いわむらかずお
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いわむら かずお(本名:岩村 和朗〈読み同じ〉[1]、1939年4月3日 - 2024年12月19日)は、日本の絵本作家。代表作に『14ひきのひっこし』などの「14ひきのシリーズ」。
経歴
[編集]東京都足立区に生まれる[2]。6人兄弟で育ち、5歳の時に兄と2人で秋田県の祖父母の家に疎開。戦後東京に戻り、杉並区の8畳一間の借家で8人暮らしをした[3]。
1958年(昭和33年)に東京都立西高等学校、1964年(昭和39年)に東京芸術大学美術学部工芸科を卒業[4]。1975年(昭和50年)、36歳のときに栃木県芳賀郡益子町に移り住み、畑を耕しながら創作活動を続ける[3]。
1983年(昭和58年)に出版された『14ひきのひっこし』・『14ひきのあさごはん』で、14匹のねずみの3世代家族が、豊かな自然を背景に、引越しや食料調達・料理に力を合わせて楽しく暮らす様子を、大きな見開き紙面いっぱいに描いた。「ひっこし」は2008年までに累計92万冊、「あさごはん」は同じく101万冊を売り上げ[5]、後続のシリーズを含めロングセラーとなった。 「14ひき」のシリーズ全12冊の累計発行部数は800万部を超える[6]。
子どものための哲学入門を絵本で作った「かんがえるカエルくん」など、擬人化した動物を主人公として描く作品が多い。
1998年(平成10年)、栃木県那須郡馬頭町(現那珂川町)に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開設し、館長を務める[6]。
長男は「いわむらかずお絵本の丘美術館」ミュージアムショップ責任者の岩村康一朗(1965年6月29日 - )。二男は陶芸作家の岩村吉景(1974年6月10日 - )。
2024年12月19日、死去[7]。85歳没。訃報は2025年1月に童心社のウェブサイトで報告された[8]。
受賞歴
[編集]- 『14ひきのあさごはん』で絵本にっぽん賞[6]
- 『14ひきのやまいも』ほかで小学館絵画賞
- 『ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ』でサンケイ児童出版文化賞
- 『かんがえるカエルくん』で講談社出版文化賞絵本賞[6]
- フランス芸術文化勲章シュヴァリエ、2014年[9]
脚注
[編集]- ^ “絵本作家いわむらかずおさん死去/主要/社会総合/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ (2025年1月22日). 2025年1月22日閲覧。
- ^ “〈ニュース〉いわむらかずおさん絵本作家デビュー50周年!”. 童心社 (2020年9月8日). 2025年1月23日閲覧。
- ^ a b 『しんぶん赤旗』日曜版2014年12月14日付「絵本作家、「14ひきのシリーズ」作者いわむらかずおさん 仏・芸術文化勲章〈シュヴァリエ〉受賞 家族一緒にごはん平和の幸せ 命をみつめる「野ネズミの目」で描く」。
- ^ “第15回西高の夕べ(2008年)”. nishi-doso.jp. 2023年2月11日閲覧。
- ^ トーハン『ミリオンブック』2008年版による
- ^ a b c d 読売新聞 2025年1月24日 28面
- ^ “絵本作家いわむらかずおさん(85)が死去 益子町在住 「14ひきのシリーズ」などで親しまれる”. 下野新聞デジタル (2025年1月22日). 2025年1月22日閲覧。
- ^ “絵本作家のいわむらかずおさんが逝去されました。 - 童心社”. 童心社 (2025年1月22日). 2025年1月23日閲覧。
- ^ 12月12日に在日フランス大使館で受勲式。大使館サイト「漫画家の大友克洋氏ら4氏が芸術文化勲章を受章」、2014年12月閲覧。