陳氏太極拳図説

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陳氏太極拳図説(陳氏太極拳圖説・ちんしたいきょくけんずせつ)とは、中国河南省焦作市温県陳家溝出身(陳氏十六世)の武術家陳品三(陳鑫・Chén Xin)が、1908年から1919年までの12年の歳月をかけて書き上げた、陳氏太極拳小架式一路 についての詳細な解説が記された拳譜(伝書)である。全4巻、各巻20~40万字(原稿用紙にして約3千枚相当)の膨大な規模の大著であり、そのボリュームと密度の濃さは、太極拳のみならず中国拳術の世界でも非常に希なものである。

陳鑫の没後、その志しを継いだ子の陳春元に、当時、陳家溝に赴いて太極拳を研究していた陳泮嶺などが協力し、技術書として出版された。

陳鑫はこの本の中で、自らを称して「父からは文を学ぶように命ぜられ、高尚な太極拳の最高境地には至らない。」としながらも、祖父の陳有恒、叔祖父の陳有本、父の陳仲生、叔父の陳季生、兄の陳土へと伝承されてきた一族の小架式の真伝が、やがて失伝してしまうことを心配し、太極拳の真髄を微細深遠なところから理解し易いところまで、全てを分かりやすく包み隠さず表現したと述べている。

陳氏太極拳圖説は全四巻から構成され、現在は1冊の本に纏められている。

その内容は次のとおりである。

【1】巻首

宇宙の生成・構造・進化原理の説明。

陳氏太極拳の原理説明。

気と経絡の説明。

太極拳全般についての詳細な説明。

【2】太極拳勢巻一

太極拳学習者の心得。

第1動作から第12動作までの詳細な説明。

【3】太極拳勢巻二

第13動作から第36動作までの詳細な説明。

【4】太極拳勢巻三

第37動作から第64動作までの詳細な説明。

付録。

関連項目[編集]