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世阿彌 (戯曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

世阿彌』(ぜあみ)は、山崎正和1963年に発表した戯曲[1]。『世阿弥』と表記されることもある。1963年9月に俳優座により俳優座劇場で初演されるとともに、同年の雑誌『文藝』10月号に戯曲で掲載された。第9回「新劇」岸田戯曲賞(現:岸田國士戯曲賞)を受賞した[1][2]

物語は、世阿弥を主人公に、足利義満との関わりを軸として展開する[3][4]

足利義満の下で能を大成させた世阿弥の半生を通し、政治権力と芸能の関係、その光と影、心の葛藤を浮き彫りにした。

評価

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山崎正和が岸田戯曲賞を受賞した『世阿彌』は、最初期の作品として、その文筆活動の出発点で、「出世作」と目され、山崎のプロフィールにおいて代表作として挙例されることがよくある[4][5][6]

山崎正和に対して否定的な評価をしている山崎行太郎も、本作については一定の留保を付けている[7]松岡正剛は、「日本を代表する「文化」を小説にする」ことが困難であることを論じる中で、本作を挙例して否定的に言及している[8]

おもな上演

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出版

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いずれも標題は『世阿彌[14]

  • 初出は『文藝』(河出書房新社)、1963年10月号
  • 河出書房新社、1964年
  • 新潮文庫、1974年
  • 『山崎正和著作集(戯曲 1)』中央公論社、1982年
  • 『山崎正和全戯曲』河出書房新社、2016年

脚注

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  1. ^ a b c 岸田國士戯曲賞 受賞作候補作一覧”. pelebo. 2014年12月19日閲覧。
  2. ^ a b “山崎正和氏の「世阿弥」に 岸田戯曲賞”. 朝日新聞・東京夕刊: p. 5. (1963年8月22日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  3. ^ “山崎正和著「世阿弥」”. 朝日新聞・東京朝刊: p. 10. (1964年10月26日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  4. ^ a b c “「演劇のだいご味見せる」 三津五郎、現代劇「世阿弥」に挑戦”. 朝日新聞・夕刊: p. 11. (2003年11月22日). "63年に俳優座が千田是也の演出・主演で初演した山崎の代表作。時の将軍足利義満を光、世阿弥を影になぞらえ、権力者の庇護(ひご)と大衆の注視によって生きる芸能者を描く。"  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  5. ^ “松本幸四郎が世阿弥に 「違った役柄に期待と不安」 山崎正和作で来春公演”. 朝日新聞・東京夕刊: p. 13. (1986年6月2日). "「世阿弥」は劇作家・評論家、山崎氏が二十代のころに書いた出世作であり、..."  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  6. ^ 谷沢永一「腰巻」『本はこうして選ぶ買う』。「私たちは、『世阿弥』以来、『柔かい個人主義』以来の、山崎正和の慄然たる仕事の積み重ねを知っている。」 
  7. ^ 山崎行太郎 (2011年1月16日). “山崎正和の「ブログ・ツイッター」論」をめぐって。”. 山崎行太郎. 2014年12月19日閲覧。 “かつて「山崎正和」という地味な評論家がいた。劇作家という肩書も使っていたようであるが、劇作家とは名ばかりで、『世阿弥』という作品が目立つ程度で、実質的には何も活動していないに等しい自称・劇作家だった。”
  8. ^ 松岡正剛 (2000年10月24日). “松岡正剛の千夜千冊 井上靖・本覚坊遺文”. 編集工学研究所. 2014年12月19日閲覧。 “たとえば山崎正和の戯曲『世阿弥』は、ぼくなどにはかなり不満なものだった。”
  9. ^ 文化遺産オンライン 「世阿弥」 舞台装置図”. 文化庁. 2014年12月19日閲覧。
  10. ^ a b “山崎氏の「世阿弥」、イタリアで上演 点描”. 朝日新聞・東京夕刊: p. 7. (1971年6月18日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  11. ^ “「世阿弥」24年ぶりに再演、山崎正和に聞く 幸四郎にほれ主役指名”. 朝日新聞・東京夕刊: p. 15. (1987年3月2日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  12. ^ 石沢秀二 (1988年10月29日). “演劇「世阿弥」アメリカを行く(フロントシート)”. 朝日新聞・夕刊: p. 15  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  13. ^ “歌舞伎に現代劇、坂東三津五郎自在 2日から新国立劇場で「現代能楽集 鵺」”. 朝日新聞・夕刊: p. 7. (2009年6月29日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  14. ^ なお1969年に山崎の責任編集で、『日本の名著 10 世阿弥』(中央公論社)が出版されているが、これは山崎の戯曲ではなく、世阿弥の著作解説・現代語訳である。新潮文庫判は「野望と夏草」も収録