コンテンツにスキップ

こちらあみ子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

『こちらあみ子』(こちらあみこ)は、今村夏子短編小説、およびそれを表題作とする短編集。2022年に映画化された。

概要

[編集]

『こちらあみ子』は2011年1月、筑摩書房から出版された。2010年、第26回太宰治賞を受賞した短編「あたらしい娘」を「こちらあみ子」と改題し収録、新作中編「ピクニック」を併録している。同書は2011年、第24回三島由紀夫賞受賞。2014年6月、ちくま文庫にて文庫化。この際、さらに新作「チズさん」を併録している。

こちらあみ子
監督 森井勇佑
脚本 森井勇佑
原作 今村夏子
製作 南部充俊
飯塚香織
製作総指揮 近藤貴彦
出演者 大沢一菜
井浦新
尾野真千子
岡村天晴
大関悠士
橘高亨牧
幡田美保
黒木詔子
桐谷紗奈
兼利惇哉
一木良彦
柿辰丸
音楽 青葉市子
主題歌 青葉市子「もしもし」
撮影 岩永洋
編集 早野亮
製作会社 ハーベストフィルム
エイゾーラボ
配給 アークエンタテイメント
公開 日本の旗2022年7月8日
上映時間 104分
製作国 日本の旗日本
言語 日本語
テンプレートを表示

映画

[編集]

本作が初監督作となる森井勇佑[1]により映画化され、2022年7月8日に公開された。[2]

主人公・あみ子を演じる大沢一菜は、応募総数330名の中から選ばれた新人。[3]

あらすじ

[編集]

広島の公立小学校に通う5年生の「あみ子」は、純粋無垢だが他人の気持ちが分からず、授業中に騒ぐ等、トラブルの多い少女だった。同級生の「のり君」が好きだが、迷惑この上ない「のり君」。家族が誕生日パーティーを開いてくれても、プレゼントのトランシーバーに夢中で、せっかくのご馳走を残す「あみ子」。流行のトランシーバーは欲しかったが友達はおらず、「こちら『あみ子』」と呼びかけても、応答は返って来なかった。

妊娠中だった母・さゆりが死産した。良かれと思って庭に「弟の墓」を作る「あみ子」。それまで気持ちを押さえていた母は、墓を見て泣き叫び、以来、何も出来ず寝て過ごす状態になってしまった。妹思いの優しい兄・考太も暴走族になった。

中学生になる「あみ子」。不良の兄が校内で恐れられている為にイジメには合わないが、相変わらず友達はいない。会社員の父・哲郎は、制服のまま寝て何日も風呂に入らない「あみ子」に、スーパーの惣菜を与えることしか出来なかった。自分の部屋で聞こえる謎の音を、「成仏できない弟の霊」だと騒ぐ「あみ子」。父は苦しげに「女の子だった」と告げたが、父の気持ちが分からない「あみ子」は、空想のお化けたちと無心に遊ぶばかりだった。

公立高校に進んでも、テスト中に「♪お化けなんかないさ〜」と童謡を歌う「あみ子」。「あみ子」にしつこく絡まれた「のり君」は、耐えきれずに「あみ子」の鼻の骨が折れるほど殴りつけた。諦めたように「引っ越そう」と話す父に、「離婚だ、離婚だ!」と興奮する「あみ子」。

部屋の物音は、ベランダに巣を作った鳥の仕業だった。高校を中退し、父と二人で田舎の祖母の家に移る「あみ子」。だが父は広島の家に帰ると言う。「あみ子」一人が祖母の家に預けられたのだ。朝の海岸でお化けたちの乗った小舟を見送った「あみ子」は、水が冷たいという人声に、元気に「大丈夫!」と応えるのだった。

キャスト

[編集]
  • あみ子:大沢一菜
  • お父さん・哲郎:井浦新
  • お母さん・さゆり:尾野真千子
  • 考太:奥村天晴
  • のり君:大関悠士
  • 坊主頭:橘高亨牧
  • 保健室の先生:播田美保
  • おばあちゃん:黒木詔子
  • 幼い日のあみ子:桐谷紗奈
  • 幼き日の考太:兼利惇哉
  • 学校の先生:一木良彦
  • 校長先生:柿辰丸

スタッフ

[編集]
  • 監督・脚本:森井勇佑
  • 企画・プロデュース:近藤貴彦
  • プロデューサー:南部充俊、飯塚香織
  • 音楽:青葉市子
  • 撮影・照明:岩永洋
  • 録音:小牧将人
  • 美術:大原清孝
  • 編集:早野亮
  • 衣装:纐纈春樹
  • ヘアメイク:寺沢ルミ
  • 整音:島津未来介
  • 音響効果:勝亦さくら
  • スチール:三木匡宏
  • 助監督:羽生敏博
  • タイトルデザイン:赤松陽構造
  • 主題歌:青葉市子「もしもし」
  • 配給:アークエンタテイメント
  • 製作幹事/製作プロダクション:ハーベストフィルム、エイゾーラボ

受賞歴

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ 映画「こちらあみ子」で監督デビュー 森井勇佑さん”. アシタノ. 2023年2月18日閲覧。
  2. ^ 映画『こちらあみ子』が「人とは違う子」に向ける眼差し。監督と青葉市子は何を描きたかったのか | CINRA”. www.cinra.net. 2023年2月18日閲覧。
  3. ^ [インタビュー 『こちらあみ子』大沢一菜 「自然とさびしくなったり、感情が湧いてきたりすることもあった」 - CINEMOTION]” (2022年6月29日). 2023年2月18日閲覧。
  4. ^ 2022年度「新藤兼人賞」発表 金賞「こちらあみ子」森井勇佑監督、銀賞「マイスモールランド」川和田恵真監督 : 映画ニュース”. 映画.com. 2023年2月18日閲覧。
  5. ^ 松坂桃李、広瀬すず、磯村勇斗、横浜流星ら「第14回TAMA映画賞」受賞”. ORICON NEWS. 2023年2月18日閲覧。
  6. ^ 音楽賞 青葉市子「こちらあみ子」 即答で「やります」 「可動域が広がる体験だった」:第77回毎日映画コンクール”. 「ひとシネマ」は、毎日新聞社が運営する映画情報サイトです。. 2023年2月18日閲覧。
  7. ^ 第36回高崎映画祭 新進監督グランプリ”. 高崎新聞. 2023年2月18日閲覧。
  8. ^ 第36回高崎映画祭 最優秀新人俳優賞”. 高崎新聞. 2023年2月18日閲覧。
  9. ^ 「2022年 第96回 キネマ旬報ベスト・テン」全順位を発表!! 表彰式の模様も無料配信中!”. www.kinejun.com. 2023年2月18日閲覧。
  10. ^ ロングランヒット『こちらあみ子』海外映画祭へ!主演・大沢一菜「どんどん成長するのが楽しみ」”. cinemacafe.net. 2023年2月18日閲覧。
  11. ^ a b “のん、影山祐子が主演女優賞、主演男優賞は足立智充 日本映画プロフェッショナル大賞”. nikkansports.com (日刊スポーツNEWS). (2023年5月12日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202305120000768.html 2023年5月12日閲覧。 

外部リンク

[編集]