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イタリア・リラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イタリアリラから転送)
500リラ銀貨(1960年)
10000リラ紙幣

イタリア・リラ(Lira italiana)は、2002年まで使用されていたイタリアの通貨である。通貨記号は、またはITL。

概要

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イタリア共和国以外にもサンマリノ共和国バチカン市国で独自の意匠の硬貨を発行していたが、イタリア本国の通貨と等価であった。リラの語源は天秤(libra、lira)である。リラのイタリア語での発音はリーラに近く、複数形はリーレ(lire)となる。サンマリノでは金貨の単位として20000リラに相当するscudoという単位も使われていた。

通貨の補助単位はチェンテージモ(centesimo、複数形はcentesimi)。1リラ=100チェンテージミ。

19世紀後半にはラテン通貨同盟に加盟し、フランス・フランなどと等価であったが、2度の大戦を経てその価値は暴落した。

2002年1月からはユーロがリラに代わり流通しはじめ、同年3月にはリラの使用は公式には終了した。このとき1ユーロは1,936.27リラとされた為、切り上げによる便乗値上げが予想された。大方の予想通り便乗値上げは多く、1ユーロが2,000リラに換算されてしまった。イタリア・リラのユーロへの交換は、前記のレートで、2012年2月28日まで可能であった。

リラは比較的弱い通貨だったが、ユーロはドルに匹敵する強い通貨であるためユーロ高傾向にあり、輸出観光に依存しているイタリア経済界からはリラに戻そうと言う声も出た[1]

硬貨

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1000リレ硬貨

硬貨は1リラ、2、5、10リレ(アルミ貨)、20リレ(ニッケル黄銅貨)、50、100リレ(ステンレス鋼貨→白銅[注 1])、200リレ(アルミ青銅貨)、500、1000リレ(バイメタル貨)が流通していたが、ユーロへの切り替え直前の頃に実際に市中で見受けられたのは50リレ以上であり、20リレ以下の硬貨はインフレによりほとんど流通せず、ミントセット向けに僅かな量が製造されるのみであった[2]。500リレは1958年に銀貨として発行されるも蒐集家向けにごく少量が発行されたのみで、1982年にバイメタル貨として発行されて初めて広く流通した[注 2]。1000リレ硬貨は1997年の発行当初、硬貨裏面に描かれた欧州地図のドイツの国境線が旧西ドイツ時代のまま製造・発行され、すぐにドイツ再統一後の国境線に直されたものが発行されたが、その後ユーロ切り替えの為に生産を早期に終了した経緯を持つ。

紙幣

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紙幣は、かつては政府紙幣の500リレがあったが1982年にバイメタル貨に切り替わった。

ユーロ導入直前のラインアップは1,000、2,000、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000リレの7種が発行されていた。

1951年当時の流通紙幣

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画像 額面 表の図柄 裏の図柄 発行日
500リレ ケレース(ラファエロ画) 彩紋、額面 1947年3月20日
1000リレ プリマヴェーラ(ボッティチェリ画)の三美神の一部分 彩紋、イタリア銀行のロゴタイプ 1947年3月20日
5000リレ it:Repubbliche Marinare

ヴェネツィアジェノヴァの象徴

フローラ 1947年1月17日
10000リレ ダンテ・アリギエーリ 1948年5月8日

1973年当時の流通紙幣

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画像 額面 表の図柄 裏の図柄 発行日
500リレ アレトゥーサイルカ

ヘビワシ

彩紋、額面 1966年6月20日
1000リレ ジュゼッペ・ヴェルディ スカラ座 1969年3月25日
2000リレ ガリレオ・ガリレイ

ピサ大聖堂ピサの斜塔

星図アルチェトリ天文台 1973年10月8日
5000リレ クリストファー・コロンブス キャラベル船 1964年9月3日
クリストファー・コロンブス

海馬、15世紀の地図

3隻のキャラベル船

魚と

1971年5月20日
10000リレ ミケランジェロ・ブオナローティ カンピドリオ広場 1962年7月3日
50000リレ レオナルド・ダ・ヴィンチ ヴィンチの街並み 1967年7月3日
100000リレ アレッサンドロ・マンゾーニ レッコの風景 1967年7月3日

1982年当時の流通紙幣

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画像 額面 表の図柄 裏の図柄 発行日
500リレ メルクリウス 彩紋、イタリア語で「500」 1974年2月14日
1000リレ マルコ・ポーロ ドゥカーレ宮殿 1982年3月13日
5000リレ 男の肖像画[注 3]」(アントネロ・ダ・メッシーナ画) 亀の噴水トロイア大聖堂 1979年3月9日
10000リレ 男の肖像画[注 4]」(アンドレア・デル・カスターニョ画) ジェズ・ヌオーヴォ教会 1976年10月30日
20000リレ ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 聖愛と俗愛 1975年2月21日
50000リレ 女性の顔[注 5]、彩紋 パンテオン等の建築物 1977年6月20日
100000リレ プリマヴェーラ(ボッティチェリ画)の三美神の一部分 ルネサンス建築 1978年6月20日

2000年当時の流通紙幣

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画像 額面 表の図柄 裏の図柄 発行日
1000リレ マリア・モンテッソーリ 「勉強する子どもたち」(アルマンド・スパディー二画) 1990年10月24日
2000リレ グリエルモ・マルコーニ

ループアンテナ

エレットラマルコーニ・ワイヤレス・ステーション

テレグラフ、ループアンテナ

1990年10月24日
5000リレ ヴィンチェンツォ・ベッリーニ

マッシモ・ベッリーニ劇場の内部

ノルマ」の一場面、ベッリーニ記念碑の像 1985年1月31日
10000リレ アレッサンドロ・ボルタボルタ電池 ヴォルティアーノ神殿 1984年9月3日
50000リレ ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ

トリトーネの噴水の彫刻

サン・ピエトロ大聖堂スカラ・レジア

コンスタンティヌス1世騎馬像(いずれもベルニーニ作)

1984年3月15日
50000リレ(改訂版) 1992年5月27日
100000リレ カラヴァッジオ、「女占い師 果物籠」、「イサクの犠牲」の背景部分 1983年10月25日
100000リレ(改訂版) 果物籠」、植物の彩紋 1994年5月6日
500000リレ ラファエロ・サンティ、「ガラテイラの勝利 アテナイの学堂」の中央部分 1997年5月13日

為替レートの推移

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対ドル為替レート(1989年~1998年)
対円為替レート(1989年~1998年)

関連項目

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注釈

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  1. ^ 1990年に両方共にサイズが小さく変更されたが、当時イタリアの国民からクレームが出たため、50リレは1995年に、100リレは1993年に材質とデザインも変更された。
  2. ^ ちなみに一般流通を前提としたバイメタル貨の発行はこれが世界初である。
  3. ^ この肖像画は無名の貴族がモデルとなっているが、アントネロ・ダ・メッシーナの自画像とする説もある。
  4. ^ この肖像画は無名の貴族がモデルとなっており、アンドレア・デル・カスターニョの肖像ではない。
  5. ^ 当時イタリア銀行で紙幣のデザインを担当していたグリエルモ・サヴィーニによって描かれたもので、モデルは不明。

脚注

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  1. ^ [1] 『ユーロ憂うつ(上) 通貨不信 景気停滞… 独伊の反発』(2005年9月6日 読売新聞)
  2. ^ 平石国雄、二橋瑛夫『世界コイン図鑑』2002年4月、日本専門図書出版、p.405

外部リンク

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現在のITLの為替レート
Google Finance: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD INR CNY TRY
Yahoo! Finance: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD INR CNY TRY
Yahoo! ファイナンス: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD INR CNY TRY
XE: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD INR CNY TRY
OANDA: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD INR CNY TRY