うひ山ぶみ
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(初山踏から転送)
『うひ山ぶみ』(ういやまぶみ・初山踏、宇比山踏[1])は、本居宣長による国学書。『古事記伝』完成後の寛政10年(1798年)に著され、翌年刊行された。晩年の宣長が初学の門人に対する入門書として著したものである。
概要[編集]
人類全てが「まことの道」を学ぶ必要があり、「まことの道」の正体を日本にのみ伝わる「天照大神の道」であると説いた上で、「神道・有職・国史・和歌などの学問の道がそれを知るために必要である」とする。その一方で「学問は持続させることが大切で、学び方はそれ程重要ではない」とした上で、学習に必要な文献と読解・注釈の方法を解説するなど、古典研究に必要なものについて論じている。
「言と事と心とは、その様、相かなえるもの」と述べ、言語をもって単に事実伝達の手段と見ず、言語表現そのものが人間の事実であること、言語の研究は人間の心と行為、人間そのものを研究することであると明らかにした書と評される[1]。
注解刊行本[編集]
- 村岡典嗣校訂『うひ山ふみ;鈴屋答問録』岩波文庫、1934年
- 宗政五十緒・小椋嶺一編『宇比山踏:影印・解説』竜谷大学国文学会出版部、1967年
- 大野晋・大久保正編『本居宣長全集1』筑摩書房、1968年
- 吉川幸次郎ほか校注『〈日本思想大系40〉本居宣長』岩波書店、1978年
- 神道大系編纂会『神道大系 論説編25:復古神道』(梅澤伊勢三・高橋美由紀校注)1982年
- 白石良夫『本居宣長「うひ山ぶみ」全読解:虚学のすすめ』右文書院、2003年
- 白石良夫『本居宣長「うひ山ぶみ」全訳注』講談社学術文庫、2009年
現代語訳[編集]
- 杉浦明平ほか訳『〈日本の古典21〉新井白石・本居宣長』河出書房新社、1972年
- 石川淳訳「宇比山踏」『〈日本の名著21〉本居宣長』(石川淳責任編集)中公バックス、1984年
- 山口志義夫訳『〈「現代語訳」本居宣長選集3〉うい山ぶみ:皇朝学入門』多摩通信社、2010年
- 濱田浩一郎訳『〈いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ16〉本居宣長『うひ山ぶみ』』致知出版社、2017年
脚注[編集]
注釈[編集]
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 野口武彦「初山踏」『日本史大事典 1』平凡社、1992年 ISBN 978-4-582-13101-7
- 百川敬仁「うひ山ぶみ」『日本歴史大事典 1』小学館、2000年 ISBN 978-4-095-23001-6