明原と接点を持とうとしていた。火車を利用したゾンビパニック『パッケージ』の騒動に巻き込まれ、ゾンビ化した人間に噛み殺され自身もゾンビ化した。
野崎 春(のざき はる)
墓前市のケータイショップで働くバイト店員。ヘアピンで前髪を留めたショートヘアで背の小さい女の子。亡くなった祖母の宝物である巾着袋を大切にしている。
火車を利用したゾンビパニック『パッケージ』の騒動に巻き込まれ、忍達と共に墓前市からの脱出を図る。ゾンビの性質にいち早く勘づき、煙草や香水を利用してゾンビを誘導し明原を襲わせた。しかし忍の機転により腐敗臭を消され、自身もゾンビの標的となって噛み殺された。
紙巻(かみまき)
墓前市のケータイショップで働く店員。大学生くらいの歳。黒髪の真ん中で分けた爽やか系の男。火車を利用したゾンビパニック『パッケージ』の騒動に巻き込まれ、忍達と共に墓前市からの脱出を図る。
明原 律(あけはら りつ)
墓前市のケータイショップで働く店員。栗色の長髪を頭の後ろで束ねている。グラマラスな容姿。ニアエルフという耳ピアスをしている。同僚の紙巻へ好意を抱いており、陰でバイト店員の野崎を非難していた。
火車を利用したゾンビパニック『パッケージ』の騒動に巻き込まれ、忍達と共に墓前市からの脱出を図る。わざと紙巻がゾンビに襲われるように仕向け、負傷した彼の介護をする事で彼の気を引こうとしたが、激情した野崎によってゾンビを誘導され噛み殺された。
佐田 調(さだ しらべ)
40代後半の初老にさしかかった医者の中年男性。セーターにスラックス、その上に白衣をまとっており、髪は黒と白が混ざっている。見なりに気を配るタイプではない。
火車を利用したゾンビパニック『パッケージ』の騒動に巻き込まれ、渚と共に銀行に立てこもる。ゾンビの弱点を探るため解剖するためのサンプルを欲し、マイクロバスにて連れてきた人々をわざとゾンビの前へ晒した。こうした隠していた意図を艶美に暴かれ、渚に制裁を受ける事になった。
天衣 猫(あもう ねこ)
20代の女性消防隊員。ヘアゴムを使って頭の後ろで束ねたふわふわの髪に、健康的でグラマラスなスタイル。スポーツブランドの明るいイエローのジャージを着崩している。首から細い鎖でオイルライターを下げており、ショルダーバッグやウエストポーチをごてごて身に着けている。
火車を利用したゾンビパニック『パッケージ』の騒動に巻き込まれ、渚と共に銀行に立てこもる。仕事の知識を活かして火炎瓶の作製を担当していた。
星見 収斂(ほしみ しゅうれん)
透輝館事件の当事者。56歳、男性。透輝館の主人であり、政治家や大企業など上得意専門の顧問占い師。ワンマン経営で家族に仕事を回していなかった。顧客から得た話を収集して透輝館の地下の一室に保管して情報通に見せかけていた。このようにして政財界の各所に信奉者を作り、占いの結果で各々の動きをコントロールする事で株価の不正操作を行っていた。事実が明らかになった事で脅迫状が届く。明逢にピストル式クロスボウで右肺を撃ち抜かれて死亡し、透輝館事件の第一の犠牲者となる。
星見 明逢(ほしみ あくあ)
透輝館事件の犯人。36歳。収斂の妻だが、再婚相手であり子供達とは関係が上手くいっていない。分類では専業主婦だが、家事は使用人に任せている。激昂した艶美の手によって半死半生の目に遭う。
星見 導入(ほしみ どうにゅう)
透輝館事件の当事者。27歳。星見家の長男で占い師。狩猟マニアであり、滑車を使わないと弦を引けないような超大型からピストル式までいくつもクロスボウを自室に置いてある。山で空き缶を撃つ行為が隼に咎められないか内心で怯えていた。クロスボウを保有している事で容疑者として疑われる。クロスボウの矢を掴み、自らの喉に突き立てての自殺をした事で透輝館事件の第三の犠牲者となる。遺書にて、収斂の占いによって『八井商事』、『松島建設』が業績主義に傾いた結果、粗悪な建材を使って道路の崩落が起きた件を糾弾した。
星見 看破(ほしみ かんぱ)
透輝館事件の当事者。20歳。星見家の長女で占い師。足が悪いのか、車椅子で生活している。普段は御淑やかだが怒ると殴りかかるヒステリックな気質。占いに振り回される人を小馬鹿にする性格。
狩場 咎(かりば とが)
透輝館事件の当事者。40歳、男性。透輝館の執事であり、顔面を包帯で覆っている。料理人も兼任。当人は顔の傷が癒えていないと思い込んでいるが傍から見ればイケメン。
松島 恋(まつしま れん)
透輝館事件の当事者。22歳、女性。透輝館のメイド。事件のトリックに気付いた事で明逢にクロスボウで肩を撃たれて意識を失った後、工作を行おうとした艶美に後頭部を鈍器で殴られる。その後、再び明逢に襲撃を受け、脳天へクロスボウを撃ち込まれて死亡し透輝館事件の第二の犠牲者となる。
八井 敏(やつい とし)
透輝館事件の当事者。72歳、男性。総合商社『八井商事』の一線から退いた名誉会長。和食派かつ将棋派。『八井商事』と『松島建設』の合同公共事業で手抜き工事が行われている案件を知り、どちらの会社が主導していたのか真相を探ろうとしていた。
松島 涼(まつしま りょう)
透輝館事件の当事者。17歳、女子高生。大手ゼネコン『松島建設』の次期トップ。洋食派かつチェス派。『松島建設』が手がけた道路へ通報があり、誰がどのような糾弾を目論んでいるのかを探ろうとしていた。
初友 鳴(はつとも なる)
透輝館事件の当事者。19歳、女子大生。企業イメージを引きずり落とす職業的身分詐称のプロであり、金融機関大手『初友信用銀行』の看板イメージを汚す依頼を受け、「初友鳴」という偽名で頭取兼代表取締役の隠し子を名乗っていた。過去に『八井商事』にも手を出した経歴がある。
豊川 龍(とよかわ りゅう)
透輝館事件の当事者。25歳、男性。国際自動車メーカー『トヨカワ自動車』の会長秘書。『トヨカワ自動車』製品による死亡事故の原因が、車にあるのか道路のせいなのか探ろうとしていた。
初沢 理恵(はつさわ りえ)
シングルマザーであり、たった一人で息子を育てている。記者クラブの意向に逆らい大手新聞社をクビにされ、場末の日本スポーツ新聞へ駆け込んだ記者。終電後のZR新橋駅喫煙室内で意識を失った状態で発見され、搬送された病院で死亡が確認される。

その他妖怪・悪魔

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七人ミサキ
出会った人間を殺すとされる海の妖怪。
致命誘発体。本体のあやふやな妖怪であり、人の前には七人組の水死者という形で現れる。出会った人間を殺すと一番古い水死者が成仏し、新しい水死者が列の最後尾に並ぶ。悪鬼羅刹の旧首脳陣にパッケージとして組み込まれ、殺害先を誘導されていたが、陣内忍によってパッケージを解除され海まで避難された。
ボウズサマ
飴村の家に連なる『ご先祖様』という漠然とした守り神。身長が130cmくらいの老人の形をしているが本質はそれとは異なり、それを浮かび上がらせるように老人の形から100m以上もの巨大な影が伸びている。過去に起きた派手な海難事故の影響を受けて、海坊主のように変質している。「位の低い神様を制御する方法」を確立するため、悪鬼羅刹の旧首脳陣のプロジェクトの一つに利用されていたが、飴村家に危害を加えようとした北条を菱神舞と共闘し倒した。
当廟(とうびょう)
75匹をワンセットとし、壺や甕の中で飼われる妖怪。定期的に酒や握り飯を要求する代わりに、金銀財宝を他の家から盗んで来ることで主人の家を繁栄させる憑物。家の繁栄を邪魔する者を病気にする特性もある。
一匹の長さは30cm程度で、太さは小指程度の黒い蛇の姿をしており、頭の部分には金色の指輪が嵌めてある。全滅村の有力者が四国辺りの商家から買い取って、村に本来いた妖怪『大蛇(おろち)』を上書きした形でパッケージに組み込まれたが、「全滅」によって仮組みの中途半端なまま村に放置される。そのため大蛇としての特性も交じっており、無数の蛇が互いに巻き付き、喰らい合い、強靭に絡み合うことで、複数に枝分かれした、一つ一つが数十mもの巨大な蛇へと形を変化できる。四ツ山の地下水を飲んだ者を主人と認識していた。
キツネタヌキムジナ
二足歩行して、人に化けることができる妖怪。個体によっては「一人暮らしの老婆を殺してなりすまし、里の人々を次々と食べていく」という猟奇的な話もあるが、作中に登場した個体は主人に忠義深い性格だった。
キツネは庭師として、タヌキは乳母として、ムジナは用心棒として、代々人間の家に仕えていた。主人が古珠に騙されたことで家が没落し、金を奪い返すため四国から金鉱島に赴くものの、カジノへ入れず途方に暮れていた。そこで忍達と出会い、彼に協力して古珠から金を奪い返すことに成功する。その後も彼に恩義を感じ、彼の協力に応じた。
臼挽き童(うすひきわらし)
12、13歳程度の丈の短いミニ浴衣に、花魁のように肩を大きく出した、チューブトップのミニドレスみたいな格好の少女の姿。座敷童の亜種で、その名の通り主に古い屋敷の中で石臼の近くに現れる。それ以外はほとんど座敷童と同様で、居着いた家の家人に富と繁栄をもたらし、しかしその家から立ち去ると同時に衰退を決定づける妖怪。火事を予言したり、一族郎党が一夜で全滅するような事態に陥る、といった記録もある。悪意のない悪戯を繰り返すことも特徴であり、この場合はテリトリーである屋敷や石臼の周りを一時的に離れることも珍しくない[注 3]。他にも、寝ている家人の布団に潜り込んだり、枕をひっくり返したり、布団を引っ張ったり、寝具まわりの悪戯なども有名。
金鉱島にて古珠がトランプ入れ替え『パッケージ』として組み込んでいたが、忍に敗北したことで古珠の元を離れた。江戸時代には大判や小判により富の繁栄が左右されており、これが臼挽き童の「純金を操作する性質」と解釈されたことでハードウェア極小破壊『パッケージ』に組み込まれ、インテリビレッジ計画が実現するまでの再興期間に恫喝外交の道具として用いられた過去がある。
天邪鬼(あまのじゃく)
全長1m弱で、ざんばらの髪を内側から裂くように頭部に2本の角がある。致命誘発体。あらゆる質問に嘘の答えを返し、人の心を読み、口真似や物真似で人を驚かせる。人間を捕まえて食べたり、その皮を剥いで身に纏う事で本人になりすましたりもする
忍の頭に潜り込まされ、彼のデジタル楽曲およびサイドストーリー自動生成ソフト『シンガーソングライアー』に干渉して仮想シナリオを現実へ上書きする『パッケージ』へとアセンブルされたが、彼によって『パッケージ』の核となる嘘を見抜かれて停止。その後、ナイフで刺されたことで彼の頭から這い出てきた。天邪鬼自身には悪意はなく、発言から忍に恩義を感じていることがうかがえる。
ツェリカ=ヴィーン=アルファ=チェリディア=ルミディリエ
扱う『負の概念』が多すぎて七つの大罪の枠組みに収まらない程の大悪魔。栽木和によって、仏教習合により『津絵利可如来』として顕現。サキュバス・ヘンリエッタの友人。
マルグリットの肉体を依代にしたため、ウェーブのかかった長い金髪を空色のリボンで束ね、真っ白な肌を鱗のような外殻で覆っている。額からは後ろへ流すように捩じれた2本の角、背中からはコウモリのような翼、尻からは太い尻尾が生えている。
人々を堕落させる疑念・憎悪・狂愛・詐称などの『神を裏切らせるもの』を自在に操り、敵味方の認識そのものを改変する事ができる。欲望を与えて人を堕落させるが、その刺激自体が強烈なため人間の肉体では耐え切れずに出血を伴う。
雪女・霙(みぞれ)
求婚を受け入れた男性を凍死させるとされる美女の妖怪。致命誘発体。雹の友人。ぐるぐる眼鏡に二本三つ編みの未婚の地味な少女。普段は胸が薄いが、露天の温泉に入るとグラマスな容姿になる。当人はのぼせてフラフラになるため、昔話やドラマで『ちょっと間が抜けていて人を殺せない、失敗だらけの雪女』はほぼ彼女が由来。このためスキーヤーに人気があるリア充。
雪女・斑(はだれ)
求婚を受け入れた男性を凍死させるとされる美女の妖怪。致命誘発体。雹の友人。グラマラスな既婚の女性。産女の妖怪の派生形であり、元から赤子とセットで存在している個体。赤ん坊の個体名は霜(そう)。旦那はチゾメノザシキワラシの影響下で生じた国債トレードで大金持ちとなり、ITベンチャーで六本木のマンションの最上階を独占している。彼女自身は軽井沢の山荘に別居している。
刑部姫(おさかべひめ)
姫路城天守閣に隠れ住むとされる十二単の女性。予言などの神通力で有名。その正体はキツネの妖怪とされるが、真偽は不明。妖怪退治の褒美として宮本武蔵に刀を贈るなど、歴史上の偉人との接点も多い。姫路城城主は年に一度だけ刑部姫と面会し、特別な助言を授かる資格を持つ。
透輝館の地下にある座敷牢に閉じ込められ、星見家の占いに協力していた。館主・収斂の許可があれば、脱走しないように隧道(トンネル)に道祖神を置く事で館外への散策も許されていた。
油ずまし
山の坂道で「昔~~がいたんだけどさ」という話をすると、『今も』と叫びながら説明通りの格好で現れる妖怪。

地名など

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インテリビレッジ納骨村
四方を山に囲まれた立地。典型的な田園風景が一面に広がっており、水田に、かやぶき屋根の屋敷に、それらを繋ぐ細い道や用水路がある。道路に沿うように一定間隔で立てられた柱には角度が調整されるソーラーパネル、用水路には小型水力発電水車、無人のドローントラクター、案山子はセンサー対応モデルで、動物の反応を捉えると指向性スピーカーから槍のような音波をピンポイントで叩き込む。
陣内酒造、果実山にあるサナトリウム、安田銃砲店、田中農園などがある。交番駄菓子屋高校がそれぞれ村に一つずつあり、大学はない。ローカル単線が上下合わせて一日に5本しかない。果実山の南側の麓には子供達が秘密基地を作って、しばしば家出している。現在は立ち入り禁止になっており、果樹園をゲリラ豪雨から守る遊水地として整備されている。
墓前市(ぼぜんし)
インテリビレッジ納骨村の通販網を支える、山間のトラック基地として発達した街。人口およそ10万人前後。昔は居住区の標高差が身分の差にも反映されており、階級順に山頂から麓に居が構えられていた。
ご当地マスコットは火車ちゃんであり、冬の祭りの主役にもなっている。祭りに合わせて、精霊市、供物市、盆歌市、散華市、迎火市など全国の13の街と提携している。
墓前市に面した山の1つ『墓石山』には休火山を利用したトンネル網があり、『御口様』と呼ばれて夏の祭りの主役にもなっている。山頂のドッグスクエアは分類上は神社となっており、『御口様』への生贄として旅行者を拉致して神職の人間に飼育される厩舎となっていた。
インテリビレッジ座礁島
小笠原諸島のすぐ近くにあり、ギリギリで世界遺産の範囲内に指定されなかった孤島。豊富な資源を商業利用しようとする多くの企業から出資を取り付けられた都内屈指のインテリビレッジ。広い海には等間隔でブイのようなものが浮かんでいる。太陽光潮力だけで自家発電を行い、潮の流れ、海水内の酸素プランクトンの量などが常時観察されている。島自体は縦横に10kmもない小さなもの。南東に標高200mもない小さな山があり、北西にはなだらかな土地が続き集落ができている。自生している植物はが多い。旅館は島に1つのみで、集落の方には簡素な駄菓子屋と理容店居酒屋が何軒かある程度。
主要産業は真珠カキ栽培漁業。漁業ベースに、内陸ではドラゴンフルーツマンゴーなどを育てている。
インテリビレッジ風化村
酪農中心のインテリビレッジであり、騒音対策に敏感。具体的な位置は明記されていないものの、「北の大地」と作中で描写され、また日本では珍しい地平線を確認できるほど大草原が広がっていることから北海道に位置することがうかがえる。天然の植物は一つもなく、全てが牧草である。アドバルーンのような装置で牧草や水分の管理を行っている。乳製品のCMの半分がここで撮影されるため、絵に映えるように外観が設定されている。地方空港が大草原の真ん中に位置し、そこから信号のない道路を20 - 30km進むことでようやくホテルに到着する。ホテル周辺の牧草地は4つの牧場主に管理されているが、酪農施設自体はホテルからさらに20 - 30km離れている。ホテルに併設してある建物は電気自動車専用のセルフスタンドや公衆電話のみ。牧草地の外周には、サラブレッド生産用の血統開発機関や伝染病対策としてブランド肉の遺伝情報を保管する保冷施設や太陽光発電施設が設置されている。
京都
百万都市でありながら徹底的な環境整備によって妖怪と共存できる世界的にも特殊な場所。ZR京都駅のある行政区画には近代的なビルが並ぶが、そこから少し離れたドーナツ状の市街地は建物の高さも色も制限された木造建築物が並び、道路も舗装されておらず、主要幹線道路以外は車・バイクの交通の禁止されている。馬に乗った警察官や観光客を乗せた人力車も珍しくない。手を加え季節に関係なく紅葉させた銀杏などで「パンフレットの京都」を再現している。
オーストラリア
「新大陸」たる歴史故に蔑にされた土着信仰の神々に引き起こされたサイクロン虫害などの災害の鎮め方がわからず、解決のため「神を制御する術」を模索していた。多神教の神々を邪神などへ変えることに長けるオーストラリアの魔女達に接触を図り、「妖怪や神を制御する方法」を模索していた日本の悪鬼羅刹を利用するよう提案し、SAS系の特殊部隊を差し向けて西条派のプロジェクトを監視し、その障害になりそうな危険因子を排除しながら裏で支援していた。サキュバスには神聖な大地を求めるにしては欲望に技術が追い着いていないと評されている。
万国群体農場プロジェクト(インターナショナルプランテーションプロジェクト)
世界が注目するオーストラリアの農業改革。ブラジルコーヒーフランスブドウドイツジャガイモなど、広大な土地を利用して世界中の特産品を国内で作れるように、農場ごとの環境整備を行うというもの。基本的には大規模な円形農場を使用し、作物によっては全密閉型のメガソーラー施設と組み合わせて行う。この農場で育てられる小麦は世界シェアの25%を占める。その実態は、妖怪や妖精1つにつき1つの農場を宛がい専門の調整を行うことで世界中のあらゆる手頃なオカルトを取り込み大陸の霊的基盤整えようとするというもの。この企画の失敗によって取り込もうとした各オカルト同士の競合につながり、上記の虫害やサイクロンなどの災害に発展した。小さい方の古椿もこのプロジェクトの農場の1つからマルグリットによって納骨村へ持ち込まれた。
四ツ山ジャンクション
近畿地方にある、四つの山と四つのトンネルがあり、それを十字に繋いだ大掛かりなジャンクション。ジャンクションの根元は高速道路の出口にもなっている。付近の文明らしき文明は半導体工場以外のみで、あとは手つかずの自然があるのみとされる。見所の名所として、ビルや工場などが好きなコアな層に人気らしい。東が青竜峰、西が白虎岳、南が朱雀山、北が玄武高地。隣接する黒山電子グループ・四ツ山半導体工場の土地を借りて作られているため、厳密には私道である。
全滅村
四ツ山ジャンクションの高架下にある地図にない廃村であり、正式名称は四ツ山集落。30年以上前に殺人鬼によって村民が皆殺しにされたという噂がある。
100年以上前に霊的被害に苦しむ人間の姥捨てに近い隔離方式の療養施設として発足したため、外界から隔絶されており、安定した食料供給もままならず電気も電話線も通して貰えないほどに遠ざけられていた。30年前、谷底を流れる川から砂金が採取され村の収入源となるものの本格的な探査や採掘技術はなかったため採掘量は不安定であり、採掘量の少ない年は生活物資の不足から社会不安が生まれていた。それを解消するための儀式として、その年に生まれた赤ん坊を洞窟の中ある泉に沈めて間引きを行っていた。村には2ヶ所の墓地があり、一般の村人と間引きされた赤ん坊とで分けられている。こういった事情から、村民は地下水を不浄として飲むことを禁じていた。
砂金によって外界と接するだけの外貨を手にし、地下水を利用したがっていた黒山電子グループの企業との対立にも後押しされ、四ツ山集落の有力二家の一つは当廟を輸入して霊的に武装しようとするも、黒山電子グループに先手を打たれ村を全滅させられた。横枝正の発見と冤罪に失敗したため黒山電子グループによって村の情報そのものを抹消された。私有地の水源確保という名目で森のあちこちにカメラやセンサーが敷設され、未だ尚、彼の捜索が行われている。
黒山電子グループ・四ツ山精密半導体工場
8000人以上の従業員を抱え、インテリビレッジの技術を下支えする、国家ぐるみの支援を受ける低所得者支援を目的とした寮付きの大規模半導体工場。工場ブロックと寮ブロックに分かれており、全体は高さ5m以上の巨大で分厚いコンクリートの壁で囲まれ、上には有刺鉄線やカメラやセンサーなどが備え付けられている。精密回路を製造するのに必要な綺麗な水や空気を確保するため、四ツ山一帯の土地を買い占めている。私有地であることを理由に、ジャミング用の電波を放っている。
その実態は5000人の囚人と3000人の看守から成る企業監獄。きちんと操業し納品も行っているが、半無人のオートメーションでSE数人だけで稼働している。その真の目的は、「企業にとって深刻な背信行為を働いた者」を収監することであり、内部告発者や派閥争いの敗者、消費者団体なども閉じ込めている。寮ブロックは完全なデコイであり、囚人達は地下全体を使った監房ブロックに押し込められ、衣食住を保証した上で基本的に「何もさせない」でおかれている。自殺率85%以上。
箱根
温泉郷を中心とした複数のインテリビレッジと、そのインフラを支える地方都市に分かれている。昔は市町村を合併する流れがあったが、今は逆に細分化して高ブランド化が図られている。インフラの優先度が低くされる地方都市側と、『地方財政健全化』の高納税に付き合わされるインテリビレッジ側で対立があり、悪感情が複雑に絡みついている。
G20首脳会談にて、諸外国の各官僚がリクエストした地。
インテリビレッジ地獄峠方面
箱根一体に広がる温泉郷のインテリビレッジの一つ。農産物ではなく観光がメイン。G20首脳サミットの開催地のど真ん中。200年以上の伝統を持つ老舗の高級旅館に菱神恭が宿を構えている。
インテリビレッジ炎熱村
広大な箱根を切り分けて新設したインテリビレッジの一つ。G20首脳サミットの際に国連事務次長トマスが滞在している高級旅館のある観光地。
インテリビレッジ剣山村
日本アルプスの麓にある見た目は古き良き農村だが、実質的には大規模な加速器をいくつも擁立する巨大実験施設。通称である「加速器村」の名が示す通り、山間部には特急路線の廃棄トンネルを利用した全長15㎞の直線加速装置、平野部には半径8㎞の円形加速装置を備える観光都市。地下には純粋のプールを用意しており、近年注目されつつあるニュートリノ絡みの観測も可能。その他の関連施設も多く、ナノテク素粒子ビジネス、研究助成金も多額のものを受け取っている。農作物などではなく学問を高ブランド化した珍しいタイプで、妖怪にとって居心地の悪いインテリビレッジ。
インテリビレッジ金鉱島(きんこうとう)
九州に位置する、日本のベガスと称されるカジノ特区。フロート状の空港と港湾ブロックを除いた本来の大きさは、一周およそ5kmの小さな島。中央に金山、外周の沿岸部は大きく分けてカジノ街と地元民の住む鉱山街に分けられる。空港はカジノ側、港は鉱山側に属する。『試験的制度』の抜け穴を突いているため、公営ギャンブルとして年齢制限はない。ただし妖怪はカジノ禁止。タクシーもリムジン送迎となっている。夜になっても、ネオンだらけの光の洪水が溢れている。街のあちこちで客寄せのためにコスプレした女性が歩いており、武装警備員に至ってもミニスカの女性警官姿に統一されている。島の裏側は昔ながらの金山であり、南国の木々が多く、所々に楓や銀杏なども混じっている。宿泊施設は全て島の裏側にあるが、一等は旅館、二等は停泊中の豪華客船、三等はレンタルしたクルーザーというクラスに分けられている。物価は異様に高いが、カジノで負けた人間のガス抜きとして町の一角にクルーザーを店舗に改造している物価が安目の店の区画が設置されている。
CIAの手によって島深部の土砂の掻き出されて代わりに発泡素材を詰め、島の座標ごと北方へ5 - 10kmほど移動させられていた。その際の海上・航空管制の異常は、全て天邪鬼のパッケージによって誤認させられていた。そのため本来の座標にあった頃に比べて気温が変化し、植生にも影響が及んでいる。
重巡島(じゅうじゅんしま)
現在ではこの名前は使われていないが、山側の麓近くをぐるりと囲むように乱立している廃墟群の総称を差し、金鉱島でのカジノに並ぶ二大巨頭となっている。日本全国の廃墟マニアを呼び寄せる貴重な観光資源である。ゾンビゲームの舞台になっている。外見はボロボロの廃墟の群れだが、実際には安全に見学できるよう、合成樹脂などで徹底的に補強しており、同時に、多数のセンサーと人員を投入してスプレーアートなどのラクガキがされないよう監視されている。

世界観と用語

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基本的に現実世界と同様だが、妖怪などのオカルトが存在し世間に認知されている架空の世界が舞台となる。

インテリビレッジ
高級ブランド化された田舎の総称。人々の思い描く「田舎」を最先端技術によって人工的に再現した集落。ある年代の田舎の景色を精密に再現するというよりは、その土地の人々が思い浮かべる「田舎とはこういうもの」という原風景を演出するといったものに近い。基本的に高ブランド化で高額化した観光業や農作物を産業基盤とする。
精密機械工業分野で「致命的な敗北」を喫した日本が経済再生をかけ大きく方向転換し、伝統と最先端テクノロジーを融合させて出来た諸外国と戦うための超高精度第一次産業。インテリビレッジ政策が完了し日本が再び立て直すまでの数年間はハードウェア極小破壊『パッケージ』を用いて諸外国に恫喝外交を強いていた。
三ツ星ホテルや有名百貨店が提唱し広告代理店が喧伝、これによって国土の3分の1が再開発され第1次産業が様変わりした。格安かつ大量に流入する外国産作物と差別化を図るため、高価・安全・上質が売り文句となっており、インテリビレッジで作られたものはブドウなら一房三万円、はコップ一杯五万円といったような価格設定となっている。地価も非常に高く、その他インテリビレッジ内の土・風・水・草・虫・魚などにも高額な値段がつけられており、その辺りのの水も1リットル300円かかる。
外部から若者を積極的に取り入れているものの、「田舎」であることを演出するため意図的に過疎状態になっている。店や交番なども少なく、農家は優れたセキュリティ網を備えた設備や武装警備員の雇用といった対策をとっており、買い物弱者問題には徹底した光通信網ネット通販で対処している。「学校教育よりも親の仕事について家業の勉強をする方が有意義だ」という風潮から産業を担う跡取りは学校を公欠することもできるなど、独自のシステムが存在する。集落は基本的に閉鎖的であるとされる。
『昔はこんなじゃなかった』『昔に戻れば全部丸く収まる』といった思想によって、科学的な数値以上の価値を期待する人々によって新設される。
田舎が再開発されたことで、文明の発達に伴い都会で暮らし辛くなった妖怪達がインテリビレッジに集まるようになった。
妖怪
「意思を持つオカルト」、「人々の想いが固着して肉体を得たもの」とされる存在。
基本的に現実世界における概念と同様。近代的な都会を嫌い、古風な田舎を好む。銃火器や車の衝突といった普通の方法では傷一つ負わないが、妖怪同士の戦闘や特殊な技能を持つ人間の手にかかればその限りではない。
人間の言語で意志疎通が可能だが、喋れる種とそうでない種がいる。人間の形をとるものであっても人権などは存在せず、労働もできない[注 4]。また彼らに人間が殺害されても事故死のような扱いとなるなど、現行法では裁くことができない。一方で、国家登録番号として各妖怪には「数字8桁+アルファベット2文字+〇号」という個体番号が割り振られている(現在ではあまり使われていない)。チゾメノザシキワラシの災厄後、人間と意思疎通可能な592種の妖怪に対して民法が適用される事になった。
また、妖怪の誕生は未だブラックボックスであり、「出現頻度に関わるXの乱数幅」など21世紀の難題十指に数えられている。
致命誘発体
種族の特徴として人間を殺しかねない特性を持った妖怪たちの総称。
パッケージ
霊障事件の代表格であり、妖怪の特性や条件を犯罪システムに組み込んで悪用する完全犯罪装置。具体例は、人の心を読むサトリの力を使ってインサイダー取引を思いのままに行う、人を病気にする疫病神の力を使って憎い相手を自然に殺すなど。
組み込む妖怪を見据え、伝承を正確に紐解き、目的に合わせて一部を曲解・肥大化させて、具体的かつ物質的なアイテムに記号を盛り込み霊的に連結させる事でアセンブル(組む)される。よって、アセンブルや管理維持には大規模な人数と資金が必要となる。
組み込まれた妖怪は基本的に自覚症状に乏しい場合が多い。複数のパッケージを同時に駆動させるセパレート型など複数の方式が存在する模様。
陣内家
インテリビレッジ納骨村で酒造業を営む一家。代々肝臓が強く、嫁入りする女性たちも酒豪の傾向が強い。造った酒はコップ1杯5万円で販売される高級品で、伊勢神宮にも奉納されている。商品研究と称して、ほぼ毎晩酒盛りが行われている。
住居はかやぶき屋根の古民家だが祖父の方針で水回りと冷暖房はハイテクになっている。妖怪たちの間ではかなり有名であるらしく、しばしば遠方から訪れる旅の妖怪達の一夜の宿にされる。
人間の食事は居間で、妖怪の食事は仏間で、と決められているが、いただきますと言った後なら双方が移動する事まで制限されていない。
菱神
『菱神』は、日本経済の一翼を担い防衛兵器の生産・納入さえ牛耳る、重工業を中心とした日本の代表的な総合商社。銀行にも名前が使われており、ゴールデンタイムには菱神の関連企業のCMが必ず放映されている。平安時代に栄華を極めた藤原氏が、唯一届かないと謳ったさえ欲しようと分かりやすい力を望んだ結果、人工的に生み出された血族。二度にわたる大戦終結後に財閥は解体され、企業連合体としてのグループに生まれ変わった現在は9部門58社が加盟しており、その従業員総数は20万人強。その本家には『菱神の男』『菱神の女』と言われる因習が存在する。
『菱神の男』は静的な集合を重視し秩序の維持や人と人を繋げる力に長け、時代の混乱期に台頭し、結果的に総合商社などの巨大で安定なシステムを作り上げる。
『菱神の女』は動的な離別を重視し、『菱神の男』が作るシステムのブレーカー役としてグローバル企業を個人で破壊し得る程に秩序の破壊に秀でるとされる。結果として、時代の退廃期に台頭して腐り切った組織を壊滅させる。このような経緯から『菱神の女』は「菱神の女は凶事を招く」という家訓がある程忌み嫌われている。出生届も出されず、本来なら生まれた瞬間に殺されるが、何かしらの理由で免れた者だけが外の世界へ放たれる。
百鬼夜行
妖怪絡みでは国内最強、世界最大級の一角と呼ばれる巨大組織。壇ノ浦の戦い入水し損ねた平家の末裔を長に据える完全な血統主義の組織であり、数百年前から凋落の一途を辿っている。将クラスの幹部だけで100人いるが、実際にオカルトを扱える人間は3割に満たない。
古都の公家や貴族の旧邸宅のように内装を変えたくの字の形をした巨大な全翼機を中心に、第4.5世代第5世代の護衛戦闘機を8機、その整備のための機材を積んだ大型輸送機2機、空中給油機1機を侍らせた大編隊を本拠地とし、「退役したパイロットを教官として集めた航空学校の一部門が航空軍需各社の最新機の性能試験を手伝っている」という名目の元で常に飛行している。全翼機の上には皿のような巨大なアンテナが取り付けられており、空中警戒管制機と同等の機能が備わっている。
栽木和に移動拠点を墜落させられた事で、菱神恭に協力を取り付けてステルス戦略爆撃機6機と空中警戒管制機1機を新調した。
開国派
一定の秩序を守るために、外部の人間に依頼を託し妥協する勢力。鎖国派が壊滅した後は、実質的に百鬼夜行として活動している。
鎖国派
内部の人間だけでことを収めるために、あらゆる秩序を切り捨ててでも自己の強化を図ろうとする勢力。クーデターを起こし開国派の首脳陣を全て粛清して全翼機を乗っ取った。
インテリビレッジ風化村のホテルに妖怪絡みの関係者(忍達一行)を集めて座敷童のパッケージをアセンブルし、パッケージの高ブランド化を通して縁の力を底上げし回収することで、凋落の一途を辿る百鬼夜行の再興を目論んだ。
ユーロセキュアフォース
サキュバスの使役式を確立しようとしたものの失敗し、逆にサキュバスが計画を主導していた高官達を丸ごと魅了する形で形成された欧州のコミュニティ。
人の組織力を手にした妖魔によるコミュニティという直接的脅威という形で国外から、才子佳人を乗っ取り百鬼夜行に吸収させる形で国内から、それぞれ百鬼夜行内のパワーバランスを操作し、更に「鎖国派」の代表格として一員を送り込むことで百鬼夜行内部のクーデターを引き起こした。インテリビレッジ風化村の一件の後、引き際を見誤り、歴史的なペストの脆弱性を突いた病魔の使役者の直接攻撃により壊滅した。
才子佳人
人間も妖怪も問わず、ありとあらゆる手段を使って究極の美人を作り出すことを目的とする組織。時代や地域によってブレない徹底的な美を目指している。
組織の構成人数は少ないが、腕の立つ人員が多いため、大きな犯罪組織が吸収しようと躍起になっていた。そのため勢力構造が複雑で、容易に手出しできない危険な構図を敢えて作り出していた。
信州奥地の白木戸市(旧姥捨村跡地)のダムで霊的薬品のエミュレーターを製造していたが、舞により全て焼却処分されてしまい、スポンサーに見限られ彼らに皆殺しにされた。その後、スポンサーもまた霊的薬品製造の研究初期段階に確立させた「妖怪を殺害する技術」を利用して舞を襲うも返り討ちに遭い壊滅した。
悪鬼羅刹
四桁クラスの規模の組織。人間を妖怪に組み替えることが組織の目的として主流。旧首脳陣がクーデターで全滅、後にクーデターの首謀者たちも舞や隼の活躍で壊滅した。
大きな犯罪組織
巨大犯罪組織ネット。国際的な規模のものは四つ存在しているようで世界四大ネットと呼ばれている。日本に関連するものの一つに、暴排関係の新制度に抗うために国内の広域指定中国コロンビアイタリアアフリカ東欧など様々な国の犯罪組織と手を結ぶことで結成されたものがある。
安楽会
世界四大ネットの一つの日本支部。終戦直後の混乱期に、弱い市民を守るための武器と兵力を供給するという名目で勃興した用心棒集団として発足した。当初は武器商人とPMCを併せたようなビジネスを行っているだけだったが、麻薬ビジネスで勢いづいた他組織との抗争が勃発し、なりふり構わず武器や人員を補強するために汚れ仕事へ手を染めるようになった。抗争は安楽会の大勝利で片が付いたが、その頃には当初の理念は消え失せ「広域指定」になっていた。
安楽会の『上』は人員、武器、資金の面で不安が残り四大ネットの中で一番格下だという評価もあるが、同時に、「世界で初めて、国家以外の勢力で核武装に成功した民間組織」という厄介な噂もある。旧ソ連の廃棄施設からMIRVの弾頭を盗んで小型核を回収したという情報、さらに海外の民間宇宙船会社を脅迫していたことも明るみに出て、二つの事実が真実の場合は弾頭攻撃が可能ということになる。
占い師として雇った栽木和に裏切られネット全体ごと壊滅した。
鬼籍会
世界四大ネットの一つの日本支部。暗殺、臓器売買、保険金殺人、人身売買、死体処理など、人の命に値札を付けるビジネスを主に行っている。椀貸不動産は、この鬼籍会の下部組織。
料亭の主様
東は赤坂、西は祇園の二派閥に大きく分かれ、日本の政治を裏から操るコンダクター集団。政治の真の中枢であり、与野党の判別もなく政治に関わる因子を全て操っているとされる。世界一の電波塔や『江戸前復古』キャンペーンなど、ここ最近は東側が盛り返しており、西側の『小さなナショナリズム』が勢力構造に神経質になっている。
遺産相続エージェント
「法的な順番を無視して依頼人の希望通りに遺産の譲渡を成功させる」という売り文句を建前に、老人達から遺産を騙し取る詐欺集団。インテリビレッジ納骨村のサナトリウムにて雪女のパッケージを試験し、大きな犯罪組織へ向けてパッケージの輸出ビジネスに手を出そうとしていた。詐欺事件と雪女の関連性に気づく恐れのあった忍を襲撃したが、逆に彼にパッケージを乗っ取られ計画は失敗した。
因果応報
3人のイタコをトップに据えた復讐集団。『妖怪の証言や超常を用いて入手した証拠は裁判に採用されない』という現行法への不満から、残留思念の形を取った死者の声を聞いて、殺人犯に裁きを与えていた。しかし、3人のイタコが金に釣られて『死者の声』を偽造するようになり、殺し屋集団へと墜落した。幹部であった主人がイカサマによって殺された猫又と、百鬼夜行との利害問題を解決するため差し向けられた舞によって、2週間あまりで組織は壊滅した。
常在戦場
構成員は手の甲に階級章としてタトゥーを刻んでいる。昇進する度にラインが増えるが、逆に降格するような失敗をすると制裁として手首が切り落とされる。名前負けした三流組織であり、犯罪者にパッケージを卸売することで収入を得ていたが、過去に首脳陣を菱神舞によって皆殺しにされた経緯がある。その後、生き残った構成員が地方のマスコミを狙い、箱根の芦ノ湖テレビに関与していた。
CIA
世界各地に潜り込んでいるアメリカの諜報員。基本的には正規エージェントは表に出たがらず、資金や武器を与えて現地でゲリラやテロリストなどの『駒』を調達する。
青行灯を『ブルーランプ』と呼称し、彼女の脅威から日本を救うため臼引き童のハードウェア極小破壊『パッケージ』を乗っ取り日本製ハードウェアの信頼を失墜させ、世界恐慌を招くことで国家の買い取りを目論んだ。しかし、忍達一行により作戦は妨害されたため、アメリカは青行灯の陰謀から手を引く姿勢を示すこととなった。
信賞必罰
妖怪絡みの事件は現行法では裁けず、裁判の進捗も拗れて中々進まない。そういった事例が気に喰わず、暗殺でもって解決を促す殺し屋集団。
金輪奈落
借金・虐待・ストーカー・『大きな犯罪組織』とのトラブル等、様々な問題を抱えた人材をスカウトし、問題を肩代わりする代わりに組織の目的の仕事を行い刑務所に入ってもらう。こうした主義・主張のない使い捨ての人材で組織される傭兵集団。
タロットガールズ22
今一番人気の国民的アイドルグループ。その名の通り、大アルカナ愚者』から『宇宙』までの22人が一軍、そして小アルカナ』・『』・『』・『』がそれぞれ14人ずつの計56人が二軍として登録されている。最近のアイドルにありがちな『美少女とオカルトの神秘性を融合させる』方式で売り出し、爆発的にヒットした。最大の特徴は、メンバーを一軍、二軍と切り分けておきながら実質的には関係なく、新曲リリースや全国ツアーの編成などは常にバラバラに組み直している点。メンバー一人一人をタロットカードに見立て、その日その時やるべき仕事に対して最適なカードの組み合わせで参加ユニットを確定させている。純粋な人気や売上を無視したその運用方法が、むしろスピリチュアルという設定の観点から説得力を一役買っている。ダンスの振り付けやライブ中のステージの立ち位置の移動などもタロット的な意味が盛り込まれていると噂があり、『解析班(アルカナリーダー)』と呼ばれる熱狂的なファン達によって動画共有サイトや掲示板で独自の解釈を披露している。
新橋の臨海エリアにある20階建ての巨大なビルが、丸々全て『タロットガールズ22』だけを擁するための専門の芸能事務所。低階層はジム、収録、写真撮影用スタジオなど外部スタッフを招く施設で、高階層は法務や経理など内部スタッフだけで回せる施設が集中している。最上階が社長室。数人しか存在しないマネージャーは全て取締役であり、1人で10人ものアイドルを管理している。
姥捨て団地
正式名称は『椀貸宿営団地』。巣鴨にある解体予定の20棟ほどの団地であり、家族に捨てられた老人達が寄り添う日本最大の違法ハウスとなっていた。山姥の死体を利用した悪意増幅『パッケージ』により、老人達の孤立が整えられていた。
隼と艶美の介入によって『パッケージ』は停止させられ、警察が椀貸不動産を逮捕。部屋に住んでいた住人達も、艶美の助力によって人並みの生活を営めるレベルまで戻った。
小手蜜
旧財閥時代から軒を連ねる金融筋。常に揺れ動く金融、為替、国債などの場に介入を続け、日本円のブランドを高水準で維持し続ける事、それを以て国家への奉仕を行う一族。故に、個人で財を為す事は目的ではない。
「あらゆる問題を金で解決する、仕手戦の絨毯爆撃部隊」などとも噂され、日本橋を行き交う証券マン達の間では『金曜日の夕暮れに絶望して月曜日の夜明けに首を吊りたくなければ、小手蜜本家には近づくな』という格言まで広まっている。一方で、極端な乱高下を生み出す小手蜜本家の動きに乗じて一攫千金を狙う投資家はゴールドサーファーなどと揶揄される。
軍事転用可能なオートドライブ技術を海外へ売却しようとした新興のクラウド自動車を締め上げるため、周辺町工場を片っ端から敵対的買収で買い占め、特許問題で雁字搦めにした『楔の七分間』という有名な逸話もある。

書籍情報

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既刊一覧

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  • 鎌池和馬(著)・真早(イラスト)、アスキー・メディアワークス〈電撃文庫〉、全9巻
巻数 タイトル 初版発行日(発売日) ISBN
1 インテリビレッジの座敷童 2012年5月10日(同日[2] ISBN 978-4-04-886554-8
2 インテリビレッジの座敷童(2) 2012年11月10日(同日[3] ISBN 978-4-04-891086-6
3 インテリビレッジの座敷童(3) 2013年6月7日(同日[4] ISBN 978-4-04-891611-0
4 インテリビレッジの座敷童(4) 2014年7月10日(同日[5] ISBN 978-4-04-866693-0
5 インテリビレッジの座敷童(5) 2014年12月10日(同日[6] ISBN 978-4-04-869097-3
6 インテリビレッジの座敷童(6) 2015年5月9日(同日[7] ISBN 978-4-04-865120-2
7 インテリビレッジの座敷童(7) 2015年6月10日(同日[8] ISBN 978-4-04-865121-9
8 インテリビレッジの座敷童(8) 2015年9月10日(同日[9] ISBN 978-4-04-865380-0
9 インテリビレッジの座敷童(9) 2015年12月10日(同日[10] ISBN 978-4-04-865564-4

原作未収録作品

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書き下ろしブックレット
ゲーマーズ限定特典 鎌池和馬書き下ろしブックレット(6-7巻購入の連動特典)
BOOK☆WALKER書き下ろしSS
ニコニコカドカワ祭り2015 人気作家書き下ろしSSコース
インテリビレッジの座敷童(Bonus track) 隼&艶美の供述録『結局、透輝館事件とは何だったのか』
原作本編で詳細が語られなかった透輝館事件をまとめたweb掲載[11]の特別編
インテリビレッジの座敷童(Bonus track)『美島純の出発点』
美島純が「何故、妖怪専門の捜査機関を設立したかったのか」を吐露したweb掌編[12]
インテリビレッジの座敷童(Bonus track)『小手蜜惑歌は、いかにして東京を捨てたのか』
原作開始の1年前の事件を巡る中学時代の小手蜜惑歌を書いたweb掌編[13]
インテリビレッジの座敷童(Bonus track)『ひしがみ(♀)おーるすたーさいけでりっくらいぶ!!』
原作終了後に内幕隼が巻き込まれた『菱神の女』に纏わる事件を書いたweb短編[14]
艶めきッ☆陣内忍ワールド
電撃文庫公式海賊本「電撃すぷらっしゅ!」に掲載された、最強をこじらせたレベルカンスト剣聖女ベアトリーチェの弱点 その名は「ぶーぶー」とのコラボ掌編。

脚注

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注釈

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  1. ^ どんな妖怪にでも親和性を示し、その恐怖を中和して繋がる力。無秩序で広範囲にその効力をばら撒く規格外の全方位型。
  2. ^ ただし、妖怪としてみれば「やたら経験値がけた違いなサービスモンスター」的な扱いらしく、ある意味では好かれているとのこと。
  3. ^ 例えば、屋敷の庭先や学校の校庭で子供達が遊んでいるといつの間にか一人増えていることがある、といった怪現象を起こす。臼挽き童が混ざっているはずなのだが、大人が点呼して数が増えていることは分かっても誰が臼挽き童なのかは分からない。
  4. ^ 芸能方面ではタレント枠などの一部例外はある。

出典

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外部リンク

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