X-14 (航空機)
X-14
X-14はアメリカ空軍・アメリカ航空宇宙局が試験していた垂直離着陸機(VTOL)。開発はベル社、社内モデル名称ベル 68。1957年2月19日初飛行。推力偏向方式の機体であり、各種の試験に用いられた。
概要
[編集]ベル社はVTOL機を社内開発しており、ジェットエンジンを回転させる方式の試験機モデル65は1954年に初飛行し、垂直離陸に成功していた。これに着目した空軍は、これを発展させた機体を実験機として望み、1955年7月にX-14として開発契約が結ばれた。
X-14は推力偏向方式のVTOL機であり、2基のジェットエンジン排気を下方向に変更させ、垂直離着陸を行う。ジェットエンジンは機首に搭載し、排気口は機体中ほどにある。胴体末端と主翼端にもガスを導き、姿勢制御を行うこととなっていた。機体そのものはキャノピーが省略され、主翼と降着装置はビーチ・ボナンザから、尾翼はT-34メンターから流用されるなど簡略化されていた。Xプレーンとしては唯一の開放式操縦席を使用する機体である。
1957年2月17日に初飛行として垂直離着陸に成功し、1958年5月24日には遷移飛行にも成功している。1959年からはNASAのエイムズ研究センターで試験が行われた。同年中にはエンジンをアームストロング・シドレー ヴァイパー8(推力:700kg)からGE J85-GE-5(推力:1,220kg)に換装し名称もX-14Aに変更された。1971年にはGE J85-GE-19(推力:1,370kg)に再換装し、X-14Bに名称変更されている。1981年5月29日に着陸事故を起こし、修復が不能となったことから、機体は放棄された。1999年まではスクラップ置き場に放置されていたが、その後は民間人が機体を取得している。
X-14は実験機としては異例の24年にも渡る長期に使用され、VTOL機に関する多くのデータと有用な情報をもたらした。X-14AはNASAで月面着陸の機動に関する研究にも用いられ、X-14Aの制御システムは月面着陸機の物の基になった。
仕様
[編集]要目 (X-14A)
[編集]以下のスペックに関する文献などの情報源を探しています。 |
諸元
- 乗員: 1
- 全長: 7.62 m (25 ft 0 in)
- 全高: 2.40 m (8 ft 0 in)
- 翼幅: 10.36 m(34 ft 10 in)
- 運用時重量: 1,406 kg (3,100 lb)
- 最大離陸重量: 1,936 kg (4,269 lb)
- 動力: アームストロング・シドレー ヴァイパー 8 ターボジェット、7.8 kN (1,750 lbf) × 2
性能
- 最大速度: 277 km/h (172 mph)
- 航続距離: 482 km (300 miles)
- 実用上昇限度: 6,096 m (20,000 ft)
- 推力重量比: 1:0.9
要目(X-14B)
[編集]- 全長:7.62m
- 全幅:10.36m
- 全高:2.40m
- 自重:1.4t
- エンジン:GE J85-GE-19ターボジェットエンジン(推力:1,370kg)2基
- 最大速度:277km/h
- 乗員:1名
参考文献
[編集]- X-プレーンズ 世界の傑作機No67 文林堂 ISBN 9784893190642 1997年
- 航空ファン別冊 No.32 アメリカ軍用機1945~1986 空軍編 文林堂 雑誌コード 03344-8 1986年