標津サーモン科学館
標津サーモン科学館 Shibetsu Salmon Museum | |
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標津サーモン科学館 | |
施設情報 | |
正式名称 | 標津サーモン科学館[1] |
専門分野 | サケ・マス |
館長 | 市村政樹 |
事業主体 | 標津町 |
管理運営 | 標津町 |
開館 | 1991年(平成3年)9月15日[2] |
所在地 |
〒086-1631 日本北海道標津郡標津町北1条西6丁目1-1 |
位置 | 北緯43度39分36.3秒 東経145度06分58.1秒 / 北緯43.660083度 東経145.116139度座標: 北緯43度39分36.3秒 東経145度06分58.1秒 / 北緯43.660083度 東経145.116139度 |
外部リンク | 標津サーモン科学館 |
プロジェクト:GLAM |
標津サーモン科学館(しべつサーモンかがくかん)は、北海道標津町にある鮭、鱒の生態系を扱う標津町立の科学館である。
概要
[編集]1991年(平成3年)9月15日に開館した[2]。
館内には、ケイジの標本や[3]鮮やかな赤い魚体のベニザケを初めて生きたまま展示する[4]などサケ科の魚類の展示が行われているほか、標津川の鮭が遡上する魚道となっているガラス張りの水路が設けてあり[2][5]、秋の産卵時期には川との間の水門が開放されて[5]実際にシロザケやカラフトマスが[6]魚道水槽の滝を勢いよく登って遡上する光景を直に観察できる[7]。
また、シロザケやマスの産卵行動も水槽内で行わせて一般公開し[8]、その後の卵のふ化から稚魚の成長過程も同様に一般公開されている水槽内で行っており[9][10]、川を遡上するところから[7]成長して海へ旅立つまでのサケ・マスの様子を間近に観察することが可能である[11]。
こうしたサケ・マスの一連の産卵行動を観察し易いことを利用した研究活動も行われており、2008年(平成20年)には当館で詳細な観察を行った成果を基にサケが産卵時に心停止することについての研究成果を北海道大学大学院生がアメリカで開かれた学会で発表している[12]。
その他にも、1996年(平成8年)には世界で初めて雌シロザケから採卵して人工授精を行って淡水飼育に成功している[13]。
また、2005年(平成17年)4月3日にはサケ科の魚で「幻の魚」とも呼ばれるイトウの人工授精に一般の人が参加する体験実習会を全国で初めて開催する[14]などサケ科の魚の産卵から稚魚の飼育に関して積極的な研究活動が行われている。
その他にも絶滅危惧種に指定されているダウリアチョウザメ(Huso dauricus、英: Kaluga)[15]の飼育・展示も2005年(平成17年)から行っており[16]、2007年(平成19年)には北海道大学大学院の研究グループがダウリアチョウザメの精子の採取に成功し[17]、それを使って人工ふ化させたチョウザメの子供を翌年2008年(平成20年)から当館の水槽で展示・飼育される[18]など、チョウザメのふ化・飼育の研究に関しても重要な役割を果たしている。
こうした研究活動を支援するため、2010年(平成22年)10月1日には学生や研究者が長期滞在できる研究・研修拠点センターが開設されている[19]。
他にも「流氷の天使」とも呼ばれるクリオネや[20]その仲間のイクオネ[21]などの翼足をひらひら動かして泳ぐ生物の常設展示も行われている[22]。
若いチョウザメに観覧者の指を甘噛みしてもらう「触れ合い」コーナーや100円ガチャで買える浮き餌にジャンプしながら食らいつく野性味溢れたサケ類の展示も斬新である[23]。
なお、当館の裏手には根室管内さけ・ます増殖事業協会のサケ捕獲場があり、実際のサケ・マス漁業と密接に結びついた場所に立地している[24]。
アクセス
[編集]- 北海道道863号川北茶志骨線
- 中標津空港から車で20分。
開館時期
[編集]脚注
[編集]- ^ 標津町サーモン科学館条例
- ^ a b c “サケの庭が引っ越した-標津サーモン科学館、15日にオープン。魚道水槽でそ上目の前”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1991年9月10日)
- ^ “幻のケイジ でも食べられません 標津の科学館 標本を展示”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2003年11月1日)
- ^ “ベニザケ魚体鮮やか 生きたまま初の展示 標津”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2009年10月10日)
- ^ a b “標津 力強い遡上間近に サーモン科学館 魚道水槽開通”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2010年9月3日)
- ^ “遡上のサケ 間近で 標津サーモン科学館 魚道水槽開通”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2011年9月6日)
- ^ a b “マス 全力で遡上 標津の科学館”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2005年9月2日)
- ^ “サケの産卵行動 間近で 標津サーモン科学館が公開”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2012年11月7日)
- ^ a b 稚魚1万匹が群遊 標津サーモン科学館 1日から営業再開”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2013年1月30日)
- ^ “サケ稚魚すくすく 標津・サーモン科学館”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2008年3月12日)
- ^ “大海原への旅立ち迫る サケの稚魚順調に成長 標津”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2003年3月12日)
- ^ “産卵時サケ心停止 標津の調査で確認 北大大学院・牧口さんら 科学館で詳細な記録 毛細血管の損傷防止? 9月、米国学会で報告”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2008年5月25日)
- ^ “標津サーモン科学館 雌シロザケ 淡水飼育に成功 養殖に道開く 世界初 採卵し人工授精”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1996年11月14日)
- ^ “こだま”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2005年4月4日)
- ^ “絶滅危惧種に指定 チョウザメ定置網に 標津沖 サーモン科学館飼育”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2011年11月9日)
- ^ “チョウザメの愛称は 「うっぴ」と「ちっぴ」 サーモン科学館”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2005年5月13日)
- ^ “ダウリアチョウザメ養殖計画 最高級キャビア生産へ道 北大大学院 精子採取に成功”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2007年5月15日)
- ^ “チョウザメのびのび 人工ふ化の150匹が満1歳 標津”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2008年7月16日)
- ^ “標津拠点に研究を あす宿泊施設が開所”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2010年9月30日)
- ^ ““妖精”クリオネに人気 標津サーモン科学館 常設展示、22匹も”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1997年3月28日)
- ^ “クリオネの仲間です 「イクオネ」もよろしく サーモン科学館で公開 標津”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1998年3月18日)
- ^ “展望台 流氷の天使お目見え”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2002年2月19日)
- ^ "(2017年7月2日現在)"
- ^ “秋サケ定置 自主規制を解除 根室管内採卵達成率71% 予定より1日早く”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2008年10月10日)
- ^ “サーモン科学館 きょう今季開館”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2005年2月1日)
- ^ “津サーモン科学館 正月開館が好評 新たな観光資源に期待も”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2006年1月7日)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- 標津サーモン科学館 (@shibetsu_salmon) - X(旧Twitter)
- 地図 - Google マップ
- サケの文化 - 北海道遺産