鶴書房
株式会社鶴書房(つるしょぼう)は、かつて存在した日本の出版社である。旧社名田中元文社(たなかげんぶんしゃ)、株式会社ツル・コミック社の前身。
沿革
[編集]- 1926年(大正15年) - 大阪市で「田中元文社」として創業。
- 1941年(昭和16年) - 東京進出、「株式会社鶴書房」と改称および改組。
- 1945年(昭和20年) - 戦争災害で東京・大阪ともに社屋焼失。
- 1948年(昭和23年) - 営業再開
- 1968年(昭和43年) - 創業者田中貫行死去
- 1979年(昭和54年)8月 - 倒産
概要
[編集]実務書の他にもSFシリーズや、漫画創成期に漫画を発行、さらにピーナッツを刊行、その後ホロスコープ(星占い)を大ヒットさせた。
ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』やE・R・バローズの「火星の合成人間」 など、主に少年向けの海外冒険・SF小説の翻訳・出版を行っていた。1952年(昭和27年)6月10日、「漫画と読み物」(新生閣)で連載された手塚治虫の『新世界ルルー』を、『きえた秘密境』と改題の上で出版[1]。同年8月10日には藤子不二雄(当時は足塚不二雄)に「最後の世界大戦」(のちに「UTOPIA 最後の世界大戦」に改題)の発行を手塚治虫の紹介で要請。翌年1953年に刊行(藤子にとってはこれが初の単行本)するなど、戦後日本の漫画史において重要な役割を果たす。
1969年(昭和44年)にはチャールズ・M・シュルツの「ピーナッツ」(スヌーピー)シリーズを発行した。訳者には詩人の谷川俊太郎を起用し、スヌーピーが大ヒットし日本に大きく知られるきっかけになった。1971年(昭和46年)に雑誌『月刊SNOOPY』を、翌1972年には海外漫画専門誌『WOO』を発行した。1970年代のある時期、社名を「株式会社ツル・コミック社」と改めている。
占い本の出版でも知られ、日本の占い業界に大きな影響を与えていた。特に1973年にホロスコープ(星占い)は大ヒットとなった。
SFベストセラーズでは日本のSF草創期の作家が腕をふるって良質なSFジュブナイルを世に送り出しており、筒井康隆『時をかける少女』、眉村卓『なぞの転校生』、光瀬龍『夕ばえ作戦』などはNHKでSFドラマ化され、小松左京『見えないものの影』、石山透の『続・時をかける少女』も刊行した[2]。
また『小品盆栽』(中村是好著)『のらくろ先生の観葉植物』(田河水泡著)など、園芸書も刊行していた。
1979年(昭和54年)に倒産。委託販売でなく直販の営業体制を取っていたが、日本出版労働組合連合会傘下の労働組合ができ、労務倒産したと新聞記事に紹介されている[要出典]。倒産後、「ピーナッツ」は角川書店から出版されている。
データ
[編集]- 田中貫行(創業者、1897年 - 1968年、満70歳没)
- 田中貫行は湯川弘文社(現弘文社)の一番番頭として出版社の営業、経営を学び、のれん分けという形で田中元文社(鶴書房)を設立する。
- 田中博之(元社長、2009年死去、満84才没)
- 田中貫行の長男
脚注
[編集]関連項目
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