三文字頭字語
三文字頭字語(さんもじとうじご、three-letter acronym)または三文字略語(さんもじりゃくご、three-letter abbreviation)、略してTLAは、(主としてラテンアルファベット)3文字からなる頭字語である。これらは通常、複合語を構成する各単語の頭文字だけを並べたもので、全て大文字で書かれる。"TLA"という語自体も三文字頭字語である(自己整合語)。
ほとんどの三文字頭字語は、一字ずつアルファベットの名のままで読む(イニシャリズム)。例えば、United States of Americaの略語"USA"は、「ユーサ」「ウサ」ではなく「ユーエスエイ」と発音する。一部の三文字頭字語は、通常の単語と同じように発音する。例えば、computer-aided designの略語"CAD"は「キャド」と発音する。
例
[編集]- 国名: UAE・USA
- 人名: FDR・JFK・LBJ
- コンピュータ用語: CPU・DOS・RAM・ROM・GNU
- 拡張子: JPG・XLS
- 会社名: IBM・AMD・NEC
- 役職名: CEO・CFO
- 官庁名: CIA・FBI・ NSA
- 放送局: ABC(豪・米)・BBC(英)・ CBC(加・日)・ NHK (日)
- 化学・生物学・薬学: GMO・LSD・ MSG
- 宗教: LDS
- 医療: CAD・CHF
- ネット用語: LOL・OMG
- 軍事・兵器: BFR・RPG
- 戦争・紛争: HYW・WWI
- ISO通貨コード: GBP・USD
- スポーツリーグ: NFL・MLB・NPB
- 艦船接頭辞: HMS・USS・RMS
歴史と起源
[編集]文献における”three-letter acronym”というフレーズの初出は、1975年である[1]。TLAは生物学のニーモニックとして用いられ[2]、その実用的な利点は1982年にウェーバーによって紹介された[3]。他にも多くの分野で使用されているが、特にコンピュータ関連でよく使われている[4] 。コンピュータ分野におけるTLAの生成について、1982年のJPLの報告で言及されている[5]。
1980年には、シンクレア ZX81 ホームコンピュータのマニュアルにTLAが使用されていた[6]。1988年の、「本当にコンピュータサイエンスを教えることの残虐性について」(On the cruelty of really teaching computer science)と題する論文で、著名なコンピュータ科学者エドガー・ダイクストラは、「今日、TLAなしではいかなる努力も尊重されないので……」と書いた[7]。1992年までに、マイクロソフトのハンドブックに収められていた[8]。
TLAの使用は、産業と学術の両方で普及し、今日では一般的に理解されている。
組み合わせ
[編集]AからZまでのアルファベットの26文字を使用して作成し得るTLA(AAA, AAB, ...ZZY,ZZZ)の数は、26×26×26 = 17,576個である。3文字目に0〜9の数字を使うことができれば、26×26×10 = 6760個増えて合計24,336個となる。
英語では、WWWは発音すると最長となるTLAであり、一般的には9つの音節が必要となる。TLAの有用性は、表現するフレーズをより短かく言うことができることであるが、"WWW"は略す前の"World Wide Web"の3倍の音節を必要とする。そのため、"WWW"は時折"dubdubdub"(ダブダブダブ)のように発音される[9]。
脚注
[編集]- ^ Levy, M. J. (1975). “Review of The Logic of Social Systems”. American Journal of Sociology 81 (3): 658. JSTOR 2777655. "The acronyms DSE and DNA have something in common: each is a three-letter acronym."
- ^ Seavey, S. R.; Raven, P. H. (1977). “Chromosomal Differentiation and the Sources of the South American Species of Epilobium (Onagraceae)”. Journal of Biogeography 4 (1): 57. doi:10.2307/3038128. JSTOR 3038128. "All taxa indicated by three-letter acronyms with strains indicated by a fourth letter if necessary."
- ^ Weber, W. A. (1982). “Mnemonic Three-Letter Acronyms for the Families of Vascular Plants: A Device for More Effective Herbarium Curation”. Taxon 31 (1): 74–88. doi:10.2307/1220592. JSTOR 1220592.
- ^ Nilsen, K. D.; Nilsen, A. P. (1995). “Literary Metaphors and Other Linguistic Innovations in Computer Language”. The English Journal 84 (6): 65–71. JSTOR 820897.
- ^ TDA Progress Report R. Hull (1982) An Introduction to the new Productivity Information Management System page 176
- ^ Steven Vickers ZX81 Basic Programming, Sinclair Research Limited, page 161 "As you can see, everything has a three letter abbreviation(TLA)."
- ^ On the cruelty of really teaching computer science
- ^ Dan Gookin (1992) The Microsoft Guide to Optimizing Windows page 211
- ^ “DigiSpeak: A Glossary of the New Lingo”. bryn mawr alumnae bulletin. Bryn Mawr College Alumnae Association (May 2011). August 14, 2016閲覧。
関連項目
[編集]- コンピュータ略語一覧
- RAS症候群
- 頭字語
- ラテン文字のアルファベット二文字組み合わせの一覧
- ラテン文字のアルファベット三文字組み合わせの一覧