木村建一
木村 建一(きむら けんいち、1933年3月5日 - )は、日本の工学者、環境建築家。早稲田大学名誉教授[1]。工学博士。
経歴
[編集]1933年、中国撫順市生まれ[2]。1952年、東京府立第十中学校(現・東京都立西高等学校)卒業。
1957年、早稲田大学第一理工学部建築学科卒業・工学士。1959年、早稲田大学大学院工学研究科建設工学専攻修士課程修了・工学修士。1960年 - 1962年、マサチューセッツ工科大学にフルブライト留学生として留学。建築学科の研究助手として、太陽エネルギー研究プロジェクトに参加した。
1964年、早稲田大学第一理工学部専任講師。1967年、早稲田大学第一理工学部助教授。
1965年、早稲田大学大学院工学研究科建設工学専攻博士課程修了・工学博士。「建築物の暖冷房熱負荷特性に関する研究」。
1967年 - 1969年、カナダ国立研究所(NRC)の建築研究部に留学。
1973年 - 1999年、早稲田大学理工学部教授。1999年 - 2003年、早稲田大学理工学総合研究センター教授。
現在、国際人間環境研究所代表。NPO環境住宅名誉理事長。日本太陽エネルギー学会名誉理事。
人物
[編集]エネルギー利用技術、ソーラーハウス、環境共生住宅をはじめとした建築における自然エネルギーの研究に長年携わる。早稲田大学で長年教鞭をとり、教育者としても多くの研究者を輩出した。大学院生時代は、木村幸一郎と井上宇市に師事した。
また、伝統的民家にも注目し、気候風土に根差した形態の美しさを「環境美」と呼んだ。そして、その背後にある仕組みを実測などにより追求し、現代建築への応用を提唱した[3]。
1972年、所沢市に自邸「木村ソーラーハウス」[4]を建て、その初期性能を1973年にパリで開催された国際太陽エネルギー学会世界大会にて展示パネルで発表した。
1974年、通商産業省のサンシャイン計画では、推進委員会委員・太陽エネルギー分科会委員を務める。
2019年、「建築環境学と建築エネルギー計画の研究教育と長年の国際活動における顕著な業績」で日本建築学会大賞を受賞[5]。
学会関連では、日本建築学会理事、空気調和・衛生工学会会長、日本太陽エネルギー学会会長などを歴任した。日本国内のみならず、国際的な学会にも精力的に参加し、学会運営や大会委員などにも多数携わった。
妻は、元日本女子大学人間社会学部社会福祉学科教授の木村愛子[6]。子女にはヴァイオリニストの木村まり、医師で文筆家の木村知がいる。
学会
[編集]- ASHRAE:日本部門会長(1984–1987年)
- 空気調和・衛生工学会:副会長(1980–1982年)、会長(1994–1996年)
- 国際太陽エネルギー学会:副会長(1975–1984年)、 会長(1984–1986年)
- IAIAS:運営委員(1988–1991年)、理事(1990–1993年)
- NPO環境住宅:名誉理事長
国際会議
- International Symposium on Thermal Application of Solar Energy、1985年(箱根):組織委員会副委員長
- 国際太陽エネルギー学会大会、1989年(神戸):組織委員会副委員長
- PLEA(Passive and Low Energy Architecture):プレア
- 第7回PLEA国際会議、1989年(奈良): 組織委員会副委員長
- 第10回PLEA国際会議、1992年(オークランド):組織委員会委員長
- 第7回ISIAQ国際会議(Indoor Air 1996), 1996年(名古屋):組織委員会委員長
賞
[編集]- 空気調和・衛生工学会論文賞(1968年、1972年、1973年)
- 日本建築学会論文賞(1982年)
- PLEA賞(1997年)
- Farrington Daniels賞(1999年)
- 日本建築学会大賞(2019年)
建築
[編集]- 木村ソーラーハウス(所沢市)、1972年
- An Experimental Solar House for the Science and Technology Agency(草加市)、 1974年
- Chiba Solar House、1976年
- Sagara Solar House(稲城市)、1979年
- Suzuki Solar House(小山市)、1979年
- Kusano Solar House、1981年
- Miki Solar House(世田谷区)、1982年
- Takasaki Clinic and Solar House(練馬区)、1983年
- 東京電力パッシブソーラーハウス(品川区)、1988年
- Creatopia Collective Solar Houses (小布施町)、1978年
- Japanese Advanced Solar House IV-NA21(那須町)、1994年
- 北九州市立大学国際環境工学部校舎 (北九州市)、1999年
著作
[編集]単著
[編集]- 『建築設備基礎理論演習』、学献社、1970年
- Scientific Basis of Air Conditioning, Applied Science Publishers, London, 1977
- 『ソーラーハウス入門』、オーム社、1980年
- 『住居環境用語辞典』、彰国社、2003年
- 『建築設備基礎』、国際人間環境研究所、2009年(『建築設備基礎理論演習』の改訂版)
- 『世界環境建築紀行』、国際人間環境研究所、2013年
- 『けんちくかんきょう随想』、国際人間環境研究所、2013年
- Scientific Basis of Air Conditioning (Second Edition), International Research Institute on Human Environment, 2016
共著
[編集]- 『環境工学』(建築士技術全書・2)、彰国社、1976年
- 『自然環境』(新建築学大系・8)、彰国社、1984年
- 『建築用語ポケットブック〈環境工学・設備 編〉』、丸善、1986
- 『建築環境学〈1〉』、丸善、1991年
- 『建築環境学〈2〉』、丸善、1992年
- 『民家の自然エネルギー技術』、彰国社、1999年
参考
[編集]- 木村建一のホームページ(http://www.f.waseda.jp/kkimura/)
- 早稲田建築アーカイブス(http://waarchives.org/person/021/)
脚注
[編集]- ^ “研究者詳細 - 木村 建一”. w-rdb.waseda.jp. 2023年6月29日閲覧。
- ^ “木村建一 | WAA | WASEDA ARCHITEHTURE ARCHIVES”. waarchives.org. 2023年6月29日閲覧。
- ^ “2019年日本建築学会大賞”. 2023年6月29日閲覧。
- ^ “木村ソーラーハウスの今昔”. 2023年6月29日閲覧。
- ^ “2019年各賞受賞者 | 日本建築学会”. www.aij.or.jp. 2023年6月29日閲覧。
- ^ 「木村愛子教授経歴・主要著作一覧」『社会福祉』第42号、日本女子大学社会福祉学科、2001年、3-13頁、CRID 1520009409332115968、ISSN 02883058。