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この項目では、原子物理学の用語 (Hyperfine structure) について説明しています。
- 原子物理学の別の用語については「微細構造 (原子物理学)」をご覧ください。
- 生物学の用語 (ultrastructure) については「微細構造」をご覧ください。
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水素における微細構造 (fine structure) と超微細構造 (hyperfine structure)
超微細構造(英: Hyperfine structure)とは、原子物理学において、原子や分子のエネルギー準位(あるいはスペクトル)に含まれる小さな分裂を表す。
これは運動する電子の磁気双極子モーメントと核磁気モーメントとの相互作用により起こる。
古典物理学的に考えると、原子核の周りを回る電子は電荷を持つため磁気双極子モーメントを持つ。この磁気双極子モーメントと(核スピンによる)核磁気モーメントとの相互作用が超微細分裂を引き起こす。
しかし、電子スピンがあるため、軌道角運動量がゼロのs亜殻電子についても超微細分裂が起こる。ここで、電子の確率密度は核の内部 (
) でもゼロにならないため、磁気双極子相互作用はより強い。
水素原子の超微細分裂とボーアのエネルギー準位との関係は
![{\displaystyle {\frac {m}{m_{p}}}\alpha ^{4}mc^{2}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/048fd320f4da566d29f1a52bc8993d99a7675542)
のオーダーである。ただし
- m は電子の質量
- mp は原子の質量
- α は微細構造定数 (1/137.036)
- c は光速
である。
水素以外の原子については、核スピン量子数
と電子の全角運動量
(ここで、
は軌道角運動量、
はスピン角運動量を表す。)とが結び付き、原子の全角運動量
となる。
したがって超微細分裂は
![{\displaystyle \Delta E_{hfs}=-{\vec {\mu }}_{I}{\vec {B}}_{J}={\frac {a}{2}}[F(F+1)-I(I+1)-J(J+1)],}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/6ff0409c3591bd0f1a78ae27bcbd5e1dd2e394a2)
となる。ただし
![{\displaystyle a={\frac {g_{I}{\vec {\mu }}_{N}{\vec {B}}_{J}}{\sqrt {J(J+1)}}},}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/d7e0fb6975ccedca3863f1281c3f0fc7d80d04b0)
であり、
は核の磁気双極子モーメントである。
この関係は「エネルギー準位は
に分裂する」というランデの間隔則 (Lande interval rule) に従う。
であり、超微細構造は微細構造よりも更に微細である。
より詳細な議論のためには、核四重極モーメントについても考慮する必要がある。これは hyperfine structure anomaly と呼ばれる。
超微細構造は1881年に既にアルバート・マイケルソンにより光学的に観測されていた。しかし、説明は1920年代の量子力学に依らなければできなかった。1924年にヴォルフガング・パウリは核磁気モーメントを理論的に提案した。
1935年に M. Schiiler と T. Schmidt はhyperfine structure anomalyを説明するために核四重極モーメントを提案した。
関連項目[編集]