平成16年台風第10・11号
平成16年台風第10・11号（へいせい16ねんたいふうだい10・11ごう）は、2004年7月から8月にかけて、四国地方に相次いで上陸した2つの台風である。後に激甚災害に指定された[1]。
台風10号
[編集]| 台風第10号 (ナムセーウン・Namtheun) | |
|---|---|
| カテゴリー4の タイフーン （SSHWS） | |
.jpg) 台風10号 | |
| 発生期間 | 2004年7月25日0時（UTC）- 8月2日0時（UTC） |
| 寿命 | 8日間 |
| 最低気圧 | 935 hPa |
| 最大風速 （日気象庁解析） | 85 knots |
| 被害総額 | 103億円 |
| 平均速度 | 15.2 km/h |
| 移動距離 | 2,912 km |
| 上陸地点 | 高知県西部 |
| 死傷者数 | 死者3名・負傷者15名（台風11号によるものを含む） |
| 被害地域 |
 日本 |
| プロジェクト : 気象と気候／災害 | |
7月25日に南鳥島の西海上で発生した台風10号 (アジア名：ナムセーウン/Namtheun[2]) は、勢力を強めながら北西に進み、28日に八丈島の南海上に達した。30日にかけて、強い勢力を保ちながら日本の南海上をゆっくりと西北西に進み、31日16時すぎに高知県西部に上陸した[3]。さらに瀬戸内海を経て、21時半頃には山口県岩国市付近に再上陸した[4]。その後日本海を北上し、8月2日9時に熱帯低気圧に変わった[5]。
この台風の影響で、7月29日から31日にかけて、東日本の太平洋側と西日本で大雨となり、特に近畿地方南部や四国地方で非常に激しい雨が降った[3][6][7]。8月1日から2日にかけて、発達した雨雲が太平洋から四国地方へと流れ込んだため、台風通過後もなお雨は長く降り続き[8]、愛媛県や高知県では1時間に100mmを超える猛烈な雨となった[9][10]。7月29日から8月2日までの期間降水量は、奈良県や徳島県で1000mmを超え、高知県では700mmを超えた[11]。雨が最も多く降った地点では2000mmを超えたという報告もある[8]。また四国電力の観測では、徳島県上那賀町海川で日降水量1317mmに達し、これまでの日本の日降水量の記録を更新するに至った[5]。日本海側に高気圧があったために、この台風が時速10kmという非常に遅いスピードで進んだことも、雨量が多くなった原因の1つとされている[8]。
台風11号
[編集]| 台風第11号 (マーロウ・Malou) | |
|---|---|
| トロピカル・ストーム （SSHWS） | |
 台風11号 | |
| 発生期間 | 2004年8月4日0時（UTC）- 8月4日21時（UTC） |
| 寿命 | 21時間 |
| 最低気圧 | 996 hPa |
| 最大風速 （日気象庁解析） | 40 knots |
| 被害総額 | |
| 平均速度 | 39.1 km/h |
| 移動距離 | 821 km |
| 上陸地点 | 徳島県東部 |
| 死傷者数 | 死者3名・負傷者15名（台風10号によるものを含む） |
| 被害地域 |
日本 |
| プロジェクト : 気象と気候／災害 | |
台風10号通過後の8月4日9時、日本の南海上にあった熱帯低気圧が潮岬の南海上で台風11号 (アジア名：マーロウ/Malou) となり、22時過ぎには徳島県東部に上陸した[12][13]。その後、兵庫県相生市付近に再上陸し、四国・中国地方を縦断して5日6時に熱帯低気圧に変わった[5][13][14][15]。台風の勢力そのものはあまり強くはなかったが、この台風により8月4日から5日にかけて、近畿地方南部や三重県を中心に大雨となり、雨量が500mmを超えたところもあった。また、台風10号の通過後間もなく四国に上陸したことから、被害が大きくなる原因にもなった。
解説
[編集]これら2つの台風は、いずれも通常の台風の進路とは違い、東から西へと進み、四国を横断しながら激しい風雨をもたらしたという特徴がある[8]。日本に接近する台風は、日本の南西から北東に向かって列島に沿うように進むケースが多いものの、これらの台風の場合、ちょうど日本列島を横切るように進んだ[8]。雨が激しく長く降り続いたため、土砂崩れや浸水、道路の寸断などが各地で相次いだ[16]。
被害
[編集]これら2つの台風により、3人が死亡（うち徳島県木沢村の2人は9月23日に認定死亡の手続きがとられた）、15人が重軽傷を負ったほか、全壊11棟、半壊21棟、一部損壊88棟、床上浸水254棟、床下浸水2,188棟の住家被害が出た[5]。さらに被害総額は103億円に達した[2]。台風10号が非常にゆっくりとした速さで進んだことなどが、被害が大きくなった一因であった。
外部リンク
[編集]- デジタル台風：台風200410号（NAMTHEUN）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所（北本朝展）
- デジタル台風：台風200411号（MALOU）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所（北本朝展）
- 台風10号・11号（相次ぐ台風上陸で被害拡大 長引く豪雨で土砂災害が続出） - 国土交通省
- 台風第10・11号 (平成16年7月29日～８月６日) - 気象庁
- 2004年 台風11号 - NHK災害アーカイブス
脚注
[編集]- ^ “06.内閣府は、台風第10号、第11号に関連する災害を激甚災害に指定した。”. 内閣府. 2025年4月13日閲覧。
- ^ a b “デジタル台風：台風200410号 (NAMTHEUN) - 災害情報”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年4月20日閲覧。
- ^ a b 「31日夜にも九州上陸か 台風10号」『西日本新聞』西日本新聞社、2004年7月31日。オリジナルの2004年8月3日時点におけるアーカイブ。2025年3月8日閲覧。
- ^ 「九州北部など なお強い雨も 台風、熱帯低気圧に」『西日本新聞』西日本新聞社、2004年8月1日。オリジナルの2004年8月2日時点におけるアーカイブ。2025年3月8日閲覧。
- ^ a b c d “台風第10号・11号 平成16年（2004年）7月29日～8月6日”. www.data.jma.go.jp. 2020年4月20日閲覧。
- ^ 「岐阜・各務原で9棟を全半焼 台風の強風下 JR高山線止める」『中日新聞』中日新聞社、2004年7月31日。オリジナルの2004年8月4日時点におけるアーカイブ。2025年4月13日閲覧。
- ^ 「台風10号、風速60･9メートルを室戸岬で観測」『中日新聞』中日新聞社、2004年7月31日。オリジナルの2004年8月4日時点におけるアーカイブ。2025年4月13日閲覧。
- ^ a b c d e “台風10号・11号”. 国土交通省. 2020年4月20日閲覧。
- ^ 「県内も激しい風雨-台風10号四国横断」『四国新聞』四國新聞社、2004年8月1日。オリジナルの2004年8月3日時点におけるアーカイブ。2025年4月13日閲覧。
- ^ 「県内､高潮で44戸浸水-台風10号影響」『四国新聞』四國新聞社、2004年8月2日。オリジナルの2004年8月3日時点におけるアーカイブ。2025年4月13日閲覧。
- ^ 「四国などで豪雨続く」『中日新聞』中日新聞社、2004年8月2日。オリジナルの2004年8月4日時点におけるアーカイブ。2025年4月13日閲覧。
- ^ 「台風11号、兵庫県を北上…けさ熱低に」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月4日。オリジナルの2004年8月5日時点におけるアーカイブ。2025年3月8日閲覧。
- ^ a b 「台風11号が熱帯低気圧に」『東京新聞』中日新聞東京本社、2004年8月5日。オリジナルの2004年8月5日時点におけるアーカイブ。2025年3月8日閲覧。
- ^ 「台風11号、熱帯低気圧に 能登沖を北上」『朝日新聞』朝日新聞社、2004年8月4日。オリジナルの2004年8月5日時点におけるアーカイブ。2025年3月8日閲覧。
- ^ 「台風11号、熱帯低気圧に変わる…近畿で大雨警戒」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月5日。オリジナルの2004年8月7日時点におけるアーカイブ。2025年3月8日閲覧。
- ^ 「大雨で孤立の観光客ら、まず20人をヘリで救出…徳島」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月3日。オリジナルの2004年8月3日時点におけるアーカイブ。2025年3月8日閲覧。
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