クトナホラ石
クトナホラ石 | |
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分類 | 炭酸塩鉱物 |
シュツルンツ分類 | 5.AB.10 |
Dana Classification | 14.2.1.3 |
化学式 |
CaMn2+(CO 3) 2 |
結晶系 | 三方晶系 |
対称 | R3 |
単位格子 | 330.60 ų |
モル質量 | 215.0 g/mol (端成分) |
晶癖 | 葉片状結晶が集合 |
へき開 | Perfect on {1011} |
断口 | 亜貝殻状 |
粘靱性 | 脆い |
モース硬度 | 3.5–4 |
光沢 | 鈍いガラス質 |
色 | 白色、淡桃色または明茶色 |
条痕 | 白色から淡桃色 |
透明度 | 半透明 |
比重 | 3.12 |
密度 | 3.10–3.12 |
光学性 | 一軸 (-) |
屈折率 |
no = 1.710–1.727, ne = 1.519–1.535 |
複屈折 | 0.191–0.192 |
溶解度 | 酸に可溶 |
文献 | [1][2][3][4] |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
クトナホラ石またはクトノホラ石(Kutnohorite)は、カルシウムマンガン炭酸塩鉱物で、マグネシウムや鉄を含む。苦灰石グループの鉱物である。苦灰石やアンケル石と共生している。端成分はCaMn2+(CO3)2であるが[5]、Mn2+はFe2+やMgに置き換わることが多く、マンガン含量は、38%から84%であるため[1]、Ca(Mn2+,Mg,Fe2+)(CO3)2と書いた方が実態をよく表している。1901年に、チェコ共和国中央ボヘミア州のクトナー・ホラに因んで、Bukowsky博士により名付けられた[6]。元々は"kutnahorite"と綴っていたが、現在では国際鉱物学連合により、"kutnohorite"という綴りで承認されている。
苦灰石グループ
[編集]単位胞
[編集]単位胞(Z=3)ごとに3つの式単位があり、辺の長さは、aが約4.9 A、cが16 Aから17 Aとされるが、次のように、情報源によって、わずかに値が異なる。
構造
[編集]苦灰石グループの他の鉱物と同様に、三方晶系で、空間群は、R3である。結晶軸の長軸cと垂直な(CO3)2の層となっており、これらの層の間に、カチオンCa2+とMn2+の層が位置する[1]。もしカチオン間に完全な序列があれば、これらは異なる層に分離し、c軸に沿って、次のような順序付けが発生する[1]。
Ca–(CO
3)–Mn–(CO
3)–Ca–(CO
3)–Mn–(CO
3)–
しかし、全ての標本がこのような順序を示すわけではない[7]。
光学的な性質
[編集]クトナホラ石は、白色、淡いピンク色、または明るい茶色に見える。ピンク色の色調は、マンガンの増加、茶色は鉄の増加に起因する。白色からピンク色の条痕を持つ半透明で、ガラス質で鈍い光沢を持つ。一軸性で、屈折率は苦灰石と近く、NO = 1,710 - 1.727、Ne = 1,519 - 1.535である。NOの値は、スピネル(1.719)と比べると高い。
物理的な性質
[編集]クトナホラ石は、白色、淡いピンク色、または明るい茶色の単結晶翼の集合体として産出する。また、曲面を持つ単純な菱面体晶、多結晶球体、さらに塊状や粒状として存在する。炭酸塩鉱物に典型的な菱形の完全へき開である。脆く、亜貝殻状の断口を持つ。また非常に柔らかく、モース硬度は3.5から4と、方解石と蛍石の間である。比重は3.12と、苦灰石や方解石よりも密度が高い。全ての炭酸塩鉱物と同様に、酸に可溶である。
発生
[編集]菱マンガン鉱、アラレ石、方解石等と関連し[4]、典型的には、マンガン堆積物中で生成する。著名な産地としては、イタリアのトスカーナ州やチェコのクトナー・ホラがある。恐らくコソボのトレプカ鉱山でも産出している[4]。コロラド州ユアレイ郡のエルドラド鉱山では、石英や苦灰石の一部を覆う小さな白色の結晶として産出する[8]。長野県の龍島鉱山では、マグネシウムを含むものが石英や菱マンガン鉱とともに産出する[9]。模式産地はクトナー・ホラで、模式標本は、アメリカ合衆国のハーバード大学に保管されている[4]。
出典
[編集]- ^ a b c d e Gaines et al (1997) Dana’s New Mineralogy Eighth Edition. Wiley
- ^ a b “Kutnohorite Mineral Data”. Webmineral.com (2014年). 8 August 2022閲覧。
- ^ a b Kutnohorite (英語), MinDat.org, 2022年8月8日閲覧。
- ^ a b c d e “Kutnohorite”. Handbook of Mineralogy. Mineral Data Publishing (2005年). 8 August 2022閲覧。
- ^ “IMA Mineral List with Database of Mineral Properties”. 2022年9月8日閲覧。
- ^ Frondel, Clifford and Bauer, L H (1955), Kutnahorite, a manganese dolomite, CaMn(CO
3)
2. American Mineralogist 40: 748 - ^ Peacor, D R, Essene, E J and Gaines, A M (1987) Petrologic and crystal-chemical implications of cation order-disorder in kutnahorite. American Mineralogist 72:319
- ^ Rocks & Minerals (2009) 84-5:423
- ^ Akio Tsusue (1967) Magnesian Kutnahorite from Ryujima Mine, Japan. American Mineralogist 52:1751