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アマクサイクチス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アマクサイクチス
復元図
地質時代
約8360万年前
中生代白亜紀後期中盤サントニアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
上界 : オピストコンタ上界 Opisthokonta
: 動物界 Animalia
亜界 : 左右相称動物亜界
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 顎口上綱 Gnathostomata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
階級なし : 真骨類 Teleostei
: イクチオデクテス目 Ichthyodectiformes
: Bardackichthydae科 Bardackichthyidae
: アマクサイクチス属 Amakusaichthys
学名
Amakusaichthys
タイプ種
A.goshouraensis
和名
アマクサゴショウラムカシウオ

アマクサイクチス・ゴショウラエンシス学名Amakusaichthys goshouraensis)は、約8500万年前(後期白亜紀サントニアン期)の日本に生息していた、イクチオデクテス目に属する条鰭類魚類の属。熊本県天草市御所浦町から化石が産出し、学名は産地にちなむ。アジアから新種記載された最初の海生イクチオデクテス目魚類である。

発見

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2012年3月に天草市御所浦町嵐口地区の工事現場で魚類化石の産出が地元住民と地元議会議員から報告され、天草市御所浦支所から連絡を受けた御所浦白亜紀資料館の学芸員が産出を確認した[1]。層準は姫浦層群樋の島層のシルト岩であった[2]。発見場所が工事現場であったことから発掘作業には工事業者の許可が必要で、工事作業が終わった夜間に発掘を行うことで合意に至った。発掘は2日間行われた[1]

露頭の岩石は脆かったが、化石自体の保存状態は良好であった[1]。研究には資料館のほか、北九州市立自然史・歴史博物館リオデジャネイロ州立大学が参加した[3]。2018年9月に新属新種として発表[3][4]。産出した標本は白亜紀資料館に所蔵され、GCM-VP453がホロタイプ標本、GCM-VP454とGCM-455がパラタイプ標本に指定された[2]

学名は「天草の魚」を意味するギリシャ語:Amakusaἰχθύς(Amakusaichtus)と発見場にちなみ Amakusaichthys goshouraensis としている[1]。標準和名はアマクサゴショウムカシウオ[2]

特徴

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全長60センチメートル程度。イクチオデクテス目に属するが、長い吻部・小型の口・小型の歯・第2下尾骨に発達した大きな隆起などが本属独自の特徴とされ[5]、従ってシファクテヌス属のようなブルドッグ型の顔ではなく、馬面に近い外見になっている[3]。本属はイクチオデクテス目がそれまで考えられていたより多様性に富んでいたことを示した。またイクチオデクテス目は世界各地から報告されているが、アジアから産出した海生の属種は本属が初であり、メキシコ中東ヘッケリクチス英語版属が類縁属とされる[1][2][5]。2021年にはヘッケリクチスとBardackichthysと共に新科Bardackichthydae科に含まれた[6]

頭部や胴体の骨など100点以上が発掘された[3]。一か所から化石が折り重なるように複数発見されており、これは白亜紀の海生魚類としては稀な例である。このような産状から、群れをなして生活していた可能性が示唆されている[1][2]

展示

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実物化石は2018年9月22日から天草市立御所浦白亜紀資料館で展示され、レプリカは北九州市立自然史・歴史博物館で同年9月に期間限定展示が行われた[1]。白亜紀資料館での展示では化石断片や反転した化石の写真が張り合わされて来館者に全身が見えるように展示された[2]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g 天草市御所浦町で発見された白亜紀の新属新種の大型魚類化石”. 天草市御所浦白亜紀資料館. 2021年3月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 廣瀬浩司、籔本美孝、パウロ・M・ブリート「熊本県天草市御所浦町に分布する上部白亜系姫浦層群から発見されたイクチオデクテス目魚類Amakusaichthys goshouraensisアマクサゴショウラムカシウオ(新称)」『化石』第102巻、日本古生物学会、2019年、1-2頁、doi:10.14825/kaseki.105.0_12021年3月8日閲覧 閲覧は自由
  3. ^ a b c d 金子寛昭 (2018年9月21日). “新種!大型魚類の全身化石発見 恐竜と共に絶滅 天草市御所浦町”. 天草テレビ. 2021年3月8日閲覧。
  4. ^ 大矢雅弘「魚の化石、アジア初の新種だった 8500万年前の地層」『朝日新聞デジタル』2018年9月21日。2021年3月8日閲覧。
  5. ^ a b 籔本美孝「日本の中生代・新生代硬骨魚類化石――日本の博物館所蔵の主な魚類化石と研究の可能性について――」『化石』第105巻、日本古生物学会、2019年、24-26頁、doi:10.14825/kaseki.105.0_21 閲覧は自由
  6. ^ Hacker, Riley J.; Shimada, Kenshu (2021-07-01). “A new ichthyodectiform fish (Actinopterygii: Teleostei) from the Arlington Member (mid-Cenomanian) of the Upper Cretaceous Woodbine Formation in Texas, USA” (英語). Cretaceous Research 123: 104798. doi:10.1016/j.cretres.2021.104798. ISSN 0195-6671. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195667121000458. 

関連項目

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