へびつかい座イータ星
へびつかい座η星[1] Eta Ophiuchi | ||
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星座 | へびつかい座 | |
見かけの等級 (mv) | 2.42[1] | |
位置 元期:J2000.0[1] | ||
赤経 (RA, α) | 17h 10m 22.68689s[1] | |
赤緯 (Dec, δ) | −15° 43′ 29.6639″[1] | |
赤方偏移 | -0.000008[1] | |
視線速度 (Rv) | -2.40km/s[1] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 40.13 ミリ秒/年[1] 赤緯: 99.17 ミリ秒/年[1] | |
年周視差 (π) | 36.91 ± 0.80ミリ秒[1] (誤差2.2%) | |
距離 | 88 ± 2 光年[注 1] (27.1 ± 0.6 パーセク[注 1]) | |
絶対等級 (MV) | 0.3[注 2] | |
η星の位置
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物理的性質 | ||
スペクトル分類 | A2IV-V [1] | |
色指数 (B-V) | +0.06[2] | |
色指数 (U-B) | +0.09[2] | |
他のカタログでの名称 | ||
へびつかい座35番星[1] BD -15 4467[1], HD 155125[1], HIP 84012[1], HR 6378[1], SAO 160332[1] |
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へびつかい座η星A[3] | ||
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仮符号・別名 | サビク[4], Sabik[5][6] | |
見かけの等級 (mv) | 3.05[7] | |
位置 元期:J2000.0[3] | ||
赤経 (RA, α) | 17h 10m 22.653s[3] | |
赤緯 (Dec, δ) | −15° 43′ 30.57″[3] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 38 ミリ秒/年[3] 赤緯: 96 ミリ秒/年[3] | |
物理的性質 | ||
半径 | 2.5 R☉ | |
質量 | 2.3 M☉ | |
スペクトル分類 | A2V [3] | |
光度 | 35 L☉ | |
表面温度 | 8,900 K | |
他のカタログでの名称 | ||
BD -15 4467A[3] | ||
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へびつかい座η星B[8] | ||
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見かけの等級 (mv) | 3.27[7] | |
位置 元期:J2000.0[8] | ||
赤経 (RA, α) | 17h 10m 22.600s[8] | |
赤緯 (Dec, δ) | −15° 43′ 30.85″[8] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 38 ミリ秒/年[8] 赤緯: 96 ミリ秒/年[8] | |
物理的性質 | ||
半径 | 2.0 R☉ | |
質量 | 2.0 M☉ | |
スペクトル分類 | A3V [8][9] | |
光度 | 21 L☉[9] | |
表面温度 | 8,600 K[9] | |
他のカタログでの名称 | ||
BD -15 4467B[8] | ||
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へびつかい座η星(へびつかいざイータ星)は、へびつかい座の恒星で2等星。へびつかい座ではα星に次いで明るい。
概要
[編集]へびつかい座η星は、かつては実視等級(合成等級)が2.6等[注 3]で3等星とされていたが、現在では2.42等とされており2等星とされている。
この星は、3.05等と3.27等のどちらもA型主系列星からなる実視連星だが、角距離が0.86秒角(位置角は247.5度)と小さいためアマチュア向けの望遠鏡では分離することは難しい。その実態をつかむには熟練した技術が必要である。両星は22天文単位(だいたい太陽から天王星の軌道半径に相当する距離)隔たっている。連星のうち主星(へびつかい座η星A)は伴星(へびつかい座η星B)よりわずかに高温で明るい。それぞれの星は互いの共通重心の周りを公転周期88年という長周期かつ非常に偏った長円軌道をとって回っているため正確に観測することが困難で、連星系のデータが不正確なものとなっている[9]。
名称
[編集]Eta Ophiuchi, η Oph。固有名をサビク[4] (Sabik[5][6])という。蛇遣い(ギリシア神話のアスクレーピオス)の両膝に当たるζ星 (ζ Oph) にアッ=サービク・アル=アウワル(السابق الأول, al-Sābiq al-Awwal、「第一のサービク」の意)、η星にアッ=サービク・アッ=サーニー(السابق الثاني, al-Sābiq al-Thānī、「第二のサービク」の意)というアラビア語星名が与えられていた。サビクはこのアラビア語星名に由来している[4]。
普通の名詞(行為者名詞、いわゆる能動分詞)としてのアラビア語 سابق(sābiq, サービク) は「先行する(もの)、先行者;前の、前任の(もの)」という意味を持つ語だが、星座としての意味については諸説がある。
アメリカのアラビア語学者ジョージ・A・デーヴィス・ジュニアは「勝利者」あるいは「制圧者」を意味するとしており、へびつかい座がさそり座のほぼの真北に位置しており、両足で巨大な怪物(さそり座)を踏みつけているからだと論じている[4]。
2016年8月21日、国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Sabik をへびつかい座η星Aの固有名として正式に承認した[6]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q “SIMBAD Astronomical Database”. Results for * eta Oph. 2015年12月23日閲覧。
- ^ a b 輝星星表第5版
- ^ a b c d e f g h “SIMBAD Astronomical Database”. Results for eta Oph A. 2015年12月23日閲覧。
- ^ a b c d 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、149頁。ISBN 978-4-7699-0825-8。
- ^ a b Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. p. 44. ISBN 978-1-931559-44-7
- ^ a b c “IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年12月3日閲覧。
- ^ a b “The Washington Visual Double Star Catalog (Mason+ 2001-2014)”. VizieR. Centre de Données astronomiques de Strasbourg. 2016年12月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “SIMBAD Astronomical Database”. Results for eta Oph B. 2015年12月23日閲覧。
- ^ a b c d Jim Kaler. “Sabik”. STARS. 2016年12月3日閲覧。
参考文献
[編集]- The Dome of the SkyTM - Sabik
- 中野主一; 太田原明『天体観測星表-2000』誠文堂新光社、1983年1月。ISBN 978-4416283004。
- Rev. Thomas W. Webb (1962) Celestial Objects for Common Telescopes, vol.2, (rep.) Margaret w. Mayall (ed.), New York, Dover Publication Inc.