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韓国鉄道公社150000系電車

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KTX-イウムから転送)
韓国鉄道公社150000系電車
KTX-イウム
KTX-イウム(清凉里駅
基本情報
運用者 韓国鉄道公社
製造所 現代ロテム
製造年 2019年 -
製造数 68編成(408両)(予定)
運用開始 2021年
投入先 中央線など
主要諸元
編成 6両編成(4M2T)
軌間 1,435 mm(標準軌
電気方式 架空電車線方式
交流25,000V 60Hz
最高運転速度 260 km/h
設計最高速度 286 km/h
起動加速度 2.0 km/h/s
減速度(常用) 2.7 km/h/s
減速度(非常) 3.3 km/h/s
編成定員 381人
編成重量 318 t
編成長 150,500 mm
全長 中間車23,500 mm
先頭車26,250 mm
全幅 3,150 mm
全高 4,000 mm
台車中心間距離 17,000 mm - 17,300 mm
軸重 15 t
動力伝達方式 動力分散方式
主電動機 三相交流かご型誘導電動機
引張力 226 kN
制御方式 VVVFインバータ制御-IGBT
制動装置 回生ブレーキ発電ブレーキ
保安装置 ATS
ATC
TVM430
ATP
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韓国鉄道公社150000系電車(かんこくてつどうこうしゃ150000けいでんしゃ)は、韓国鉄道公社(KORAIL)が運営する高速鉄道(KTX)の車両。なお、本系列をベースとしたウズベキスタン鉄道用車両についても開設する。

愛称KTX-イウムKTX-이음、KTX-EUM)。「イウム」は「繋ぐ」を意味する朝鮮語である。KTX専用車両としては初めて動力分散方式を採用した。中央線清凉里駅 - 安東駅間などに導入され、中部内陸線慶全線などの地方路線で運行されている。なお、本系列は京釜高速鉄道および湖南高速鉄道の走行する運用は行わないため、最高運転速度は260km/hに設定されている準高速列車である[1]。6両編成での運用のほか、中央線・江陵線では2編成を連結した12両編成での営業運転も行っている。

1次車

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中央線KTXの運行開始に備え2019年 - 2020年に501編成 - 505編成の5編成が製造された。製造後、水西平沢高速線を除く高速線と、中央線や江陵線で試運転を行い、2021年1月5日の中央線KTX清凉里駅 - 安東駅間開通に伴い営業運転が開始された。

2次車

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2020年 - 2021年に江陵線・中部内陸線のKTXの運行開始に備え、506編成 - 519編成が製造され、前者は2021年8月1日から、後者は2021年12月31日の中部内陸線KTX夫鉢駅 - 忠州駅開通に伴い営業運転が開始された。本来江陵線用の150000系は2018年の江陵線KTX(旧名称京江線KTX)の開業時までに導入する計画であったが、車両開発が遅延し江陵線開業までに車両納入が不可能であったため、140000系KTX-山川が150000系を導入するまでの一時しのぎとして製造された[2]。そのため、本車両の導入に伴い140000系は2021年7月31日をもって150000系にバトンタッチをする形で全編成が江陵線KTXでの運行を終了し、現在は京釜高速鉄道や湖南高速鉄道に転属して営業運転を行っている。

3次車

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2024年 - 2026年に西海線東海線南部・中部区間・江陵線松島方面と驪州駅 - 西原州駅間の新規開業区間のKTXの運行開始に備え、521編成 - 534編成が製造予定[3]

4次車

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春川束草線東海線北部新規開業区間のKTXの運行開始に備え、535編成 - 547編成が製造予定。

5次車

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慶全線・水西広州線のKTXの運行開始に備え、548編成 - 569編成が発注予定。

2024年3月、当系列をベースとした車両をウズベキスタン鉄道タシュケント・サマルカンド高速鉄道に7両編成6本を導入すると発表した[4][5]。本車両はKTX-イウムとは異なり中間車を1両増車した7両編成となり、台車も広軌仕様(1,520mm)に変更された。また、ウズベキスタンの環境の砂漠地帯に対応するため、外部のほこりや砂を防ぐ防塵設計が重視されたほか、ウズベキスタン鉄道の低床ホームに対応するため、車内にステップ階段を設け列車とホームの段差を少なくしている[6][7]

問題点

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韓国高速鉄道で初の動力分散式が採用された本車両について、走行中の振動が酷くKORAILに対して乗客からの民願(クレーム)が相次ぎ、乗務員からも200件近い異常報告が寄せられていたことが明らかになった。国土交通部は特別点検を実施し、KORAILおよび製造社の現代ロテムに対して、部品の交換等を指示した。関係者は、韓国ではこれまで高速鉄道の製造は動力集中式の生産経験はあるが、動力分散式の生産は初めてであり、設計に問題があったのではないかと指摘している[8]。後に台車の空気ばねが原因であることが発覚[9]し、これを受けて2022年12月に製造元の現代ロテムが部品交換費用を全額負担する形で、2023年8月以降に19編成の空気ばねを交換することを発表した[10]。なお、この問題点を受けた後に登場した兄弟車両の160000系は乗り心地がかなり改善されている。

構造

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  • 座席の配置:4列シート
  • ホーム:高・低床ホーム対応
  • サービス:220vコンセント1個口・USBポート2個口・無線充電器

編成

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号車 1 2 3 4 5 6
車種 TC
15○○01
M'
15○○52
M
15○○53
M
15○○54
M'
15○○55
TC
15○○06
等級 優等室 一般室
座席数 46席 78席 55席 74席 76席 52席
合計 46席 335席
381席

運用区間

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運用中

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太字文:全列車停車

運用開始予定

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脚注

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  1. ^ 京釜高速鉄道・湖南高速鉄道にKTX-イウムをベースとした160000系KTX-青龍が導入された。
  2. ^ 類似した事例としてJR東日本のE231系導入に向けて試作車となる209系950番台が量産化に向けて導入されたが、故障頻発が顕著であった103系の早期に置き換えをするべくE231系量産車が登場するまでのつなぎとして209系500番台が導入された事例がある。
  3. ^ 520編成は欠番となった。
  4. ^ kunu.uz. “Hyundai Rotem may supply high-speed trains to Uzbekistan” (英語). Kun.uz. 2024年10月21日閲覧。
  5. ^ 開業時には、タルゴ250が導入された。
  6. ^ [신비한 로템사전 “국내를 넘어 전 세계로”..고속철 국산화 30년, 수출로 최종 결실]” (朝鮮語). m.post.naver.com. 2025年2月5日閲覧。
  7. ^ KTX-イウムでは広域鉄道高床ホームと一般鉄道低床ホームの両方に対応するため、車体側ドア下部に昇降用ステップが設けられている。
  8. ^ (朝鮮語)"폰도 못 볼 지경" KTX-이음 '공포의 떨림'…진동장치 바꾼다 中央日報(2023年3月20日)2024年8月14日閲覧
  9. ^ KBS뉴스강릉 (2022-10-11), KTX-이음 ‘승차감 이상’ 195차례 발생…해결 난망 / KBS 2022.10.11., https://www.youtube.com/watch?v=Dt8ybVPfizM 2025年2月5日閲覧。 
  10. ^ 정상빈. “KTX-이음 승차감 개선 내년 8월부터 진행” (朝鮮語). n.news.naver.com. 2025年2月5日閲覧。
  11. ^ 박수혁 (2025年1月1日). “승용차보다 느린 ‘부산~강릉 동해선’…정부 “연말께 KTX 투입”” (朝鮮語). 한겨레. 2025年2月5日閲覧。
  12. ^ 西海線KTXと運用を一体化する計画がある。
  13. ^ 半地下構造のホームは使用せず、新しく地下5階に位置する新ホームが建設される。また、青良信号所付近の江陵側に新たに半地下ホーム方面と地下5階ホーム方面に別れる分岐線を設ける。
  14. ^ 기자 2021-08-19 10:15, 강원영동cbs 전영래. “강릉~제진 동해북부선 '본격화'…1·2공구 사업시행사 선정”. m.nocutnews.co.kr. 2025年2月5日閲覧。
  15. ^ 동해북부선 강릉~제진 단절구간 112㎞ 55년 만에 복원 착수” (朝鮮語). www.hani.co.kr (2022年1月5日). 2023年5月30日閲覧。

関連項目

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