アーチ高率
表示
アーチ高率(アーチこうりつ)は、主に足部の内側縦アーチ(土踏まずの一部)の変形を表す一指標である[1]。
算出方法と計測方法
[編集]アーチ高率(%)=舟状骨粗面の足底面からの高さ(cm)/足長(cm)×100で算出される[1][2]。
アーチ高率(%)が大きい数値であれば、内側縦アーチが形成されていることを示し、小さい数値であれば内側縦アーチの形成不全が疑われる。
計測の方法は、レントゲン写真を用いたものが最も妥当性が高いと言われている[2]。簡易的な方法として、メジャーによる計測が用いられている。その他に、非侵襲的に3次元的な足型を計測する機器も存在する[3]。
類似した指標にNavicular Indexがある。これは、足長(cm)/舟状骨粗面の床からの高さ(cm)の計算式で算出されているため、数値大小の解釈が逆になり注意が必要である。つまり、Navicular Indexが大きい数値であれば、内側縦アーチの形成不全が疑われ、小さい数値であれば内側縦アーチが形成されていることを示す。[4]
アーチ高率低下の原因と病態
[編集]- 原因
- 急激な体重増加、スポーツなどによる使い過ぎ(オーバーユース)、足関節周囲の外傷、手術などが挙げられる[5]。
- 病態
基準値と有用性
[編集]- アーチ高率は、幼児期2.4 - 3.7%[4]、青年期10 - 18%[3]と幅広く、年代によって差がある。健常成人では平均13%[6]や10.7 - 16.7%[7]という報告がある。
- 荷重時と非荷重時でも差が出る場合がある。このタイプの扁平足をflexible flatfootと呼ぶ。反対に荷重に関係なく内側縦アーチが消失している場合は、rigit flatfootと呼ぶ[4]。
- 正常範囲としての基準値がいまだに明確ではない。アーチ高率の低下は内側縦アーチを形成するキーストーンである舟状骨の位置が低下している状態を指すだけであるので、扁平足の診断にはアーチ高率のみでは不十分であると言われている[8]。
- Navicular Indexは小児期(8 - 15歳)扁平足の診断基準になっている。6.7407以下であれば扁平足と診断する方法も提唱されている[4]。
脚注
[編集]- ^ a b 大野修、吉井隆「足底圧力分布と足アーチの関連性について」『日整会誌』第64巻、1990年、S1350
- ^ a b 大久保衛、島津晃、上野憲司・他「メディカルチェックにおける足アーチ高測定方法の検討」 『臨床スポーツ医学』第6巻(別冊)、1989年、336-339頁
- ^ a b 藤田基弘『足部形態が下肢障害に与える影響について‐キネティックチェーンの観点から‐ (PDF)』(レポート)〈2011年度修士論文〉、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科スポーツ科学専攻スポーツ医学研究領域、2011年。
- ^ a b c d 正常足と扁平足を区別するためのNavixular Index. 解説付き英語論文サイト. 公益社団法人日本理学療法士協会. http://jspt.japanpt.or.jp/eibun/2013/1306_1.html
- ^ a b c 成人期扁平足. 足の疾患ガイドシリーズ. 日本足の外科学会. https://www.jssf.jp/pdf/pamph_henpeisoku.pdf
- ^ 尾田敦『健常者における足アーチ高の標準値の確立に関する研究』(レポート)〈平成17年度〜平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(B)研究成果報告書)〉、弘前大学大学院保健学研究科、2008年。hdl:10129/674。
- ^ 三秋泰一、加藤逸平「アーチ高率の違いによる内外側方向における足圧中心位置の検討」『理学療法科学』第22巻第3号、2007年、409-412頁、doi:10.1589/rika.22.409。
- ^ 誤解に満ちあふれた「扁平足」http://www.jssf.jp/common/henpei.html