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酸化マグネシウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
酸化マグネシウム
識別情報
CAS登録番号 1309-48-4
E番号 E530 (pH調整剤、固化防止剤)
特性
化学式 MgO
モル質量 40.3044 g mol−1
外観 無色結晶
密度 3.65 g/cm3(固体)
融点

2852 °C, 3125 K, 5166 °F

沸点

3600 °C, 3873 K, 6512 °F

への溶解度 加水分解、0.0086 g / 100 cm3[1]
構造
結晶構造 立方晶系塩化ナトリウム型構造
空間群 Fm3m (225)
配位構造 8面体6配位
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −601.7 kJ mol−1[2]
標準モルエントロピー So 26.94 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo 37.15 J mol−1K−1
危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC 0504
EU Index Not listed
NFPA 704
0
1
0
引火点 不燃性
関連する物質
その他の陰イオン 硫化マグネシウム
その他の陽イオン 酸化ベリリウム
酸化カルシウム
酸化ストロンチウム
酸化バリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酸化マグネシウム(さんかマグネシウム、magnesium oxide)はマグネシウム酸化物で、化学式MgO化合物。白色または灰色の固体苦土(くど)[3]カマ[4]カマグとも呼ばれる。

天然にはペリクレース英語版として産出するが、大気中の水分と反応してブルース石となる。

製法

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金属マグネシウム燃焼させると生成する。

水酸化マグネシウムあるいは炭酸マグネシウムを加熱分解すると生成する[5]

高温でホウ酸塩と酸化マグネシウムを融解したものを徐冷すると立方体結晶が析出する[6]

性質

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融点 2800 °C(3037.15K) 、沸点 3600 °C(3873.15K) 、密度3.65 g/cm3、水に難溶。塩化ナトリウム型の立方晶構造(Fm3m)を有する。その格子定数はa = 4.203 Åである[6]

水酸化マグネシウムあるいは炭酸マグネシウムを600 °C程度の低温で焼成してつくったものは、と反応して水酸化マグネシウムを生じ、二酸化炭素および水を吸収して塩基性炭酸マグネシウム、およびアンモニウム塩水溶液に容易に溶けてマグネシウム塩を生成する。しかし1000 °C以上の高温で加熱されたものはより密度が高く、安定となり酸に容易には溶解しない[5][7]

反応

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二酸化炭素や水をマグネシウムと反応させると、それらが還元されてそれぞれ炭素水素が生じ、マグネシウムは酸化マグネシウムとなる。

また、希塩酸に溶かしたとき、マグネシウム(銀灰色)は溶けて水素を発生するが、酸化マグネシウム(白色)は水素を発生しない。

利用

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医薬品

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胃内における制酸作用と腸内における緩下作用を持つ。制酸作用の発現に際して、CO2を発生しないため刺激のない制酸剤として奨用される。酸化マグネシウム1gは0.1mol/LHClの約500mLを中和できる。水に不溶性なので、NaHCO3に比較すると制酸性は遅効性で、作用時間も長い。また、腸内では難吸収性の重炭酸塩又は炭酸塩となり、浸透圧維持のため腸壁から水分を奪い腸管内容物を軟化することにより緩下作用を現す。本剤は非吸収性であり、アルカローシスを生じない。

 副作用

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 腎不全患者での高マグネシウム血症不整脈呼吸抑制が起こる)が見られ、高齢者の死亡例が報告されている[8]。また下痢を引き起こす傾向がある[9]

脚注

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  1. ^ http://fscimage.fishersci.com/msds/13450.htm
  2. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  3. ^ [1] 苦土とは - コトバンク
  4. ^ 日本薬剤師会, ed. (2008), 調剤指針 (第12改訂増補 ed.), 薬事日報社, p. 62, ISBN 9784840810517 
  5. ^ a b 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1977年
  6. ^ a b 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  7. ^ F. A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
  8. ^ 厚労省・安全性情報 酸化マグネシウムの長期投与に注意喚起 ミクスonline、2008年11月27日 
  9. ^ 新しい疾患薬理学』Katsunori Iwasaki, Shōgo Tokuyama, 岩崎克典., 徳山尚吾.、南江堂、Tōkyō、2018年、391頁。ISBN 978-4-524-40335-6OCLC 1030482447https://www.worldcat.org/oclc/1030482447 

関連項目

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出典

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外部リンク

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