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イノシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イノシン
イノシン
識別情報
CAS登録番号 58-63-9
KEGG C00294
特性
化学式 C10H12N4O5
モル質量 268.23
外観 無色固体(二水和物)
融点

90 (二水和物)

への溶解度 1.6 g/100 mL (20 ℃)
比旋光度 [α]D −49.2 (18 ℃, c = 0.9, 水)
出典
Merck Index 14th ed., 4975.
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

イノシン (inosine) は、ヌクレオシド構造を持つ有機化合物の一種である。ヒポキサンチン(6-ヒドロキシプリン)とD-リボースからなるN-リボシドで、その構造は ヒポキサンチンリボシドとも表される。InoIと略記される。肉類などの中に存在する天然化合物である。

天然における存在

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イノシンは肉類に含まれる。また、RNA中にまれに存在する微量塩基の一種である。イノシンの構造は、しばしば tRNA (transfer-RNA) に含まれ、特にアンチコドン部位に存在する場合はmRNAに対してゆらぎ塩基としての作用が知られる。これは、イノシンが持つヒポキサンチン部位が、複数の種類の核酸塩基シトシンアデニンウラシル)と水素結合により会合して塩基対を形成できるためである。

リボース部位の5'位にリン酸が導入されたイノシン酸やそのナトリウム塩は、肉類に含まれるうま味成分として重要である。

合成と反応

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合成

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アデノシンに脱アミノ化酵素(アデノシンデアミナーゼ)を作用させる発酵法により、イノシンが得られる。

また、アデノシンに亜硝酸を作用させて6位のアミノ基をジアゾ化すると、その部位が酸素で置換されたイノシンが生成する。

反応

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希硫酸中で加熱すると、加水分解を受けてヒポキサンチンとD-リボースに変わる。

利用

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イノシンが細胞中に取り込まれるとATPサイクルを活発化させることから、臨床的根拠がないにもかかわらずスポーツ選手の持久力を高める効果が期待された。そのため、イノシンは健康食品サプリメント)の成分として市場に流通している。

関連化合物

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参考文献

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