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アートコア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アートコア: Artcore)は、音楽ジャンルのひとつ。現在は主にドラムンベースのサブジャンルのいずれかを指す。

概要

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1990年代半ばに流行したドラムンベースのサブジャンル、インテリジェントの異称の1つとして「アンビエントドラムンベース」や「アートコア」があった[1][2]。当時の代表的なアーティストはLTJ BukemFabioOmni Trioなど[1][3]。当時のアートコアの特徴として、ジャングル由来の高速ドラムンベース、アンビエントやジャズなど多様なジャンルの要素、アンビエント的な浮遊感が挙げられている[1][4]。これらは4ヒーローなど多くのアーティストに影響を与えた一方で、「インテリジェント」という名称からくる排他的な印象から敬遠され、シーンから姿を消していった[1]

対して音楽ゲームにおけるアートコアは、高速ドラムンベースと様々なジャンルのEDMクラシック音楽、アコースティックなピアノ弦楽器などの融合、そして感傷的なメロディが特徴のジャンルである[5][6]。日本で単にアートコアという場合はこちらを指すことが多い。

ジャンルの源流としては2002年の『felys』(Onoken)が、名称としては2004年のbeatmania IIDX(10th style)に収録された『Narcissus At Oasis』(Ryu☆)が最初期にあたる[7]。その後、BEMANIシリーズやBMS等の音楽ゲームを中心とした同人音楽シーンにおいて独自の進化を遂げており、「日本の同人音楽発祥の電子音楽」という広義のJ-core英語版に含まれる[6]

主なアーティスト

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(90年代のアートコア)

(音楽ゲーム発祥のアートコア)


ハードコア・パンクの用語として

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上記とは全く別に、ハードコア・パンクにおけるコンセプチュアルなパフォーマンスを表す語として1980年代に用いられていた[8]。1986年に発刊されたアートコアの専門雑誌『Artcore英語版[9]はハードコア・パンクのバンド・レーベル・新人・ベテランに焦点を当ててパンク・ロック運動のグラフィック・デザインによる主張を紹介しており、1980年代のハードコア人気の中で重要な位置付けにあることを表現していた[8]

脚注

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  1. ^ a b c d Ben Murphy. “ドラムンベース2018:“インテリジェント” のレガシー”. www.redbull.com/jp-ja/. 2022年6月27日閲覧。
  2. ^ Gilman, Ben. “A short history of Drum and Bass”. 29 May 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。27 June 2022閲覧。
  3. ^ Steven Quinn (2002-05). “Rumble In The Jungle: The Invisible History of Drum’n’Bass”. Transformations (3): 1-12. https://www.transformationsjournal.org/wp-content/uploads/2017/01/Transformations03_Quinn.pdf. 
  4. ^ Artcore - Ambient / Jungle (1995, CD)”. Discogs.com. 2022年6月27日閲覧。
  5. ^ Artcore - Music Genre - Rate Your Music”. rateyourmusic.com. 2022年6月27日閲覧。
  6. ^ a b Artcore: Unknown to Many, Beautiful to Few, Gid Imma, 2018.
  7. ^ beatmania IIDX 10th style”. 2022年6月27日閲覧。
  8. ^ a b GEORGE PALLADEV. “Artcore”. 12edit.com. 2022年6月27日閲覧。
  9. ^ ARTCORE”. www.artcorefanzine.co.uk. 2018年6月20日閲覧。