コンテンツにスキップ

しんかい12000

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

しんかい12000は、独立行政法人海洋研究開発機構 (JAMSTEC) が開発構想段階の大深度有人潜水調査船

計画

[編集]

しんかい6500が開発・進水してから四半世紀が過ぎ、深海調査の国際競争が激しくなったことや開発技術の継承などの懸念がある中で、水深1万2000mまで潜航可能な次世代船の構想が進められている[1][2][3](海の最深部は日本からも近いマリアナ海溝のチャレンジャー海淵で、約1万920mと推定されている[4])。2014年3月、日本学術会議が建造費を300億円(または500億円)と試算し、2023年に向けての政府に運用開始を提言したが、予算措置は講じられていない[2][3]。2023年ごろの就航を目指す[1]とも2020年代後半の完成を目指している[5]とも報じられたが、2022年現在、進捗は報じられていない。

構想段階での設計

[編集]

2015年に公表されたイメージ図では、以下のような設計が計画されている。

船体

[編集]

耐圧殻は、厚さ5-10センチの強化ガラス製耐圧球と、チタン合金製の耐圧球を1個ずつ採用。前部の耐圧球をガラス製にすることで、視界を広げる[2][3][6]。後部の耐圧球には、ベッドやトイレを有する休憩室を確保し、最長2日間の潜航が可能になるほか、ここにも観測窓を設ける[5]。これにより、従来は操縦者2人・研究者1人の計3人のみだった搭乗者を、6人乗りでうち4人が研究者にするという案がある[6]

装備

[編集]

観測器材は、いずれも更なる高性能化と小型化を図る。特に2本のロボットアームは、作業性を向上させるとともに、温度や圧力も感知できる機能を実現できる予定である[5]

脚注

[編集]
出典
  1. ^ a b 読売新聞 (2013年12月30日). “深海底に滞在可能、2本の腕を持つ有人潜水船”. 読売新聞オンライン (読売新聞社). オリジナルの2014年1月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140102125032/https://www.yomiuri.co.jp/science/news/20131229-OYT1T00885.htm 
  2. ^ a b c 伊藤壽一郎 (2014年5月26日). “【科学】超深海の潜航能力と高い居住性 次世代の有人潜水船「しんかい12000」開発本格化、資源探査レースへ”. 産経デジタル (産経新聞社). https://www.sankei.com/article/20140526-RH4YXPJJXVNX7N2QZZVU3DSVZM/ 2015年8月26日閲覧。 
  3. ^ a b c 佐藤建仁 (2015年2月25日). “世界最深部へ 「しんかい12000」構想まとまる”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). オリジナルの2015年2月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150224233635/http://www.asahi.com/articles/ASH2S5H62H2SPLBJ006.html 2015年9月28日閲覧。 
  4. ^ 世界で一番深い海”. 海上保安庁ホームページ. 2017年5月13日閲覧。
  5. ^ a b c ニュースフラッシュ 新しい有人潜水調査船「しんかい12000」Shinkai12000の構想イメージ図」『世界の艦船』2015年5月号第816号、海人社、2015年3月25日、ASIN B00STR3EPEオリジナルの2018年11月16日時点におけるアーカイブ。 
  6. ^ a b 林公代 (2015年11月27日). “地球最後の秘境・深海はどんな世界? - 超深海をめざす「しんかい12000」”. マイナビニュース (マイナビ). https://news.mynavi.jp/techplus/article/shinkai12000-1/ 2016年3月7日閲覧。 

関連項目

[編集]