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イワニンジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イワニンジン
神奈川県金時山 2023年9月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: シシウド属 Angelica
: イワニンジン A. hakonensis
学名
Angelica hakonensis Maxim. (1874)[1]
シノニム
  • Angelica nikoensis Y.Yabe (1902)[2]
  • Angelica hakonensis Maxim. var. nikoensis (Y.Yabe) H.Hara (1954)[3]
  • Angelica hakonensis Maxim. f. nikoensis (Y.Yabe) Kitam. (1962) [4]
和名
イワニンジン(岩人参)[5]

イワニンジン(岩人参、学名: Angelica hakonensis)は、セリ科シシウド属多年草[5][6][7][8]

特徴

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は直立し、多く分枝して、高さは30-120cmになる。茎に細毛が密生する。根出葉には長い葉柄がある。茎につくは互生し、2-3回3出羽状複葉で、小葉は不規則に中裂し、小葉または裂片は卵形から広卵形で、長さ3-8cm、先はとがり、縁に粗い鋸歯がある。葉の質は洋紙質で、裏面は淡色になる。葉柄の基部は長い葉鞘となって袋状にふくらむ[5][6][7][8][9]

花期は8-9月。やや小型の複散形花序に小型のを多数つける。歯片は目立たない。花弁は5個で、内側に曲がり、色は淡黄緑色、緑白色、白色、帯紫色になる。複散形花序の下の総苞片は無く、小花序の下の小総苞片は多数ある。雄蕊は5個あり、子房は2室ある。果実はわずかに扁平になった楕円形で、2個の分果からなり、分果に脈質の背隆条とやや広い翼状になった側隆条がある。油管は分果の表面側の各背溝下に各1個、分果が接しあう合生面に2個ある[5][6][7][8][9]

分布と生育環境

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日本固有種[10]。本州の関東地方中部地方に分布し、山地の日の当たる岩石地に生育する[7][8]

名前の由来

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和名イワニンジンは、「岩人参」の意で[5]、主に岩場に生える「ニンジン」の意味[8]。和名 Iwa-ninnjinn は、松村任三 (1889) による命名である[11]

種小名(種形容語)hakonensis は、「箱根の」の意味[12]タイプ標本は、神奈川県箱根において、1862年10月にマキシモヴィッチによって採集され、マキシモヴィッチ (1874) によって命名された[1]

種の保全状況評価

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国(環境省)のレッドデータブックレッドリストでの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は、東京都が準絶滅危惧(NT)、長野県が絶滅危惧IA類(CR)となっている[13]

分類

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イワニンジンの下位分類にノダケモドキがある。シノニム欄に示すとおり、ノダケモドキは独立した Angelica nikoensis とされていたことがあった[2]が、本種の変種 var. nikoensis[3][14]、または、品種 f. nikoensis[4][6]とされた。ノダケモドキは、本種と比べ、小葉がまばらにつき、花序がやや大きく、花弁の縁が暗紫色になるもので、関東地方から東海地方にかけて分布する[14][15]。同種は、東京都で準絶滅危惧(NT)に、愛知県で絶滅危惧II類(VU)に選定されている[16]。ただし、YList では、同種はイワニンジンの異名の扱いになっており、イワニンジンと区別されていない[3][4]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ a b イワニンジン 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b イワニンジン(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c イワニンジン(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c イワニンジン(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.477
  6. ^ a b c d 『原色日本植物図鑑・草本編II(改訂53刷)』pp.26-27
  7. ^ a b c d 鈴木浩司 (2017)「セリ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』p.390
  8. ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1254
  9. ^ a b いがりまさし、「イワニンジン 」、植物検索システム・撮れたてドットコム
  10. ^ 門田裕一、秋山忍 (2011)「セリ科」『日本の固有植物』pp.99-100
  11. ^ 松村任三「日本植物新稱」『植物学雑誌』第3巻第34号、日本植物学会、1889年、421頁、doi:10.15281/jplantres1887.3.421 
  12. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1495
  13. ^ イワニンジン。日本のレッドデータ検索システム、2024年1月16日閲覧
  14. ^ a b 北川正夫 (1982)「セリ科」『日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類』p.288
  15. ^ 北村四郎, 村田 源「原色日本植物図鑑草本編II(離辨花類)に発表した新名及び新見解」『植物分類,地理 (Acta Phytotaxonomica et Geobotanica)』第20巻第1号、植物分類地理学会、1962年、196頁、doi:10.18942/bunruichiri.KJ00002992778 
  16. ^ ノダケモドキ。日本のレッドデータ検索システム、2024年1月16日閲覧

参考文献

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