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アルバトロス級ミサイル艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アルバトロス級ミサイル艇
基本情報
艦種 Sボート (ミサイル艇)
運用者  ドイツ海軍
 チュニジア海軍
 ガーナ海軍
就役期間 ドイツ 1976年 - 2005年
同型艦 10隻
前級 ティーガー級 (148型)
次級 ゲパルト級 (143A型)
要目
基準排水量 300トン
満載排水量 393トン
全長 57.6 m
最大幅 7.76 m
吃水 2.82 m
主機 MTU 16V956 TB91
ディーゼルエンジン×4基
推進器 スクリュープロペラ×4軸
出力 16,000馬力
電源 540 kW
速力 36ノット
航続距離 2,600海里 (16kt巡航時)
乗員 士官4名+下士官15名+兵18名
兵装
C4ISTAR AGIS戦術情報処理装置
レーダー
  • 3RM20 航法用
  • WM-27 目標捕捉・火器管制用
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アルバトロス級ミサイル艇ドイツ語: Schnellboot Albatros-Klasse)は、西ドイツ海軍および統一ドイツ海軍Sボートミサイル艇)の艦級。公称艦型は143型(Klasse-143)[1][2][3][4]

来歴

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国防軍Sボート以来、ドイツの高速戦闘艇には定評があり、第二次世界大戦後の海軍再建の際にも、魚雷艇は重要な兵力として位置付けられた。連邦軍(西ドイツ海軍)では、バルト海という狭くて浅い内海での行動能力が重視されており[5]、また特にその入り口にあたるスカゲラク海峡は狭く浅く、また霧や強風、潮流など航海の障害が多く、魚雷艇の作戦に適した海域と考えられていた[6]。まず国防軍のSボートの設計を踏襲した149型(ジルバーメーヴェ級)が建造された[注 1]。またその建造と並行して新設計の140型(ヤグアル級)の計画が進められ、1961年からは、小改正型の142型(ツォーベル級)も建造された[6]

しかしこの時期、魚雷にかわる新しい対艦兵器として艦対艦ミサイルが台頭しており、1960年代中盤より、これを主兵装としたミサイル艇が検討されることとなった。1966年10月には、140型(ヤグアル級)の後継として、リュールセン社に対して複合構造(鉄骨木皮)艇の要求仕様が提示されていたものの[4]、この時点では搭載する武器システムとして妥当なものがなく、開発は難航していた[7]。この遅れを補う漸進策として、1970年12月には、リュールセン社も開発に加わっていたコンバタントII型の建造が決定され、これは1972年よりティーガー級(148型)として就役を開始した[4]

この頃には純国産艇の開発も進展しており、1972年7月7日に契約が締結され、同月13日に建造が発注された。これによって建造されたのが本級である[4]

設計

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148型ではサール型と同様の鋼製船体だったのに対し、本級では、140型・142型と同様の、鋼製フレーム・マホガニー船体に、隔壁と上部構造物はアルミニウム合金製という構造が踏襲された[8]。主機は、148型と同じV型16気筒ディーゼルエンジンながらボアストローク比を増したMTU 16V956 TB91に変更された[2][4]電源出力は540キロワットに倍増した[3]

本級はミサイル艇隊の指揮艇として構想されていたこともあってC4Iシステムが強化されており、148型では武器管制を司るヴェガ戦術データ・リンクを司るPALIS(Passiv-Aktiv-Link-Lage-Informations system)という2種類の戦術情報処理装置を搭載していたのに対し、両者の機能を包括したAGIS(Automatische Gefechts und Informations-system Schnellboote)が開発されて搭載された。これはリュッチェンス級駆逐艦のSATIR-Iに続くドイツ第2世代の戦術情報処理装置であり、UNIVAC-1830電子計算機2基を使用していた。WM-27レーダーおよび電波探知装置からの情報を自動入力し、武器管制に使用できたほか、リンク 11による情報共有も可能であった[9]

艦対艦ミサイルは148型と同様で、エグゾセMM38を連装発射筒2基に収容し、艦橋構造物直後に搭載した。また本級では、これに加えて、後方発射型の533mm魚雷発射管2門も搭載されたが、こちらは後の近代化改修の際に撤去された。艦砲も強化されており、船首尾甲板に62口径76mm単装速射砲(76mmコンパット砲)を1基ずつ搭載した[2][3][4]

同型艇

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# 旧艦名 新艦名 就役 退役 退役後
P6111 S61 アルバトロス
Albatros
1976年11月1日 2005年3月24日 ガーナ海軍へ売却
P6112 S62 ファルケ
Falke
1976年4月13日 2004年12月16日 保管中
P6113 S63 ガイヤー
Geier
1976年6月2日 2005年9月29日 チュニジア海軍へ売却
P6114 S64 ブッサルト
Bussard
1976年8月14日 2005年3月24日 ガーナ海軍へ売却
P6115 S65 シュペルバー
Sperber
1976年9月27日 2005年6月30日 チュニジア海軍へ売却
P6116 S66 グライフ
Greif
1976年11月15日 2005年6月30日
P6117 S67 コンドル
Kondor
1976年12月17日 2004年12月16日 保管中
P6118 S68 ゼーアドラー
Seeadler
1977年3月28日 2005年9月29日 チュニジア海軍へ売却
P6119 S69 ハビクト
Habicht
1977年12月23日 2005年12月13日
P6120 S70 コルモラン
Kormoran
1977年7月29日 2005年12月13日

脚注

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注釈

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  1. ^ ジルバーメーヴェ級は連邦軍創設に先駆けて1952年に発注されており、連邦国境警備隊に配備される予定であったが[6]、再軍備に備えた意図が露骨すぎるとして、1955年に竣工した最初の3隻はさしあたりイギリス海軍が運用することになり、連邦軍創設後に返還された[5]

出典

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  1. ^ Moore 1975, p. 138.
  2. ^ a b c Sharpe 1989, p. 218.
  3. ^ a b c Prezelin 1990, pp. 196–197.
  4. ^ a b c d e f Gardiner 1996, pp. 150–151.
  5. ^ a b 青木 1998.
  6. ^ a b c 戸田 1998.
  7. ^ 海人社 1995.
  8. ^ 藤木 1995.
  9. ^ Friedman 1997, pp. 82–83.

参考文献

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  • Friedman, Norman (1997), The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998, Naval Institute Press, ISBN 978-1557502681 
  • Gardiner, Robert (1996), Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995, Naval Institute Press, ISBN 978-1557501325 
  • Moore, John E. (1975), Jane's Fighting Ships 1974-1975, Watts, ASIN B000NHY68W 
  • Prezelin, Bernard (1990), The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991, Naval Institute Press, ISBN 978-0870212505 
  • Sharpe, Richard (1989), Jane's Fighting Ships 1989-90, Janes Information Group, ISBN 978-0710608864 
  • 青木栄一「戦後ドイツ海軍の歩み (ドイツ軍艦の戦後史)」『世界の艦船』第542号、海人社、69-73頁、1998年9月。 
  • 戸田孝昭「高速艇 (第2次大戦後のドイツ軍艦)」『世界の艦船』第542号、海人社、84-87頁、1998年9月。 
  • 藤木平八郎「高速戦闘艇の今日と明日 (特集・現代の高速戦闘艇)」『世界の艦船』第502号、海人社、70-75頁、1995年10月。 
  • 海人社 編「世界の高速戦闘艇ラインナップ (特集・現代の高速戦闘艇)」『世界の艦船』第502号、海人社、76-83頁、1995年10月。 

外部リンク

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